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恋は盲目 その1
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モテる彼氏を持つと何かと苦労すると言うけれど。
私の場合は彼が余りに女性にモテ過ぎて、ちょっと、ううん、かなり恐くなります……。
(本当にどうしてあんなに穏やかで優しくて、綺麗な人が私の恋人なのかしら?)
要さんと付き合い始めて、四ヶ月が経った。
毎週末は彼のマンションで過ごす事が日課となった。
彼の情熱を一身に受けてとても幸せな時を過ごしているのだけど。
明け方まで求められて起き上がるのが昼過ぎと言う、何とも恥ずかしい状況に陥っているのが現状で。
愛される悦び以上に、彼の愛情表現の深さに驚きを隠せないのが本心。
土曜日の夜。
お気に入りのあのカフェで過ごして帰宅して直ぐに求められている。
「も、もう駄目!
今朝方まで愛されたから、身体がもう無理……」
玄関に入った直ぐ、背後から抱きしめられ唇を奪われる。
「駄目と言いながら、茉理は何時も俺を煽る」
熱い吐息で要が茉理の耳元で囁く。
吹きかける様に耳を翳める要に、茉理の顔に羞恥が走る。
「な、何を言っているの、要さん。
私、何も煽ってな、う…ん」
ちゅっと唇に触れながら要さんが言葉を奪う。
「あのカフェであんなに幸せそうに微笑まれたら、欲しくなると思わないか?」
「な、何を言って……」
「駄目だよ、茉理……。
欲しくて堪らないんだから」
花のように艶やかに微笑みながら私を抱き上げ寝室へと向かう。
ベッドに横たえられ、彼が私の動きを止めるように身体を重ねていく。
「やっ…。
だ、駄目だったら、かな……」
もうそれ以上の言葉など出ない。
唇を貪られながら私は要さんに愛されていった。
目覚めて気づいた時。
私は置かれている現状に一気に顔を蒼白させた……。
「か、要さん。
や、やだ、こんな場所。
は、早く出して……」
浴槽に、彼が背後から私を抱きしめながら浸かっている。
スプーンの様に身体を重ねているから、当然、彼の熱を直に感じる訳で。
恥ずかしくって涙が出そうになる程、感情が高ぶっている。
それなのに要さんは、何事も無いように振舞って私に話しかける。
「先週も昨日も一緒に入れなかったんだから。
今日は流石に我慢できなかった……」
とんでもない言葉を穏やかに話す要さんに絶句してしまう。
「な、何、言っているの?
と、当然でしょう、要さん。
こんな一緒に、その……」
「既に茉理の身体で知らない場所など無いけど、やはり恥ずかしい?」
くすくす耳元で笑いながら私の羞恥を煽る。
最近、気づいた事だけど、要さんは私をからかう事が好きみたい。
反応を楽しんで、こうして仕掛けてくる。
「……、だって、こんな」
背中に感じる彼の体温。
背後からいたずらに身体に触れてくる。
体中が一気に桃色に染まる。
「綺麗に身体が染まっていく。
感じている?」
項に唇を寄せながら痕を着けていく。
至る場所に彼の所有の痕を見て、鏡を見つめながら何度もため息を零したか、数え切れない。
「か、要さん」
甘い吐息が零れていく。
既に先端がぴん、と張り詰めている。
彼の愛撫に反応しているのが解り、また体中が赤く染まる。
「…綺麗だ、茉理」
「要さ……」
「こんな綺麗な茉理が俺のモノなんて未だに信じれない。
何度も抱いて確かめないと不安で堪らない」
そう言いながら私の身体を向かい合わせ唇を奪う。
「う…ん」
「俺が何時も嫉妬で気が狂いそうだと言う事、茉理は信じていないんだろう?
