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第二十九話 「ジュンブライトが、記憶喪失になった!?(前編)」

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こんにちは。春間真莉亜です。
 
「ちょっと、出かけて来る。」
 
ジュンブライト、どこに行くの?
 
「散歩だ。すぐ帰って来る。」
 
え―っ?私も行きた―い!
 
「たまには一人で行かせろよ!」
 
ジュンブライトのいじわる!ぶう!
 
「でも王子、午後からは雨が降るって、言ってましたよ?」
 
「大丈夫だろう。天気予報はいずれ、はずれるもんだから。」
 
「そんなにかっこいいセリフを言い捨てるなよ。」
 
「だいじょ―ぶ!」
 
ジュンブライトは、ニッと笑った。
 
「ジュンブライト・・・・・・私のこと、嫌いなの?」
 
私が聞くと、ジュンブライトは、顔をそっと、近づけた。
 
「嫌いなわけねぇ―だろ。じゃあな、真莉亜。」
 
チュ・・・・・・。
ジュンブライトは、私のほっぺたにキスをすると、玄関の方まで歩いて、出て行っちゃった。
 
「あいつぅ~!真莉亜ちゃんのほっぺたにキスしやがってぇ~!うらやましいぞ!」
 
 

 
ザー、ザー。
 
「きれいな海だなぁ。ん?」
 
「うわぁ。きれいな花だ。真莉亜、気に入るかな?」
 
ポタ、ポタ、ポタ、ポタ。ザー、ザー!
 
「雨が降り出した!じいやが言ってたこと、本当だったんだ!早く、満月荘に戻らないと・・・・・・。」
 
バサッ!
ヒュー、ヒューッ!
 
「つ、強い風だ。」
 
ゴロゴロゴロゴロ、ピカ―ッ!
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 
ポチャン。
 
 

 
 
それから3日後。ジュンブライトは、全然、帰って来なかった。
 
「あれほど言ったのにぃ。」
 
「心配だわぁ。」
 
私、電話をかけたんですけど、なかなか、つながらなくて・・・・・・。
 
「どら、電話してみようか。」
 
テレサさんは、ケータイを出して、ジュンブライトに電話をかけた。
 
「・・・・・・音信不通だねぇ。」
 
そんな・・・・・・。
 
「ただいまぁ。」
 
ウルフ一郎さんと、マドレーヌちゃんと、アキちゃんと、ソラちゃんが、帰って来た!
私はリビングから飛び出した。
 
「ジュンブライトは!?」
 
ウルフ一郎さんは、左右に首を振った。
 
「全然。真莉亜ちゃん、ごめん。見つからなくて。俺様、あいつがいそ―なところに、行ったけど・・・・・・。」
 
「菜の花広場にも、いませんでした。」
 
「学校も。」
 
「レストランにも。」
 
そ、そんな・・・・・・。
 
「お母さん。あたし、お父さんに、会いたいよう。」
 
道華が私の服のそでを、ぐいぐいひっぱる。
私もだよ。どこでなにをやっているのやら。
 
「もしかして、出て行ったとか!?」
 
クリスさん!
 
「きっとそうだよ!散歩に行って来るってうそをついて、出て行ったのよ!あぁ、ジュンブライト様!あたしのこと、嫌いになったのぉ~!?」
 
いや、元々、クリスさんのこと、嫌いだから。
 
「リリア、ギロ。あなた達なら、ジュンブライトのにおいが、わかるわよね?」
 
紅葉が二人に向かって、言った。
 
「あぁ。わかるとも。」
 
「みんなでジュンブライトを、探しましょう。」
 
「はいっ。」 「おう!」 「えぇ!」 「うん!」
 
 

 
 
私達は、リリアさんと、ギロさんを先頭にし、ジュンブライトを探した。
 
「どう?リリア、ギロ。」
 
「においが、まだ続いてる。」
 
「あぁ。」
 
ジュンブライト、どこにいるの・・・・・・?
 
