68 / 138
第三十六話 「熱く、燃え上がれ、運動会!(後編)」
しおりを挟む
いよいよ、熱い運動会が始まります!
その前に、二年生の女子だけ、被服室に集まって、翼さんからの手紙を、比奈多さんが読むことになりました。
「『二年生の女子のみなさんへ。
いよいよ本番ですね。
あたしはリハビリでこられませんが、リハビリをがんばりながら、応えんします。
たとえ、一年生、三年生に負けても、あたしはみなさんを信じます。
だから、あたしの分まであきらめず、がんばってください。
ここにあたしがいると思って!
翔翼より』。」
うゔ・・・・・・。涙があふれてきたー!
「みな様、翼さんの分までがんばりましょう。負けたら翼様が、とてもショックを受けますからね!」
「はい!」
おぉ!みんな、いい返事!
すると、被服室のドアが、ガラッと開いた。
「遅れてごみんなさーい!なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」
「笑里奈様!集合時間に遅れてるんじゃありませんの!てか、つまらないギャグを、言わないでくださる!?」
比奈多さん、そんなに怒らないでください・・・・・・。あれ?笑里奈さん、そのふくろ、なにが入ってるんですか?
私が不思議そうに指さすと、笑里奈さんは二カッと笑った。
「いいことに気付いたな、春間さん!あたいの家がお好み焼屋やろ?そいで、あたいが人数分、お好み焼きをつくってきたんや!ま、徹夜して、つくったんやけどな!二ヒ二ヒ。」
「おぉー!」
みんなは歓声を上げた。
「早くあたしにもちょうだい!」
「私にもー!」
大勢の女子が、どんどん笑里奈さんのところに集まってくる。
「はいはい。ちゃーんと一列に並んでや~。」
私も並ぼうっと。
それを見た、比奈多さんが顔を横に向けた。
「ふん。今さらお好み焼きを食べるなんて、ありえませんわ。わたくし、朝食を食べてきましたから、昼食が入りませんわ。」
そんなに怒っている比奈多さんのうでを、笑里奈さんがぐいっとひっぱった。
「まぁまぁ。そんなに文句を言わんで、早く熱いうちに食べてや。」
そう言いながら、笑里奈さんはお好み焼きが入ったパックと、わりばしを比奈多さんに見せた。
そしたらまた、比奈多さんは顔を横に向けた。
「いやですわ。朝食は、わたくしの大好物、高級ロブスターを食べてきましたから、昼食の和牛ステーキ、まっちゃのムースが入りませんわ。」
あのう。取ってもよろしいでしょうか?
「ええよ!」
やったぁ!
私はお好み焼きが入ったパックと、わりばしをもって、すわった。
うわぁ。おいしそ~!
ゔう!よだれがとまらん!
あぁ、がまんできない、どうしよ~!
ええい、開けてやるぅ!
私は輪ゴムをとって、パックを開けた。
うわぁ!すっごい湯気がたってるぅ!
では、いただきます。
私はわりばしをわって、お好み焼きの一部を切って食べた。
んん!この味は!
ソースがこゆくて、いかとたこがまるで、仲良くあそんでいて、豚肉とキムチがよく合って、食感がふわふわっていう、感じがしてくるぅ!
もう、こりゃあたまらーん!
私はいきおいよく、お好み焼きを全部食べた。
「えぇ!?真莉亜様が完食なさったんですか!?」
比奈多さんが驚いている。
「ん~。ほっぺたが落ちますぅ♡」
「ソースが香ばしい~♡」
なぎささんと雪さんが、おいしそうに食べている。
それを見た、比奈多さんは、つばをごくんとのんだ。
「さぁ、食べてみ。」
笑里奈さんが比奈多さんの前にお好み焼きが入ったパックとわりばしをもってきた。
お好み焼きのにおいがただよってきて、そのにおいを比奈多さんが鼻をふくらませてにおった。
「んん~。なんて、いいにおいでしょ~。あっ、ダメですわ、わたくし!お好み焼きを見ては・・・・・・。」
それから、比奈多さんはお好み焼きをじーと見つめた。
「もう、おいしそうでたまりませーん!」
比奈多さんはお好み焼きが入ったパックと、わりばしを取り上げて、輪ゴムを外して、わりばしをパキッとわって、お好み焼きの一部を食べた。」
「んー!これが、お好み焼きという、すばらしい味ですね!」
え?今、これがって言った?