茉理の魅力を知る男が俺以外にいる事も茉理は気づいていない。
だから、こうして茉理の身体に俺を刻ませないと、ね」
聞きながらなんて事を言うんだろう、と絶句してしまう。
モテた事も無いし告白された事だって、当然、ない。
要さんから、何故、あんなに情熱的な目で見つめられ告白され、そして愛されたのか。
私の方が信じられない。
どうして彼がこんなに私を深く愛してくれるのだろうか、と。
今まできっと女性関係だってあった筈だ。
その事を考えると心の奥がちくり、と痛くなる。
どんな風に愛したんだろうか?
彼はどんな風に抱いたのだろうか?
嫉妬する感情がある事は認める。
最初、こんな醜い自分勝手な感情に苛付いたけど、これも自分の中にある正直な感情だと認めるようになった。
だって、要さんの事を誰よりも好きだから。
好きだから湧き上がる感情だって事を素直に認めた。
そう思うようになって、恋をする自分の変化を受け止めれるようになった。
あの、恐い感情も、何も知らない事で心の中を翳める不安も。
「要さ……ん」
「ここでこれ以上、茉理に触れたら茉理の中に入りたくなる。
もう一度、溶け合いたい……」
「わ、わたしも」
正直な自分の思いを彼に伝える事も出来る様になった。
恥かしいと思う。
だけど、彼に愛されたい、と体中が訴えているから。
欲情を灯した彼の目が私を射抜く。
「また明け方のあの景色を見せる事が出来ない……」
そう言いながら私を抱き上げ寝室へと戻って行く。
快楽の波に包まれながら彼の愛を全身に受け止める。
何度となく、絶頂を迎え彼の情熱を受け止めて。
幸せな蜜月を私は噛み締めている。
要さんを愛している。
彼にそう伝えると彼が蕩けるような目で私を見つめる。
彼が側にいる幸せ。
愛される喜びを感じながら私はまた、まどろむ。
この時、私は余りにも幸せすぎて盲目となっていた。
彼がどれだけ、女性にモテるのか、を……。
一週間後に迎えるバレンタインで嫌なほど、それを思い知らされる。
持ち帰るチョコレートの数に、私は言葉を無くすのであった。
私の場合は彼が余りに女性にモテ過ぎて、ちょっと、ううん、かなり恐くなります……。
(本当にどうしてあんなに穏やかで優しくて、綺麗な人が私の恋人なのかしら?)
要さんと付き合い始めて、四ヶ月が経った。
毎週末は彼のマンションで過ごす事が日課となった。
彼の情熱を一身に受けてとても幸せな時を過ごしているのだけど。
明け方まで求められて起き上がるのが昼過ぎと言う、何とも恥ずかしい状況に陥っているのが現状で。
愛される悦び以上に、彼の愛情表現の深さに驚きを隠せないのが本心。
土曜日の夜。
お気に入りのあのカフェで過ごして帰宅して直ぐに求められている。
「も、もう駄目!
今朝方まで愛されたから、身体がもう無理……」
玄関に入った直ぐ、背後から抱きしめられ唇を奪われる。
「駄目と言いながら、茉理は何時も俺を煽る」
熱い吐息で要が茉理の耳元で囁く。
吹きかける様に耳を翳める要に、茉理の顔に羞恥が走る。
「な、何を言っているの、要さん。
私、何も煽ってな、う…ん」
ちゅっと唇に触れながら要さんが言葉を奪う。
「あのカフェであんなに幸せそうに微笑まれたら、欲しくなると思わないか?」
「な、何を言って……」
「駄目だよ、茉理……。
欲しくて堪らないんだから」
花のように艶やかに微笑みながら私を抱き上げ寝室へと向かう。
ベッドに横たえられ、彼が私の動きを止めるように身体を重ねていく。
「やっ…。
だ、駄目だったら、かな……」
もうそれ以上の言葉など出ない。
唇を貪られながら私は要さんに愛されていった。
目覚めて気づいた時。
私は置かれている現状に一気に顔を蒼白させた……。
「か、要さん。
や、やだ、こんな場所。
は、早く出して……」
浴槽に、彼が背後から私を抱きしめながら浸かっている。
スプーンの様に身体を重ねているから、当然、彼の熱を直に感じる訳で。
恥ずかしくって涙が出そうになる程、感情が高ぶっている。
それなのに要さんは、何事も無いように振舞って私に話しかける。
「先週も昨日も一緒に入れなかったんだから。
今日は流石に我慢できなかった……」
とんでもない言葉を穏やかに話す要さんに絶句してしまう。
「な、何、言っているの?
