ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第三十七話 「ジュンブライトのクリスマスの思い出」

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今日はクリスマスなので、ライトホームでクリスマス会をすることになりました。

「真莉亜ちゃーん。これぇ、手伝ってぇ。」

アクアさんがクリスマスツリーのてっぺんに乗せる星をてっぺんに乗せようとして、背伸びをしている。

「アクアさん。はしごを使えばいいんですよ。はしごを。」

私が言うと、アクアさんは「あぁ。」と言いながら、手をポンとたたいた。

「私、すっかり忘れてたぁ。」

アクアさんが、はしごを持って来ながら言った。

「真莉亜ちゃん、ありがとうねぇ。」

いえいえ。どういたしまして。
アクアさんはどんどん、はしごを登っていく。
そしてとうとう、ツリーのてっぺんへ。

「ん~、ん~・・・・・・キャッ!」

アクアさんがはしごから落っこちて、本だなにぶつかって、本がバラバラになってしまった。

「おい!大丈夫か!?」

そこへ、ジュンブライトとルクトさんとジャンさんとソアンさんが駆けつけた。

「大丈夫ですか?」

私も駆けつけた。

「うん。大丈夫。」

「だから、ケーキをリナンとマドレーヌとリリアと一緒に、取りに行けって言ったんだよ!」

「だってぇ。キラキラ輝いてかわいくてぇ、乗せてみたかったんだもーん♡」

ツリーの星のどこがかわいいんでしょうか。
ん?なに、これ?
私が床にあった本を拾った。
えーっと、題名は・・・・・・。

『ジュンブライト』。
?なんでジュンブライトの名前が、題名になっているんでしょうか。
おや?ほかにソアンさん、ジャンさん、アクアさん、リナンさんのもあるぞ。
これって何?
あれ?もう二冊あるぞ。
私は2冊の本を拾った。

『アルマ』。

『テレサ』。

えぇ!?なんで、アルマとテレサの名前が!?

「おい!なにやってんだよ!」

ジュンブライトが本を取り上げて、その本を見て、ジュンブライトの目がとまった。

「おぉ!俺の日記じゃねぇか!」

そう言いながら、ジュンブライトはページをめくっていく。
どれどれ?

『12がつ21にちはれ。しゅうぎょうしきだぁ!やっと、たのしくないがっこうがおわる!とおもったら、さいてーさいあくのつうちひょうがまっていた!けっか、ぜんぶだめだった。おやじにおこられた。あしたから、もうべんきょうさせるっていわれた。あー、たのしみにしていたふゆやすみがだいなしだぁ~!あのおっさんだいおうめ!うらみをはらしてやるぅ!』

こ・・・・・・こわー。

「ガハハハハ!うーけーるぅー!」

本人、笑っています。

「ん?おいソアン、アクア、ジャンmお前達のもあるぞぉ!」

「え?なにが?」

ソアンさん達が駆けつけると、ソアンさん達は自分たちの日記に目をとめた。

「うわぁ、なつかしーい!」

「これぇ、私の日記だぁ!」

「アハハハハ。ライト・ホームに僕達の日記があったなんて、実におもしろい!」

みんなはなつかしそうに、日記のページをめくっている。

「ただいまぁ。」

「ケーキ、買って来ましたよぉ!」

そこへ、リナンさんとマドレーヌちゃんとリリアさんがケーキをもちながら帰ってきた。

「リナン、お前の日記もあるぞ!」

「私の日記?」

リナンさんが首をかしげながら、ジュンブライトのところまで行くと、リナンさんは自分の日記に目をとめた。

「あ~、これ、覚えてるぅ!」

どれどれ?
私はリナンさんの日記をのぞいた。

『7月11日晴れのうちくもり。今日はおじさんからもらった焼きたてのクッキーを、ジャンと食べた。どんどん食べているうちに、あと1このこって、わたしが手をのばすと、ジャンも同時にクッキーに手をのばした。のばしたとたん、クッキーのとり合いになって、ケンカした。けっか、ジャンがかった。トホホホホ・・・・・・。お母さんから、お姉ちゃんだからし方ないでしょっと言われた。あぁ、ふたごに生まれてこなきゃよかった。』

えぇ!?リナンさんとジャンさんって、双子なの!?