「真莉亜様。実は比奈多様はお好み焼きを食べたの、初めてなんです。」
え~!?
「え~!?」
あ、みんなも知らなかったんだ。
「えぇ。わたくし、海外料理しか食べたことがないので、こんな和食を食べたの、初めてですわ。」
比奈多さんが笑顔で口をハンカチでふきながら言った。
「よーし!みなさん、正々堂々と、がんばりますわよ!」
「おー!」
☆
運動会が始まった。
最初は男子50メートル走では、2年生は一位、3年生は二位、1年生は三位という結果になりました。
続いて、女子五十メートル走では、3年生が一位、一年生が二位、二年生が三位という、結果になりました。
さらに、女子チャンス競技では、二年生が一位、一年生が二位、3年生が三位という、ものすごーい結果になりました。
続いて、男子チャンス競技では、二年生が一位、一年生が二位、三年生が三位という、結果になりました。
さらに、昔ながらのパン食い競争(?)では、二年生代表として、雪さんが出場して、みごと、一位に輝きました。
続いて、学年対抗玉入れでは、一年生が23個、二年生が26個、三年生が二十五個という、結果になりました。
その他、一年生のダンスがあり、二年生のダンスもあり、三年生の組み体操があって、PTAの玉入れで、運動会の前半が終わりました。
その結果はなんと、一年生140点、二年生260点、三年生が190点という、すばらしい結果になりました!
そして、昼食の時間。
「真莉亜。アンカー、がんばってね。」
「うん!」
私はナポリタンを食べながら、うなずいた。
「おまたせ~。」
あっ、おばあちゃん!おそかったねぇ。
「もう、新幹線が遅くて。やっと来たら、もう、開会式が始まっていたんや。そんでな、友達と玉入れの時、話をしてたんや。」
「友達?」
お母さんと琉理とお父さんが、首をかしげた。
おばあちゃんはにこにこ笑いながら、レジャーシートに腰をおろした。
「ねぇ。友達って、まさか・・・・・・。」
私がひそひそ声で話すと、おばあちゃんはにこにこ笑いながら、口を動かした。
「ルクト。」
おばあちゃんがそう言って、ひそひそ声でしゃべった。
あぁ。ルクトさんとおばあちゃんって、昔ながらの知り合いだったっけ?
「ルクトに聞いたで。あんた、アンカー走るんやろ?」
そ・・・・・・そうだけど。
「がんばれや。」
ありがとう、おばあちゃん!
「お義母さん。お弁当、食べますか?」
お父さんがおばあちゃんの前に紙皿と、温かい緑茶が入った、紙コップを出した。
「ありがとう。」
おばあちゃんが笑顔で、紙皿と、温かい緑茶が入った、紙コップを取った。
「おばあちゃん、はし!」
瑠理がおばあちゃんの前にはしを差し出した。
「ありがとう。琉理は来年、中学生になるやねぇ。」
「うん!」
琉理が笑顔で、うなずいた。
「なつかしいなぁ。おばあちゃんはな、中学校の入学式の時に、おじいちゃんと出逢って、そのまんま、付き合ったんやで。まーさーかー、琉理は恋人がいるんちゃうの?」
おばあちゃんの言葉で、琉理は顔がりんごみたいに赤くなった。
「い、いないよ!」
「本当はいるくせにぃ。おばあちゃん、琉理の彼氏の名前、言うよ!名前は・・・・・・。」
「あー!!お姉ちゃん、言わないでぇ!!」
「いいじゃん、言って。」
「よくなーい!!」
「真莉亜!そんなに人をからかったら、だめよ!」
お母さんが私に向かって、怒鳴った。
「はーい。」
私はしょぼーんとした。
「真莉亜さーん!」
向こうから、声が聞こえた。
向こうを見ると、きららさんが走っている姿が見えた。
「きららさん!」
私が言ったと同時に、きららさんは私の前でとまって、ひじに両手をつけて、息をはぁはぁしている。
どうしたんですか!?
