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第二十一話 「ソアンさんの告白大作戦!(前編)」

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私達は、ファミレスで、ご飯を食べていた。
ん~、このハンバーグ、おいし~い。
 
「お母さん、見て、見て。」
 
道華が、ジュースをぷくぷくふくらませた。
 
「こら!飲みもので遊ばない!」
 
「はーい。」
 
ぷくぷく。
 
「アキ、ソラ!やめなさい!」
 
「はーい。」
 
アキちゃんと、ソラちゃんが、今みたいにまねするから、したらだめだよ。
 
「はーい。」
 
三人はそろって、返事をした。
 
「おまたせしました。マグロ丼ですね。」
 
「ニャ、ニャッ!」
 
クリスさん、アキちゃん、ソラちゃん!猫顔にならないで!
 
「!?」
 
ウエントレスさん、びっくりさせて、ごめんなさい。
 
「こっちにちょうだい!」
 
クリスさんが、マグロ丼を取り上げた。
 
「あぁ!お姉ちゃん、あたしにもちょうだい!」
 
「私にも!」
 
三人とも、静かにして。
 
「全く、魚になったら、すぐ反応するんだからぁ!」
 
紅葉、クリスさんと、アキちゃんと、ソラちゃんは、猫娘だから、仕方ないよ。
 
「・・・・・・そうね。」
 
「ちょっとぉ!あたしのマグロ、取らないでよぉ!」
 
「あたしのマグロだってばぁ!」
 
「私、一匹も食べてなーい!」
 
「・・・・・・うるさい。」
 
三人とも、後ろのソアンさんに、めいわくですよぉ。
 
「おまたせ~。」
 
リナンさんが、グラスに入った水を、持って来た。
 
「はい、どうぞ。」
 
「ありがとう。」
 
ソアンさんが、リナンさんからもらった水を飲んだ、その時。
 
「ん!?」
 
「どうしたの?」
 
「これ、水じゃない!」
 
え!?
 
「なに言ってるの!水は水よ。」
 
「なんか、シュワシュワって、来た。」
 
「バカ言わないでよ。ちゃんと、水をついで来たから。」
 
「だったら、飲んでみて!」
 
「・・・・・・わかったわ。」
 
リナンさんは、仕方なく、ソアンさんの水を飲んだ。
これって、間接キスじゃない?
ソアンさんの顔、真っ赤になってるし!
 
「・・・・・・ほんとだ。これ、水じゃない!炭酸水だわ!」
 
一体、誰が炭酸水なんか・・・・・・。
 
「また、ついで来るね!」
 
リナンさんは、テーブルから離れて、ドリンクバーの方へ真っ先に走った。
 
「真莉亜ちゃん、真莉亜ちゃん!」
 
なんですか?
 
