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第二十六話 「真莉亜とマドレーヌ、動物になる?」
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土曜日。今日は、ジュンブライト達がいなくて、とても静かです。
おかげで、『黒魔〇さんが通る!!』を、ゆっくり読めます。
あっ、今日はお母さんは中学校の同窓会で、2泊3日の、京都に旅行に行って、お父さんと琉理といっしょに、いるんだった!
それよりお父さん、せんたくをたたまずに、ぐっすりとソファーでおひるねしてる・・・・・・。
「ねぇ。せんたくもの、たたんでよ。」
呼びかけると、お父さんは、あきれた顔をして、起きてきた。
「あ?いやだよ。それは、女の子の仕事だろ?ゆっくりねかせろよ、休日は。」
でも、お母さんが言ってたじゃない。「お父さん。休日だからと言って、ゆっくりねたら、だめよ。」って。
「お前も言われたろ?「真莉亜。休日だからと言って、あそぶのではなく、お手伝いをしてね。琉理も。」って。」
「え?私も?」
宿題をしていた琉理が、鉛筆を動かすのを止めて驚いた。そうしたらお父さんは、うんっと、うなずいた。
「あ~。ゆっくりねかせて・・・・・・Z、Z、Z・・・・・・。」
そのまま、お父さんはいびきをかぎながら、またねた。
この、面倒くさがりやの親父めっ!
「あ~、わかったわかった。私がする!」
私は反抗期モードになって、洗たくもののところへ行って、洗たくものをたたんだその時。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
誰だろ?
私は、インターホンの前に行った。
わわわ!女の子のでっかい顔が、画面にうつってる!
「『驚きすぎです、真莉亜お姉様。』」
真莉亜お姉様?あっ。
「マドレーヌちゃん!」
ん!しまった!大きな声で、言ってしまった!
琉理とお父さんには、聞こえてなかった!ふー、セーフ。もし、聞こえてたら、パニックになっていたとこだよぉ。
それよりマドレーヌちゃんの服、今日はかわいいね。
サイドのくしゅくしゅで元気さに女の子らしさをプラスした、赤と白のしましま模様の服で、青色のボーターTで、ちょい甘デニムのショーパン。
「今から行くね。」
玄関に行って、私はドアを開けた。
あれ、マドレーヌちゃん?
「ここです。」
うわぁ!マドレーヌちゃん!ひょっとして、はしごを使って、インターホンを押したの?
「そうです。近所の人が、インターホンが届かない私を、助けてくださいました。」
そう言いながら、マドレーヌちゃんは、はしごから飛びおりた。
「真莉亜お姉様。これ、すっごくかわいいでしょ?」
本当だね!
「これ、『ちゃお』で、『ニコプチ』とコラボTシャツプロジェクトって言う企画がありまして、かわいいなぁ~と思って、昨日、リリアといっしょに、EARTHМAGICに行って買ったんです。少しはオシャレに目覚めようと思って。」
マドレーヌちゃんは、うれしそうな顔で、私に服を見せた。
あっ、そうじゃなくて。マドレーヌちゃん、何の用?
「実は、菜の花広場でいっしょに遊びましょう!」
「遊びましょうって、マドレーヌちゃん、ジュンブライトがいるじゃん。」
すると、マドレーヌちゃんの顔がしゅんとなった。
「ひどいんですよ!」
へ?
「だから!ジュンブライトお兄様が、ひどいんですって!私が遊びましょうって言ったら、「あ~、無理。休日だからねる。」って。」
マドレーヌちゃん、ものまね、お上手です。
てか、悪いヴァンパイアだね。
「そうでしょ?」
相当、マドレーヌちゃんはほっぺをふくらませた。
「それで、真莉亜お姉様。私といっしょに遊びませんか?」
ごめんね~。今、せんたくものをたたんでて・・・・・・。今日は遊べないの。
「遊べない?ことわったらなぐるぞ、オラ!!」
ひぃぃぃぃ!すみません、じゃ、じゃあ、遊ぼう!
そうしたらマドレーヌちゃんは、かわいい顔に一瞬、戻った。
「やったです~!」
マドレーヌちゃんったら、うれしそうに、はしゃいでいる。
「お姉ちゃん。どうしたの?」
私の後ろに、琉理が立っていた。
「琉理、ごめん。私、円花ちゃんと遊ぶんだ。だから、せんたくもの、たたんでくれる?」
「わかった。」
琉理はうなずいて、リビングへと向かった。
「さぁ、行きましょう!」
「うん!」
「げっ。こんなにたくさん、たたむの?」
☆
菜の花広場には大勢の子供たちが、いっぱいいます。
男の子は、戦いごっこをしている子が多く、女の子は、おままごとをしている子が、多くいます。
マドレーヌちゃん。すべり台でいっしょに遊・・・・・・って、あれ?
さっきまで、いっしょにいたのに。一体、どこ行ったの?
「真莉亜お姉様ー!」
ん?なんか草むらの方で、声が聞こえるぞ。
わ!黒い影が、私の方に向かってるー!
「また、驚きすぎです、真莉亜お姉様。」
わ~。なんだ、マドレーヌちゃんかぁ~。
ん?マドレーヌちゃん、右手になにもってるの?
「ヘビです。」
へへへへヘビ!マドレーヌちゃん、それを、どうする気?
「食べるんです。」
マドレーヌちゃんったら、目が星になって、よだれをたらしてるよ~。
こりゃ、ついていきません。
「あら、真莉亜様。ぐうぜんですわねぇ。」
その、おじょう様語は・・・・・・。
「比奈多さん!」
って、あれ?いつものお二人さんは?
