ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第二十九話 「集結!ヴァンパイアクラブ!」

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「『内村航平、金メダルー!』」

やったぁ!内村選手、我が日本のためにメダル、とってくれた!しかも金だよ、金!
こりゃ、涙があふれてきました。

「真莉亜、ちょっと来て~。」

んもう、これからいいとこだってのに!
私はテレビを消した。

「なあに、お母さん。」

「ちょっとぉ、頼みたいことがあってぇ♡」

な、なにこの笑顔!なにか両手を後ろに隠してるし。
ま・・・・・・まさか!

「じゃじゃーん!」

お母さんが私の前に出したのは、買い物かごとおさいふと、メモ。

「夕ご飯の材料、買ってきてくれない?カレーだけど。」

えっ、えっ、えぇ~!?
そんなの、無理に決まってるよぉ!だって外、あついし。

「夏休みの宿題でしょ?」

それは、琉理ぐらいです。

「あっそう。じゃあ、琉理に頼もうかしら?そのかわり、おこづかい、ないけれど。」

か・・・・・・買いに行けばいいでしょ、買いに行けばぁ!

「ありがとう。さすが、中学生ねっ。」

と、お母さんは私に向けて、左目だけ、ウインクをした。





「毎度あり!」

えっと、最後はスーパーで、カレールーをっと。

あった!うさぎが目印の、『ラビットスーパー』。

「ありがとうございました。」

さーてと、家に帰って、オリンピックを観よう。

「あのう!」

ん?後ろから、男性の声がした?
後ろをふりかえすと・・・・・・。
な・・・・・・なんと、ジュンブライトより、美形の顔の美男が!
顔は美形で、髪型は黄色くて、ジュンブライトと同じ髪型で、スーツを着ていて、背が高い男の人。
って、なにを持ってるんだろ、この人。
ん?あー!

「カレールー!」

私、カレールー、おいてきてしまったんだ!

「うわぁ。ありがとうございますっ!」

「いいえ。どういたしまして。」

うわぁ。笑顔、すてきぃ~♡
ドキドキ。
ゔ!!心臓が、鳴り始めたぁ!
で・・・・・・でも、私の好きな人は、ジュンブライト、ジュンブライトだぁー!

「君の名前は?」

「は・・・・・・春間真莉亜です。中学二年生ですっ!」

「真莉亜か・・・・・・。いい名前だね。」

かぁ!初めて人から、いい名前だねって、言われました!

「僕は、合沢。よろしくね。」

「合沢・・・・・・いい名前ですね。」

「ありがとう。で、真莉亜ちゃん、ちょっといい?」

はいはい、なんでしょうか?

「ヴァンパイアクラブに、入らない?」

ヴァンパイア・・・・・・クラブって?

「ヴァンパイアクラブとは、ヴァンパイアのことを勉強する、つまり塾みたいな習い事かな。僕はそのクラブの先生をやってるんだ。現在、5人をスカウトして、入っているけど・・・・・・。真莉亜ちゃん、どう?」

私、それいいかも!だって、ジュンブライト達と今後、どうやって生活できるか分かるし、ジュンブライトを誘うことができるし!黒月潤として!

「入ります!あと、いとこもいいですか?男子ですけど。」

「なぬ?」

ひぃぃぃ!いままで輝いていた合沢さんの笑顔が消えて、こわーい顔になってるし。
・・ ・ ・
「ヴァンパイアクラブは、女子のみ、入会できます。男子は、ダメです!」

そんなぁ~。

「ふっ。」

ど、どうしたんですか、合沢さん。

「ごめんね、真莉亜ちゃん。でもこれ、入会資格なんだ。ほかに、質問は?」

あのう。にゅうかいのお金は・・・・・・。
 タダ
「無料だよ。」
タダ
また、無料~!?うっれし~い♡

「あはははは。親の許可を、もらってね。じゃあ明日、旧花田公民館でね。」

「あっ、はい!」

そう言って、合沢さんは笑顔で帰っちゃった。
それにしても、かっこよくて、優しかったなぁ。





うふふふふ。今日は、イケメンに出会えて、いい日になりました♡

「真莉亜。どうしたの?そんなにニヤケて食べながら。」

あのねお母さん。イケメンに出会ったんだ♡

「えぇ!?その人、小栗旬似だった!?」

いや、そうでもなかったよ。てか、お母さんったらすぐ、イケメンの話をすると、大好きな小栗旬と比べるんだから!


