ヴァンパイア♡ラブどっきゅ〜ん!

田口夏乃子

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第八話 「桜吹雪のネル登場!」

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私達はお茶しながら、今までの話を、ネルさんに話した。

「へぇー。お妃をたおしたのかぁ。この、ごくふつーの中学生が。」

はい!ちょちょいのちょいで、やっつけました!

「ちょちょいのちょいじゃなかったねぇ。」

「確かに。」

だまってください。

「リリア。お前、今はヴァンパイア界の王女の執事をやっているんだってな。」

「なんで知ってるの?」

「復讐する前に、親父から聞いた。」

女の子で「親父」って言う人、いないと思うけど。

「あなた、相変わらず、言葉づかいが悪いわねぇ。」

「お前に言われる筋合いはねぇ!」

「なんですって!?」

「やるか?」

二人とも!けんかはやめてください!
私が止めると、二人はけんかをやめた。

「八ッ橋、おいしー。」

「アキちゃん、私にもちょうだい!」

「いいよ。」

「ん~、ほっぺがとろけますぅ~。」

「あぁ。あれは、食後のデザートにと思って・・・・・・って、おい!なに勝手に食べてるんだ!ああ、もうなくなってる・・・・・・。」

ネルさんは、悲しい顔になって、からになった箱を見つめた。

「マドレーヌ!人のもの、勝手に食べたらだめ!」

道華もだよ。勝手に食べられたら、悲しいよね。それと同じだよ。

「ネルがかわいそうだわ!アキ、ソラ!謝りなさい!」

「マドレーヌも!」

「道華も!」

道華達は、ネルさんの方に向かって、おしぎをした。

「ごめんなさい。」

謝ったとたん、ネルさんは笑い出した。

「相変わらず、リリアはこわいなぁ。」

「あなたに言われたくないわ。」

「殺すぞ!」

ネルさん!落ち着いて!二人の子供のころの話でもしましょう!

「・・・・・・わかった。」

ふぅ。よかったぁ。

「あたしとリリアは、貴族の娘なんだ。」

貴族の娘!?

「それじゃあ、お嬢様ってこと!?」

リリアさんが、こくりとうなずいた。

「ええ。ネルは小さいころ、よく近所の子にいじめられて、泣きながら帰って来たのよ。ネルはこー見えて、昔は泣き虫だったのよ。」

「桜吹雪のネルは、子供のころは泣き虫でしたかぁ。」

「こうら!メモ取るなぁ!」

「マドレーヌ、そのまま書いて。」

「はーい。」

「もう、がまんできねぇ!」

刀を出そうとしているネルさんの手を、テレサさんは止めた。

「やめな。犯罪になるよ。」

「・・・・・・。」

ネルさんは、刀をだそうとするのをやめた。

「ところで、男が二人、いるんだろ?」

よくわかりますねぇ。

「男のにおいが、すぐわかった。その二人の男は、どんなやつなんだ?」

「そうだねぇ。一人はヴァンパイア界の王子で、もう一人はその人の執事。」

「なぬぅ!?」

ネルさんが、声を上げて驚いた。

「あの死んだはずの王子、ジュンブライトが生き返ったのか!」

はい。私のキスで。
それと、私はジュンブライトとつきあっています。

「つきあってるだとぉ!?あたし、名前は知っているけど、顔は見たことねぇ。」

見たことないんですか!?

「私達が住んでいた街は、ジュンブライトが住む城から遠く離れたところに、あるのよ。」

そうなんですかぁ。

「それともう一つ。あたしは、そのジュンブライトの娘なの。」

「ええ!?」

未来から来た、私とジュンブライトの子供なんです。

「・・・・・・驚くこと、ばっかだなぁ。あ、食べられた八ッ橋、兵庫で買って来たんだ。」

兵庫に八ッ橋って、あったっけ。

「あるに決まってんだろ!」

「ネル、八ッ橋は兵庫じゃなくて、京都よ。あなた、どんだけ、方向オンチなのよ。」

「お前に言われたくないわ!」

「このキャラクター、まさか・・・・・・!」

テレサさんが、2枚の写真を持ってきた。

「あ!こら!勝手に見るなっ。」

ネルさんが、2枚の写真を取り上げた。

「ごめん。」

「ねぇ、なにがあるのよ。」

「・・・・・・わかった。見せてやるよ。あたしは北海道で、熊と会った。」

熊!?

「それでそれで!?」


「写真を撮った。」

ネルさんが、写真を私達に見せた。
・・・・・・この熊、見たことある。

「くまモンだわ。」

「くまモン?なんだそりゃ。」

くまモンを知らないんですか!?

