ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第二十一話 「ルクトさんの忘れられない日」

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みんな~。GW、どこに行く?
私は、家族みんなで、大阪のおばあちゃんちに行くんだ!お母さんの方のねっ。

「へぇー。ばあちゃんちに行くのか。」

ジュンブライト!聞いてたの?

「あたり前だろ。」

出た!流行語ノミネート大賞予定の言葉!

「真莉亜お姉様のおばあ様って、どんな人なんですか?」

マドレーヌちゃんが、目をくりくりさせながら、質問してきた。

「えっと、一人暮らしで、優しくて、一人で、パン屋さんをやってるの。」

「パン屋・・・・・・?」

なに、ルクトさん。つぶやいちゃって。

「いや、なんでもありません。」

今日のルクトさん、なんか、おかしいですよ。

「なにか、あったの?」

リリアさんが、様子がおかしいルクトさんに、スッポンの生き血ジュースを渡した。

「んりゃ・・・・・・。」

様子がおかしいルクトさんは、ジュースをゴクゴク飲んで、真剣な顔で、私の顔を見た。

「真莉亜様。わたくし達を、おばあ様のところに、行かせてください。」

え~!?そんなの、ダメに決まってるでしょ?

「お願いします!わたくしにとって、あそこは、思い出の場所かもしれないので!」

と、ルクトさんは、私の前に、どーんと、土下座した。

「いいですよ。しかし、めいわくかけたら、帰ってもらいますからねっ。」

「い・・・・・・いいんですか!?ありがとうございます、真莉亜様っ!」

ルクトさんってら、泣きながら、私にしがみついちゃって。
思い出の場所って、一体、なんだろ?





ブォーン。
私達は、大阪まで、新幹線で行くことになりましたぁ!

「うぉぉぉぉ!速いぜ~!」

「真っ暗ですぅ~。リリア~!」

「大丈夫よ。ここ、トンネルだから。」

・・・・・・うるさいです。正直、連れて来なきゃ、よかった。
でも、ジュンブライト達は、新幹線に乗るの、初めてだもんね。

「速い、速~い!」

ジュンブライト、うるさいです。てか、興奮しすぎ。

「ねぇ、ママ。あのお兄ちゃん・・・・・・。」

「しっ!指ささない!」

ありゃりゃ、ちびっこにも、見られちゃったよ・・・・・・。

「お姉ちゃん、よく変な友達、連れてきたね。」

げっ。後ろ、お父さんと、お母さんと、琉理がいるんだった!
琉理、お姉ちゃんの友達ね、新幹線に乗るの、初めてなんだよ。ヴァンパイアだから。
・・・・・・とは言わず。

「ルクトさん。初めて乗った新幹線、いががですか?」

どうせ、「はい。景色もいいですし、王子達も喜んでいますし、本当に来て、うれしいです。」って、言うんだろうな。

「・・・・・・。」

・・・・・・あれ?
ルクトさん、反応なく、窓際に肩をかっこよくのせて、景色を眺めている。

今日のルクトさん、おかしいねぇ~。

「ほっといていいわよ。ルクト、昨日からおかしいし。」

リリアさん・・・・・・。





私のおばあちゃんの家は、富田林にあって、二階建てのおうちで、茶色の屋根で、窓には白い文字で、『桃山ベーカリー』って、書いてある。

「さぁ、中に入ろうか。」

「うん!」

お父さんがドアを開けると、鈴の音が、カランと鳴った。

「まぁ、よくこれたね。」

しろい白衣を着た、白髪で、私とお母さん似の老人が、やって来た。

「おばあちゃん!」

「おぉ、真莉亜、琉理!よく、東京からこられたなぁ。」

この人が、私のおばあちゃん、桃山真美江、六十五歳。
おばあちゃんは、十年前に、おじいちゃんを亡くして、ショックを受けたけど、それ以来、元気でお仕事を頑張っていますっ!

「おかん。今日は、よろしくお願いします。」

「いいよ。今日は、おいしいパンを、ごちそうするからな。」

おいしいパン!?

