私のダディ

田口夏乃子

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13話 「父の部屋」

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さてと、掃除し終わったらコンクールに出す絵を描かないと……あ。鉛筆、折れたんだった。
鉛筆、削りに行かないと……。
自分の部屋で鉛筆を削り、リビングに戻る途中、少し開いている部屋に立ち止まった。
父の部屋だ……。
そういえば、「絶対に入るな」って言われてたんだっけ?
入るなって言われたけど、余計気になる……。
過去に戻る前は興味なかったけど、今になると興味ある……。
……ごめん、お父さん。言う事聞かなくて……。
少しずつ、父の部屋に足を踏み入れると……。
えっ?なに、これ……。
部屋中、全部鳥や人の絵や東京の街並みの絵だらけ……。
床には切れた絵の具やパレットが散らばってて、床も黄色や赤の絵の具が付いている。
机には何本かの鉛筆や筆が置いてある。
この絵、一体誰が……ん?
壁に目を向けると、額縁に収まった賞状があった。
その賞状に書いてある名前は……。

『第2回 高校美術コンクール 金賞 白石清亮』

お、お父さん?
嘘でしょ……。
辺りを見渡すと、お父さんが数々受賞した賞状がズラリと並んでいた。
お父さん、絵、描いてたんだ……。

「……おい。」

後ろから声が聞こえて、振り向くと……。

「お、お父さん!?」

表情から怒りが伝わってくる……。

「そこで何してんだ!」

父の怒鳴り声が耳がキーンと鳴るほどきた。

「ご、ごめん……。けど、1つ気になったことがあったの!お父さん、昔、絵を描いてたんだよね?道隆さんと話してたあれって、絵のことだったんだよね?」

「そんなこと聞くな!」

父は床に散らばったパレットを蹴った。

「……お前には、教えたくない過去があるんだ。しつこく親の昔話を聞くんじゃねぇよ!」

なに?その態度。

「自分のことを子供に話さない親っている?私、お父さんのこと、もっと知りたいのに……部屋入られたくらいで怒る?そんなのひどいよ!」

「人には教えたくない過去もあるんだよ!お前はまだ……子供だから。」

「子供だからって教えないわけないでしょ!お父さんって、結局何者なの!?」

「……!」

私の言葉に、父ははっとした表情になった。

「もういい!!お父さんなんか、死ねばいい!!」

と、私は泣きながら、部屋を出た。
あーあ……。
言ってはいけないことを言ってしまった……。
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