「えぇ。私がお姉ちゃんで、ジャンが弟。」

笑顔でリナンさんがうなずく。
そんなの、知らなかったぁ!
でも、、もっと知らなかったのは、アルマとテレサが、ジュンブライト達の幼なじみだってこと。

「アルマとテレサかぁ・・・・・・。なつかしいなぁ。」

「うんうん!テレサちゃんはぁ、お姉ちゃん的存在だったもんねぇ!」

「アルマはこわがりでさびしがり屋だったなぁ。」

「私、三年前に二人に会ったけど、今どうしてるかなぁ。」

ソアンさん達が楽しそうに昔話をしている。

「アルマとテレサは、お妃の仲間になった。」

「えぇ!?」

「うそ!?」

ソアン達はびっくりした。

「・・・・・・たとえ、離れて敵になっても、友達だもんな!」

ジュンブライトが二カッと笑うと、みんなはくすっと笑った。

「そうだよなぁ。」

「そうよねぇ。」

あっ、そう言えば、アルマの日記も読みたくなってきたなぁ。
私はアルマの日記を開いて、ページをめくった。

『6月25日 大雨。 今日は帰り道、ジュンブライトにカエルを見せられ、どろんこまみれになってしまった。ついでにおれもカエルを見せると、ジュンブライトもどろんこまみれになってしまい、けっきょく、父さんに怒られ、ふろに入った。ジュンブライトぉ、おぼえておけよな~!つぎはお前の大きらいなタランチュラをもっていくからな!』

タランチュラって、くもの仲間じゃん。
私は次々、ページをめくった。

『12月23日 雪。ジュンブライトがサンタランドに行きたいと言い出したため、おれたちは駅に行った。しん台れっ車に乗ったとたん、ジェシカという、女と出会った。サンタランドは明日着くようで、おれたちはしん台れっ車に泊まった。この先、どうなるんだろ。あと、ジュンブライトだけじゃなく、アクア、リナン、ジャン、テレサ、ソアンも行きたいと言い出した。・・・・・・にたもの同しだ。』

サンタランド?ジェシカって、誰?

「ジェシカ!?」

「ジェシカちゃん!?超~なつかし~い♡」

「あの子、今どうしているんだろ。」

「アハハハハ。ジェシカっていう名前を聞いただけで、実におもしろくなってきた!」

えぇ!?みんな、ジェシカさんを知ってるの!?

「あたり前だろ。ジェシカは超~泣き虫なお嬢様だったぞ!」

あんた、よーく失礼なことを言うねぇ。

「ジェシカちゃんはぁ、泣き虫でぇ、とても優しい女の子だったのぉ♡」

へぇー。

「俺、ジェシカが資産家の娘って聞いた時、超~驚いたぜぇ。」

「そうそう。一人でサンタランドに行くなんて、すごいと思ったの。」

ところでみなさんに質問です。サンタランドって、どんなところですか?

「説明しよう。」

わ、ジャンさん!てかそれ、ヤッターマンのナレーターのセリフでは?
ま、いいや。早く説明してください。

「サンタランドとは、サンタクロースが住む町でもあり、普通の人が住む町でもある。年に一度のクリスマスでは、サンタがなんと、100人で、全国いや、世界中の子供たちにプレゼントを届けるのだ!それだけじゃない。トナカイだけのペットショップ、サンタクロースになりたい人が集まる、養成学校、さーらーに、遊園地もある、幸せの国なのだ!初代サンタクロースのリーダーはこう言った!『子供達はかわいかった。』っと!」

それ、『地球は青かった』とパクッていません?