「あと、黒月潤っていう子、福山に似ているわよね。」

あぁ、たしかに髪型が。って、なんでジュンブライトの話をするの。
あー!あれ、言わなくちゃ。

「お母さん。それでね、イケメンさんがね、ヴァンパイアクラブっていう塾みたいなのに入らないかって。」

「いいけど・・・・・・。入会するお金、かかりそうじゃない?」

「確かに。」

お母さんとお父さんが、私の顔を見て、聞いた。
タダ
「それがぁ、無料なの♡」
 タダ
「無料~!?」

なあに、そんなにみんな、驚いちゃって・・・・・・。

「すっごーい!私、お姉ちゃんと入る!」

はぁ?あんたが入ってどうするの。

「だってそこの先生、イケメンなんでしょ?」

それが目的で・・・・・・。
「いいじゃない真莉亜。初めての姉妹で通う習い事よ。」

はぁー。せっかく、一人で行こうと思ってたのにぃ。
トゥゥゥル。
ろう下の電話が鳴って、お母さんはろう下の方に飛び出し、電話をとった。

「はい、春間ですけど・・・・・・。あー、はいはい。ちょっとまってね。真莉亜、電話よ。」

誰からなんだろ?

「お電話代わりました、春間真莉亜です。」

「『真莉亜、こんばんはー。』」

その声は・・・・・・。

「氷野冬香ちゃん!」

しまった!また久しぶりに、フルネームで言ってしまった!

「『ぷはははは!もう、真莉亜らしいね!』」

氷野冬香・・・・・・いや、冬香は、私とジュンブライトと同じクラスの子で、なんと、3歳からフィギアスケートをしているんだ!で、テレビでは、未来の浅田真央って呼ばれていて、背も高いし、黒色のおだんごヘアをしている、私の最近できたばっかの友達だよ!

「んで、どうしたの?こんな遅くまでに電話して。」

「『えへへ。実は、イケメンさんから、スカウトされたの♡』」

えー!?それ、私もだよ!ヴァンパイアクラブっていうのでしょ?

「『うんうん!よかったぁ、真莉亜と一緒で!』」

うん。でも冬香、フィギアスケート教室、行かなくていいの?

「『大丈夫!合沢さんが、習い事がない日に来てって言われたの!それに明日、木曜日だし、スケートないし。』」

あぁ!それ、冬香にぴったりだね!

「『でしょ~?合沢さん、優し~い♡じゃあ、また明日。』」

「うん。また明日。」

私は電話を切った。
明日、楽しみだなぁ。





次の日。今日がヴァンパイアクラブの活動が始まる日。
うわぁ、ドキドキしちゃうなぁ!
かわいい服も着たし、かわいいバックもしょったし、勉強道具ももったし、さぁ、行こう!

「琉理、行くよ~!」

私は部屋にいる琉理に声をかけた。

「ちょっとまってぇ!今、勉強道具を探しているんだから!」

勉強道具?そんなの、ランドセルにあるでしょ?

「んーや、ないの!」

あーもう!早くして!

「ちょっと!開けないで!」

・・・・・・もう、開けてますけど。
って、何この部屋!ちらかってるじゃない!

「だって、どこにおいてあったか、わからないんだもん!」

「真莉亜~、氷野さんが来たわよ~!」

え?冬香が?それより琉理、早くしてよ。

「もう見つけた。」

じゃあ、早くバックに入れて、さっさと行くよ!

「はーい。」

私は、琉理の手をひいて、階段をおりて、くつをはいて、ドアを開けると、そこには冬香と見知らずの女の子がいた。

「真莉亜、おはよう!」

お・・・・・・おはよう。って、冬香、その女の子、誰?

「あぁ。真莉亜、初対面だったね。この子、うちの妹の雪子。年長さん。ほら雪子。真莉亜と琉理ちゃんに、初めましてっは?」

冬香が言いかけると、雪子ちゃんは冬香の後ろに隠れた。

「ごめんね。うちの子、人見知りなんだ。」

あっ!私の小さいころと同じだ。

「えっ。真莉亜も人見知りだったの?」

うん。

「そっかぁ~。じゃあ、行こっか。」

うん!
こうして私達は、花田町の旧公民館までむかった。

「そういえば冬香。外国出勤中の両親に伝えたの?」

「うん。電話でねっ。」

今、どこにいるの?両親は。

「イギリス。」

え~!?イギリスぅ~!?生オリンピック、観たの!?