「なぎさ様と雪様は、わたくしのいとこが遊びに来て、「菜の花広場に行きたい。」っとおっしゃって、4人で行こうかと思いまして、さそってみたら、「休日だから、じゅくの宿題をしたい。」と、ことわられたんです・・・・・・。」
あ、それ、私も同じです。てか、比奈多さんの、いとこって、誰なんですか?
「比奈多様!このお花、きれいでしょ?」
女の子が、比奈多さんのところに走って、花を見せた。
それにしても、かわいいなぁ~。
頭の上にでっかいピンクのリボンをつけていて、背は小っさいし、おめめが、くりくりしている。おじょう様らしいですっ。
「まぁ、きれいなお花ねぇ。くるみ。」
くるみ?
「これが、わたくしのいとこの、5さいの花本くるみですわよ。ほら、くるみ。ごあいさつは?」
「初めまして。花本くるみです。」
くるみちゃんったら、私に向かって、深々とおしぎをした。
「こちらこそ、初めまして。春間真莉亜で・・・・・・。」
「ひぃぃぃぃ!」
急に、くるみちゃんが、比奈多さんの背中に隠れて、おびえた。
どうしたの?私の顔が、こわいの?
「い、いや。へ・・・・・・ヘビが!」
くるみちゃんがふるえながら指さしたのは、マドレーヌちゃんが持っている、ヘビ。
マドレーヌちゃん!にがしてやりなっ。
「はーい。」
マドレーヌちゃんはしゅんとした顔をして、ヘビをにがした。
めいわくかけたね、ヘビさん。
「あら。円花ちゃん、久しぶりねぇ。クイズと文化祭以来ですわ。」
「円花ちゃん?」
さっきまでおびえていた、くるみちゃんが、ひょこっと顔を出した。
「円花ちゃんはね、わたくしのダーリンの、いとこなのよ♡」
ダーリン・・・・・・。
「黒月円花です。」
おりこうさんに、マドレーヌちゃんは、くるみちゃんの方におしぎをしたら、くるみちゃんは、なぜか、マドレーヌちゃんの顔をじー。
なんか、にらんでいるけど・・・・・・。
「野生児。」
へ?野生児?
「うん。このお姉様、さっきまでヘビをおもちされたんですもの。」
「ちょっとくるみ!円花ちゃんはね、あなたと3つ、歳が違いますのよっ!そんな言い方、しない!」
比奈多さん、完全的に、おこってらっしゃいます。
それにくらべ、くるみちゃんは、比奈多さんの顔を見るき、なし。
「私、家に帰って、ショートケーキ、食べたいですわ~。」
「じゃあ、帰りましょう。また月曜日ね、真莉亜様。」
そう言いながら、比奈多さんは、手をふって、くるみちゃんと手をつないで帰った。
二人とも、後ろ姿はまるで、姉妹みたいだなぁ~。
「なーんが、姉妹みてぇだなぁって?」
ひぃぃぃぃ!マドレーヌちゃん、キャラを変えて、ヤンキーずわりをしています!
「あのキラキラ女、俺に野生児って言った!次、会ったらなぐるぞぉ、オラ!」
ちょ、ちょっと、マドレーヌちゃん!
「うわぁ!あのお姉ちゃん、こわーい!」
「他のところで、遊ぼっ。」
「えーん!」
うわぁ。さっきまであそんでた子供たちが、泣きながらとっさににげたよ!
それにくらべ、菜の花広場の遊具は、置きざり状態。
「ふん!まいったか!」
マドレーヌちゃん、全然、まいっていません!
こーんな人前で、キャラを変えるなんて、ありえません!
「あいたたたた・・・・・・。」
あ!おばあさんが、こまってるよ、マドレーヌちゃん。
「助けに行きましょう!」
って、私も!?
「あたり前でしょう。」
その言葉、流行語ノミネート大賞予定の言葉だ!
もう、その言葉のせいで、助ける気、アップします。
「行こう!」
「はいっ。」
私とマドレーヌちゃんは、こまっているおばあさんの方まで走った。
このおばあさん、外見が60代か70代ぐらいで、白い髪で、肩にはタオルをかけていて、服は半そでの青い服で、目は小さめ。
「どうしたんですか?」
声をかけると、おばあさんは、「あー。」っと言いながら、こしをおさえた。
「実は、屋台をしてたら、こしを痛めてしまったとよ。」
この人、長崎人だ。
「んで、あんた達、てつだってくれんか?」
「手つだいます!私達にどーんと、まかせてくださいっ!」
マドレーヌちゃんったら、胸をポンっとたたいて、はりきっている。
「ありがとう。そこのかわいい女の子は、私をおんぶして。もう一人の女の子は、屋台をひっぱってくれん?」
おばあさんは、屋台の方を指さした。
・・・・・・なんか、この屋台、チリンチリンアイスっぽくネ?
「んっしょ、んっしょ。」
重すぎます、この屋台。私の体力的に、無理です。
それにしても、マドレーヌちゃん、重くない?
超能力ヴァンパイアだから、重いの平気なのは、わかるけど・・・・・・。
私、超能力、使いたーい!
「なーにぶつぶつ言うとると!あんた、13やろ?ちゃんとしなさい!」
は・・・・・・はい。
って、おばあさん、なんで私のとしを、知っているんだろ?
