気がついたら異世界転移してました!?~変わったのは世界と私達!?

かもめ みい

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「大変申し訳ないのだが、あなたの尻尾をユウ──この子に触らせてやってくれないか?」
「はっ?」
「重々無理な願いだとは分かっているが、それが一番早い解決方法なんだ。助けると思って、触らせてやってくれないか?」
「いや、でも、尻尾はさすがになぁ……」
「そこを何とか……」
「なら、私が代わりに触らせてあげるわよ。
 ほら、泣き止みなさい、ユウ」

 何処かで聞いた声がしたなと思ったら、徐にギュッと抱きしめられた。

「あんたは……」
「ほーら。ユウの大好きなもふもふよ? その大きな御目目でちゃんと私をみなさい」

 優しく涙を拭い取られ、私の視界にはっきりと入り込んできたのは──赤。
燃え盛る炎のような、強烈な赤色の髪だった。
そしてそのまま視線を上へと動かせば、そこに鎮座しているのは艶ややな光沢を持った鬱金色の三角の耳。先のほうは若干白っぽくなっている。
もしかして、と思って改めて相手の顔をまじまじと見た。

「ファイ姉さん?」
「正解よ。でも、少し気付くのが遅いわね」

 そう言って妖艶に微笑んだのは狐人族こじんぞくのファイ姉さんだ。
ボンキュッボンのセクシーな体躯をしており、特にそのお胸はたわわに実ったメロンの如く大きい。
町を歩けば、男性プレイヤーの視線はほぼ、その胸へと注がれている。そして緋色の瞳は垂れ目で、ぷっくりとした肉厚な唇は色香を更に上乗せさせていた。
装備品も身体の線を強調するかのような、やけに短いショートパンツやらハイカットされたトップスやらと、自分の魅力を一番に引き出せる装いをしている。
『VRだからって妥協は一切しないわ』何時だったか聞いた時に、きっぱりと答えられた。
 出来る女ですね、ファイ姉さん。

「そうそう、正解のご褒美よ」

 その声と共に、ムチュッと音がしそうなぐらい頬に強く押し当てられた唇。

「ユウッ!」
「うふふ。ご馳走様」

 ナユタの悲鳴を完全無視して、ご満悦の笑みと共にペロリと自身の唇を舐めるファイ姉さん。
その色気、半端ないです、ほんとうに。
でも、ファイ姉さん気が付いてます?
 腕に囲われた可憐な美少女──見た目ですけど──を食べそうな勢いで口づけするなんて、申し訳ないけど傍から見たら完全に犯罪者ですよ?
当事者である私が思うんだから、他の人は間違いなく思っているんじゃないかな。
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