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あれから三日後、私達は『天空の塔』の近くにある町──ファゼストに来ていた。
ここは西の最果ての街コンバーションから更に西にある、本当の最果てに位置している。
今までイベント等にも一切かすりもしていない町だったので、その名前を聞いたのも最果ての街の更に西に町があると知ったのも初めてだった。

「いやー。さすがね、のどかだわ」

 私達は町の中を見物するよりも先に、荷物を置く為に宿屋を目指して歩いていた。
手持ちのアイテム枠を全て使っている状態なので、簡易倉庫を設置して手持ち枠を空けたいからだ。
重さを感じているから減らしたいわけではなく、突発的にアイテムを入手した時に困るから、ただそれだけの理由だったりする。
でも、結構蔑ろには出来ない事なんだよね。

「そうだな。雰囲気は村に近いかもしれない」

 ナユタものんびりと答え、ついでに視線を周囲へとやる。
 木造の建物がかなりの割合をしめており、道は土を均等にならしているだけで、石畳などない。
馬車などがそう滅多に通らない所為かもしれないけど。
 それぞれの建物は木の味を生かしているのか、壁に塗料を塗ってある建物の数の方が圧倒的に少なかった。
その代わりとでもいうのか、屋根は赤やら青やら緑やらとやたらとカラフルで、そのお蔭か圧迫感はあまり感じない。
 住人と思わしきNPCが道端で談笑していたり、店の呼び込みだと思われる威勢のいい声が聞こえてくる。
人が少ないというわけでもないけど、町全体が長閑な感じだった。
 多分、魔物等の被害にもあまりあってないから、余計にのんびりと出来るんだろうけど。

「とは言っても、あの情報の影響か、プレイヤーの数が明らかにおかしい事を除けばだけどな」
「あはは、確かに。そういう私達も人の事は言えないんだけどね」
「そうだな。なら、急ぐか」
「ん? 何を?」
「これだけプレイヤーがいるのならば、宿屋の空きもあまりないかもしれないからな」

 あー。確かにナユタの言う通りだ。
宿屋や食堂などのお店にはそれぞれ定員が設定してあって、それを超えると泊まれない、入れないというシステムになってるのよね。

「そうだね、この規模の町ならすぐに一杯になりそうだね。うん、急ごう」

 そうして歩き出そうとした私に片手を差し出すナユタ。
んー……。なんだろう?
何かが欲しい? いや、それはないなあ。
行き成り無言で手を出して何かを寄越せなんて言うキャラでもないしなあ。
そうなると……。
 私はナユタの手の上に軽く自分の手を置いた。
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