「じゃあ、今まで私がサンタさんにもらったプレゼントは、全部サンタランドのサンタさんが届けたんですか?」

「そうそう。」

ジャンさんは2回うなずいた。

「ジュンブライトお兄様!私、お兄様のクリスマスのお話、聞きたいですぅ!」

「私も。」

リリアさんとマドレーヌちゃんが言うと、ジュンブライトは二カッと笑った。

「わかった。今から24年前、つまりマドレーヌと同じ歳の時の話だ!」

ジュンブライトがマドレーヌちゃんの頭をなでてから、話した。





-24年前ー

「王子ー、王子ー、どこですかぁ?」

二ヒ二ヒ。じじーが俺を探してるー。
俺は城のてっぺんで、望遠鏡で見てるのに。
今日も、いたずらを成功して、ばれずに冬休みの宿題、さぼるぞぉ!
昨日は朝日がのぼるまで、宿題されたから、そのうらみを晴らしてやるぅ!

「ジュンブライトは見つかったか!?」

「いいえ、どこにもいません・・・・・・。」

じじーじいやとおっさん大王が話している。

「私は向こうを探すから、ルクトはあっちを探せ!」

「わかりました!」

おっさん大王も探すことになったぞぉ。
でも、その向こうには、俺の手作りの落とし穴があるけどな・・・・・・。二ヒ二ヒ二ヒ二ヒ。

「ジュンブライト、出てきなさい!」

あと一歩で、手作りの落とし穴に・・・・・・。

「ジュンブライト、出てきな・・・・・・わぁ!」

やったぁ、ひっかかった、ひっかかったぁ!
俺はうれしそうに飛び上がると、おっさん大王は俺の方をぎろりと見た。

「ジュンブライト、お前のしわざか!」

そうだよぉ。つかまえたかったら、俺のところまで来い!
俺はさっと走った。

「ルクト、つかまえて来い!」

「はいっ。」

おぉ、じじーじいやが走ってるぅ!
でも俺は、城の階段にいるけどな、二ヒ二ヒ二ヒ。

「王子!」

えぇ!?なんでロッテンマイヤーみたいな先生がいるんだよぉ!
ええい!また上をのぼるか!

「王子!」

な・・・・・・なんで、メイド、コック、バイオリンの先生が大勢いるんだよぉ!

「みなさん、つかまえてください!」

ひぃぃ、じじーじいや!
すると、じじーじいやのかけ声とともに、みんなが俺の体に飛びついた。





「えぇ!?クリスマス会、来ないの!?」

門の前でアクアが驚いている。

「あたり前だろ。おかげでサンタに頼む、『かいけつプリンの黄金のプリンを守れ!』を、取り消されちゃった。」

「えぇ!?なんで!?あんなにおもしろいのに!?」

「親父から言われた。今年もサンタのプレゼントは取り消す。この本は将来大王になるお前にとって、ふさわしくないから、捨てるって。」

「で、捨てられたの!?」

「あたり前だろ。」

「かいけつプリンを書いた、作者さんがかわいそうだわ・・・・・・。」

うんうん。かわいそうかわいそう。って、なんでそんな話に?
さすが、作者の気持ちまでわかる、本オタクのリナンだなぁ。

「ジュンブライト、クリスマス会はこねぇのかよ。」

あ、アルマ。

「そうみたいだねぇ。頭にたんこぶがついてるし。」

あ、テレサ。よーく、わかったなぁ。頭にたんこぶついてんの。

「じゃあ、クリスマス会は中止ってことだな。」

ソアンがつぶやいた。

「えぇ!?」

今度はみんなが驚いた。

「なんで!?」

「だってアルマ以外、冬休みの宿題、してないから。」

「あ・・・・・・。」

アルマ以外、みんなは呆然とした。

「あー!去年もそんな感じだったー!」

ジャンが頭をおさえながら、声を上げた。
確かに。

「あー、今年もぉ、クリスマス会はぁ、ないってことぉ?」

あたり前だろ。

「しかもアルマ以外、サンタさんに頼むプレゼント、取り消されちゃったんだよ!?」

えー!?お前達もかっ。なんで最初に言わなかったんだよ!

