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「ねぇ、ナユタ。……なんで、チョコレートパフェ?」
元はと言えば、ナユタがチョコレートパフェなんかを食べてるから思考が脱線したのよね。
甘くもなんともない、チョコレートパフェ……。全く食べる気がおきないのに、何故? って思う。
満腹値がかなり危ないって言うなら分かる。
チョコレートパフェは私が食べているボロネーゼより満腹値の設定が高いからね。
でも、ログインして三十分ぐらいしか経ってないし、戦闘だってしていないから満腹値はそれ程減少していない筈。
それなのにチョコレートパフェを食べる理由を私は思いつかない。
おまけに眉根を寄せながら食べてるから、余計にそう思っちゃうんだよね。
ナユタは機械的に黙々と口へと運んでいたスプーンを静かに置くと、真剣な面持ちで私を見た。
そうなると一人だけ食べ続けているのがなんとも気まずいので、私も同じようにフォークを置いて聞く体勢を作った。
「笑わないか……?」
重々しい口調で一言。
ナ、ナユタさーん!
重い内容は私、求めてないから!!
確かに話を振ったのは私だけど、でも何となく話を振っただけだから!
話し辛い事なら無理に話さなくてもいいし、ね?
そんな私の心の叫びなんか聞こえる筈もなく、ナユタは話し出した。
「好きだから」
なんだ。チョコレートパフェが好きなだけなんだ。
凄く真剣な表情をするものだから、思わず身構えちゃったよ。
「ユウが幸せそうにチョコレートパフェを食べている表情が好きだから」
わ、私っ!?
そんなふうに言ってもらえるほど幸せそうに食べていた?
味がないからおいしそうな表情は自然と作れないから、なるべく笑顔で食べるようにしているけど。
でも、そんな理由で?
「甘いものは苦手だけど、VRでは味がしないのは分かっているから、多分大丈夫だろうと。
それにユウが好きなものなら、俺も好きになりたいから」
はにかみながらそんな事を告げられたら、私は一体どうリアクションをすればいいのっ!?
しかもイケメンからの告白だよ!
VRだけど。──そうだ、VRだ。
落ち着け私。私は今ユウトなんだから、無駄にイケメンなナユタに照れている場合じゃない。
「そうなんだ。ナユタがそんなふうに思っていてくれているなんて嬉しいな。
でも、無理してまで食べて欲しくないよ? その気持ちだけで嬉しいし、それに私が幸せそうに食べていたのはナユタと一緒に食べていたからじゃないかな?」
そうしておまけとばかりにふわりと微笑んだ。
これでどうよっ!
反論があったって、この微笑で封じてやるんだからね。
しかし、ナユタ……。天然なのか、計算なのか……。たまにドキリとさせる事を言ってくれるから心臓に悪い悪い。
それにプラスしてイケメンだから余計に動揺しちゃうんだよね。
でも、本人が特に意識して言っている事じゃないのは分かってる。
そんな計算が出来る人間だったら、今まで私は一緒にいないから。
天然だから仕方ないけどでも、もう少し自重してくれると助かるんだけどなぁ……。
元はと言えば、ナユタがチョコレートパフェなんかを食べてるから思考が脱線したのよね。
甘くもなんともない、チョコレートパフェ……。全く食べる気がおきないのに、何故? って思う。
満腹値がかなり危ないって言うなら分かる。
チョコレートパフェは私が食べているボロネーゼより満腹値の設定が高いからね。
でも、ログインして三十分ぐらいしか経ってないし、戦闘だってしていないから満腹値はそれ程減少していない筈。
それなのにチョコレートパフェを食べる理由を私は思いつかない。
おまけに眉根を寄せながら食べてるから、余計にそう思っちゃうんだよね。
ナユタは機械的に黙々と口へと運んでいたスプーンを静かに置くと、真剣な面持ちで私を見た。
そうなると一人だけ食べ続けているのがなんとも気まずいので、私も同じようにフォークを置いて聞く体勢を作った。
「笑わないか……?」
重々しい口調で一言。
ナ、ナユタさーん!
重い内容は私、求めてないから!!
確かに話を振ったのは私だけど、でも何となく話を振っただけだから!
話し辛い事なら無理に話さなくてもいいし、ね?
そんな私の心の叫びなんか聞こえる筈もなく、ナユタは話し出した。
「好きだから」
なんだ。チョコレートパフェが好きなだけなんだ。
凄く真剣な表情をするものだから、思わず身構えちゃったよ。
「ユウが幸せそうにチョコレートパフェを食べている表情が好きだから」
わ、私っ!?
そんなふうに言ってもらえるほど幸せそうに食べていた?
味がないからおいしそうな表情は自然と作れないから、なるべく笑顔で食べるようにしているけど。
でも、そんな理由で?
「甘いものは苦手だけど、VRでは味がしないのは分かっているから、多分大丈夫だろうと。
それにユウが好きなものなら、俺も好きになりたいから」
はにかみながらそんな事を告げられたら、私は一体どうリアクションをすればいいのっ!?
しかもイケメンからの告白だよ!
VRだけど。──そうだ、VRだ。
落ち着け私。私は今ユウトなんだから、無駄にイケメンなナユタに照れている場合じゃない。
「そうなんだ。ナユタがそんなふうに思っていてくれているなんて嬉しいな。
でも、無理してまで食べて欲しくないよ? その気持ちだけで嬉しいし、それに私が幸せそうに食べていたのはナユタと一緒に食べていたからじゃないかな?」
そうしておまけとばかりにふわりと微笑んだ。
これでどうよっ!
反論があったって、この微笑で封じてやるんだからね。
しかし、ナユタ……。天然なのか、計算なのか……。たまにドキリとさせる事を言ってくれるから心臓に悪い悪い。
それにプラスしてイケメンだから余計に動揺しちゃうんだよね。
でも、本人が特に意識して言っている事じゃないのは分かってる。
そんな計算が出来る人間だったら、今まで私は一緒にいないから。
天然だから仕方ないけどでも、もう少し自重してくれると助かるんだけどなぁ……。
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