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12話 「父の友達」
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夕方。買い物から帰ると、父の靴の隣に、見知らぬ大きな革靴があった。
誰が来てるんだろう?
部屋の奥からは、父の笑い声と男の人の笑い声が聞こえる。
ゆっくりと、部屋のドアを開けると……。
「あ!美由紀、お帰り~。」
「美由紀ちゃん?」
えっ、誰?この人。
父とお酒を飲んでて、体中、汗いっぱいかいて、スーツを着た、体型が太っている、父と同じ歳の男の人。
「覚えてる?」
「あのう……どちら様で?」
「うっそーん!覚えてないの~?」
「まだその頃赤ん坊だったから、覚えてねぇだろ。」
と、父がお酒を飲みながら言った。
「お父さんと幼稚園から大学まで一緒だった、前園道隆です!」
「えっ!?お父さんの幼なじみ!?」
「うん!美由紀ちゃんが赤ちゃんだった頃、よく抱っこしてたなぁ。」
そうだったんだ……。
「駅で偶然会って、家で飲むことになったんだ。」
「いやあ~。懐かしいなぁ。大学の合コン、実は俺が参加する予定だったんだけどさ、翌日に9度の高熱出しちゃって!どうしようかと悩んでいたら、キヨちゃん……あ、お父さんのことね!キヨちゃんに頼んで、代わりに行ってもらったんだけどぉ、そこで紀香ちゃんと出会って、いい感じになっちゃって!聞いた時はびっくりしたよぉ!」
えっ!?
「じゃあ、熱を出したお父さんのお友達って、おじさん!?」
「うん!」
び、びっくりしたぁ!
父と母を巡り会わせた人物と会うなんて……!
「ま、今思えば、俺が恋のキューピットみたいなもんだよなぁ!美術大学のマドンナ、ゲットしたかったぜぇ!」
道隆おじさん、泣いている……。
「でも……俺と紀香ちゃんができちゃったら、美由紀が産まれなかったのかもしれないな!アハハハハハ!」
と、道隆おじさんは高笑い。
なんだか、面白いなぁ。
すると、道隆おじさんは急に真剣な顔になって。
「……なあ。キヨちゃん。」
「なんだよ。」
・ ・
「まだ、やってるのか?あれ。」
「やってねぇよ、もう。諦めたことだし。」
「なんだよぉ!今度、コンクールやるみたいだから、お前も参加しろよぉ!人間、何歳歳とっても、夢は諦めないもんだよ!」
「ミッチー!子供の前で言わねぇでくれ!」
「あ……ごめん。」
何話してんだろ。
このことが、まさか父の秘密を知ることになるなんて、私はまだ知るよしもなかった……。
誰が来てるんだろう?
部屋の奥からは、父の笑い声と男の人の笑い声が聞こえる。
ゆっくりと、部屋のドアを開けると……。
「あ!美由紀、お帰り~。」
「美由紀ちゃん?」
えっ、誰?この人。
父とお酒を飲んでて、体中、汗いっぱいかいて、スーツを着た、体型が太っている、父と同じ歳の男の人。
「覚えてる?」
「あのう……どちら様で?」
「うっそーん!覚えてないの~?」
「まだその頃赤ん坊だったから、覚えてねぇだろ。」
と、父がお酒を飲みながら言った。
「お父さんと幼稚園から大学まで一緒だった、前園道隆です!」
「えっ!?お父さんの幼なじみ!?」
「うん!美由紀ちゃんが赤ちゃんだった頃、よく抱っこしてたなぁ。」
そうだったんだ……。
「駅で偶然会って、家で飲むことになったんだ。」
「いやあ~。懐かしいなぁ。大学の合コン、実は俺が参加する予定だったんだけどさ、翌日に9度の高熱出しちゃって!どうしようかと悩んでいたら、キヨちゃん……あ、お父さんのことね!キヨちゃんに頼んで、代わりに行ってもらったんだけどぉ、そこで紀香ちゃんと出会って、いい感じになっちゃって!聞いた時はびっくりしたよぉ!」
えっ!?
「じゃあ、熱を出したお父さんのお友達って、おじさん!?」
「うん!」
び、びっくりしたぁ!
父と母を巡り会わせた人物と会うなんて……!
「ま、今思えば、俺が恋のキューピットみたいなもんだよなぁ!美術大学のマドンナ、ゲットしたかったぜぇ!」
道隆おじさん、泣いている……。
「でも……俺と紀香ちゃんができちゃったら、美由紀が産まれなかったのかもしれないな!アハハハハハ!」
と、道隆おじさんは高笑い。
なんだか、面白いなぁ。
すると、道隆おじさんは急に真剣な顔になって。
「……なあ。キヨちゃん。」
「なんだよ。」
・ ・
「まだ、やってるのか?あれ。」
「やってねぇよ、もう。諦めたことだし。」
「なんだよぉ!今度、コンクールやるみたいだから、お前も参加しろよぉ!人間、何歳歳とっても、夢は諦めないもんだよ!」
「ミッチー!子供の前で言わねぇでくれ!」
「あ……ごめん。」
何話してんだろ。
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