「俺、サンタ信じないタイプだから、プレゼントはない。」

えぇ!?お前、サンタが本当にいるって信じないのか!全然、知らなかったぞ!

「だって俺、そういうの苦手だし、そんなのは気持ち悪いし、子供だから。」

お前も子供だろ!

「あーあ。もしサンタランドに行けたなら、こんなことにはならなかったのになぁ。」

ん?ソアン、今何て言った?

「もしサンタランドに行けたなら、こんなことにはならなかったのになぁって・・・・・・。」

「それだ!」

「へ?」

俺、いいこと考えちゃったもんね~。

「いいこと?なにを考えたんだ?」

それは、俺達7人で、サンタランドに行くんだよ!

「え~!?」

「サンタランドって、なんだ?」

がくー!アルマ、そんなことも知らないのか!

「あぁ。」

アルマがうなずいた。

「いいか?サンタランドっていうのは、サンタがいっぱいいるところだぞ!」

「ふん。ばかばかしい。そんなの、いるわけないじゃん。みんな、帰ろうぜ。」

返ろうとしているアルマのうでを、誰かが手をにゅっと出して、うでをつかんだ。

「は・・・・・・離せ!」

アルマがぐいっとひっぱっても、なぞの手は離そうとしない。

「離そうとしてもぉ、むだだよぉ♡」

「そ・・・・・・その声は!」

アルマが後ろを振り向くと、そこにはアクアが、顔をにやりとしながら、アルマを見つめていた。

「ジュンくんのぉ、意見はぁ、とってもいいよぉ。私、『タッチ』のぉ最新刊をぉ、頼むつもりだったけどぉ、ママからぁ、取り消されちゃったのぉ♡ねー、みんなぁ。」

アクアが俺達の方を笑顔で振り向くと、テレサとアルマ以外のみんなはうなずいた。

「俺はファミコンだったけど、母ちゃんから、今年も宿題をさぼったからなしって言われたぜ。でも、ジュンブライトの意見を聞いて、すごいと思ったから、賛成!」

「え~!?」

アルマは口をポカーンと開いたまま、驚いている。

「私、夏目漱石の『こころ』をサンタさんに頼む予定だったけど、たくさんの本を読んだせいか、冬休みの宿題をさぼっちゃって・・・・・・。お母さんが、今年もサンタさんからのプレゼントはなしねって、言われちゃったの。でも、ジュンブライトくんの意見を聞いて、いいと思ったの!」

「え~!?てか、夏目漱石を読む小学二年生なんて、この世にはいねぇよ!」

おぉ、ナイスツッコミ!

「僕は、『名探偵ホームズの消えた花嫁』を、サンタさんに頼む予定だったけど、リナンと同じで、取り消されてしまった。でもジュンブライトの意見を聞いて、いいと思ったから、リナンと一緒で、賛成!」

「え~!?てか、ホームズを読む小学二年生って、この世にはいねぇよ!」

それ、さっきのセリフとパクってなくね?

「なぁテレサ。お前、行かないよな?」

すると、テレサがキラキラした目で、アルマの方を振り向いた。

「なに言ってるんだい!あたしも賛成だよ!」

「はぁ!?」

へぇー、意外。
そんなことにあきれたアルマは、はぁと、ため息をついた。

「ったく、俺も行かなきゃいけねぇのかよ。」

「うんうん。」

俺達は2回うなずいた。

「ったく、しょうがねぇなぁ。もしそのサンタなんちゃらが存在しなかったら、俺、帰るね。」

おぉ!さっすが、心の友だぜ!よーし、今日の3時半、駅で全員集合だぁ!