「熊本県のゆるキャラよ。てか、北海道のゆるキャラは、メロン熊よ。」

あれ、こわいよね~。

「熊がリアルすぎる・・・・・・。」

「もう一つ、しゃべる梨があった。」

「しゃ・・・・・・しゃべる梨!?」

「見せて、見せて!」

「ほら。」

ネルさんが、写真を私達に見せた。

「山梨県で会ったんだ。」

・・・・・・このキャラ、テレビで見たことある。

「ふなっしーだぁ!」

「本物ですぅ~!」

「私にも見せて!」

「ふなっしー?なんだそりゃ。」

ふなっしーも知らないんですか!?
私のふるさと、千葉県の非公認キャラクターです。

「そんなことも知らないなんて、バカだねぇ。」

「3歳からバカって、言われたくないわっ!」

「ゆるキャラ、勉強しないと、だめだね。」

「このガキども、あたしをバカにしているのか?」

「うん。」

道華がうなずいた。

「うなずくなっ!」

ネルさんがつっこんだとたん、玄関がガチャッと、開いた音が聞こえた。

「ただいまぁ~。」

その声は・・・・・・。

「ジュンブライト様ぁ~♡」

ジュンブライト大好き3姉妹が、猛ダッシュで玄関まで走った。

「お帰りなさいっ♡」

「ただいま。」

ジュンブライト、お帰り。

「ただいま、真莉亜。」

「ねぇルクト、今日の夜ご飯、なに?」

「今日の夕食は、海鮮スパゲッティですよ。」

「やったぁ~!」

アキちゃんとソラちゃんが、ぴょんぴょんはね上がった。

「おい。誰かいるのか?」

あ、あのね・・・・・・。

「ネル、あいさつしなさい。」

「なんであいさつしなきゃいけないんだよ!」

「初対面だもの。」

リリアさんが、ネルさんを連れてきた。

「ったく、めんどくせぇーなぁ。あ、姉がお世話になっていま・・・・・・え!?」

ネルさんが、急にかたまった。
目線は、ジュンブライトの方を向いている。
どうかしましたか?

「ギャ―!」

ネルさんが、大きな声でさけんだ。
ネルさんは、さけびながら、私達の周りを走っている。

「あんた!落ち着きなさいよ!」

クリスさんが止めても、ネルさんは、私達の周りを走り続ける。
そして、ヴァンパイアキャットになって、ばたりとたおれた。
ヴァンパイアキャットのネルさんを、ジュンブライトはだき上げた。

「おい、大丈夫か?お前。」

「う、う~ん・・・・・・ギャ―!」

ネルさんは、ジュンブライトから離れて、さけびながら、部屋を出て行っちゃった。
一体、なにがあったんだろ。

「あの人、誰なんですか?」

「私の妹の、ネルよ。」

そのとたん、二人はかみなりが落ちたかのように、びっくりした顔になった。

「桜吹雪のネルが、リリアの妹だとぉ!?」

ネルさん、そんなに有名な人なんだね。

「知らない人はいませんよ!桜吹雪のネル様は、おとぎの国でも有名ですから!はぁ、サイン、してもらえばよかったです。」

ところで、ジュンブライトを見た時、こわがってたよね。

「俺の顔に、なにかついていたのか?」

「なにもついていませんでしたよぉ~♡」

「お前らに聞いてない。」

リリアさんが、「はぁ~。」とため息をついてから、口を動かした。

「ネルは、イケメン恐怖症なのよ。」

イケメン恐怖症!?

「変な恐怖症だねぇ。」

「なんで、恐怖症になったの?」

「あの子が3歳のころ、イケメンのボディーガードさんが現れたの。その人は、どろぼうで、ネルをゆうかいしたの。3日後に、ネルは無事に見つかって、どろぼうをなんとか逮捕したけど、見つかったあと、「イケメン、こわい!イケメン、こわい!」って、泣いてたわ。それから、イケメン恐怖症になったのよ。」

「桜吹雪のネルは、イケメン恐怖症っと!」

マドレーヌちゃん、メモ、取らない方がいいと思いますよ。

「マドレーヌ、そのまま書いて。」

「はーい。」

いいんかいっ!

「ねぇお父さん、ネルっていう人、くまモンとふなっしーのこと、全然知らないんだって。」

「僕のこと、しらないなんて、ひどいなっしー!梨汁ブシャー!」

ふなっしーのまね、しないでください!

「ふなっしーなっしー!」

暴走しておる。

「キャハハハハ~!おもしろ~い!」

道華達は大笑い。

「ちょっと!人の部屋であばれないでくれる?」

テレサさん、めいわくそう。

「ヒャハハハハ~!」

「ふなっしーのまねをするジュンブライト様は、ステキで~す♡」

クリスさん、どんな目しとるんっ。

「梨汁ブシャー!」

「やめんかい!」

私は、ジュンブライトの頭を、思いっきりたたいた。
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