「あら、そちらの方達は?」

おばあちゃんが、ジュンブライト達の方を指さした。

「こちらは、真莉亜のお友達の、黒月潤くんと、黒月円花ちゃんと、黒月莉亜さんやで。」

「へぇー。で、この人は?」

おばあちゃんの指は、こんどは、ルクトさんの方に動いた。

「あっ。こちらは、潤くんのしつじの、翔月ルクさんで・・・・・・。」

そのとたん、おばあちゃんは、ルクトさんをするどい目で見つめた。

「あんた、どっかで見たこと・・・・・・。」

おばあちゃん、知り合いなの?

「ないなぁ!」

がくっ。
さすが、大阪人は、ボケるの、お上手です。

「あ、ごめんなぁ。あたい、桃山真美江。孫の真莉亜が、お世話になっています。」

と、おばあちゃんは、ルクトさんの方におしぎをした。

「あ・・・・・・。わたくしは、しょ・・・・・・翔月ルクですっ!」

あれれ?ルクトさん、顔、まっかっかになってる。
どうしたんだろ?

「さぁ。あたいのできたてアンパン、持ってこようか?」

「やったぁ!」

「アンパンマン、食べられるのか?」

おしいですけど、ジュンブライト、アンパンマンではなく、アンパンです。
そもそも、アンパンマンも、食べられるけどね。アンパンだから。

「アンパンって、なんですか?」

「アンパンはね、パンの中に、アンコが入ったパンよ。」

「おまたせ。できたてのアンパン、もってきたで~。」

レジの方から、おばあちゃんが、黒いおぼんの上にたくさんのった、ほっかほかのアンパンを持ってきた。

「さぁ。熱いうちに、お食べ。」

「うわーい!」

お母さんとお父さんは、子供のように、アンパンをとってゆく。それにつづいて、私、琉理、ジュンブライト、マドレーヌちゃん、リリアさんが、次々とってゆく。

「ん~、おいしいですぅ~♡」

マドレーヌちゃんが、ほっぺたをおさえながら、アンパンをぱくぱく食べている。

「やろ?おかわり、まだあるからな。」

と、おばあちゃんはにんまり。

「やった~です!」

ん?そういえば、ルクトさん、アンパン、とってないねぇ。どうしたんだろ?
すると、おばあちゃんは、ルクトさんがアンパンをとってないのを、はっと気づいて、アンパンをさっと、ルクトさんの前に出した。

「はい。うちのアンパン、おいしいで。子供、父ちゃん、母ちゃん、ばあちゃん、じいちゃんにも、人気やで。老人のおまんには、おいしいと思うで。」

おばあちゃん、そういうあなたも老人です。

「あ・・・・・・はいっ!」

ルクトさんは、ぱっと、アンパンを手にとって、アンパンを、一口でぱくっと食べた。

「どう?どう?」

おばあちゃんは、ルクトさんの顔をじろじろ見つめて、ルクトさんの感想をまった。

「とてもおいしいです。」

「やろ?やろ?アンパンの値段、200円やから、買うか?」

どうせ、ルクトさんは、「いや、そんなにアンパン、買おうとしてないから、いいですよ。」って、言うだろ。

「あっ、買います!」

買うんかーい!

「毎度っ!」

ルクトさん、今日は意外と、おかしいよぉ。





「おばあちゃん。ちょっと、本、かしていい?」

「いいけど、なにに使うん?」

と、おばあちゃんは、親父ずわりをしながら、おせんべいをぽりぽり食べています。
おばあちゃんのイメージ、ごくふつーのおばあちゃんとは、全くちがいます。

「使うんじゃなくて、読みたいの。」

「あ~、いいよ・・・・・・アハハハ!う~け~るぅ~、2700。右ひじ左ひじ交互に見て・・・・・・アハハ~!」

おばあちゃんが見てるのは、お笑い番組。おばあちゃん、大阪人だから、お笑いが大好きで、27〇0の大ファン。
ほら、壁に、2700のポスター、〇ウン〇ウンのポスター、オ〇ラジのポスターがはってあって、テレビの上には、タ〇アンド〇シのLIVEDVD、〇カルの定理のDVD、吉本のDVDが、たくさ~んある。
ま、おばあちゃんの趣味だから、早くおばあちゃんの部屋に行こっ。
それにしても、階段、のぼるのきついなぁ~。
ガチャ。
おばあちゃんの部屋は和室で、カーテンは茶色で、押し入れはでかいし、本棚もちょうでか~い!
あ!本、本!
ガサゴソガサゴソ。
あった!私が読みたかった本、東〇圭吾の『新〇者』。これ、むっちゃくっちゃ、読みたかったんだよねぇ・・・・・・。
ガサゴソガサゴソ。
ん?なんか、押し入れの中に、誰かいる?んなことあるわけないよ・・・・・・。
ある、ある!ひょっとして、どろぼう!?確かめてみよう!
ガラッ!
あれ?黒い蝶ネクタイで、黒いスーツを着ていて、白髪で、耳はとんがっているおじいちゃん・・・・・・。あれれ?この人、どっかで見たことが・・・・・・あっ!

