ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第四十三話 「真莉亜と白雪姫、入れかわる!」

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ところで、おとぎの国には、どうやって行くんですか?

「方法はあるわ。」

どんな方法が?

「つまり、あの舟で行くことね。」

ノア様が指をさした方を見ると、木の舟が3せきあった。
そして、ノア様が舟乗り場を管理している男の人に近づいた。

「あの・・・・・・。」

「なんだい?」

「あの舟3せき、いいかしら。」

「どこに行くんだい?」

「おとぎの国よ。」

「三百六十円ね。」

ノア様は、お金を男の人に渡した。

「これ、チケット。」

男の人は、3枚のチケットをノア様に渡した。

「毎度っ。」

ノア様は、私達のところへ行って、チケットを渡した。

「今から別々で舟に乗るわよ。真莉亜、ジュンブライトは、あの舟ね。」

ジュ・・・・・・ジュンブライトと、二人っきり!?

「いいから私の言う通りにして!マドレーヌとリリアは、あの舟に乗って。で、私とルルとルクトが、あの舟に乗るわよ。」

は、はいっ。
私は早速、別々で舟に乗った。

「真莉亜、こぐか?」

ううん、ジュンブライトがこいで。

「わかった。」

私に言われて、ジュンブライトはオールを持って、こぎ始めた。

「二人っきりでいると、なんだか俺、心が暖かくなった。」

私も。ジュンブライトといると、なんだか心が暖かくなるよ。

「・・・・・・真莉亜・・・・・・。」

ん?どうしたの?ジュンブライト。
急に、顔がりんごみたいに赤くなっているけど。

「実は、お前に伝えたいことがあるんだ。」

「私も。」

実は私、ジュンブライトに「好き。」って、今、言いたいんだもん。
こういう風に、二人っきりになれるなんて、不思議に思うよ。

「お前もか。」

うん。
そうしたら、ジュンブライトが深呼吸をした。
なにを伝えたいんだろ。
そして、ジュンブライトは急に、真剣な顔になっちゃった。

「実は俺、真莉亜のことが、ずっと・・・・・・。」

「ジュンブライトお兄様ぁ、何をしているんですかぁ?」

向こうから声が聞こえて、私達は向こうを振り向いた。
すると、マドレーヌちゃん、リリアさん、ルクトさん、ノア様、そしてルルさんが、じーと、私達の方を見つめているのが見えた。

「な、何見てんだよ!」

「あなた達が何を話しているのかしらと思って。」

「もしかして、告白!?ヒューヒュー!」

ちょ、ルルさん!からかわないでください!

「ルル!からかったらダメよ!」

「はーい。」

ノア様、とめてくれて、ありがとうございます!

「ちっ。あの人形め、よくもからかってくれたなぁ!」

ジュンブライト!こぎながら怒らないで!

「あれ?なんだか雲が変ですねぇ。」

「確かに。海の波も激しいわぁ。」

おかしいですねぇ。さっきまでこんなに晴れていたのに。

「まって!」

どうしたんですか?ノア様。

「きっと、これはお妃のしわざだわ!」

えぇ!?なんでお妃が、こんなことを!?

「お妃は、私達がおとぎの国に向かっていることを知って、おとぎの国に行かせないようにしてるんだわ!」

「なんだとぉ!?」

「『ふっ、よくわかったわねぇ、おとぎの国の女神よ。』」

空から女の人の声が聞こえた。

「お妃!」

えぇ!?お妃なのぉ!?

「『久しぶりねぇ、春間真莉亜。』」

一体、何を企んでるの!?

「『白雪姫のところへ行こうとしたって、意味ないわよ。ここでお前達を殺してやるー!』」

声とともに、強い津波が、私達の舟に襲いかかって来た。
うわぁ!舟がしずむよぉ!

「『ふははははは、ふははははは!』」

キャー!
もう舟は海の中にしずんで、私は海の中へとしずんでゆく。
もう、死ぬんだ、私。
そう思いながら、私は海の底へとしずんでいった。

「真莉亜!」

誰かが私を呼んでいる。
きっと、天使さんだろう。
と、その時。私は誰かにお姫様だっこをされた。
そして、地上へと、誰かが私をお姫様だっこをしながら、泳いでゆく。

「ぶっは!真莉亜、しっかりしろ!おい!」

その声、聞き覚えがあるような・・・・・・。

「おい!真莉亜!」

ゆっくり目を開けると、誰かの顔が、よがんで見えた。

「ジュンブライト!」

って、なんであんたがお姫様だっこをしているのよぉ!