と、当然でしょう、要さん。
こんな一緒に、その……」
「既に茉理の身体で知らない場所など無いけど、やはり恥ずかしい?」
くすくす耳元で笑いながら私の羞恥を煽る。
最近、気づいた事だけど、要さんは私をからかう事が好きみたい。
反応を楽しんで、こうして仕掛けてくる。
「……、だって、こんな」
背中に感じる彼の体温。
背後からいたずらに身体に触れてくる。
体中が一気に桃色に染まる。
「綺麗に身体が染まっていく。
感じている?」
項に唇を寄せながら痕を着けていく。
至る場所に彼の所有の痕を見て、鏡を見つめながら何度もため息を零したか、数え切れない。
「か、要さん」
甘い吐息が零れていく。
既に先端がぴん、と張り詰めている。
彼の愛撫に反応しているのが解り、また体中が赤く染まる。
「…綺麗だ、茉理」
「要さ……」
「こんな綺麗な茉理が俺のモノなんて未だに信じれない。
何度も抱いて確かめないと不安で堪らない」
そう言いながら私の身体を向かい合わせ唇を奪う。
「う…ん」
「俺が何時も嫉妬で気が狂いそうだと言う事、茉理は信じていないんだろう?
茉理の魅力を知る男が俺以外にいる事も茉理は気づいていない。
だから、こうして茉理の身体に俺を刻ませないと、ね」
聞きながらなんて事を言うんだろう、と絶句してしまう。
モテた事も無いし告白された事だって、当然、ない。
要さんから、何故、あんなに情熱的な目で見つめられ告白され、そして愛されたのか。
私の方が信じられない。
どうして彼がこんなに私を深く愛してくれるのだろうか、と。
今まできっと女性関係だってあった筈だ。
その事を考えると心の奥がちくり、と痛くなる。
どんな風に愛したんだろうか?
彼はどんな風に抱いたのだろうか?
嫉妬する感情がある事は認める。
最初、こんな醜い自分勝手な感情に苛付いたけど、これも自分の中にある正直な感情だと認めるようになった。
だって、要さんの事を誰よりも好きだから。
好きだから湧き上がる感情だって事を素直に認めた。
そう思うようになって、恋をする自分の変化を受け止めれるようになった。
あの、恐い感情も、何も知らない事で心の中を翳める不安も。
「要さ……ん」
「ここでこれ以上、茉理に触れたら茉理の中に入りたくなる。
もう一度、溶け合いたい……」
「わ、わたしも」
正直な自分の思いを彼に伝える事も出来る様になった。
恥かしいと思う。
だけど、彼に愛されたい、と体中が訴えているから。
欲情を灯した彼の目が私を射抜く。
「また明け方のあの景色を見せる事が出来ない……」
そう言いながら私を抱き上げ寝室へと戻って行く。
快楽の波に包まれながら彼の愛を全身に受け止める。
何度となく、絶頂を迎え彼の情熱を受け止めて。
幸せな蜜月を私は噛み締めている。
要さんを愛している。
彼にそう伝えると彼が蕩けるような目で私を見つめる。
彼が側にいる幸せ。
愛される喜びを感じながら私はまた、まどろむ。
この時、私は余りにも幸せすぎて盲目となっていた。
彼がどれだけ、女性にモテるのか、を……。
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