「比奈多が・・・・・・比奈多が小春とけんかしてるの!」
えぇ!?なんでですか!?
「得点表を比奈多が上機嫌で見つめていたら、小春がやって来て、「あたし、アンカーの春間真莉亜をぐったんぐったんにする方法、考えたから、黙って見ときなさいよ!」って言って、それで比奈多がブチ切れて・・・・・・。」
きららさんは、とめなかったんですか!?
「あたり前じゃない!だって私と比奈多の会社、ライバルだから、本当はとめようっと思ったんだけど、パパが、「無視しとけ。」って言って・・・・・・。」
きららさんはものすごく、あわてている。
「とりあえず、私について来て!」
はい!
「真莉亜、もう、いらないの?」
「うん!だって今、大変なことが起きてるんだよ!ほっといていられるもんか!」
「え・・・・・・。」
お母さんが目を丸くしている。
そして、私はくつを履いて、きららさんと一緒に走った。
私達は、真っ直ぐ走って、得点表に着いた。
うわぁ。大勢の人が集まってるよぉ。
あ、ジュンブライトとマドレーヌちゃんとリリアさんとルクトさんもいる。
「どいてくださーい。」
「すみませーん。」
私達は次々、人に声をかけると、次々にどいてくれた。
そして、私達は比奈多さんと小春さんの前にたどり着いた。
「あたし達がせっかく、がんばってきたのに、なんなのよ、この点数!」
「点数は関係ないですわ!ただ、よーく、私達の真莉亜様をうらんでますね!」
うわぁ。すっごい言い合いになってるよぉ。
「うらんでるわよ!潤様をひとりじめにするからよ!」
いや・・・・・・。ひとりじめ、してないんですけどぉ。
「ひとりじめ?そんな真莉亜様が潤様をひとりじめする方じゃないですわ!真莉亜様と潤様は、いとこですわ!」
比奈多さん・・・・・・。
「ふん!そんなうそ、言わないでくれる?午後はあたし達が春間真莉亜をギッタンギッタンにするから!」
「そんなの、させるもんですか!」
ど・・・・・・どうしよう!二人とも、むっちゃくっちゃ、けんかしてるよぉ!
「比奈多、やめて!」
きららさんがとめた。
「いやですわ!ライバルにそんなこと、言われたくないですわ!」
あぁ。先生、早く来てぇ~!
「ええーい!どいたどいたぁ!」
赤いジャージを着た、男の人が次々と人をどいてゆく。
「すみませーん。」
次は髪の色が茶色で、紙が長い美人で、白いジャージを着ている、女の人が次々と人をどいてゆく。
そして二人は、比奈多さん達の前へ。
比奈多さんと小春さんは、目を点にして、なぞの二人を見た。
「尾希田先生!」
「佐藤先生!」
そう、その二人とは、尾希田先生と佐藤先生だった!
あぁ!先生、来てくださったぁ!
「月野!後輩にそんなこと言われたら、なぜ無視することができんのか!」
「すみません・・・・・・。」
比奈多さんが先生に向かって、おしぎをした。
尾希田先生の怒鳴り声、初めて聞いた・・・・・・。
「桐崎さん、先輩にそんなこと言ったら、ダメって言ったんじゃありませんか。」
「はい・・・・・・。」
小春さんはしゅんと、顔になった。
「今回は二人が悪い。いいか?今日は反省しながら、帰るんだぞ。」
「はーい・・・・・・。」
しょんぼりしながら、二人は人の周りを通り抜けた。
そして、先生が私達の方を見た。
「お前達。もう少しで後半だから、準備しろ。」
「はい。」
☆
「『今から、第63回花田中学校、運動会の後半戦を、開始します。プログラム20番、部活動対抗リレーです。』」
放送がグラウンドに響き渡る。
「大丈夫ですか?比奈多様。」
あれ?比奈多さんが泣いてる。どうしたんだろ。
「気にしないでください。桐崎さんの言い方が、悪かっただけですから。」
「いいえ!わたくし達の仲間を傷つけたんですよ!それだけでわたくし、わたくし・・・・・・。」
その後、比奈多さんは嘆き悲しんだ。
比奈多さん・・・・・・。よほど、私をかばったんだ。
最初は、私の人見知りをバカにしてたのに・・・・・・。
「比奈多。」
そのきれいな声は・・・・・・。
「芽依奈さん!」
そっかぁ!芽依奈さん、体が弱いから、運動会、欠席したんだぁ!