「真莉亜お姉様。必ず、ジュンブライトお兄様に、会えますよ。」
 
マドレーヌちゃんが、にこっと笑った。
マドレーヌちゃん・・・・・・。
すると、急に二人が立ち止まった。
 
「においが消えたわ。」
 
「先輩はどうやら、ここにいるらしいね。」
 
着いたのは、浜辺。
浜辺に入った私達は、早速、ジュンブライトを探し始めた。
 
「ジュンブライトぉ、ジュンブライトぉ。」
 
「王子―っ。」
 
「返事をしてくださ―い。」
 
「今日の夕飯は、お前の大好きな、ナポリタンだぞぉ。」
 
「それ、関係ないだろっ。」
 
「いや、反応するかと思って。」
 
なかなか見つからない。
 
「お母さん!海岸で、誰かがたおれてる!」
 
え?
 
「きっと、ジュンブライト様だよ!」
 
二人とも!そんなに私の手を、ひっぱらなくても・・・・・・。
ん?あっ、本当だ!海岸で、誰かがたおれている!
近づくと・・・・・・。
あれ?どっかで見た、天然パーマの男の人・・・・・・あ!
 
「ジュンブライト!」
 
紙がぬれている・・・・・・ジュンブライト!
私は、ジュンブライトの体をゆすった。
 
「ジュンブライト!しっかりして!ジュンブライト!」
 
どうしよう・・・・・・気絶している・・・・・・。
 
「どうしたんだい、真莉亜!」
 
テレサさん!
 
「うわぁぁぁぁぁぁ!先輩が、たおれているぅ~!」
 
 
「お前、冷静な心を持てよ。」
 
ギロさんは、ジュンブライトの心臓の音を聞いた。
 
「・・・・・・大丈夫。まだ息はある。マドレーヌちゃん!先輩を、運んでくれ!」
 
「はいっ!」
 
「あのう、わたくしは・・・・・・。」
 
「ルクトさんは、満月荘に戻って、ふとんを用意して!あと、先輩の服がぬれているから、先輩の服を脱いで!」
 
「は、はいっ!」
 
 

 
 
満月荘に戻った私達は、ジュンブライトの周りをかこんだ。
ジュンブライト・・・・・・。
 
「う、う~ん。」
 
ジュンブライトが、目覚めた!
 
「ジュンブライト!」
 
「王子!」
 
「ジュンブライトお兄様!」
 
「ジュンブライト!」
 
「ジュンブライト様!」
 
「先輩!」
 
「お父さん!」
 
ところがジュンブライトは、私達を見て、顔をきょとんとしている。
どうしたの?ジュンブライト。
 
「あなた達は、誰ですか?」
 
!?
 
「ジュンブライトお兄様ったらぁ。あれ急に私みたいに、敬語で話すなんて。」
 
マドレーヌちゃんが、笑いかけた。
 
「ジュンブライト?誰それ。」
 
!?
 
「誰って、あなたの名前よ。」
 
「僕の・・・・・・名前?全然、思い出せない・・・・・・。」
 
「先輩、もしかして、記憶喪失!?」
 
えっ!?そんな・・・・・・。
 
「ジュンブライト、私のこと、覚えてる?」
 
私は、ジュンブライトに、優しく声をかけた。
 
「誰?」
 
「私は春間真莉亜。中学二年生。13歳。あなたの彼女よ。」
 
「僕の・・・・・・彼女・・・・・・。」
 
どう?思い出した?
すると、ジュンブライトが、首を左右に振った。
 
「ごめんなさい。覚えてません。」
 
うそでしょ・・・・・・。
 
「おとといの雷に打たれて、記憶を失ったんだ。」
 
「王子を元に戻すには、どうすればいいんですか?」
 
ルクトさん、必死にギロさんに聞いてる。
 
「先輩を、元に戻すには、本人に記憶を思い出させるんです。」
 
「う~ん。」
 
あっ、ジュンブライト!起きないで!あなた、裸だから!
 
 

 
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