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第1章

第三十三話 「時間」

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それから一週間後。
今日は女王就任式。
ヒアン様は、なぜか欠席だけど、私、今日から女王様になりますっ。
はぁ~、女王様って、いい響き。

「いよいよですね、お妃……いいえ、女王様。」

えへへへへ。そう言われると、照れますよぉ~。

「お母しゃん、いつもよりきれいでちゅねぇ~。」

ボカッ、ボカッ!
いつもよりはやめなさいっ!

「はい、すみません。」

トントントン。
ん?ドアをノックする音が聞こえたぞ。

「真莉亜さん、入っていいですか?」

その声は、ルアン様!

「はい、どうぞ!」

「じゃあ、失礼します。」

ガチャッ。

「うわぁ~、真莉亜さん、いつもよりきれいですねぇ~。」

ボカッ、ボカッ!
ルアン様もやめてくださいっ!

「はい、すみません。」

「お父様、失礼ですよ。」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!マドレ~ヌぅ~♡お前もかわいいぞぉ~♡」

「出た。おじさんの親バカパワー。」

「あ、真莉亜さん、兄さんから、手紙をもらったよ。」

ヒアン様から?

「あぁ。」

あ、どーも。
私は手紙を受け取り、便せんを開けて、手紙を広げた。
うわぁ~。
ヒアン様の字、きれ~い。誰かさんとちがって。
えーっと、どれどれ?



    
<真莉亜さんへ

いよいよですね。
緊張するかもしれませんけど、
頑張ってください。
私は急な用事が入って、出席できませんが、
心の中で祈ります。
真莉亜さん……いやいや、女王様。
これから女王として、頑張ってくださいね。
応援してます。
 

                                       ヒアンより>



ヒアン様……。
なんだか私、涙が出てきました。
ガチャッ。

「真莉亜ちゅわ~ん♡」


「ウルフ一郎さん!それに、ネルさん、ガオンくんも!」

「君のおかげで、ネルとの関係が、復活したよ~ん♡」

アハッ、それはよかったですね。
まあ、私はなにもしてないけど。

「おい、バカ女。」

むかーっ!そう言われると、なんか、むかつきます。

「せいぜい頑張れよ。あたしも、応援してっから。」

あ……あのネルさんが……私に、応援してるって……。
うわ~ん!春間真莉亜、感激でぇ~す!
私は泣きながら、ネルさんにぎゅっとだきついた。

「ちょっ……バカッ!離れろっ!」

「真莉亜ちゃんっ。そんなに泣くと、お化粧が落ちちゃうよっ。」

あ、すみません。
私はネルさんから、ぱっと素早く離れた。


                          ☆


そして、いよいよ女王就任式。
お城の前では、たくさんの国民達が集まっている。
はぁ~、緊張するなぁ~。

「真莉亜ちゃんっ、リラックスリラックス!」

ウルフ一郎さん、ありがとうございますっ!

「う、う~!」

私は、道華の手を優しくぎゅっとにぎった。
道華ぁ、お母しゃん、頑張るからねぇ。
私は、道華の手をにぎったまま、上下にぶるんぶる振った。

「う~!」 

うふふふふ。かわいい。

「真莉亜、頑張れよ。」

うん。もう、わかってるって。

「お妃……いやいや、女王様、時間です。」

あ、はい。

「じゃあね、みんな。」

「真莉亜お姉様、ファイトですぅ~!」

うん!頑張るからね、マドレーヌちゃん!

「道華ぁ、お母しゃんに、バイバーイは?」

「う、う~!」

うふふふふ。
バイバイ、道華。
私は、道華に手を振って、家来さんとルアン様と一緒に、バルコニーに向かって行った。
はぁ~、緊張するなぁ。
けど、頑張らなくちゃ!
深呼吸!深呼吸!
私は歩きながら、大きく深呼吸をした。
そしてとうとう、バルコニーの外へ。
私が出てきたとたん、国民のみんなが、「わぁ!」と歓声を上げた。

「真莉亜様ぁ~!」

「新・女王就任、おめでとうございま~す!」

うわぁ~。みんな、ありがと~!
私は笑顔で、みんなに手を振った。
すると、一人の家来さんが、ゴホンとせきばらいをして、軸を広げた。

「ただいまより、真莉亜様の女王就任式を始める。国民どもに聞く!真莉亜様の女王就任を認める者は、拍手を!」

パチパチパチパチ!
みなさん、大きな拍手をしていただき、ありがとうございますっ!

「結果、国民全員、賛成!」

「イェーイ!」

「フー!」

「それでは、王冠の贈呈を行なう!本日は、ヒアン様がご欠席なされたので、代わりにルアン様が、真莉亜様に王冠を贈呈される!」

「ささ、どうぞ。」

「兄さん、兄さんの分まで、頑張るよ。」

ルアン様は、王冠を持って、私の方へ向かって、ゆっくり、歩き始めた。
そして、私の前に立つと、私は、ルアン様にお辞儀をした。

「真莉亜さん、これからも、頑張ってください。」

「はい。」

私が頭を下げると、ルアン様は、私の頭の上に、王冠をかぶせた。




「うわー!」

「女王様!女王様!女王様!女王様!女王様!」

「真莉亜ちゃん、ステキィ~♡」

「なんか、涙が出そう。」

「ふっ、だんだん、えらくなったなぁ、真莉亜ちゃん。」

「残るは、ジュンブライトだよ!」

「さぁ、いつ大王になるのか、今でしょ!」

「それ、もう古い。」

「そうなの?」

人間界に住んでいる、お母さん、お父さん、琉理、おばあちゃん、そして、花田中のみんな、尾希田先生。
私、ヴァンパイア界の女王になったよ。
これから、もっと頑張らないといけないけど、見守ってくださいねっ☆


                 ☆次回予告☆


ジュンブライトのおじいさんって、どんな人だったの?
俺にメロメロで、おふざけがあるところがあったけど、いい人だったなぁ。
そうなんだぁ~!
次回、ヴァンパイア♡ラブforever 「ジュンブライトのおじいちゃんの話」
愛してるよ、ジュンブライト。


         
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