ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第五十話 「奇跡の勇者!その名はゴッド・リン!」

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「ねぇノア様、ゴッド・リン様ってどんな人ですか?」

私も気になりますっ。

「俺も。」

「わたくしも。」

「私も。」

「俺も。」

「あたしも。」

紅葉は知ってるんだよね。ゴッド・リン様のこと。
そのとたん、紅葉が首を左右に振った。

「ごめんなさい。私、奇跡の勇者って呼ばれたことしか知らないの。」

そうなんだ。

「ノア様、私もゴッド・リン様はどんな人なのか、知りたいです!教えてください。」

紅葉がノア様の前でおしぎをすると、ノア様がにっこり笑った。

「わかったわ。歩きながら話をするわ。ゴッド・リン様は、2000年前にいた、勇者よ。」

へぇー。ていうことは、ノア様が生まれるずっと前にいた人なんだぁ。
ということは、私の予想通り、ノア様よりえらい人だったんだぁ。

「そうよ。ゴッド・リン様は、おとぎの国のお姫様だったんだけど、5歳のころから剣力を学び、真莉亜と紅葉と同じ歳に、一人で旅に出たわ。」

へぇー。ゴッド・リン様って、そんなにかっこよかったんだぁ。

「『ベルサいぬのばら』みたいな生き方してたのか?」

「いいえ。ゴッド・リン様は男として生きていくタイプじゃなかったわ。女心を捨てることができず、ちゃんと女として生きていたわ。」

なんか、かっこいい~♡

「しかし・・・・・・15歳になった時、自分のふるさとに、悪い魔女が来たって知らせが来て、ゴッド・リン様は急いでおとぎの国に帰ったわ。」

「そんなにふるさとが大好きだったんですかぁ。」

「えぇ。帰ると、魔界からやって来た魔女達が、ゴッド・リン様に、次々襲いかかったわ。」

あ!2000年前って、魔女が生まれた年だから、魔女がおとぎの国を支配しようとしたんだぁ!

「えぇ。ゴッド・リン様はたくさんの魔女をたおして、死刑を実行したわ。その後、ゴッド・リン様はふるさとに残ろうとしたわ。けれど、その一年後、生き残った魔女が、ゴッド・リン様の前に現れたの。」

「それが、お妃ね。」

「そう。お妃は死刑された仲間の敵をうとうという気持ちがあふれてきて、ゴッド・リン様を殺したわ。」

えぇ!?

「その三日後、奇跡が起きたの。」

奇跡?

「ゴッド・リン様が生き返ったの。」

えぇ!?ジュンブライトみたーい。

「でもその五日後、ゴッド・リン様はまた死んだの。」

えぇ!?また死んだの!?なんで!?

「病気で。ゴッド・リン様の骨は、洞窟の中にうめられたわ。その後、ゴッド・リン様は一回、生き返ったから、奇跡の勇者って呼ばれたわ。」

だから、ここの洞窟は、『奇跡の洞窟』というんだぁ。

「えぇ。もうすぐ、ゴッド・リン様のお墓に着くわ。」

「おい。ゴッド・リン様のところに行って、なにをするんだ。」

私も気になります。

「ゴッド・リン様の力をお借りするようにたのむの。」

「なんで力をお借りするんですか?」

マドレーヌちゃん、いいところに気付いたねぇ。

「お妃をたおすためよ。ゴッド・リン様は、私よりすごい力を持っているからよ。」

ていうことは、魔界は絶滅するってこと!?