「あ、すまない・・・・・・・。それより、手をつなごう。」

う、うん。
私達は、手をぎゅっとつなぎ始めた。

「お二人ともぉ、大丈夫ですかぁ?」

ルクトさん、ノア様、ルルさん!
あれ?リリアさんと、マドレーヌちゃんは?

「あそこに、誰かが浮いてるわ!」

ルルさんが、指をさした方を見ると・・・・・・。

「リリアさん、マドレーヌちゃん!」

二人とも、全然動いていないよ!
もしかして、死んでるんじゃあ・・・・・・。
大変だよ、ノア様!早く二人を助けないと!

「私の魔法で、二人を私達のところまで、連れていくわ!」

そう言って、ノア様は意識を集中させ、呪文をとなえた。

「ルーカ・カルベラ!」

うわぁ!二人が空中に浮かんで来るよぉ!
そうしたら、二人は私達のところへとやって来た。





おとぎの国に着いた私達は、二人が目を覚ますまで、舟乗り場で、たいきすることになった。
それにしても、私の服なんかびしょゆれだよ~。
私達が着いたとたん、もう晴れていたよ。
私だけじゃない。ジュンブライトも、ルクトさんも、ノア様も、ルルさんも、そして、今目をなかなか覚まさないリリアさんとマドレーヌちゃんも、みーんなびしょぬれ。

「どうやら、気絶しているみたいね。」

「ちくしょー!お妃のやつめ!よくも俺の大事ないとこと、いとこのしつじを、こんな目に合わせたなぁ!」

全く、お妃はひどいやつです!

「そうよ!私、今すぐ魔界に行って、たおしてやるわ!」

「ルル、待ちなさいっ。」

遠くへ行こうとするルルさんを、ノア様が止めた。

「魔界へ行くのは危険だわ!」

「なんでよ!」

「相手は二千年前の魔女よ!あなたの力では勝てないわ!」

「ふん!そんなこと言われたって、私は行くもん!だって、私は見た目は人形だけど、魔法は使えるもん!私の魔法で、お妃をちょちょいのょいで、やっつけるんだから!」

「そう。なら、勝手に行ってちょうだい。そのかわり、助けてって言っても、私は助けに来ないから。」

二人とも、けんかはそこらへんにしてくれます?

「いいわ!じゃあ、勝手に行くから!」

ルルさんは怒りながら、空の果てへと、飛んで行っちゃった。
あのう、ちょっと言いすぎだったのではありませんか?

「いいのよ。あの子、わがままで自分勝手なんだから。」

誰かさんと似てますね。
それにしても、ルルさんって、魔法が使えるんですね。

「えぇ。あの時、私の魔法がかかったせいか、魔法が使えるようになったの。」

そうでしたか。

「マッチはいりませんかぁ?」

あ、みんな、マッチはいる?

「そういえば、急に寒くなってきたなぁ。」

「わたくしも。」

「私もよ。」

じゃあ、4個、買いますよ。

「あぁ。俺の金、使っていいぞ。」

ジュンブライトが私の目の前で、四百円を出した。
それを、私は手に取って、マッチを売っている人のところまで走った。

「すみませーん。マッチを4個、いいですか・・・・・・。」

あのボロボロの服で、黄色くて長ーい髪は・・・・・・。

「ガ、ガーナさん!?」

「真莉亜さん、それに、ジュンブライト様にルクトさん、お久しぶりです!」

こんな風に会えるなんて、思わなかったよ~。

「私もです!あっ、琉理さんは、お元気にしてますか?」

あ・・・・・・。そのことだけど・・・・・・。

「どうかしましたか?」

私はガーナさんに、人間界が滅亡したこと、白雪姫と私のことを全部話した。

「まぁ・・・・・・、そんなことが起こってたなんて、びっくりしました・・・・・・。あれ?あの、女の人は・・・・・・。」

ガーナさんが不思議そうに、ノア様を指さした。

「お前らの女神、ノア様だ。」

「えぇ!?ノア様!?」

「そう。」

「なんで、こんな姿になったんですか!?」

それは後で説明しますから。それよりガーナさん、ちょっと頼みたいことがあるんですけど・・・・・・。

「はい。真莉亜さんの頼みごとなら、いつでも受け付けますっ。」

・・・・・・ガーナさんの家へ、案内してくれます?

「もっちろん!大歓迎ですよっ。」

と、ガーナさんは私に向かって、ウインクをした。




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