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第1章

第二十二話 「マドレーヌ、手伝いますっ!」

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「あー、もう恥ずかし~い!」

えー?ほめられてよかったじゃなーい。

「だ、だって、いちいち言われたって、うれしくもないし。」

「アハハハハ。マドレーヌちゃん、もうお年頃なんだね。」

ギロさんがティーカップを持ちながら、いすにすわった。

「ギ、ギロお兄様!」

あれぇ?顔が赤くなってるぅ~。

「なってませんっ!」

はい、すみません。
ん?マドレーヌちゃん、なにそれ。その腕時計みたいなの。

「腕時計じゃありませんっ!お化けウォッチですっ!」

えっ!?これが今ハヤリの!?
マドレーヌちゃん、ミーハーだねぇ。

「ミーハー?なんですか、それ。」

「ミーハーっていうのは、世の中の流行や芸能人の動静に熱中したり、影響を受けやすかったりするような人のことだよ。」

「へぇー。」

その腕時計……いやいや、お化けウォッチは、誰に買ってもらったの?

「ん?ウルフ一郎お兄様ですぅ~。」

ウルフ一郎さん!?
ジュンブライトとルアン様じゃなくて!?

「はい。」

「俺、あん時お金がなかったし、おじさんは仕事でいそがしいから買ってもらわなかったんだよ。そ・こ・で、一番ヒマそーなオオカミヤローにたのんだら、OKって言ってよぉ、買ってもらったんだ!」

へぇー。
てか、一番ヒマそーって、なんだか、言い方が……。

「それより、ウルフ一郎お兄様は、一体、どうしたんでしょう。」

「さあな。」

「たぶん、ヒマそーにしてるんじゃない?」

だからその言い方はやめてくださいっ!
ほんっと、ウルフ一郎さん、最近、姿見かけないねぇ。
どうしたんだろ。

「早く会って遊びたいですぅ~。」

そうだね。

「ま、マドレーヌの遊び相手は、いっつもあいつだしなぁ。一番ヒマそーだから。」

だから、その言い方はやめて!ウルフ一郎さんの代わりにツッコむけど!


                                      ☆


「ウルフ一郎。」

「はっ!ネル!」

「あたし、妊娠したんだ。」

「へぇー。で、それで?」

「……あたしとお前の子供。」

「や、やったぁ~!すぐにお祝いのパーティーを開こうぜ!」

「……お前のせいだ。」

「!?」

「お前のせいで、あたしの人生はムチャクチャになった。」

「そ、そんな!まってくれよ、ネル!」

「いやだ。さようなら。」

(さようなら、さようなら、さようなら、さようなら、さようなら……。)

「ネル~!」

「はっ!はぁ、はぁ、はぁ。なんだ、夢かぁ。」

(お前のせいで、あたしの人生はムチャクチャになった。)

「!?ぐ……!」

(……ネル……俺様を、ゆるしてくれ……。)


                                 ☆


ごちそう様でしたっ。
あー、おいしかったぁ~。
さあてと、お部屋に戻りましょうか。

「真莉亜お姉様、お部屋まで一緒に行きましょう。」

えぇ。お願いします、お姉ちゃん。

「そ、そんな!もう、照れるじゃないですかぁ。」

うふふふふ。顔、赤くなってる。
私とマドレーヌちゃんは、手をつないで行った。

「マドレーヌのやつ、けっこーかしこくなってんじゃねぇか。」

「えぇ。もう二度と、マドレーヌおばちゃんって言われないように、お手伝いをしてるんだってよ。」

「マドレーヌおばちゃん……?あー!思い出した!あいつ、道華にマドレーヌおばちゃんって言われてた!」

「道華ちゃん……なつかしいですねぇ。」

「あぁ。もし女の子だったら……また、会えるかもしれないな。」

「どうしたんですか?先輩。」

「あっ、いや、なんでもないっ。さあ、風呂に入ろう入ろーう!」

「ふっ、先輩らしいですね。俺もお風呂に入ろーっと。」


                                     ☆


カキカキカキ。カキカキカキ。
バタバタバタバタ!

「うわあ~!全部落ちちゃったぁ~!」

「早く直さないと……ん?あ……。」


「『ほい、やるよ。』」

「『うわぁ~。ウルフ一郎、上手だねぇ。』」

「『ま、ガキのころから、手先が器用だからな。』」

「『本当?』」

「『本当だってば!』」

「『ほら、似合う?』」

「『あぁ。似合う!すっごく似合う!』」

「『ありがとー。』」

「『いいえ。そのミサンガは、友達の証だ。』」

「『えっ……?それって、どういう意味?』」

「『だってギロは、俺様にとって、人間界で初めてできた、友達だからな。』」

「『ウルフ一郎……うん!俺も、ウルフ一郎は俺にとって、人間界で初めてできた、友達だよ!』」

「『ふっ、かわいらしいやつだなぁ。』」

「『えへへへへ。』」

(ウルフ一郎にミサンガ切れたことを報告するの、すっかり忘れてた……。)

(ウルフ一郎、今君はどこでなにをしてるんだい?)

(……なんか、嫌な予感がする……。)
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