「その通りよ。」

私の方を振り向きながら、ノア様は微笑んだ。

「なぁ。さっさと行こうぜ!」

ジュンブライト、わがまま言ったらだめだよ。

「よーし!ランプの精にたのんで、瞬間移動をしてもらうぜ!」

あ・・・・・・。ジュンブライト、それは・・・・・・。

「なんだよ。」

い、いや。なんでもないです。

「ならいただくぜ!」

ジュンブライトがランプを取って、「二ヒ二ヒ。」と笑いながら、ランプをこすった。
でも、ランプの精さんはなかなか出てこない。

「あれ?おかしいなぁ。」

ジュンブライトがじろじろと、ランプを見つめた。

「もしかして、寝ているのか?」

ジュンブライト、あのね、実は・・・・・・。

「なんだよ。さっきから様子がおかしいぞ。」

・・・・・・もう、三つ目の願いを叶えたから、出てこないよ。

「なーんだ。だったら最初っから言えばいいのに・・・・・・。って、なんだとぉ!?」

す、すみませ~ん。

「お前、本当にバカだなぁ。こんのぉ~!自分勝手に願いを叶えるなぁ!」

ジュンブライトが、怒りながら走り出した。
ひぇ~!真っ暗だから、前が見えないよぉ~!
バサバサッ!
ひぃぃぃぃぃ!コウモリ~!
ドッ!

「キャッ!」

いてててて・・・・・・。おでこ、打っちゃったよぉ。
てか、ここどこ?暗くてよくわからなーい。
あっ。ガーナさんからもらったマッチ、使おうっかな?
私はポケットから、ガーナさんからもらったマッチを取り出した。
シュッ。
火をつけると、目の前には大きくて、石でできた墓があった。
けっこう、古いお墓だねぇ。ん?
お墓になんか書いてあるぞ。しかも、ほってあるし。
私がお墓をじーっと見ると・・・・・・。

『ゴッド・リン 西暦十三年~二十八年』

あー!これって、ゴッド・リン様の墓じゃん!

「おーい!みんなぁ、ゴッド・リン様のお墓、見つけたよぉ。」

「なんだとぉ!?」

ほら、見て。名前と生まれた年と死んだ年を!

「本当だわ。このお墓は、間違いなく、ゴッド・リン様のお墓よ。」

やっぱり!おいのりしましょう!

「おいのりするために来たんじゃないわ。力をお借りするために来たのよ。」

そ、そうでした・・・・・・。

「どうやって、ゴッド・リン様を呼び出すんですか!?」

「いい質問ね。マドレーヌ。ゴッド・リン様を呼び出すには、この、ゴッド・ストーンを使うの。」

ノア様が、羽の形をした、白い石を取り出した。

「ゴッドストーンを、お墓にはめるの。」

あっ、お墓の真ん中に、羽の形をした穴がある!

「そうしたら、ゴッド・リン様が出てくるわ。」

へぇー。

「なぁ、早く呼び出せよ。」

「ジュンブライト、わがまま言ったらだめだぞ。」

「そうだよ。ノア様に失礼だよ。」

「・・・・・わかった。」

「じゃあ、行くわね。」

笑顔でノア様が、ゴッド・リン様が、ゴッドストーンをはめた、その時!
ピカーッ!
ゴッド・リン様のお墓が光り始めた。

「ま、まぶしい・・・・・・。」

これって、まさか・・・・・・。と、その時。光が光り終わった。

「そなたは誰だ。」

ものすごく低い声が聞こえた。
前を見ると、髪の色は青くて、髪型は長いポニーテールで、目の色は青色で、鎧を着た女の子が現れた。

ま、まさか、この人!

「ゴッド・リン様?」

「いかにも。」

やっぱり!うなずいてるし、胸には『G』のイニシャルが付いてるもん!

「ところで、そなたは誰だ。」

「私は、おとぎの国の女神、ノアというもので・・・・・・。」

「そなたじゃない。となりにいる娘に聞いてるんだ。」

え?わ、私?

