ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第二十七話 「花田中の幽霊」

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はぁ、はぁ、はぁ。

「おーい!真莉亜!」

ジュンブライト!
はぁ、はぁ。やっと到着。

「到着どころじゃねぇぞ!」

へ?

「見てみろ、時計のはりを!今、何時何分だぁ!」

ジュンブライトが、びしっと、チャイムを指さした。

「8時・・・・・・25分。」

ノーン!間に合わなかったぁ!って、七不思議くんは?

「七不思議様は、発熱でございます。」

ルクトさん!なんで、ここに?

「幽霊退治って、聞いたんですよ。」

マドレーヌちゃん!

「参加しようと思って。」

リリアさんまで!

「さぁ、行くぞ!」

「ちょっとまって。」

「あー、なんだよっ!」

まだ・・・・・・、心の準備が・・・・・・。

「だー!こわがらないで、行くぞ!」

ジュンブライトは、私の手をぐいっとひっぱった。

「お化けなんていなーいさ♪」

マドレーヌちゃんが、歌い始めた。

「♪お化けなんてうそさ♪」

それにつられて、みんなは歌い始めた。
みんな、はげましてくれるの?よーし、私も歌おう!

「♪お化けなんていなーいさ♪」

歌声が、こわーい夜中を吹き飛ばす。
そしてやっと、学校の中に入った。

「ゔ~。」

どうしたの、マドレーヌちゃん。しゃがみこんじゃって。具合でも悪いの?

「いいえ。おトイレは、どこですか?」

トイレ?ろう下を左に曲がったら、あるよ。もしかして、ニンニクくさい人が、いたの?

「いいえ。おしっこしたくて・・・・・・真莉亜お姉様、ついてきてくれませんか?」

う、うん。いいけど。

「やった~!じゃあ、行きましょう!」

マドレーヌちゃんったら、はしゃいじゃって。

「真莉亜・・・・・・ちゃん?」

ねぇ、まだ?

「まだです~。」

早くしないと、幽霊がでちゃう・・・・・・。
ん?
ジャー。

「真莉亜お姉様、どうしたんですか?」

マドレーヌちゃん!あのね、私の後ろに女の子がいたの。

「女の子?いないですよ。」

本当だってば!
ジャー。

「ひ・・・・・・。」

「今のは・・・・・・。」

「キャー!」

「真莉亜達の声だ!行ってみよう!」

「はい!」

「真莉亜、マドレーヌ、大丈夫?」

はい、大丈夫です・・・・・・。リリアさん、幽霊がいたんです!

「幽霊?いるわけないでしょ。」

「いや・・・・・・いるよ。」

ん?後ろから、小さな声がした?
後ろを振り返ると・・・・・・。
キャー!黒い短い髪で、白いワンピースを着た、女の子が立っているぅ!
ん?この女の子、比奈多さんが言ってた、女の子だ。
しかも女の子、泣いてるし。

「私、幽霊族のゆりこ。そんなに、こわがらなくていいよ。」

なんで?

「迷子になったの。」

迷子ー!?幽霊のゆりこちゃんが、迷子になるとは。

「しくしく・・・・・・。」

わ!ゆりこちゃんが、泣いている!ごめんね。

「しくしく・・・・・・。」

あー、もう、むっちゃ泣きそうだよ・・・・・・。

「そんなに泣くな。で、なんで迷子になったんだ?」

ジュンブライトがしゃがんで聞くと、ゆりこちゃんはあっという間に泣きやんだ。

「昨日、私のおばあちゃんがねこんじゃって、重い病気にかかってしまったの。そうしたらおばあちゃん、「二回、死にたくないから。ゆりこ、人間界でノノノグソウを見つけてこい。」って、言われたんだ。けど、人間界の入口がわかんなくって・・・・・・。そうしたら、トイレにいて、女の子に気づかれて、ふるえながら、トイレを流しちゃったの。そしたら女の子達は、こわがりながら出ていったの。」

「それで、学校じゅう、あなたのうわさが、流れちゃったのね。」

「は・・・・・・はい。」

ゆりこちゃんが返事をすると、リリアさんがにっこりと笑って、はいっと、草をわたした。

「ノノノグソウ!」

ゆりこちゃんは、めちゃくちゃよろこんでる。

「ありがとうございます!では真莉亜ちゃん、また会おうね!」

ゆりこちゃんは手を振りながら、スッと消えちゃった。
それから、私達の学校は、ゆりこちゃんの話はもう、広まらくなりました。

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