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第1章

第五十五話 「入れかわっちゃった!〜ネルとロゼッタ編〜」

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はぁ~。
今日は夫と息子は、男二人の旅に行っちゃった。
なんであたしを置いて行くんだよぉ。
はぁ~。ヴァンパイアタウン、行きたかった。
グゥ~。
はぁ~、腹減ったぁ~。
飯、作ろっかなぁ~?
……ない。
はぁ~。マジかよぉ~。


                                 ☆


「好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い……あー、もう!一体、いつになったら、「好き」が出てくるのよぉ!」

はぁ~。予想通り、迷子になっちゃった。

「はぁ~。私って、どんだけ恋に不器用なんだろ。」

ったくぅ、ウルフ一郎め。方向オンチの嫁を置いて行って!ゆるさねぇぞ!

「あ。」

「あ。」

「久しぶりねぇ、ネル。」

ごめんなさーい、人ちがいでぇ~す。

「ちょっと!しらんぷり、しないでくれる!?」

なんだよ、おばさん。

「久しぶりに私のこと、おばさんと呼んだわね!」

あぁ、呼んださ!

「貴っ様ぁ~!」

「やんのかオラァ!」

と、その時。
プー!
後ろを振り向くと、そこには、大型トラックがあたし達の方に向かって走ってるのが見えて……。
ガッシャーン!


                            ☆


「こんにちは。」

「情報番組 ヴァンパイ屋です。さて、速報です。紅月のロゼッタさんと、元・桜吹雪のネルさんが、大型のトラックにはねられ、病院に搬送されましたが、搬送されたあと、二人の様子がおかしくなっているようです。心理メンタリスト、ゼロさんにお越しいただいています。ゼロさん、よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」

「まず、ロゼッタさんの方ですが、病院によると、乱暴な言葉を使い、病院の外に出たと聞いています。一方、ネルさんは、なぜか、「~だわ~。」と、女性の言葉を使い、ロゼッタさんと同じく、病院の外に出たと聞いています。これって、どういうことでしょうか。」

「つまり、ネルさんがロゼッタさんで、ロゼッタさんが、ネルさんになったわけですね。」

「はい、そうです。」

「アハハハハ!体がごっちゃになったわけですね!」

「もう、笑っちゃいますよぉ~。」

「アハハハハ!んんー、ありがとうございました。では、次のニュースです。」


                              ☆


はぁ~。
こんな姿を見たら、ウルフ一郎、なんて言うのかなぁ~?
ガチャッ。

「ただいまぁ~。」


ただいまぁ~。」





「ネル!もう、心配したんだぞ!お前が救急車に運ばれたと聞いて、すぐ駆けつけてきたんだぞ……って、あれっ?ロゼッタ?なんでおめぇが、ここに……。」

あたしはネルだ。

「はぁ~?ネルだとぉ~?ふっ、ロゼッタの変装してねぇーで、早く元に戻れ。」

ちげーよ!あたしは、正真正銘、ネルだ!

「え~?」

ウルフ一郎は、驚いた。

「一体、どーなってんだ!?」

「あたしとロゼッタが、入れかわったんだよぉ!」

「ぬわんだとぉ~!?あのおばさんと入れかわったのか!」

あぁ。
大型トラックにひかれた後……なっ。

「お、俺様の次はネルかよぉ~。」

「う、う~!」

ガオーン、いい子にちてまちたか~?

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

え~?なんで泣くんだよぉ。

「おめぇがロゼッタだからだよっ。」

ウルフ一郎が、ガオンをぱっと取り上げた。

「よしよし。本物のママは、一体、どこに行ったんでちょうねぇ~。」

確かに。あたしと入れかわったロゼッタは、どこに行ったんだろ。

「探しに行こうぜ!」

おう!


                                  ☆
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