だから、生徒会長の話では、副会長さんが話してたんだぁ!
「お姉・・・・・・様。」
ひくひくと、言う声を出しながら、比奈多さんの方を振り向いた。
「確かに。さっきのけんかは、両方悪かったですよ。けど、あたくしはあなたが悪くないと、思ってますよ。なぜなら、真莉亜様をかばったからですよ。」
「お姉様ぁぁぁぁぁ!」
比奈多さんの目から涙があふれ出して、それから芽依奈さんにだきついた。
「円花先輩、まってくださーい!」
「わわわわわ!」
後ろでくるみちゃんが、マドレーヌちゃんを追いかけている。
・・・・・・いいふんいきだったのに。
☆
その前に、二年生の女子だけ、被服室に集まって、翼さんからの手紙を、比奈多さんが読むことになりました。
「『二年生の女子のみなさんへ。
いよいよ本番ですね。
あたしはリハビリでこられませんが、リハビリをがんばりながら、応えんします。
たとえ、一年生、三年生に負けても、あたしはみなさんを信じます。
だから、あたしの分まであきらめず、がんばってください。
ここにあたしがいると思って!
翔翼より』。」
うゔ・・・・・・。涙があふれてきたー!
「みな様、翼さんの分までがんばりましょう。負けたら翼様が、とてもショックを受けますからね!」
「はい!」
おぉ!みんな、いい返事!
すると、被服室のドアが、ガラッと開いた。
「遅れてごみんなさーい!なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」
「笑里奈様!集合時間に遅れてるんじゃありませんの!てか、つまらないギャグを、言わないでくださる!?」
比奈多さん、そんなに怒らないでください・・・・・・。あれ?笑里奈さん、そのふくろ、なにが入ってるんですか?
私が不思議そうに指さすと、笑里奈さんは二カッと笑った。
「いいことに気付いたな、春間さん!あたいの家がお好み焼屋やろ?そいで、あたいが人数分、お好み焼きをつくってきたんや!ま、徹夜して、つくったんやけどな!二ヒ二ヒ。」
「おぉー!」
みんなは歓声を上げた。
「早くあたしにもちょうだい!」
「私にもー!」
大勢の女子が、どんどん笑里奈さんのところに集まってくる。
「はいはい。ちゃーんと一列に並んでや~。」
私も並ぼうっと。
それを見た、比奈多さんが顔を横に向けた。
「ふん。今さらお好み焼きを食べるなんて、ありえませんわ。わたくし、朝食を食べてきましたから、昼食が入りませんわ。」
そんなに怒っている比奈多さんのうでを、笑里奈さんがぐいっとひっぱった。
「まぁまぁ。そんなに文句を言わんで、早く熱いうちに食べてや。」
そう言いながら、笑里奈さんはお好み焼きが入ったパックと、わりばしを比奈多さんに見せた。
そしたらまた、比奈多さんは顔を横に向けた。
「いやですわ。朝食は、わたくしの大好物、高級ロブスターを食べてきましたから、昼食の和牛ステーキ、まっちゃのムースが入りませんわ。」
あのう。取ってもよろしいでしょうか?
「ええよ!」
やったぁ!
私はお好み焼きが入ったパックと、わりばしをもって、すわった。
うわぁ。おいしそ~!
ゔう!よだれがとまらん!
あぁ、がまんできない、どうしよ~!
ええい、開けてやるぅ!
私は輪ゴムをとって、パックを開けた。
うわぁ!すっごい湯気がたってるぅ!
では、いただきます。
私はわりばしをわって、お好み焼きの一部を切って食べた。
んん!この味は!
ソースがこゆくて、いかとたこがまるで、仲良くあそんでいて、豚肉とキムチがよく合って、食感がふわふわっていう、感じがしてくるぅ!