「さ、さ、さ、さ、さっきのって、まさか・・・・・・。」
 
「間接キスですよ。」
 
ソアンさんの顔が、急にりんごみたいに真っ赤になって、耳から白いけむりが、ポーと、出た。
 
「ヤ・・・・・・ヤバッ!間接キス、しちまったじゃねぇか!」
 
「間接キスくらいで、興奮しないでくれる?」
 
一方、ジュンブライトとギロさんは・・・・・・。
 
「いいか?ギロ。男ってのはな、たくさん食べなきゃだめなんんだぞ。」
 
「はい、先輩!」
 
「こっからが、勝負だ。」
 
「はい、先輩!」
 
「では、いいですか?よーい。」
 
ピーッ。
 
「ジュンブライトお兄様、ギロお兄様!がんばれーですー!」
 
「ギロ、がんばって。」
 
「金、自分達で払ってね。」
 
「王子は相変わらず、胃袋が大きい方ですね。」
 
巨大ナポリタンとオムライスに挑戦していた。
 
「お前ら、俺のために来ていること、忘れるな。」
 
「ちゃんとした水、持って来たよぉ。」
 
「サンキュー。」
 
「おまたせしました。カレーライスと、サンドウィッチセットですね。」
 
ウエントレスさんが、笑顔で、カレーライスと、サンドウィッチセットを、ソアンさんとリナンさんのテーブルに、持って来た。
 
「おいしそー。」
 
「では、ごゆっくり。」
 
ウエントレスさんは、おしぎをして、その場を去った。
 
「ソアンくん、ライト・ホームが、人間界に開店したころ、カレーライスが、大好物だったね。」
 
「あぁ。両親にも、つくってやってるぜっ。」
 
「まぁ!ソアンくん、さっすが器用ねっ。」
 
「えへへへへ。では、いただきま~す。」
 
ソアンさんが、にこにこしながら、カレーライスを食べた、その時。
 
「!?」
 
どうしたんですか?そんなに顔を真っ赤にして。
 
「か・・・・・・か・・・・・・か・・・・・・かーら―っ!」
 
ソアンさんの口から、火が出た。
 
「ソアンくん、どうしたの?」
 
「水、水、水!」
 
リナンさんが、あわてて、ソアンさんに水が入ったグラスを渡すと、ソアンさんは、ゴクゴクと、水を飲んだ。
 
「あ―、スッキリした―。このカレーライス、中辛をたのんだのに、超からかったぜ~。」
 
「ウエントレスさんに、聞いてみるねっ。」
 
リナンさんが、ウエントレスさんを呼んだ。
 
「中辛をたのんだんですけど・・・・・・。」
 
ウエントレスさんは、顔をはっとさせて、ソアンさんとリナンさんの方に向かって、おしぎをした。
 
「もうしわけございません!先ほど、あちらのテーブルにおすわりになったお客様が、「あのテーブルに、超~辛口を。」と、たのまれたので・・・・・・。」
 
「その人は、どんな人だったんですか?」
 
「え―っと、確か、お年寄りの方でしたよ。」
 
「ま・・・・・・まさか・・・・・・。」
 
「真莉亜、真莉亜!」
 
紅葉が、小さな声で、私を呼んだ。
 
「私達のあとを、誰かがついて来たみたい。」
 
そうだね。ジュンブライト達に伝えなくちゃ。
 
 

 
 
ゲームセンターにやって来た私達は、早速、ジュンブライト達に、ファミレスであったことを話した。
 
「ガキみてぇないたずらなんか、しやがって!」
 
その人、お年寄りだったんだって。
 
「お年寄りってことは、じいちゃんかばあさんなのかい?」
 
そこまでは、話してなかったけど・・・・・・。
 
「いっとき、二人の様子をみねぇとな。」
 
「ソアンお兄様を守りましょう!」
 
「実におもしろい。」
 
ジュンブライト、今は湯川学のまねを、している場合じゃないよ。
 
「は?俺じゃないぞ。」
 
んじゃあ、誰なのよ。
 
「うわぁぁぁぁ!ジャン様じゃないですか!」
 
ルクトさん、ここにジャンさんがいるわけ・・・・・・。
 
「久しぶりだなぁ、ジュンブライト、テレサ。」
 
いた―っ!
 
「ジャン!元気にしてたか?」
 
「もっちろん!元気にしてたよ。」
 
「誰?この人。」
 
「ジュンブライト様の幼なじみ?」
 
「さぁ。」
 
「お父さん、誰?」
 
「あ、こいつはな、ジャンっていうんだ。ジャンは、俺とテレサの幼なじみで、リナンの双子の弟だ。」
 
「双子!?」
 
「え~!?リナさんの双子の弟~!?リナさん、双子だったんだぁ~!」
 
「リナンだ!あ、君が道華ちゃんだね。」
 
なんで、道華のことを知ってるんですか?
 
「おじいちゃんが、この子のタイムマシーンを修理しているからだよ。」
 
道華のタイムマシーン、アンクさんにたのんでるんだったね。
 
「ところで、なんでこっちに来たんだい?」
 
ジャンさんは、急に真剣な顔になって、私達の方を向いた。
 
「おじいちゃん、見なかったか!?」
 
アンクさん?
 