なんか、不思議な感じがしてきます。
「ここでいいよ。」
おばあさんは、マドレーヌちゃんの背中におりた。
私は、屋台をとめた。
「ありがとう。お礼にチリンチリンアイス、やるから。」
え!?チリンチリンアイスを!?ありがとー、おばあさんっ。
「私、てつだってよかったです!」
「いいえ、とんでもかまわんよ。」
おばあさんはニコニコしながら、チリンチリンアイスをつくり始めた。
「はい、どうぞ。」
はやっ。
「これは、おじょうさんで、こっちは、お姉さんと。」
おばあさんが、チリンチリンアイスを、私達にわたした。
「ありがとうございます!あのう、お金は・・・・・・。」
タダ
「今日は特別やっけん。無料。」
タダ
無料!?
タダ
「そう、無料。」
うそでしょ~!?
「では、いただきまーす!」
私達は、アイスをぱくっと、食べた。
う~ん、ひんやりする~。
って、ちょっとまってよ。マドレーヌちゃんのアイスの色、オレンジだねぇ。
「それは、にんじん味。」
にんじんの味?めずらしいですねぇ。
「んじゃあ、なめてみますっ。」
マドレーヌちゃんは、不思議そうに、アイスをぺろっとなめると、突然、マドレーヌちゃんの体が、ゾクゾクとなった。
「んー!本当に、にんじんの味です!」
んじゃあ、わたしがもっている、この茶色のは?
「それは、肉味。」
肉味ですとぉー!?まさに、アカン飯ですっ。
ま、私もなめよっ。
ぺろ。
「んー!おいしいワン!ん!?」
ちょっとまってだワン。さっきと今、自分の口から勝手に、「ワン。」って、言ったワン?
「何、言ってるですかでピョン、真莉亜お姉様?ん!?」
急に、マドレーヌちゃんが、口をおさえた。
マドレーヌちゃん、今、「ピョン。」って、言ったワンね?
「はい。自分の口から勝手に、言ったでピョ・・・・・・あー!」
わわわ!マドレーヌちゃんの頭から、うさぎの耳がっ。
「真莉亜お姉様も!頭の上に、犬の耳が、はえていますピョン。」
うわわ、本当だ!だんだん、私達、動物になっていくだワン!
「・・・・・・ほら、鏡があるけん。」
あ・・・・・・はい。ありがとうございますワン。
私達は、鏡を持った。
ちょちょちょーと!私、犬になってるワン!
「私、うさぎになってるピョン!」
これって、もしかして・・・・・・。
「そう。あたしさ。」
うわわわ!おばあさんが、みるみる、若返っていくワン!
って、おばあさん、人間じゃない。ヴァンパイアだワン!
「久しぶりだねぇ。春間真莉亜。」
テレサ!
「お前たちのアイスに、『アニマル粉』をかけたのさ。」
アニマル粉?
「そ。その粉を食べ物にかけると、あら大変。たちまち動物に、大変身。」
「んで、どうやってもどるんだワン?」
私が聞くと、テレサは思いっきり、顔を近づけたワン。
「それは、たぶん、一生もどれないかもね。ふはははは!」
テレサは、笑い声とともに、消えていった。
一生、もどれないって、とても嫌だワン。
とりあえず、ジュンブライトたちのところに、行こう。
☆
「ジュンブライトー、開けただワン!」
「ジュンブライトお兄様ー!」
・・・・・・だめだ。っと、思った瞬間。黒い影が、ドアを開けた。
「もー!しつこい!」
「ジュンブライト!」 「ジュンブライトお兄様っ。」
って、あれ?ジュンブライト、なにきょろきょろしてるんだワン?
「誰もいねぇぞ。いたずらか?」
「ジュンブライトお兄様、下ですピョン!」
マドレーヌちゃんが、大きな声を出すと、ジュンブライトは、下を向いて、私たちの姿に、びっくり。
「どどどどどうしたんだよっ。真莉亜が犬になって、マドレーヌがうさぎになって・・・・・・。」
これでは、深い理由が、ございましてだワン・・・・・・。
「深い理由?」
そうして、私達は、これまであった話をすると、ジュンブライトは、わかったかのように、うんうんとうなずいた。
「そうかぁ。テレサ、絶対ゆるさんぞ!すぐに、リリアとじいやを呼んでくるから。」
そう言って、ジュンブライトは、ドアを閉めた。
「何か、いい方法があれば、いいピョンね。」
そうだねぇだワン。
「あぁ。おばあさんを助けなかったら、よかったピョン・・・・・・。」
私もだワン・・・・・・。
もっと早く、テレサって、気づけりゃよかったワン。
そうしたら、私達は動物に、なれなくすんだのに・・・・・・。
反省するワン。
「あれ?向こうに、誰かいるピョン!」
マドレーヌちゃんが、向こうを指さした。
ん、どれどれ?ん?大きなリボンをしていて、5歳なのにピンクのドレスと、ピンクのブーツをはいていて、おめめをくりくりしながら、3DSをしている女の子だワン。
ん?この子、もしや・・・・・・。
「くるみちゃんっ。」 「キラキラ女!」
「へ?」
しまっただワン!見つかってしまったワン!
早く、どこかに隠れないと・・・・・・。
あった!くさむらだっ。
「マドレーヌちゃん!こっちおいでだワン!」
ところがマドレーヌちゃんは、くさむらに隠れた。
「誰か、いるの?」
ひぃぃぃぃ!くるみちゃんの足音が、どんどん聞こえてくるワン!
「不思議ですねぇ。」
「こっちまで、くるな!キラキラ女!」
「え?」
あ、しまった!