「そうだ。」

ゴッド・リン様が、笑顔でうなずいた。

「私は、人間界からやって来た、春間真莉亜です。」

「春間真莉亜か・・・・・・。」

「ゴッド・リン様、真莉亜お姉様をきにいったみたいですね。」

「あぁ。ノア様の話を聞かなかったしな。」

「意外だわ。ゴッド・リン様が、真莉亜に夢中になってるの。」

「きっと、真莉亜になにか感じるのよ。」

「え!?」

一体、みんな、なに話してるんだろ。

「で、なにしに来たんだ。」

あっ。実は、その・・・・・・。

「ゴッド・リン様の力をお借りしたいんですけど。」

ノア様が、私の耳元でささやいた。

「あっ、実は、ゴッド・リン様の力をお借りしたいんですけど・・・・・・。」

「私の力を?なぜだ?」

ひぃぃぃぃぃ!こ、こわ~い目で、にらまれたよぉ。

「そなた、人間界から来たって、言ったな。人間界でなにかあったのか?」

そ、その・・・・・・。

「言えないのか?」

い、いえ・・・・・・。

「人間界でなにかあったのかと聞いているんだぞ。」

「じ、実は・・・・・・。」

私は思い切って、今までのことを全部話した。

「ですからゴッド・リン様、お願いですっ。あなたの力が必要なのですっ。どうか、力をお借りしていただきませんか?」

「・・・・・・。」

それから、ゴッド・リン様は黙りこんだ。

「だめだ。」

「えぇ!?」

「なんでだめなんですか!?」

「今の私の力じゃ、お妃に勝てん。」

そ、そんな・・・・・・。

「生きていたころは、お妃よりあったが、今はその逆。死んでから、力はお妃の方がたくさんある。」

じゃあ、ゴッド・リン様の力では、勝てないっていう意味なんですか!?

「そういうことになる。」

バン、バン!
ジュンブライトが、涙を流しながら、壁にパンチしている。

「ちくしょー!せっかく、ここまで来たのによぉ!人間界を二度と救えないのかよぉ!そんなの、いやだぜ!いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!」

「王子、落ち着いて・・・・・・。」

「落ち着いてられっか!」

ジュンブライト・・・・・・。

「ゴッド・リン様、なんとかしてくれますか?」

「・・・・・・。」

また、黙りこんでる・・・・・・。

「あなたの力が必要なのです。お願いします。このままほおっておくと、人間界が危ないです。お願いします。」

「そなたの考えがあますぎる。」

え?

「『人間界が危ない。』それはあたり前のことだ。もっと人間界のことを考えて言ってみないか。例えばそう、未来とか。」

未来?

「あぁ。」

と、ゴッド・リン様がうなずいた。
未来・・・・・・。私は将来の夢とかまだ決まってないけど、未来はたくさんある。そう、みんながにぎやかで暮らせる未来を。
それと、結婚したいし、子供も欲しいし、いい仕事を見つけたい。
それが、私の未来です!

「・・・・・・ふっ、そなたらしいな。」

ゴッド・リン様が笑った・・・・・・。
それからゴッド・リン様は、私達をじーっと見つめた。

「みなのもの!私に力をくれっ!」

えぇ!?てことは・・・・・・。

「協力する。」

本当ですか!?やったー!

「よかったね、ジュンブライト。」

「あぁ。」

「で、どうやって力をやるんですか?」

「それはな、この石を、手にかざすんだ。あと真莉亜、マッチの箱を私の前におけ。」

あっ、はい。
えーっと、マッチの箱をお墓の前においてっと。

「一人ずつ、墓の真ん中にある石にてをかざすんだ。順番は、誰からでもいい。」

「じゃあ、あたしから行く。」

テレサさんが、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「次は俺が行く。」

アルマさんが、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「次は私が行くわ。」

ノア様が、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「私も行くわ。」

リリアさんが、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「では、わたくしも。」

ルクトさんが、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「私も行きます!」

マドレーヌちゃんが、墓の方に向かって、石に手をかざした。

「俺も行くぜ!」

ジュンブライトが、墓の方に向かって、石に手をかざして、私の方を振り向いた。

「真莉亜!」

「うんっ!」

最後に私が、墓の方に向かって、石に手をかざした。
その時。
ピカーッ!
まぶしい光が光り始めた。
ま、まぶしい・・・・・・。
そして、光が光り終わった後、墓の前に魔法のコンパクトみたいなのがおいてあった。
これって・・・・・・。

「『ゴッドコンパクトだ。』」

その声は・・・・・・。

「ゴッド・リン様!てか、ゴッドコンパクトって、なんですか?」

「『変身アイテムだ。必要な時に使え。』」

まるで、プリキュアみたい・・・・・。でも、マッチは・・・・・・。

「『コンパクトを使ってからのお楽しみだ。』」

そ、そんなぁ。

「さぁ、早く魔界に行くわよ。」

はいっ。





真っ赤な空に、黒い雲。さらに、鬼が島みたいな山があって、赤い海がキラキラ輝いている。

「ここが、魔界よ。」

「橋があるから、渡りましょう。」

うんっ。



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