Fate of love 〜運命の恋〜

2話

ドロドロに解かされた結衣の中に恒は精を放つ。
恍惚な笑みを浮かべながら恒は気を失った結衣の腰を掴み、何度も何度も激しく打ち付け、子宮奥深く己の灼熱を注ぐ。
普段、恒は余り感情を表には出さない。
表情が乏しい、冷静沈着だと世間では言われている。

そんな恒とは到底思えない痴態。
汗をしたらせ一心不乱に律動を繰り返す。

結衣の下肢からしどどに流れる甘い媚薬。
恒の思考は結衣の放つ濃厚な蜜によって箍が外されていた。

ずっと触れたかった。
何度も何度も夢に見た結衣との交わり。

愛しい俺の結衣。
俺の番。
唯一の……。

ずっとこの手で乱したい、己の愛撫に溺れてさせたいと何度願っていたか。
初めて会った時から直ぐに解った。

結衣は自分の番であると。

「弟」の佑に気付かれ、佑が成人するまでは結衣には一切触れる事を禁じられて。
最初、佑から言われた言葉を理解するにどれ程の自制を強いられたか。

「何故だ……」と呻く様な悲痛な恒の声に、佑はうっそりと微笑む。

10歳とは思えない、老成された佑の笑み。
幼い姿をしていても佑は、既に「獣王」であった。

「獣王」に忠誠を誓う獣人である恒にとって、佑は絶対的な支配者である。

その絶対的な支配者である佑からの命に背く事は恒には出来なかった。
獣人にとって番との関わりを阻まれる事が、獣人の理に反する事柄であったとしても、恒は己を律し、佑の命に従った。
もし忠告に反したら己だけでは無い。
最愛の番である結衣にも事が及んでしまう。
王の忠誠に背いた反逆者として、恒だけでは無く結衣の命まで奪われてしまう。

(俺の番は、数奇な運命の元に生を受けたものだ)

恒は成長する結衣を見守りながら何度も深い嘆息を零した。
そして愛する番との関わりを制される己にも。

佑の命に反するにしても余りにもリスクが大き過ぎた。
佑は偉大なる「獣王」の生まれ変わり。
ただただ服従あるのみだと流れる獣人の血が恒に警告する。

それに出会った時の結衣は余りにも幼かった。
人間界での成人は20歳だと言われている。
ただ、婚姻を結ぶ事が出来る年齢は女性では16歳だと言う。

成体になる、人間の結衣が己の子を宿すには月のモノを迎えねばならない。

8歳の結衣の身体は獣人の恒の精を受け入れるには、まだ早過ぎると思われても仕方が無かった。
獣人の激しい交わりに幼体である結衣には耐えられないと佑に制されて。

それだけでは無い。

「獣王」の番である女性を、あろう事か結衣の父親が奪おうとしていた。
既に婚姻を結び身体の繋がりと持とうとしていた。

その事に気付いた佑の怒り。

身体から発する「獣王」の力を幼い佑には、まだコントロールする事が出来なかった。
そんな不安材料を抱く幼い佑。

それに恒と同じく番に出会っても、未だ成人していない佑には番との交接は難しい。
愛する番に出会っても佑には番に求愛する事が出来ない。
人間界での己は余りにも幼い過ぎると悟り、そして獣人での常識では矛盾としか思えない人間界での摂理が佑を苛立たせる。

その苛立ちが恒に向けられる。
酷薄な笑みを浮かべ恒に告げる。

成体となる迄、己の番を守り通せ、と。

そして獣王の番に蛮行を行おうとした男に、佑は直ぐに手を下した。

交通事故と見せかけ死へと導いた佑。
結衣の父親である和彦の無惨な最後。

最愛の番の純潔を奪おうとした和彦への激しい怒りの矛先は娘である結衣にも及ぼうとしていた。
佑の番であるみのりを穢そうとした男の娘であるが為に、結衣は恒との関わりを佑が成人するまでは禁じられた。
父親の罪は娘も償わなければならない。

それが獣人の不文律。

命を奪わなかった事を幸いだと思えと、佑は恒に言い放つ。

そして佑が成体になる迄、恒に番である結衣との愛を育む事を禁じたのであった。