ところがくるみちゃんは、おめめをくりくりしながら、私達の方へ向かって、おめめをキラキラさせた。
「うわぁ。なんて、かわいいんでしょう。あら、このうさぎさんのピンクのおリボン、どっかで見た覚えが・・・・・・。」
くるみちゃんは、不思議そうに、マドレーヌちゃんのリボンをじー。
「ないですわ。」
がくっだワン。
「このお犬さんも、かわいいですわ~。えっと、名前は・・・・・・。あ!ローズで決まり!」
名前まで、決めるんかいっ。
「あと、このうさぎさんの名前は・・・・・・。あ!うささんで決まり!」
ぷはははは!マドレーヌちゃん、名前そのまんま!
「なんだと?」
と、マドレーヌちゃんは、私の方に向かって、ぎろり。
ごめんなさい・・・・・・。
「さぁ。行きましょう!」
へ?どこに行くだワン?
「私の家。」
えー!?まっ、まさか、くるみちゃん、私達と思わないで、行くのー?
「なにふるえてるの、ローズ。」
い、いや、べつに。
すると、くるみちゃんは、私達をだっこした。
「お父様、何ておっしゃるかしら、ね。」
「ワ・・・・・・ワン。」
「ピョ・・・・・・ピョン。」
「二匹とも、もしかして、きんちょうしてるの?」
ううん!してないワン!とは言わず。
「ワン、ワンワン!」
「ピョーン!」
「きんちょうしてない様子ね。」
ジュンブライト、助けてぇ!
「真莉亜、マドレーヌ、おまたせって、あれ?ジュンブライト、いないじゃない。」
「いたんだよ、ここに!」
「王子、あれ、見てくださいっ。」
「ん?あー!」
「ジュンブライトー!」
「ジュンブライトお兄様ー!」
「真莉亜、マドレーヌ!」
助けてくださーいって、もうお屋しきの前、すぎてるぅ!
「うふふふふ。」
十分後。
「さぁ、着きましたよ。」
ん?うわ、すご!すっごくきれーな豪ていじゃん!
ホワイトハウスみたいな、お家で、とても広くて、おまけに、プールがあるし、大きな門があるワン。
するとくるみちゃんは、背のびをして、インターホンを押した。
「『はーい。』」
その声は、おじいさんだワン。
「『じいや、開けてください。』」
「『わかりました。少々おまちを。』」
わわわ!門が勝手に、動いた!この家、どんな仕組みだワン?
ガチャ。
「お帰りなさいませ、くるみおじょう様!」
す・・・・・・すごいだワン!たくさんのメイドさんと、シェフさんが、深々と、ドミノみたいにおしぎしている!
その中には、まるで『逃走中』のハンターみたいな人達が。
この人達、ボディーガードさん?
「おぉ!わたしの我が娘、くるみ!」
誰かが、おどりながら、くるみちゃんの前に立った。
そのおどりを見て、メイドさん、シェフさん、ボディーガードさんは、大勢、はく手した。
その男の人は、声が野太く、タキシードを着ていて、赤いネクタイをはめていて、髪はとても俳優みたいな髪型。
「パパ!」
えっ、え~!?この人、くるみちゃんのお父さん!?
「あのね、今日、この子たちを拾ってきたの!」
くるみちゃんは、笑顔で私達を見せた。
「どこで拾ってきたんだ?」
うわぁ、くるみちゃんのお父さんは、とても真剣な顔で、私達を見つめてるワン。
「でっかいお屋敷の、くさむらで。」
「へぇ・・・・・・。」
ちょっと、やばくない?
「んで、飼ってもいい?」
「だめよ。」
向こうから、声が聞こえて、カッカッカッと、ブーツの音が聞こえるワン。
その人は女性。金髪で髪が長くて、超美人で、いちごみたいな赤い口紅をつけていて、服は超~高級で、体から、バラの香りの香水がただよってくる。
ん?この人、どっかで見たことあるような・・・・・・。あー!
あの、大物女優の、花本薫だワン!
んじゃあ、お父さんは・・・・・・。
あの、日本を代表するふりつけ師、花本博志だワン!
くるみちゃんの家族、すごすぎるだワン。
「なんでなの、ママ。」
くるみちゃんは、薫さんの顔を見て、目をうるうるしているワン。
「こーんな一億円した豪ていの中で、うんち、おしっこされたら、困るからよ!」
「ちょっとまってくれ!薫。」
博志さんが、くるみちゃんの前に立ったワン。
「なんなのよ。」
「こーんなかわいいかわいい我が娘の、かわいいかわいいわがままを、聞いてくれ!」
博志さん、親バカですワン。
しかも、くるみちゃんの味方になってるし。
「だーめーよ!くるみ、早くその動物を、かごの中に入れて。あなたは、動物保護施設に連絡してちょうだい。」
動物保護施設~!?
「ママ。そんなこと、やめて。」
「そうだ、そうだ!」
くるみちゃんが、かわいい目をくりくりさせて、おねだりをして、くるみちゃんのお父さんは、相変わらず、くるみちゃんの味方になってるワン。
それを見て、薫さんは、私達を目でぎろりと見て、それから、ため息をついた。
「わかったわ。今日は特別ね。明日、動物保護施設にやるから。」
薫さんは、後ろを向いて、くつの音を響かせて、向こうへと歩いた。
「やったぁ~!」
二人とも、大喜びだワン。
「それより真莉亜お姉様。明日、動物保護施設に連れられるんピョンよ。」
そうだったワン!なにかにげる方法、考えなくちゃだワン。
☆
おかげで、『黒魔〇さんが通る!!』を、ゆっくり読めます。
あっ、今日はお母さんは中学校の同窓会で、2泊3日の、京都に旅行に行って、お父さんと琉理といっしょに、いるんだった!