もう、こりゃあたまらーん!
私はいきおいよく、お好み焼きを全部食べた。
「えぇ!?真莉亜様が完食なさったんですか!?」
比奈多さんが驚いている。
「ん~。ほっぺたが落ちますぅ♡」
「ソースが香ばしい~♡」
なぎささんと雪さんが、おいしそうに食べている。
それを見た、比奈多さんは、つばをごくんとのんだ。
「さぁ、食べてみ。」
笑里奈さんが比奈多さんの前にお好み焼きが入ったパックとわりばしをもってきた。
お好み焼きのにおいがただよってきて、そのにおいを比奈多さんが鼻をふくらませてにおった。
「んん~。なんて、いいにおいでしょ~。あっ、ダメですわ、わたくし!お好み焼きを見ては・・・・・・。」
それから、比奈多さんはお好み焼きをじーと見つめた。
「もう、おいしそうでたまりませーん!」
比奈多さんはお好み焼きが入ったパックと、わりばしを取り上げて、輪ゴムを外して、わりばしをパキッとわって、お好み焼きの一部を食べた。」
「んー!これが、お好み焼きという、すばらしい味ですね!」
え?今、これがって言った?
「真莉亜様。実は比奈多様はお好み焼きを食べたの、初めてなんです。」
え~!?
「え~!?」
あ、みんなも知らなかったんだ。
「えぇ。わたくし、海外料理しか食べたことがないので、こんな和食を食べたの、初めてですわ。」
比奈多さんが笑顔で口をハンカチでふきながら言った。
「よーし!みなさん、正々堂々と、がんばりますわよ!」
「おー!」
☆
運動会が始まった。
最初は男子50メートル走では、2年生は一位、3年生は二位、1年生は三位という結果になりました。
続いて、女子五十メートル走では、3年生が一位、一年生が二位、二年生が三位という、結果になりました。
さらに、女子チャンス競技では、二年生が一位、一年生が二位、3年生が三位という、ものすごーい結果になりました。
続いて、男子チャンス競技では、二年生が一位、一年生が二位、三年生が三位という、結果になりました。
さらに、昔ながらのパン食い競争(?)では、二年生代表として、雪さんが出場して、みごと、一位に輝きました。
続いて、学年対抗玉入れでは、一年生が23個、二年生が26個、三年生が二十五個という、結果になりました。
その他、一年生のダンスがあり、二年生のダンスもあり、三年生の組み体操があって、PTAの玉入れで、運動会の前半が終わりました。
その結果はなんと、一年生140点、二年生260点、三年生が190点という、すばらしい結果になりました!
そして、昼食の時間。
「真莉亜。アンカー、がんばってね。」
「うん!」
私はナポリタンを食べながら、うなずいた。
「おまたせ~。」
あっ、おばあちゃん!おそかったねぇ。
「もう、新幹線が遅くて。やっと来たら、もう、開会式が始まっていたんや。そんでな、友達と玉入れの時、話をしてたんや。」
「友達?」
お母さんと琉理とお父さんが、首をかしげた。
おばあちゃんはにこにこ笑いながら、レジャーシートに腰をおろした。
「ねぇ。友達って、まさか・・・・・・。」
私がひそひそ声で話すと、おばあちゃんはにこにこ笑いながら、口を動かした。
「ルクト。」
おばあちゃんがそう言って、ひそひそ声でしゃべった。
あぁ。ルクトさんとおばあちゃんって、昔ながらの知り合いだったっけ?
「ルクトに聞いたで。あんた、アンカー走るんやろ?」
そ・・・・・・そうだけど。
「がんばれや。」
ありがとう、おばあちゃん!