「ルクトさん!」

なんで、おばあちゃんのアルバムを、散らかしてんの?
もしかして、どろぼうしにきたの?

「いや、ちがいます!思い出の写真が、ないのです!」

思い出の写真?

「はい、そうです。」

と、ルクトさんがそう言った、その時。空中に、ひら~っと、一枚の写真が風でとばされて、その場にパタンと落ちちゃった。

「あ!」

どうしたの、ルクトさん。急に大きな声、出しちゃって。

「これですっ。」

ルクトさんが、その写真を拾って、「あー、なつかしいです~。」と、言いながら、写真を見つめた。
どれどれ?あ、これ、昔のだから、白黒だね。
それにしても、ルクトさん、かわいい~!
昔、カワイイ系のイケメンだったんだね!
そして、ルクトさんと手をつないでいるのは・・・・・・。
むむむ!?この人、おばあちゃん!?

「そうです。真莉亜様と同じ歳のころのおばあ様、いや、真美江です。」

やっぱり!でも、なんで、おばあちゃんと一緒にいるの?

「わたくし、しつじ協会にいましたので、しつじになるために、人間界で修行しに行ったんです。」

へぇー。

「今から、53年前の話をします。」

ルクトさんが、写真をじっと見つめながら、口を開いた。





53年前 冬。

ゔぅ~、寒い・・・・・・。こんなにたくさんのトマトを配達するなんて、思ってもなかった・・・・・・。

「翔月さん。配達、お願いねぇ~。」

「はいよ~。」

僕は、ダンボールを運んで、トラックの中にどんっと、乗せた。
よいしょっと。もう、トラックの運転の仕方、だいぶ、覚えてきたかな?
だって僕、ヴァンパイアだから。しつじ協会にいるから、立派なしつじになるため、人間界の、日本というところの、大阪っていうところで、修行中。
人間界では、翔月ルクとして、頑張っています。
なんで名前が、本名じゃないかって?
それは、人間から、ヴァンパイアって、バレないようにしているから。バレたら、この日本から追い出されて、しつじの資格が、不合格になってしまうから。

「あ、ここか。」

僕は、エンジンをきって、車からおりて、トラックの中からトマトが入ったダンボールを出した。
トントン。

「お荷物で~す。」

すると、遠くから、おばさんみたいな人の声が、聞こえた。

「いやぁ、ありがとさん。」

そう言って、おばさんは、はんこを押した。

「あんた、いっとき、休憩しいや。おいしい、おいしい、チキンラーメンを、つくってやるから。」

チキンラーメン?

「あんた、知らんのかい!?去年、発売した、インスタントラーメンやで!仕事、始めて、何年たったんや?」

いや・・・・・・まだ、一年、たってないです・・・・・・・。だって僕、ヴァンパイア界から来ましたから・・・・・・。
とは、言わず。

「とにかく、うちに入って、入って!」

おばさんは、僕の背中を押して、リビングまで連れて行かれ、いすにすわらせた。
チキンラーメンって、一体、なんだろ?

「はい、できあがり。熱いうちに、食べてや。」

はい、いただきます。
うわぁ~、真ん中に、卵が、のってある~。
チュルルル・・・・・・。
ん!おいしい~!こんなの、初めて!
人間界は、おいしいものが、あるんだなぁ・・・・・・。
見習いました。

「はぁ・・・・・・。」

どうしたんですか?急に、ため息なんか、ついちゃって。

「最近、ヴァンパイアっちゅう、化け物が出てくるって、うわさがあって・・・・・・。」

ぎくぅ!