「はぁ!?今日!?」

アルマが驚いた。

「あったり前だろ。今日しかねぇんだよ、今日しか!」

「でもジュンくん、ホテルのお泊りとかのお金はぁ、どうするのぉ?」

アクアが不思議そうにたずねた。

「ホテルには行かねぇ。寝台列車に泊まるから。お金は、俺にまかせろ!」

俺は、二カッと笑った。

「ところで、親にどう言うの?黙って行ったら、怒られるし。」

「大丈夫だ!俺にいいひみつ道具があるんだよ!」

「いいひみつ道具?」

俺達が声をそろって言うと、ソアンが顔をにやにやさせながら、ポケットの中をいじり始めた。
・・・・・・お前はドラえもんか!
しばらくして、ソアンが7枚の白いマントを手にした。

「『とうめいマント』!」

やっぱ、お前はドラえもんだろ!ま、いいけど。

「このマントがあれば、親が子供が外に出たことに気付かないのだ!」

「うわぁ~。ソアくん、私にもぉ、ちょうだ~い♡」

「私にも!」

「あたしにも!」

「俺にも!」

「僕にも!」

「俺にも!」

俺達がソアンのところへ駆けつけると、ソアンはにかっと笑った。

「いいぜ!じゃあ、一人ずつ配るからな!まず、ジュンブライト!」

「はーい。」

俺がソアンのところに行くと、ソアンは俺にとうめいマントを渡した。
おぉ、サンキュー、ソアン!じゃあ、また3時半、駅で会おうな!

「おう!楽しみにしてるぜ!次、アクア!」

「はあい♡」

ソアンは手を振りながら、みんなにマントを渡した。





よーし!着がえよし、歯みがきよし、かいけつプリンの本もよーし!
あとは旅行カバンを閉めるだけ!
タッタッタッタ。
ん?足音が俺の部屋に近づいてくるぞぉ。

「王子、宿題は終わりましたかぁ?」

げげっ!じじーじいやの声だ!
早く旅行カバンを閉めないとぉ!
俺はあわてて、旅行カバンを閉めた。
ツルっ。
いた!なんだよ、これぇ!
ん?二ヒ二ヒ二ヒ。ちょーうど、いいもん見つけたぞぉ。
俺はあるものを、体にかぶった。
すると、俺の部屋のドアが開いた。

「王子、おやつの時間にしま・・・・・・あれ?」

じじーじいやは目を丸くした。
なんと、部屋には誰もいないのだ!

「誰もいませんねぇ。王子はきっと、ハリー先生に宿題を教えてもらっているかもしれませんねぇ。・・・・・・王子の成長に、わたくしは、わたくしは・・・・・・えーん!」

二ヒ二ヒ。感動しながら、行っちゃった。ドアを閉めずに。
俺はとうめいマントで、とうめい人間になっているから、じじーじいやには見えねーんだよ!
さーてと、外に出ますかぁ!
俺は自分の部屋を出て、廊下を走った。
おっと!ロッテンマイヤー似のハリーばばぁがいるぞぉ。
驚かしてやるぞぉ!
ん?なんかハリーばばぁ、肩ひじをつきながら、顔を赤くして、何かのカードを見てるぞぉ。

「うふふふふ♡やっくんかっこいい~♡はぁ、いつか人間界に行って、ライブに行きたいわ~♡」

シブガキ隊のやっくんのカードかぁ。よーし、いたずらしよう!
俺はハリーばばぁの右足をぎゅっとふんで、ハリーばばぁは、その痛みにたえきれず・・・・・・。

「いたっ!」

右足を両手でおさえた。
それと同時に、カードがひらひらと、俺の前に落ちてきた。
しめしめ。落書きしましょうか!
俺はポケットの中から、黒いペンを出して、カードを拾って、カードに落書きして、カードを元の場所に置いた。
その後、カードを落として、その場を去った。
ハリーばばぁは、右足を両手でおさえるのをやめて、立ち上がった。

「もう、誰がこんなことを・・・・・・ん?」

ハリーばばぁの目線は、カード。
そう、俺が落書きした、やっくんのカードだ!
ハリーばばぁは、俺が落書きしたカードと気付かず、カードを拾っちまった。
さーてと、どんなリアクションをするんだろ。二ヒ二ヒ二ヒ二ヒ。
俺は壁に隠れて、ハリーばばぁの様子を見ることにした。
そうしたら、ハリーばばぁは驚いた顔になって。