「全然。てか、アンクさんは、発明所で、仕事をしているんじゃないのか?」
 
「それが・・・・・いないんだ!」
 
「いない!?」
 
「あぁ。発明所に行ったら、かぎがかかってたんだよ!」
 
ひょっとして、まさか・・・・・・。
 
私は、ジュンブライトの顔を見た。
 
「あぁ。そーゆー気がするなぁ。」
 
「とりあえず、二人の様子を見ましょう!」
 
「はいっ!」 「あぁ!」 「うん!」
 
 

 
ゲームセンターでは、なにも起こりませんでした。
リナンさんは、ソアンさんが、UFОキャッチャーで撮った、チョッパーのでっかいぬいぐるみを、満足そうにかかえている。
 
「ありがとう。私のために取ってくれて。」
 
「いえいえ、どういたしまして。」
 
ソアンさんが、照れながら、手を頭に隠した、その時。
ソアンさんの足が、地面にはまり、ソアンさんは、そのまま落っこちた。
これって、まさか、落としあな!?
 
「一体、誰が、こんなことを・・・・・・。」
 
「ソアンくん!」
 
リナンさんが、心配そうに、地面の中をのぞいた。
 
「大丈夫?」
 
「あぁ。」
 
リナンさんは、ほっとして、ソアンさんに手を差しのべた。
 
「リナン・・・・・・。」
 
ソアンさんは、リナンさんの手をにぎって、地面の外に出た。
 
「服、よごれてるよ。」
 
「大丈夫。洗濯すれば、元通りさ。」
 
ソアンさんが、リナンさんに向けて、笑顔で言った、その時。
 
「ひゃ―っはっはっはっは!ひっかかったなぁ、ソアンくん。」
 
おじいさんの声が聞こえた。
振り返ると、モサモサした白髪があって、頭はツルピカで、しわがめちゃくちゃあって、白衣を着た、男の人が、立っていた。
ソアンさんは、その人を見て、石のようにかたまった。
だ、誰?
 
「お、おじいちゃん!」
 
えぇ~!?この人が、アンクさん!?
 
「半分、ハゲてますね。」
 
「失礼なっ。」
 
アンクさんは、ニヤリと笑みを浮かびながら、木の方を振り向いた。
 
「ジュンブライトくん、テレサちゃん、ジャン。君達が、そこに隠れていることは、わかっておる。さぁ、さっさと出てきやがれ!」
 
「ジュンブライトお兄様、どうします?」
 
マドレーヌちゃんが、ひそひそ声で、ジュンブライトに話しかけた。
 
「出るしかねぇな。」
 
私達は、仕方なく、冷静な顔になって、出て来た。
 
「ジュンブライトくん、テレサちゃん!?もしかして、ずっとあとをついてたの!?」
 
「あぁ。」
 
「久しぶりだなぁ、ジュンブライトくん。かわいい彼女と、仲良くしているかい?あと、うちの孫娘を、よくもこんな男と、お出かけさせようとしやがって!ゆるさん!」
 
「おじいちゃん、やめて!」
 
リナンさんが止めると、アンクさんは、目をハートにして、リナンさんの方を振り向いた。
 
「かわいいかわいいわしの孫娘ちゅわ~ん♡ほかの男には、渡さないよぉ~♡」
 
「みんな、逃げるぞ!」
 
「はい!」 「うん!」 「あぁ!」 「えぇ!」
 
ジュンブライトのかけ声で、私達は、走り出した。
 
「まてぇ~!」
 
アンクさんが、私達のあとを、追いかけた。
 
「うちの孫娘を、返せぇ~!」
 
「アンクさ~ん!ごめんなさ~い!」
 
ソアンさんは、走りながら、アンクさんに謝った。
 
「一つ、いい忘れたが、ファミレスで、君にいたずらしたのは、わしじゃ。」
 
「な、なにぃ!?」
 
「アンクさんのしわざだったのね!」
 
これから一体、どうなるんだろ。
 
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