それよりお父さん、せんたくをたたまずに、ぐっすりとソファーでおひるねしてる・・・・・・。
「ねぇ。せんたくもの、たたんでよ。」
呼びかけると、お父さんは、あきれた顔をして、起きてきた。
「あ?いやだよ。それは、女の子の仕事だろ?ゆっくりねかせろよ、休日は。」
でも、お母さんが言ってたじゃない。「お父さん。休日だからと言って、ゆっくりねたら、だめよ。」って。
「お前も言われたろ?「真莉亜。休日だからと言って、あそぶのではなく、お手伝いをしてね。琉理も。」って。」
「え?私も?」
宿題をしていた琉理が、鉛筆を動かすのを止めて驚いた。そうしたらお父さんは、うんっと、うなずいた。
「あ~。ゆっくりねかせて・・・・・・Z、Z、Z・・・・・・。」
そのまま、お父さんはいびきをかぎながら、またねた。
この、面倒くさがりやの親父めっ!
「あ~、わかったわかった。私がする!」
私は反抗期モードになって、洗たくもののところへ行って、洗たくものをたたんだその時。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
誰だろ?
私は、インターホンの前に行った。
わわわ!女の子のでっかい顔が、画面にうつってる!
「『驚きすぎです、真莉亜お姉様。』」
真莉亜お姉様?あっ。
「マドレーヌちゃん!」
ん!しまった!大きな声で、言ってしまった!
琉理とお父さんには、聞こえてなかった!ふー、セーフ。もし、聞こえてたら、パニックになっていたとこだよぉ。
それよりマドレーヌちゃんの服、今日はかわいいね。
サイドのくしゅくしゅで元気さに女の子らしさをプラスした、赤と白のしましま模様の服で、青色のボーターTで、ちょい甘デニムのショーパン。
「今から行くね。」
玄関に行って、私はドアを開けた。
あれ、マドレーヌちゃん?
「ここです。」
うわぁ!マドレーヌちゃん!ひょっとして、はしごを使って、インターホンを押したの?
「そうです。近所の人が、インターホンが届かない私を、助けてくださいました。」
そう言いながら、マドレーヌちゃんは、はしごから飛びおりた。
「真莉亜お姉様。これ、すっごくかわいいでしょ?」
本当だね!
「これ、『ちゃお』で、『ニコプチ』とコラボTシャツプロジェクトって言う企画がありまして、かわいいなぁ~と思って、昨日、リリアといっしょに、EARTHМAGICに行って買ったんです。少しはオシャレに目覚めようと思って。」
マドレーヌちゃんは、うれしそうな顔で、私に服を見せた。
あっ、そうじゃなくて。マドレーヌちゃん、何の用?
「実は、菜の花広場でいっしょに遊びましょう!」
「遊びましょうって、マドレーヌちゃん、ジュンブライトがいるじゃん。」
すると、マドレーヌちゃんの顔がしゅんとなった。
「ひどいんですよ!」
へ?
「だから!ジュンブライトお兄様が、ひどいんですって!私が遊びましょうって言ったら、「あ~、無理。休日だからねる。」って。」
マドレーヌちゃん、ものまね、お上手です。
てか、悪いヴァンパイアだね。
「そうでしょ?」
相当、マドレーヌちゃんはほっぺをふくらませた。
「それで、真莉亜お姉様。私といっしょに遊びませんか?」
ごめんね~。今、せんたくものをたたんでて・・・・・・。今日は遊べないの。
「遊べない?ことわったらなぐるぞ、オラ!!」
ひぃぃぃぃ!すみません、じゃ、じゃあ、遊ぼう!
そうしたらマドレーヌちゃんは、かわいい顔に一瞬、戻った。
「やったです~!」
マドレーヌちゃんったら、うれしそうに、はしゃいでいる。
「お姉ちゃん。どうしたの?」
私の後ろに、琉理が立っていた。
「琉理、ごめん。私、円花ちゃんと遊ぶんだ。だから、せんたくもの、たたんでくれる?」
「わかった。」
琉理はうなずいて、リビングへと向かった。
「さぁ、行きましょう!」
「うん!」
「げっ。こんなにたくさん、たたむの?」
☆
菜の花広場には大勢の子供たちが、いっぱいいます。
男の子は、戦いごっこをしている子が多く、女の子は、おままごとをしている子が、多くいます。
マドレーヌちゃん。すべり台でいっしょに遊・・・・・・って、あれ?
さっきまで、いっしょにいたのに。一体、どこ行ったの?
「真莉亜お姉様ー!」
ん?なんか草むらの方で、声が聞こえるぞ。
わ!黒い影が、私の方に向かってるー!
「また、驚きすぎです、真莉亜お姉様。」
わ~。なんだ、マドレーヌちゃんかぁ~。
ん?マドレーヌちゃん、右手になにもってるの?
「ヘビです。」
へへへへヘビ!マドレーヌちゃん、それを、どうする気?
「食べるんです。」
マドレーヌちゃんったら、目が星になって、よだれをたらしてるよ~。
こりゃ、ついていきません。
「あら、真莉亜様。ぐうぜんですわねぇ。」
その、おじょう様語は・・・・・・。
「比奈多さん!」
って、あれ?いつものお二人さんは?
