ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第二十七話 「花田中の幽霊」

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あっつ!7月になったのに、こんなにあついだなんて、思ってもいませんでした。周りを見ると、下じきであおいだり、タオルを肩においている人が多いです。
こりゃ、あつい一日に、なりそう・・・・・・。

「ギャー!助けて、潤様ぁぁ!」

じゃない。

「どうしたんですか?潤にだきついちゃって。」

おまけに、比奈多さん達の体はふるえているし。一体、どうしたんですか?

「・・・・・・・見てしまったんですわよ、わたくし達。」

へ?何を?

「幽霊ですわよ、幽霊!」

「え~!?」

「え~!?」

急に、教室のみんなが、ざわめいた。

「んで、どこで見たんだ?」

「じ・・・・・・実は、なぎさ様と、雪様と一緒に、おトイレをしに行ったら・・・・・・。」

比奈多さんは、口をふるわせて、話した。その周りには、1組全員が、かこんでいた。

ーわたくし達が、おトイレをすまして、手洗いをしていたらー

「へ?」

ーわたくし達の後ろに、髪が真っ黒で、白いワンピースを女の子がいましたの。-

「誰ですか?」

ーふり向くと、その子がいなくなったんです。-

「どうしたんですか?比奈多様。」

「女の子が、いらっしゃったのですの。」

「女の子?は。比奈多様、この花田中に、どこに女の子がいるんです・・・・・・。」

ジャー。

「か。」

「・・・・・・ギャー!」

「・・・・・・ということなんです。」

なるほど。わかったけど、本当に幽霊なのか、私にもまだ・・・・・・。

「本当の本当に、見たんですわよ!」

比奈多さんが、机をバン!と、たたいた。

「どーせ、ただの人間だったんじゃないの?」

詩音さん!

「ちょっと今日は頭、おかしくない?ひなっち。」

叶人くん!

「うるさいですわ!あなた達みたいなバカップルにそんなこと、言われたくないですわ!」

「ごめんごめんごー。俺達、幽霊とか、そんなの、信じないタイプだから。」

叶人くん、最初にギャグを、入れないでくださいっ。

「私も私も~!」

チャラチャラカップルの言葉で、みんなは、ざわめいた。

「月野達、うそついたな!」

「サイテー!」

ちょ、ちょ、ちょっと!みんな!

「月野、京本、水城。実は、俺も見たんだよ。」

わわわ!教卓の前に、男の人がぁ!早く、席につかなきゃ!
って、あれ?尾希田先生じゃん。
いつもとふんいきが違う。顔は青白く、目はしょぼーんとしているけど。

「幽霊をな。」

なぬ!

「先生まで、うそついて・・・・・・。」

「どーせ、いつもの笑い話だろ。」

「みんな、信じてくれ!本当に、見たんだってば!」

先生、子供みたいに足をじたばたするの、やめてください。

「んで、どこで見たんですか?」

一人の男子生徒が、先生に質問すると、先生は、じたばたするのをやめて、立った。

「いい質問だなぁ。」

全然、いい質問じゃ、ありませんよ。

「実は先生、こう見えて、保健体育の先生だろ?それで、3年生の体育がおわって、ボールを新井先生、原上先生といっしょに、片づけていたんだよ。」

先生の真剣な話を、私達は真剣に聞いた。

ー片づけ終わった後、倉庫から、ボールの音が聞こえたんだ。-

「誰かいるのか?」

ー先生が倉庫のドアを開けたその時。-

「ひぃぃぃ!」

ーそこにはなんと、ボールがはねてたんだよ。-

「ギャァァァ!」

「キャー!」

こわい、こわい!とってもこわすぎる・・・・・・。

「春間さん、こわくないですよ。」

ひぃぃぃ!〇太郎・・・・・・じゃなくて、七不思議くん。
七不思議くんは、両親がお化け屋敷を経営していて、幽霊とか、信じるタイプ。ほら、鬼太郎みたいな髪型、しているでしょ?なのに、視力は、Aなんだ。

「なので、今回、学活に変更!誰か幽霊退治してくれるやつ、いねぇか?」

幽霊退治だなんて。私、無理だよ。お化け苦手だし。

「はい。」

「おぉ、七不思議!そうくるかと思ったよ。ほかは。」

「はい。」

「おぉ、黒月!さすが我が、学級委員!」

「キャー、ステキー!」

えぇ!?ジュンブライト、退治するの~!?