「観るわけないでしょ。うちの親、有名なジャーナリストだもん。」

そうだった!すっかり忘れてた!

「もう着いたよ。」

うわぁ~。ボロくて、お化け屋敷みたーい。

「でしょ。ここ、五十七年前からできて、十三年前につぶれたんだよ。」

へぇー。

「さぁ、入ろう。」

ガラッ。
冬香がドアを開けた。
うわぁ!くつ、5個ある!てことは・・・・・・。
私達4人入れて、9人だ!
中に入って見ると・・・・・・。

「あら。真莉亜様と冬香様。あなた達も、入会したの?」

その声は・・・・・・。

「比奈多さん!」

「比奈多!」

「こんなところに出会うなんて、ぐうぜんですわね。」

「そうよ、そうよ。」

なぎささんに、雪さん!
ってことは、残りの人達は・・・・・・。

「そう。ほかの学校の人達ですわよ。」

ほかの学校の人達だったんだ!見知らぬ人達かと、最初から思った。
ガラッ。
コツコツコツ。
ブーツのかかとの音が聞こえる。
うわぁ。かっこいい女の人だぁ!
メガネをかけていて、スーツを着ていて、髪がサイドロールで、するどい目をした女の人が現れた。
もしかして、もしかすると!教えるのは合沢さんではなく、この女の人に教えてもらうのぉ!?
そんなの、絶対嫌です!

「なにが嫌だって?」

その美しい若き声は!

「合沢さん!」

女子の反応、すごすぎます!

「こちらは、小学生、幼児部を担当してくれる、手塚さんです。」

「手塚です。よろしく。」

と、手塚さんは私達の方をむいて、ぺこり。
なあんだ。琉理と雪子ちゃんの担当の先生かぁ。

「じゃあ、春間さん、氷野さん。手塚さんの後について、2階へと行ってください。」

「はい・・・・・・。」

「さぁ、二人とも。行くわよ。」

二人は手塚先生の後について、2階へとのぼった。
あれ?二人とも、頭下げながらのぼってるよ。
もしかして二人とも、合沢さんと一緒に、勉強したかったのかもね。
乙女心は、すごすぎます。

「さぁ始めましょう。」

「はーい♡」

女子は勉強ではなく、合沢さんに夢中すぎ。





「ヴァンパイアは、血がとても大好物です。」

知ってます。けど、近くで見ると合沢さん、かっこいいです♡

「もし近づいて来たら、十字架をヴァンパイアに見せてください。」

あれ?合沢さん。右手、ひかってますよ。

「あぁ。これ、日焼け止めぬりすぎたから。」

ドッキューン!
ナイスイケメンスマイルー!

「キャー!ステキィ~!」

こらこらあんた達。合沢さんじゃなくて、勉強に集中しな・・・・・・。
キラキラ。
さい。
ドッキューン!!
春間真莉亜、合沢さんのこと、好きになりました♡





どうしよう・・・・・・。どうやって告ろうかな?
やっぱ、「好きです。付き合ってください!」とか?
んーや!それは地味すぎるから・・・・・・。

「真莉亜さん。どうしたんですか?」

階段の方から声が聞こえた。
ふりかえってみると・・・・・・。

「合沢さん!」

階段にたむろしている合沢さんの姿、かっこいいです!

「まだ帰ってなかったんだ。」

「あ・・・・・・はい。」

って、合沢さん、階段におりてキター!

「あ・・・・・・あの・・・・・・。」

「どうした?」

「合沢・・・・・・さんにひとめぼれしました!よかったら私と、付き合ってください!

ひゃあー、とうとう言ってしまったぁー!

「ぷっ。」

急に合沢さんが訳もなく笑った。

「ぷははははは!君、かわいいね。ОKだよ。」

ほ、本当に?

「そ。これから、よろしくお願いします。」

と、合沢さんは、私の方を向いて。ぺこり。

や・・・・・・やったぁ!私、なんて運がいい女の子なんでしょー♡

「それじゃあ、土曜日、デートしよう。」

う~ん・・・・・・。あっ!遊園地とかはどうです?

「いいね。じゃあ、土曜日にね。真莉亜。」

合沢さんは私のところに離れて、玄関のドアを閉めて行っちゃった。
まてよ。さっき、私のこと、「真莉亜」って、言ったよね?
これは、カップル誕生ってこと!?ウヒヒヒヒ♡




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