「なぎさ様と雪様は、わたくしのいとこが遊びに来て、「菜の花広場に行きたい。」っとおっしゃって、4人で行こうかと思いまして、さそってみたら、「休日だから、じゅくの宿題をしたい。」と、ことわられたんです・・・・・・。」
あ、それ、私も同じです。てか、比奈多さんの、いとこって、誰なんですか?
「比奈多様!このお花、きれいでしょ?」
女の子が、比奈多さんのところに走って、花を見せた。
それにしても、かわいいなぁ~。
頭の上にでっかいピンクのリボンをつけていて、背は小っさいし、おめめが、くりくりしている。おじょう様らしいですっ。
「まぁ、きれいなお花ねぇ。くるみ。」
くるみ?
「これが、わたくしのいとこの、5さいの花本くるみですわよ。ほら、くるみ。ごあいさつは?」
「初めまして。花本くるみです。」
くるみちゃんったら、私に向かって、深々とおしぎをした。
「こちらこそ、初めまして。春間真莉亜で・・・・・・。」
「ひぃぃぃぃ!」
急に、くるみちゃんが、比奈多さんの背中に隠れて、おびえた。
どうしたの?私の顔が、こわいの?
「い、いや。へ・・・・・・ヘビが!」
くるみちゃんがふるえながら指さしたのは、マドレーヌちゃんが持っている、ヘビ。
マドレーヌちゃん!にがしてやりなっ。
「はーい。」
マドレーヌちゃんはしゅんとした顔をして、ヘビをにがした。
めいわくかけたね、ヘビさん。
「あら。円花ちゃん、久しぶりねぇ。クイズと文化祭以来ですわ。」
「円花ちゃん?」
さっきまでおびえていた、くるみちゃんが、ひょこっと顔を出した。
「円花ちゃんはね、わたくしのダーリンの、いとこなのよ♡」
ダーリン・・・・・・。
「黒月円花です。」
おりこうさんに、マドレーヌちゃんは、くるみちゃんの方におしぎをしたら、くるみちゃんは、なぜか、マドレーヌちゃんの顔をじー。
なんか、にらんでいるけど・・・・・・。
「野生児。」
へ?野生児?
「うん。このお姉様、さっきまでヘビをおもちされたんですもの。」
「ちょっとくるみ!円花ちゃんはね、あなたと3つ、歳が違いますのよっ!そんな言い方、しない!」
比奈多さん、完全的に、おこってらっしゃいます。
それにくらべ、くるみちゃんは、比奈多さんの顔を見るき、なし。
「私、家に帰って、ショートケーキ、食べたいですわ~。」
「じゃあ、帰りましょう。また月曜日ね、真莉亜様。」
そう言いながら、比奈多さんは、手をふって、くるみちゃんと手をつないで帰った。
二人とも、後ろ姿はまるで、姉妹みたいだなぁ~。
「なーんが、姉妹みてぇだなぁって?」
ひぃぃぃぃ!マドレーヌちゃん、キャラを変えて、ヤンキーずわりをしています!
「あのキラキラ女、俺に野生児って言った!次、会ったらなぐるぞぉ、オラ!」
ちょ、ちょっと、マドレーヌちゃん!
「うわぁ!あのお姉ちゃん、こわーい!」
「他のところで、遊ぼっ。」
「えーん!」
うわぁ。さっきまであそんでた子供たちが、泣きながらとっさににげたよ!
それにくらべ、菜の花広場の遊具は、置きざり状態。
「ふん!まいったか!」
マドレーヌちゃん、全然、まいっていません!
こーんな人前で、キャラを変えるなんて、ありえません!
「あいたたたた・・・・・・。」
あ!おばあさんが、こまってるよ、マドレーヌちゃん。
「助けに行きましょう!」
って、私も!?
「あたり前でしょう。」
その言葉、流行語ノミネート大賞予定の言葉だ!
もう、その言葉のせいで、助ける気、アップします。
「行こう!」
「はいっ。」
私とマドレーヌちゃんは、こまっているおばあさんの方まで走った。
このおばあさん、外見が60代か70代ぐらいで、白い髪で、肩にはタオルをかけていて、服は半そでの青い服で、目は小さめ。
「どうしたんですか?」
声をかけると、おばあさんは、「あー。」っと言いながら、こしをおさえた。
「実は、屋台をしてたら、こしを痛めてしまったとよ。」
この人、長崎人だ。
「んで、あんた達、てつだってくれんか?」
「手つだいます!私達にどーんと、まかせてくださいっ!」
マドレーヌちゃんったら、胸をポンっとたたいて、はりきっている。
「ありがとう。そこのかわいい女の子は、私をおんぶして。もう一人の女の子は、屋台をひっぱってくれん?」
おばあさんは、屋台の方を指さした。
・・・・・・なんか、この屋台、チリンチリンアイスっぽくネ?
「んっしょ、んっしょ。」
重すぎます、この屋台。私の体力的に、無理です。
それにしても、マドレーヌちゃん、重くない?
超能力ヴァンパイアだから、重いの平気なのは、わかるけど・・・・・・。
私、超能力、使いたーい!
「なーにぶつぶつ言うとると!あんた、13やろ?ちゃんとしなさい!」
は・・・・・・はい。
って、おばあさん、なんで私のとしを、知っているんだろ?