「あたり前だろ。」

出た。流行語ノミネート大賞予定の言葉。小声バージョン。

「他にいるかぁ。」

いいです、私は。

「はい!」

比奈多さんが、元気よく手をあげた。

「どうした、月野。」

「真莉亜様を、すいせんします。」

え~!?私を!?

「だって真莉亜様、お化けぎらいでしょ?それで、お化け嫌いをなくさせてやろうと、思って。」

いや比奈多さん、私、お化け嫌いをなくして!って、お願いしてはいないんですけど・・・・・・。

「いいなぁ!『春間のお化け嫌いをなくそう大作戦!』」

ちょ、先生!私、まだ決めてないんスけど・・・・・・。ま、いいや。

「春間、いいか?」

「はい、いいです。」

パチパチパチ。
みんなが笑顔で、はく手している。
私、これですいせんされるの、2回目・・・・・・。





私とジュンブライトは、会話しながら、通学路を歩いた。
それにしても、先生、はりきりすぎだよ。だって、校長先生に学校を特別に、夜は学校を開けたままにしてってお願いして、校長先生はOK、いい感じ~みたいなきょかをもらって、で、私達に8時には、学校に集合とか言って、自分は秋葉原に行くとか言うし。
それでも、教師かってつーの!

「真莉亜。どうしてお前、お化け嫌いなんだ?」

その発言により、私達は、歩くのをやめた。

「そ・・・・・・そーれは・・・・・・言いたくは、ないよ。」

「教えろ。」

うわぁ。すっごい怒ってるぅ。

「わかった。話す。幼稚園で、グリーンランドに行ったの。お別れ遠足で。」

そう、あの時、忘れられない日だった。

ーその時、理子と一緒に、メリーゴーランドとか、てんとう虫コースターにも乗ったりしていたの。そしたら、理子が。-

「ねぇ真莉亜。お化け屋敷に入ろ!」

「お化け屋敷?」

「そう!お化けさんとか、こんにちは~って、出るの。」

「おもしろーい!」

ーその時、私はこわいと思っていなかった。-

「ゔぅ。なんか、真っくらだよ、理子。」

「そうだねぇ。」

「う~ら~め~し~や~。」

「ひぃぃぃぃ!」

「おじょうちゃん達、こんにちは。どこの幼稚園?」

「キャー!」

「その時から、私と理子は、お化け嫌いになったの。」

「ぷっ。」

何よ。ほっぺをふくらんで。

「ぷはははは!」

何で、笑ってんのよ!

「はぁ~。お前の過去はいっつも、うけるよなぁ。」

なんでよ!

「だって、お化けがふつー、こんにちはーって、出る訳ねぇだろ!ふつー、ややこしや~だろ!」

ジュンブライト、ややこしや~じゃありません。うらめしや~です。

「じゃあ、また8時でな。」

「うん。」

私達は手を振って、左右に別れた。





「真莉亜。いつまで、私服でいるつもり?」

学校に、行くんですよ。

「学校?なんで?」

お母さんが、聞き返した。

「幽霊退治にだよ。」

「えっ。」

お母さんが、包丁の音を、立てるのをやめた。

「あの、お化け嫌いのあなたが?」

そう。すいせんされたけど。

「すごいわぁ!さっすが、うちの子ねぇ!」

お母さん、ぐるじい・・・・・・。

「幽霊退治は、何時に行くの?」

うーん。8時には、学校に集合・・・・・・。
って、もう少しで8時になるぅ!

「いってきまーす!」

私は、ドアをバタンと閉めた。


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