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第1章

第三十八話 「ウルフ一郎さん、また人間になる?」

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……なぜだ。
なぜ、満月の夜になっても、戻らない!
これは、おかしいぜ。
きっと、なにかの間違いだ!

「あらぼうや。お父しゃんに超~似てまちゅねぇ。」

「あい、あい!」

不法侵入ー!

「こうら、ばあさん!勝手に人んちに入ってくんじゃねぇ!ていうか、どうやって入って来た!」

「この、壁に付けたら目的地にあっという間に移動できるフープを使って、入って来たんじゃよ。」

げ、現実にあるなんて……!

「それより、これ!一体、いつになったら、戻るんだよぉ!満月の夜に戻るんじゃなかったのか!」

「今日は特別に、元に戻る方法を、変えたんだよ。」

な、なんだとぉ!?
ていうか、元に戻る方法を、変えられるのができるのか?

「それじゃあ、教えてくれ!元に戻る方法を!」

「……お前の奥さんが、お前を愛する心を取り戻したら、元に戻れるよ。」

あいつが、俺様を愛する心を取り戻したら、元に戻れるぅ?

「あぁ。ただし、もし取り戻さなかったら、お前は一生、そのままだよ。」

えー!?そんなの、やだやだやだぁ!
ガチャッ。

「おい、なに騒いでる。」

こ、このばあさん、ネルには見えねぇのかよ!

「じゃあ、お先に失礼するね。じゃあね、ぼうや。また遊ぼうねー。」

「あい、あい!」

ばあさんは、フープを壁にくっつけて、くぐって行くと、フープは一瞬で消えた。

「おい、なんで壁ばっかり見てるんだ?」

フープも見えねぇのかよ!

「い、いやっ、なんでもなーい。」

「ふーん。じゃあ、ガオンを風呂に入らせろ。」

へーいへい。


                              ☆

ネルが俺様を愛する心を取り戻せばかぁ。
俺様は、ネルの背後からだきついた。

「ネルぅ~、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛して……。」

「あーもー!うっさい!だまれ、サングラスじじい!」

え~?

「ネルぅ~、俺様達が初めて出会ったころ、覚えてるか?」

「はっ、知ーらねっ。」

「俺様が、あのバカ王子をやっつけるため、落とし穴をつくって、それに、バカ王子が落っこちたあと、お前が予備の落とし穴に落っこちたのさ。」

「あれは絶対にゆるさねぇ。」

そ、そんなぁ~。

「なぁ、ネル~、俺様達が初めて行ったデートの場所、覚えてるか?」

「あぁ。ネズミーランドだろ?」

「あぁ。お前が、賞金首の首を取った金で行ったやつ。楽しかったなぁ。特に、パレードが楽しかったぜ!」

「けど、お前がお化け屋敷に無理矢理入らせたから、半分、楽しくなかった。」

「あ、あれはだな、俺様の妄想で、こーんなシチュエーションにしたかったんだよ。」


                (ウルフ一郎の妄想)


「『キャー!ウルフ一郎、こわ~い!』」

「『ニヒニヒニヒニヒ~。』」


                   (ウルフ一郎の妄想 終わり)


「ニヒニヒニヒニヒ~♡」

「ふーん、変態が。」

へ、変態じゃねぇ!

「なぁ、ネル!寝てないで最後まで話をしようよー。」

「いやだ。」

そ、そんなぁ~。がくし。

「……ネル。」

俺様は、ネルの腕をがっしり強く握り、前に向けさせた。

「あの時はごめん。むやみにお前の胸を触って。酔っ払ってごめん。もう二度と、家族にこんなこと、しないから。ゆるしてくれ。」

俺様は、ネルのやわらかい唇に、キスをしようとした。


                               ☆
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