なんか、不思議な感じがしてきます。
「ここでいいよ。」
おばあさんは、マドレーヌちゃんの背中におりた。
私は、屋台をとめた。
「ありがとう。お礼にチリンチリンアイス、やるから。」
え!?チリンチリンアイスを!?ありがとー、おばあさんっ。
「私、てつだってよかったです!」
「いいえ、とんでもかまわんよ。」
おばあさんはニコニコしながら、チリンチリンアイスをつくり始めた。
「はい、どうぞ。」
はやっ。
「これは、おじょうさんで、こっちは、お姉さんと。」
おばあさんが、チリンチリンアイスを、私達にわたした。
「ありがとうございます!あのう、お金は・・・・・・。」
タダ
「今日は特別やっけん。無料。」
タダ
無料!?
タダ
「そう、無料。」
うそでしょ~!?
「では、いただきまーす!」
私達は、アイスをぱくっと、食べた。
う~ん、ひんやりする~。
って、ちょっとまってよ。マドレーヌちゃんのアイスの色、オレンジだねぇ。
「それは、にんじん味。」
にんじんの味?めずらしいですねぇ。
「んじゃあ、なめてみますっ。」
マドレーヌちゃんは、不思議そうに、アイスをぺろっとなめると、突然、マドレーヌちゃんの体が、ゾクゾクとなった。
「んー!本当に、にんじんの味です!」
んじゃあ、わたしがもっている、この茶色のは?
「それは、肉味。」
肉味ですとぉー!?まさに、アカン飯ですっ。
ま、私もなめよっ。
ぺろ。
「んー!おいしいワン!ん!?」
ちょっとまってだワン。さっきと今、自分の口から勝手に、「ワン。」って、言ったワン?
「何、言ってるですかでピョン、真莉亜お姉様?ん!?」
急に、マドレーヌちゃんが、口をおさえた。
マドレーヌちゃん、今、「ピョン。」って、言ったワンね?
「はい。自分の口から勝手に、言ったでピョ・・・・・・あー!」
わわわ!マドレーヌちゃんの頭から、うさぎの耳がっ。
「真莉亜お姉様も!頭の上に、犬の耳が、はえていますピョン。」
うわわ、本当だ!だんだん、私達、動物になっていくだワン!
「・・・・・・ほら、鏡があるけん。」
あ・・・・・・はい。ありがとうございますワン。
私達は、鏡を持った。
ちょちょちょーと!私、犬になってるワン!
「私、うさぎになってるピョン!」
これって、もしかして・・・・・・。
「そう。あたしさ。」
うわわわ!おばあさんが、みるみる、若返っていくワン!
って、おばあさん、人間じゃない。ヴァンパイアだワン!
「久しぶりだねぇ。春間真莉亜。」
テレサ!
「お前たちのアイスに、『アニマル粉』をかけたのさ。」
アニマル粉?
「そ。その粉を食べ物にかけると、あら大変。たちまち動物に、大変身。」
「んで、どうやってもどるんだワン?」
私が聞くと、テレサは思いっきり、顔を近づけたワン。
「それは、たぶん、一生もどれないかもね。ふはははは!」
テレサは、笑い声とともに、消えていった。
一生、もどれないって、とても嫌だワン。
とりあえず、ジュンブライトたちのところに、行こう。
☆
「ジュンブライトー、開けただワン!」
「ジュンブライトお兄様ー!」
・・・・・・だめだ。っと、思った瞬間。黒い影が、ドアを開けた。
「もー!しつこい!」
「ジュンブライト!」 「ジュンブライトお兄様っ。」
って、あれ?ジュンブライト、なにきょろきょろしてるんだワン?
「誰もいねぇぞ。いたずらか?」
「ジュンブライトお兄様、下ですピョン!」
マドレーヌちゃんが、大きな声を出すと、ジュンブライトは、下を向いて、私たちの姿に、びっくり。
「どどどどどうしたんだよっ。真莉亜が犬になって、マドレーヌがうさぎになって・・・・・・。」
これでは、深い理由が、ございましてだワン・・・・・・。
「深い理由?」
そうして、私達は、これまであった話をすると、ジュンブライトは、わかったかのように、うんうんとうなずいた。
「そうかぁ。テレサ、絶対ゆるさんぞ!すぐに、リリアとじいやを呼んでくるから。」
そう言って、ジュンブライトは、ドアを閉めた。
「何か、いい方法があれば、いいピョンね。」
そうだねぇだワン。
「あぁ。おばあさんを助けなかったら、よかったピョン・・・・・・。」
私もだワン・・・・・・。
もっと早く、テレサって、気づけりゃよかったワン。
そうしたら、私達は動物に、なれなくすんだのに・・・・・・。
反省するワン。
「あれ?向こうに、誰かいるピョン!」
マドレーヌちゃんが、向こうを指さした。
ん、どれどれ?ん?大きなリボンをしていて、5歳なのにピンクのドレスと、ピンクのブーツをはいていて、おめめをくりくりしながら、3DSをしている女の子だワン。
ん?この子、もしや・・・・・・。
「くるみちゃんっ。」 「キラキラ女!」
「へ?」
しまっただワン!見つかってしまったワン!
早く、どこかに隠れないと・・・・・・。
あった!くさむらだっ。
「マドレーヌちゃん!こっちおいでだワン!」
ところがマドレーヌちゃんは、くさむらに隠れた。
「誰か、いるの?」
ひぃぃぃぃ!くるみちゃんの足音が、どんどん聞こえてくるワン!
「不思議ですねぇ。」
「こっちまで、くるな!キラキラ女!」
「え?」
あ、しまった!
