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第1章

第五十話 「ガオンくん、ウルフ一郎さんとお留守番する」

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今日はリリアとヴァンパイアタウンまでショッピング。

「じゃあな、ウルフ一郎。ガオンをよろしく。」

「おう!まかせとけ!」

「それと、もしおむつが切れたら、そこに、新しいのがあるから。」

「おう!わかった!」

「それと、もしウルフ三郎が来たら、「ヴァンパイアタウンに行った。」って、伝えておけ。」

「お、おう。わかった。じゃ、姉妹仲良く、ショッピングに行って来い!」

「うんっ。じゃ、行ってきまーす!」

バタン。
……ネルがいない一日なんて、さびしー。

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

あ、そろそろ、ミルクやんねぇと。

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

「ガオーン、ミルクの時間でちゅよぉ~。」

「う?」

ん?どうしたガオン。飲まないのか?

「う、う!」

ん?ドア?
もしかして、外に出たいのか?
すると、ガオンは首を左右に振った。
だったらなんなんだよぉ。

「ま、ま!」

ま、ま?
ひょっとして、ネルのことか?

「ま、ま!ま、ま!」

お母しゃんはリリアおばさんと一緒に、お出かけしちゃったから、いねぇよ。

「ま、ま!ま、ま!」

あー、もう、暴れるなって!

「ま、まー!ま、まー!」

はぁ。だんだん、激しくなってきやがる……。

「う……ゔぅ……うぇ~ん、うぇ~ん!」

あー、泣いちまったよぉ。

「ガオーン、いないなーい、ばあ!」

「ゔ、う~う~!」

いでででで!こら!お父しゃんのかっこいい顔を、たたくんじゃないっ!

「ひくっ、ひくっ。」

ふぅ、やっと泣き止んでくれたかぁ。

「あとでテレビ電話してやっから、ミルクを飲め。」

「んく、んく、んく、んく……。」

ふっ、美味しそうに飲んでやがる。


                            ☆


「スー、スー。」

ふぅ。やっと寝かしてやったぜぇ~。
これで、安心して、テレビが観られるぅ~。
ブォーン、ブォーン!
ん!?なんだ?車の音か?

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

あぁ、ガオンが泣いちまったじゃねぇか!
ったくぅ、どこのどいつだ!車を動かしているやつは!




俺様が、ドアを開けると……。
うわ、なんなんだ!この高級車は!ポルシェか?
それに、三角のサングラスをかけて、アロハシャツを着た、オオカミが立ってるし。
すると、オオカミが、サングラスを上げた。

「よっ、兄貴!元気ッスか?」

ウ、ウルフ三郎!
貴様、こんなオシャレをして、どーしたんだよ!

「ネル様いますか?」

あ。

「ネルなら、リリアと一緒に、ヴァンパイアタウンに行ったぜっ。」

「そ、そんなぁ~。」

ウルフ三郎は落ちこんで、両手を地面につけた。

「せっかくネル様とのおデートのために、車の免許、取ったのに……。」

人の嫁を奪おうとすなっ。

「……そして、二人でドライブをして、夕べの浜辺で追いかけっこをして、そして、最後は夕やけを背景に、キ……ス……♡」

てめぇ、どんな妄想しとんじゃボケーッ!

「あ~れ~!」


                               ☆
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