「お義母さん。お弁当、食べますか?」
お父さんがおばあちゃんの前に紙皿と、温かい緑茶が入った、紙コップを出した。
「ありがとう。」
おばあちゃんが笑顔で、紙皿と、温かい緑茶が入った、紙コップを取った。
「おばあちゃん、はし!」
瑠理がおばあちゃんの前にはしを差し出した。
「ありがとう。琉理は来年、中学生になるやねぇ。」
「うん!」
琉理が笑顔で、うなずいた。
「なつかしいなぁ。おばあちゃんはな、中学校の入学式の時に、おじいちゃんと出逢って、そのまんま、付き合ったんやで。まーさーかー、琉理は恋人がいるんちゃうの?」
おばあちゃんの言葉で、琉理は顔がりんごみたいに赤くなった。
「い、いないよ!」
「本当はいるくせにぃ。おばあちゃん、琉理の彼氏の名前、言うよ!名前は・・・・・・。」
「あー!!お姉ちゃん、言わないでぇ!!」
「いいじゃん、言って。」
「よくなーい!!」
「真莉亜!そんなに人をからかったら、だめよ!」
お母さんが私に向かって、怒鳴った。
「はーい。」
私はしょぼーんとした。
「真莉亜さーん!」
向こうから、声が聞こえた。
向こうを見ると、きららさんが走っている姿が見えた。
「きららさん!」
私が言ったと同時に、きららさんは私の前でとまって、ひじに両手をつけて、息をはぁはぁしている。
どうしたんですか!?
「比奈多が・・・・・・比奈多が小春とけんかしてるの!」
えぇ!?なんでですか!?
「得点表を比奈多が上機嫌で見つめていたら、小春がやって来て、「あたし、アンカーの春間真莉亜をぐったんぐったんにする方法、考えたから、黙って見ときなさいよ!」って言って、それで比奈多がブチ切れて・・・・・・。」
きららさんは、とめなかったんですか!?
「あたり前じゃない!だって私と比奈多の会社、ライバルだから、本当はとめようっと思ったんだけど、パパが、「無視しとけ。」って言って・・・・・・。」
きららさんはものすごく、あわてている。
「とりあえず、私について来て!」
はい!
「真莉亜、もう、いらないの?」
「うん!だって今、大変なことが起きてるんだよ!ほっといていられるもんか!」
「え・・・・・・。」
お母さんが目を丸くしている。
そして、私はくつを履いて、きららさんと一緒に走った。
私達は、真っ直ぐ走って、得点表に着いた。
うわぁ。大勢の人が集まってるよぉ。
あ、ジュンブライトとマドレーヌちゃんとリリアさんとルクトさんもいる。
「どいてくださーい。」
「すみませーん。」
私達は次々、人に声をかけると、次々にどいてくれた。
そして、私達は比奈多さんと小春さんの前にたどり着いた。
「あたし達がせっかく、がんばってきたのに、なんなのよ、この点数!」
「点数は関係ないですわ!ただ、よーく、私達の真莉亜様をうらんでますね!」
うわぁ。すっごい言い合いになってるよぉ。
「うらんでるわよ!潤様をひとりじめにするからよ!」
いや・・・・・・。ひとりじめ、してないんですけどぉ。
「ひとりじめ?そんな真莉亜様が潤様をひとりじめする方じゃないですわ!真莉亜様と潤様は、いとこですわ!」
比奈多さん・・・・・・。
「ふん!そんなうそ、言わないでくれる?午後はあたし達が春間真莉亜をギッタンギッタンにするから!」
「そんなの、させるもんですか!」
ど・・・・・・どうしよう!二人とも、むっちゃくっちゃ、けんかしてるよぉ!
「比奈多、やめて!」
きららさんがとめた。
「いやですわ!ライバルにそんなこと、言われたくないですわ!」
あぁ。先生、早く来てぇ~!
「ええーい!どいたどいたぁ!」
赤いジャージを着た、男の人が次々と人をどいてゆく。
「すみませーん。」
次は髪の色が茶色で、紙が長い美人で、白いジャージを着ている、女の人が次々と人をどいてゆく。
そして二人は、比奈多さん達の前へ。
比奈多さんと小春さんは、目を点にして、なぞの二人を見た。
「尾希田先生!」
「佐藤先生!」
そう、その二人とは、尾希田先生と佐藤先生だった!
あぁ!先生、来てくださったぁ!