ところがくるみちゃんは、おめめをくりくりしながら、私達の方へ向かって、おめめをキラキラさせた。
「うわぁ。なんて、かわいいんでしょう。あら、このうさぎさんのピンクのおリボン、どっかで見た覚えが・・・・・・。」
くるみちゃんは、不思議そうに、マドレーヌちゃんのリボンをじー。
「ないですわ。」
がくっだワン。
「このお犬さんも、かわいいですわ~。えっと、名前は・・・・・・。あ!ローズで決まり!」
名前まで、決めるんかいっ。
「あと、このうさぎさんの名前は・・・・・・。あ!うささんで決まり!」
ぷはははは!マドレーヌちゃん、名前そのまんま!
「なんだと?」
と、マドレーヌちゃんは、私の方に向かって、ぎろり。
ごめんなさい・・・・・・。
「さぁ。行きましょう!」
へ?どこに行くだワン?
「私の家。」
えー!?まっ、まさか、くるみちゃん、私達と思わないで、行くのー?
「なにふるえてるの、ローズ。」
い、いや、べつに。
すると、くるみちゃんは、私達をだっこした。
「お父様、何ておっしゃるかしら、ね。」
「ワ・・・・・・ワン。」
「ピョ・・・・・・ピョン。」
「二匹とも、もしかして、きんちょうしてるの?」
ううん!してないワン!とは言わず。
「ワン、ワンワン!」
「ピョーン!」
「きんちょうしてない様子ね。」
ジュンブライト、助けてぇ!
「真莉亜、マドレーヌ、おまたせって、あれ?ジュンブライト、いないじゃない。」
「いたんだよ、ここに!」
「王子、あれ、見てくださいっ。」
「ん?あー!」
「ジュンブライトー!」
「ジュンブライトお兄様ー!」
「真莉亜、マドレーヌ!」
助けてくださーいって、もうお屋しきの前、すぎてるぅ!
「うふふふふ。」
十分後。
「さぁ、着きましたよ。」
ん?うわ、すご!すっごくきれーな豪ていじゃん!
ホワイトハウスみたいな、お家で、とても広くて、おまけに、プールがあるし、大きな門があるワン。
するとくるみちゃんは、背のびをして、インターホンを押した。
「『はーい。』」
その声は、おじいさんだワン。
「『じいや、開けてください。』」
「『わかりました。少々おまちを。』」
わわわ!門が勝手に、動いた!この家、どんな仕組みだワン?
ガチャ。
「お帰りなさいませ、くるみおじょう様!」
す・・・・・・すごいだワン!たくさんのメイドさんと、シェフさんが、深々と、ドミノみたいにおしぎしている!
その中には、まるで『逃走中』のハンターみたいな人達が。
この人達、ボディーガードさん?
「おぉ!わたしの我が娘、くるみ!」
誰かが、おどりながら、くるみちゃんの前に立った。
そのおどりを見て、メイドさん、シェフさん、ボディーガードさんは、大勢、はく手した。
その男の人は、声が野太く、タキシードを着ていて、赤いネクタイをはめていて、髪はとても俳優みたいな髪型。
「パパ!」
えっ、え~!?この人、くるみちゃんのお父さん!?
「あのね、今日、この子たちを拾ってきたの!」
くるみちゃんは、笑顔で私達を見せた。
「どこで拾ってきたんだ?」
うわぁ、くるみちゃんのお父さんは、とても真剣な顔で、私達を見つめてるワン。
「でっかいお屋敷の、くさむらで。」
「へぇ・・・・・・。」
ちょっと、やばくない?
「んで、飼ってもいい?」
「だめよ。」
向こうから、声が聞こえて、カッカッカッと、ブーツの音が聞こえるワン。
その人は女性。金髪で髪が長くて、超美人で、いちごみたいな赤い口紅をつけていて、服は超~高級で、体から、バラの香りの香水がただよってくる。
ん?この人、どっかで見たことあるような・・・・・・。あー!
あの、大物女優の、花本薫だワン!
んじゃあ、お父さんは・・・・・・。
あの、日本を代表するふりつけ師、花本博志だワン!
くるみちゃんの家族、すごすぎるだワン。
「なんでなの、ママ。」
くるみちゃんは、薫さんの顔を見て、目をうるうるしているワン。
「こーんな一億円した豪ていの中で、うんち、おしっこされたら、困るからよ!」
「ちょっとまってくれ!薫。」
博志さんが、くるみちゃんの前に立ったワン。
「なんなのよ。」
「こーんなかわいいかわいい我が娘の、かわいいかわいいわがままを、聞いてくれ!」
博志さん、親バカですワン。
しかも、くるみちゃんの味方になってるし。
「だーめーよ!くるみ、早くその動物を、かごの中に入れて。あなたは、動物保護施設に連絡してちょうだい。」
動物保護施設~!?
「ママ。そんなこと、やめて。」
「そうだ、そうだ!」
くるみちゃんが、かわいい目をくりくりさせて、おねだりをして、くるみちゃんのお父さんは、相変わらず、くるみちゃんの味方になってるワン。
それを見て、薫さんは、私達を目でぎろりと見て、それから、ため息をついた。
「わかったわ。今日は特別ね。明日、動物保護施設にやるから。」
薫さんは、後ろを向いて、くつの音を響かせて、向こうへと歩いた。
「やったぁ~!」
二人とも、大喜びだワン。
「それより真莉亜お姉様。明日、動物保護施設に連れられるんピョンよ。」
そうだったワン!なにかにげる方法、考えなくちゃだワン。
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