「ギャアアアア!!」

思わず、さけんじまった。

「どうしたんですか、ハリー様!」

そこへ、じじーじいやがやって来た。

「わ・・・・・・私のやっくんが、こんな顔に・・・・・・。」

おそるおそるハリーばばぁが、俺が落書きをした、やっくんのカードをじじーじいやに見せた。

「おぉ、これはかわいそうに・・・・・・。」

じじーじいやが顔を上げると、ハリーばばぁが怒った顔で、じじーじいやをじーと見つめていた。

「な、なんでしょうか。」

「ルクトさん、あなたが私のやっくんにこんなことを!」

「はい!?」

じじーじいやは驚いた顔であわてていると、右手には黒ペンがあった。

「な・・・・・・なんで黒ペンが、いつの間に!」

二ヒ二ヒ。実は、俺がじじーじいやが通ったとたんに、黒ペンを右手ににぎらせたんたぜ!
俺って、いたずらの王者に向いてるぜ~!

「ルクトさんが犯人だったんですね!」

「い・・・・・・いや、ちがいますよ!」

「うそつき!しつじ協会に行って、クビにさせてもらいますわぁ!」

ハリーばばぁが怒りながら手にしたのは、しつじ協会宛ての、退職届。
それを見て驚いたルクトは、思わず走って逃げた。
その後を、ハリーばばぁは退職届を持ちながら、追いかけた。
二ヒ二ヒ二ヒ。とうめい人間になるのは、楽し~い!





外に出たのはいいんだけど、問題はこれ、家来。
今はねているけど、もし起きたら、ヤバイことになってしまうかも・・・・・・。

「ガーゴ、ガーゴー。」

「ガーゴ、ガーゴー。」

いびきをかいでいる。
そうだ!いいこと考えたぜ~。
俺はそおと歩いて、門の前に近づいた。
そして、門をそおと、開けた。
ギィィィィ。

「ん?」

やば!家来が一人、起きちゃったよ!
あれれ?家来の顔が急に青青白くなっている。
家来の目線は門。

「ひぃぃぃぃ!」

家来が腰をぬけながら、門の方を指さした。
その声でむくっと、もう一人の家来が起きてきた。

「なんだなんだ?人がねているのに、突然大きな声を出して・・・・・・。」

「さっさっさっさっさっき、もももも門が、かかかかかか勝手に、あああああ開いたんだよ・・・・・・!」

ガチャン。

「ひぃぃぃぃ!また勝手に!」

「ハッハッハッハッハ!きっと、今日は雪が降っているし、風が強すぎて、門が開いたり閉まったりしているのさ。」

「本当だってばぁ!きっと、お化けかもしれない・・・・・・。」

「お化けといえば、幽霊族だよ。幽霊族がここに来るわけないだろ。」

「おい、信じろよ~!」

二ヒ二ヒ。言い合ってるぜぇ。
カーコーン、カーコーン。
大きな街の時計が、鳴っていた。
えっと、今何時なんだ?
うわぁー!やべ、3時15分!
こりゃ、大変だぁ!
俺は駅に向かって、思いっきり走った。





「ジュンくん、遅いねぇ。」

「心配だなぁ。」

「もしかして、大王様にばれたとか!?」

「えっ!?」

おーい!
俺が手を振りながらさけぶと、みんなは俺の方を振り向いて、目を丸くした。

「ジュンブライトくん、いつもの服そうじゃないね。」

へへへへ。だって俺、王子だろ?もしいつもの服そうだったら、すぐにばれてしまうからさ。

「だよなぁ。王子って、大変そう。」

あたり前だろ。
そのとたん、アナウンスが鳴った。

「『サンタランド駅行きの寝台列車が、まもなく発車します。まだ乗っていないお客様は、お急ぎください。もう一度、繰り返します。サンタランド駅行きの寝台列車が、まもなく発車します。まだ乗っていないお客様は、お急ぎください。』」