「月野!後輩にそんなこと言われたら、なぜ無視することができんのか!」
「すみません・・・・・・。」
比奈多さんが先生に向かって、おしぎをした。
尾希田先生の怒鳴り声、初めて聞いた・・・・・・。
「桐崎さん、先輩にそんなこと言ったら、ダメって言ったんじゃありませんか。」
「はい・・・・・・。」
小春さんはしゅんと、顔になった。
「今回は二人が悪い。いいか?今日は反省しながら、帰るんだぞ。」
「はーい・・・・・・。」
しょんぼりしながら、二人は人の周りを通り抜けた。
そして、先生が私達の方を見た。
「お前達。もう少しで後半だから、準備しろ。」
「はい。」
☆
「『今から、第63回花田中学校、運動会の後半戦を、開始します。プログラム20番、部活動対抗リレーです。』」
放送がグラウンドに響き渡る。
「大丈夫ですか?比奈多様。」
あれ?比奈多さんが泣いてる。どうしたんだろ。
「気にしないでください。桐崎さんの言い方が、悪かっただけですから。」
「いいえ!わたくし達の仲間を傷つけたんですよ!それだけでわたくし、わたくし・・・・・・。」
その後、比奈多さんは嘆き悲しんだ。
比奈多さん・・・・・・。よほど、私をかばったんだ。
最初は、私の人見知りをバカにしてたのに・・・・・・。
「比奈多。」
そのきれいな声は・・・・・・。
「芽依奈さん!」
そっかぁ!芽依奈さん、体が弱いから、運動会、欠席したんだぁ!
だから、生徒会長の話では、副会長さんが話してたんだぁ!
「お姉・・・・・・様。」
ひくひくと、言う声を出しながら、比奈多さんの方を振り向いた。
「確かに。さっきのけんかは、両方悪かったですよ。けど、あたくしはあなたが悪くないと、思ってますよ。なぜなら、真莉亜様をかばったからですよ。」
「お姉様ぁぁぁぁぁ!」
比奈多さんの目から涙があふれ出して、それから芽依奈さんにだきついた。
「円花先輩、まってくださーい!」
「わわわわわ!」
後ろでくるみちゃんが、マドレーヌちゃんを追いかけている。
・・・・・・いいふんいきだったのに。
☆
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【コミカライズ決定】婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です
灰銀猫
恋愛
両親と妹にはいない者として扱われながらも、王子の婚約者の肩書のお陰で何とか暮らしていたアレクシア。
顔だけの婚約者を実妹に奪われ、顔も性格も醜いと噂の辺境伯との結婚を命じられる。
辺境に追いやられ、婚約者からは白い結婚を打診されるも、婚約も結婚もこりごりと思っていたアレクシアには好都合で、しかも婚約者の義父は初恋の相手だった。
王都にいた時よりも好待遇で意外にも快適な日々を送る事に…でも、厄介事は向こうからやってきて…
婚約破棄物を書いてみたくなったので、書いてみました。
ありがちな内容ですが、よろしくお願いします。
設定は緩いしご都合主義です。難しく考えずにお読みいただけると嬉しいです。
他サイトでも掲載しています。
コミカライズ決定しました。申し訳ございませんが配信開始後は削除いたします。
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
私の婚約者は、ヒロインに選ばれずに領地へお戻りになり、そして私に求婚する予定(らしい) です。
凪鈴蘭
恋愛
乙女ゲーム、それには何人かの攻略対象がいるだろう。
それぞれのキャラのルートがいくつもあるのは当然。だがここは、
誰もが現実世界を生きる、アンジャベル帝国。ならばルートがあるとすれば、それはただ一つのみ。
王立魔法学院に通い、子爵令嬢であるジェンティアナは中等部の卒業試験にて、ここが乙女ゲームの世界であることに気がついた。
そして、この試験の成績上位者になれば攻略対象の一人との婚約が確約することも。
彼女は中等部生であるが、ゲームの本編が始まるのは学院の高等部から。ジェンティアナは公爵家の婚約者であるために、中等部で学院を卒業し、これから花嫁修業を公爵領でつまなければならない。
前世の世界では乙女ゲームの大ファンであったので、婚約者であるレシュノルティアにヒロインが近づく機会があったかどうか、探るが、彼にはそれらしい影はない。そして彼は、選ばれずに彼の地へただただ帰ってきた。
そして私に、ありえないひと言を発する。
※タイトル変更いたしました。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる