ヴァンパイア♡ラブforever

田口夏乃子

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第1章

第十話 「ジュンブライトの父親になるための猛特訓!」

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次の日。

「真莉亜お姉様、戻って来ませんね。」

「一体、誰のせいだろう。」

「じー。」

なんでみんな、俺をじーっと見つめてるんだよぉ!

「全ては王子、あなたの責任ですっ!」

はあ~!?なんで!

「ちゃんと真面目にしなかったからだ。」

「真莉亜さん、今ごろ、まだ怒っいるかもよ。」

ふん!あいつのことなんか、どーでもいい!
……あいつのことなんか……。

「『ジュンブライトぉ、ちょっと、休憩しない?』」

「『紅茶とあなたが大好きな、どらやきを持って来たよぉ。』」

「『俺をドラえもん扱いするなっ!』」

「『ごめんごめん。さ、食べて。』」

「『おう。』」

ぱくっ。

「『うんめぇ~!やっぱどらやきは最高だ!』」

「『うふふふふ。』」

「『なぁ、真莉亜。』」

「『ん?なに?ジュンブライト。』」

「『……俺、ちゃんとした父親になるから、見守ってくれよな。』」

「『ジュンブライト……。うん、わかった。応援してるよ、ジュンブライト。』」

「『真莉亜……。』」

「王子、王子?」

はっ!

「もう、なにボーッとしてるんですか。」

あっ、いや、なんでもないっ。

「ヴァンパイア界の王子ぃ!」

オオカミヤローが、走って、俺の胸ぐらをひっぱってきた。
うわっ!なにすんだよぉ!

「真莉亜ちゃんを傷つけた罰じゃ!俺様を今日からヴァンパイア界の王子にさせろ!」

王子の座はやんねぇよ。

「んだとぉ!?」

「やめて、ウルフ一郎。そんなの、できないわ。なりたいんだったら、まず、大統領になりなさい。」

「よーし!今すぐ、大統領選挙に参加してやるぅ!」

いや、無理だと思うけど。

「大統領の座も、渡しませんよ。」

あ、ギラ様。

「真莉亜様に会いましたよ。」

ほ、本当か!?

「で、本人からこんなのをもらってきました。」

ギラ様が俺に、白い紙を渡した。
俺の背後から、じいや、マドレーヌ、リリア、親父、おじさん、ギロ、オオカミヤローがのぞきこんできた。

「なんて書いてある?」

あぁ。それが……。

〈反省するまで戻って来ません。 真莉亜より〉

ってさ。

「そりゃそうだろ。真莉亜ちゃんをあんだけ、傷つけたもん。」

「先輩、謝ったらどうです。」

はぁ!?なんで俺が!

「期待を裏切った罰じゃ。」

「そーしないと、離婚になっちゃうわよ?」

「お前、平気でそんなこと、言えるなぁ。」

「離婚だとぉ!?」

俺はスッと立ち上がった。

「こうしゃいられねぇ!新婚4ヶ月!真莉亜とまだ、別れたくねぇー!」

俺はぱっと走り出した。

「ったく、あいつ、真莉亜ちゃんになると、気が変わるから。」


                                      ☆


ルルアちゃん、おいでぇ~。

「う、う!」

よしよし。ハイハイ、上手でちゅねぇ~。

「うー!」

うふふふふ。

「よかったねぇ、ルルア。真莉亜ちゃんに遊んでもらって。」

「うー!」

うふふふふ。
ピンポーン。

「あれ~?こんな時間に。誰かなぁ~?」

「きっと、どっかの黒ロンゲさんかもしれねぇぞ。」

「アハハハハ。まさか、そんなわけ、ないだろ。」

ガラッ。

「よっ。」

「えー!?」

「どうした。」

「いやっ、なんでもないっ。ところで、なんの用だ。」

「うちの嫁さんを迎えに来た。」

!?

「あっ、真莉亜ちゃんねっ。真莉亜ちゃーん、ジュンブライトが迎えに来たよぉ。」

いやです!
あんなだらしないプリンスさんの元には、帰りたくありませんっ!

「真莉亜ちゃん……。」

「おい、真莉亜。今、なんて言った。」

え……。
あんなだらしないプリンスさんの元には、帰りたくありませんっ!って、言ったよ。

「だらしなくて悪かったな、真莉亜。」

ジュンブライト……。

「ごめん。お前の期待を裏切って。俺って、バカだよ。するって言いながら結局、やんないって始末。ガキのころからだよ。まさか、あーゆーことになるとはな。思ってもなかったぜ。」

ジュンブライトはバカじゃないよ!
私の目から、涙が出てきた。

「ジュンブライトはバカだけど、むしろすごいと思う。だって、父親になるために、徹夜まで勉強したんだもん。すごいよ。バカ真面目だよ!だから、ゆるす!」

「真莉亜……。って、バカって何回言った?」

3回だよ。

「そっか。よし、勉強すっぞぉ~!」

って、言いながら、結局、サボるっていう始末。

「やかましいわ。」


                                     ☆


カチッ。

「フー。ところで、話ってなんだ。早くしてくれ。」

「あたし、できたんだ。」

「なにが?」

「……赤ちゃんが。」

「へぇー。んで、それで?」

「……あたしとお前の子供。」

「!?」

ウルフ一郎は、タバコをポトッと落とした。

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