ピンポンパンポン。
・・・・・・。
俺達は黙ったまま、顔を見合わせた。

「あー!急がねぇと、間に合わねぇ!」

ソアンが一人でさっと、走って行った。

「あぁ、ソアくん、まってぇ!」

その後を、アクアが走ってついて行く。

「アクアちゃん、まってぇ!」

その後を、リナンが走ってついて行く。

「リナン、まってよぉ。」

その後を、ジャンが走ってついて行く。
残ったのは、俺とアルマとテレサだけ。

「全く、子供ったらこんな時になると、すぐあわてるんだよなぁ。」

だからおめぇも子供だろ!

「あんたたち、なにぼーとしてるんだい!急がないと乗り遅れるよ!」

テレサ、いつの間に走ってたのかよ!

「ジュンブライト、俺達も急ごう!」

アルマが俺の手をぎゅっとにぎり、そのまんま、テレサの後を走ってついて行った。
改札口で切符を渡して、そのまんま、俺達は寝台列車へ直行。
『サンタランド』ってかいてある!この寝台列車なんだ!

「ジュンくん、アルくん、テレちゃーん!はやくぅはやくぅ!」

アクアたちが寝台列車の中でまっていた。
そして、俺達は寝台列車の方に向かって、ジャンプした。
タッタッタッタッ!
ん?後ろから足音がするぞ。

「まって~!」

後ろを振り向くと・・・・・・。
ひゃー、お化けぇぇぇぇ!
前髪は長くて、肌色は白くて、服そうはポンチョを着ていて、髪はながくて、俺達と同じ歳のおばけだった。
って、お化けが俺達に向かって、ジャンプしているぅぅぅぅ!
バタン!
俺達が寝台列車に乗ったとたん、寝台列車の扉が閉まり、寝台列車が動き始めた。

「ジュンブライト、アルマ、どいて!」

「あっ、ごめん!」

俺とアルマが、声をそろって、テレサの背中を降りた、その時。

「ごめんなさいっ、すぐ降りますから!」

えっ・・・・・・。

「今、女の子の声が聞こえたよな!?」

「うん、確かにぃ。」

アクアがうなずいた。

「ジュンブライトくん、もしかして、彼女連れてきたの!?」

はぁ!?ちげーよ!

「え!?」

みんなの声が、寝台列車の中に響いて、お客が俺達の方を振り返った。
やっべ!おい、全員こっちにこい!
俺は、みんなの手をつないで、寝台列車の奥にある、部屋に行った。
そこには、二段ベットが二個あって、トイレもあって、お風呂まである、まるでホテルみたいな部屋だった。
そして、俺達はベットの中に隠れた。

「おい、大きな声出すなよ!」

俺は小声でみんなに話しかけた。

「ジュンくん、彼女がいたなんて、アクアぁ、泣いちゃう~♡」

こんなとしで彼女ができる男なんて、いねぇーよ、バーカ!

「なんだってぇ?もう一度言ってみろ、オラ!」

アクアが怒って俺の首をギュッとしめた。
うゔ、ぐるじーい!
ガチャ。
え?今、ドアがあかなかったか?

「いいy、なんにも。」

アルマが首を振った、その時。
タッタッタッタ。
足音が聞こえてきた。
タッタッタッタ。
しかも、その足音は、だんだん近づいてくる!
あれ?足音が聞こえなくなったぞ。

「もう、行っちゃったのかな?」

アルマ、なーにふるえてんだよ!

「ふるえてねぇよ!」

ふるえてるじゃん。

「ちげーよ!」

もう!アルマったら、こわがりなんだから!

「俺の母さんのまね、すんな!」

バサッ!
誰かが毛布を取り上げた。
まぶしくて、顔が見えねぇ!

「あのぉ、大丈夫ですか?」

そこには前髪が長い、お化けがいた!

「ギャャャャャャア!」

俺達はこしをぬかしてしまった。

「のろわないでー!」

俺達は泣きながら、お化けの方に土下座した。

「おいあんた達!なんてことをしてくれるんだい!ほら、見ろ!」

テレサが指をさした方を、俺達は見た。
・・・・・・お化け・・・・・・いやいや、女の子が泣いている。

「私、お化けって言われたの、これで200回目・・・・・・。」

200回も言われたのか!すげーな!

「ジュンブライト、そんなひどいことを言わないよ!」

「いった!」

テレサがムチで俺の頭を一回、たたいた。
そしてテレサが、女の子の方を見た。

「ごめんねぇ。こいつら、ガキだからさ。」

お前もガキだろ!

「あたしはテレサ。あんたは?」

「わ・・・・・私は・・・・・・ジェシカ。」

ジェシカはおびえながら、答えた。

「おびえる必要はないよ。ほら、みーんな優しいから、こわくないよ。」

「えっ?」

そのとたん、アクアがジェシカの右手をギュッとにぎった。

「私ぃ、アクアっていうのぉ♡好きな人はぁ、ジュンくんだよぉ♡一緒にぃ恋バナとかぁ、しようねぇ♡」

「俺はお前のこと、嫌いだよ。」

俺がささやいて言うと、またアクアのキャラが変わった。

「おい、今、なんて言ったのかぁ?オラ!もう一度、言ってみろ!」

いえいえ、なにも言ってましぇーん!おゆるしを~!

「こ・・・・・・こわ~い・・・・・・。」

ほーら、ジェシカがおびえたんじゃねぇか!
すると、今度はリナンが、ジェシカのところに行って、にっこりと笑った。

「大丈夫よ。アクアちゃんは怒る時だけ、あんな風になるからね。あ、自己紹介、忘れてた!私、リナンっていうの。フローラル学園の小学2年生で、図書委員会の委員長をやってるの。私がオススメする本を、紹介するね。まず、最初は・・・・・・。」

はいはーい。本の紹介はまた後でしましょうねぇ。
ったく、リナンは本の話になると、つい長くなるんだよ!

「続いて、私の双子の弟、ジャンよ。」

「よろしく。僕、ジャンっていうんだ!フローラル学園の図書委員会の副委員長をやっているんだ!
僕がオススメする本を紹介するね!まず、最初は・・・・・・。」

お前たちは似た者同士じゃねぇか!
ったく、ジャンとリナンは、双子だから、自己紹介にオススメの本を紹介して、どうするんだよ!

「俺はアルマ。さっきは、ごめん・・・・・・。」

「いいよ。気にしなくて。」

「う、うん。」

おや?アルマの顔が、急に赤くなったぞぉ。これって、まさか・・・・・・。

「俺はソアン。よろしく!」

「よろしく・・・・・・お願いします。」

「俺はジュンブライト!ヴァンパイア界の王子で、いたずらがとっても大好きなんだ!よろしくな、二ヒ二ヒ二ヒ。」

「よろしく・・・・・・お願いします。」

ところでお前もサンタランドに行くのか?

「う・・・・・・うん。」

ジェシカが唇を閉じたまま、うなずいた。

「じゃあぁ、一緒にぃ、サンタランドにぃ、行こうよぉ♡」

「えっ!?」

ジェシカが顔を上げて、驚いた。

「だってぇ、私達ぃ、お友達にぃなったからぁ♡」

そうそう。

「い・・・・・・いいよ。」

「やったぁ!じゃあ、それにぃ決定!」

アクアの声が、部屋の中まで響いた。

「なぁ。お前はなんで、サンタランドに行くのか?」

アルマが質問すると、ジェシカは黙ったまま、答えなかった。

「なぁ、教えろよ!」

「ちょっとアルマくん、ジェシカちゃんをせめないでよ!」

リナンの怒鳴り声が、部屋の中まで響いた。

「ちぇ、だから子供は困るんだよ!」

だ^かーら、お前も子供だろうがぁぁぁぁぁぁ!何回言えばいいんだよぉ!







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