「もし、ヴァンパイアが出てきたら、警察に連絡って、町中で、はり紙が、はりだされてるんや。でな、ヴァンパイア追い出し作戦っちゅうのがあるんやで。」

ヴァンパイア・・・・・・追い出し作戦・・・・・・か。

「そ。まっさかぁ、あんたがヴァンパイアって、言うんじゃないやろうね?こーんな、とんがった耳をしているからな。」

ちょ、おばさん!僕の耳、引っ張らないでください!

「とにかく、ヴァンパイアには気をつけろよな。」

あ・・・・・・はい。
僕の正体、バレずにすんでよかった・・・・・・。

「近所の人、知り合いにはたっくさん、ヴァンパイアにかまれた人がおるで。そのせいで、入院した人も。」

「ちょっとすみませーん。僕、もうそろそろ、帰りますので。」

「あ。またきてな。」

こうして、僕は、おばさんのあたたかい見送りをされ、仕事場へ戻った。





ういっくしょん!
はぁ、ヴァンパイア追い出し作戦・・・・・・か。ジンさんに知らせなくちゃ。

「おい。ちょっと、署まで来てくれないか?」

後ろを振り返ると、警官みたいなごっつい人が、どーんと僕の後ろにいた。

「なんで?僕、悪いこと、してないのに。」

すると警官さんは、僕の左肩を、ぎゅっとにぎった。
痛い・・・・・・。

「へへへ。だまされたな。」

警官さんの声が、細い声とまじった声になった。
まさか。
警官さんの姿が、どんどん変わってゆく。そして、緑色の髪で、緑色の細い目をして、背が僕より高く、学生服みたいな服を着ているのは・・・・・・。

「ジンさんっ!」

「よぉ。久しぶりに会ったな。」

ジンさんは、僕と一つ上の先輩で、去年は不合格で、人間界にずっといたけど、一年ぶりですっ。

「それに、どうしたんだ?」

あっ。実はその・・・・・・。
僕は、ヴァンパイア追い出し作戦のことを、全部話すと、ジンさんは全然、平気な顔。
なんで、そんなに平気な顔、するんですか?危ないですよ、ここ!

「そんなの、知ってんぞ。去年から。」

え~!?

「しっ!大きな声、出すんじゃねぇぞ、バーカっ!」

あ・・・・・・すみません。

「しっかし、ここから逃げようとは、そうはいかねぇぞ。」

どういうことですか?

「ここだけではなく、日本全国にも、広がってるんだ。」

それじゃあ、バレたら、どうなるんですか?居場所なんか、どこにもないし・・・・・・。
すると、ジンさんは、はぁーと、ため息をついた。

「警察につかまられ、ろうや行きで、殺される。」

ころ・・・・・・殺される。

「しっかも、殺された人数、1万6千200人だ。」

1万6千200人も?

「あぁ。行方不明者も出ている。」

行方不明者も?

「そうだ。会長のルビーさんは、相当、悲しんでるぜ。」

そうなんだ・・・・・・。

「それよりルクト、気をつけろよ。お前、もしバレたら、しつじ、失格だからな。」

そんなのわかってますって。

「んじゃ、またな!」

ジンさんは、僕に手を振って、山の奥の方へ、消え去った。
さあて、街に行こっか。
僕は忍者みたいに、森をおりた。
ぐぅ~。
ゔぅ、お腹、空いたぁ・・・・・・。どっか、おいしいもの、ないかなぁ?
すると、店の中から、おいしそうなにおいが、ただよってきた。
振り返ると、そこには、ラーメン屋さんがあった。
昼もラーメン、夜もラーメン・・・・・・か。
ガラッ。

「へいっ、いらっしゃ~い!」

声のいいおじさんに元気よく迎えられ、カウンター席にすわった。

「ご注文は?」

「味噌ラーメン1つと、餃子1つ。」

「餃子は、焼きですか?水ですか?」

「焼きで。」

「はい、ただいま!」

ん?餃子?あー!
ねぼけて、たのんじゃった!こりゃ、変えてもムダですなぁ~。
ここは、がまん、がまん!

「『速報です。ヴァンパイアが、出現しました。』」

うわぁ。ジンさん、大丈夫かな?

「へい、おまち!」

おじさんが、僕の前に味噌ラーメンと、僕がねぼけてたのんだ餃子の焼きを出した。
にんにくくさいけど、一口ぐらいなら、いいよね?
パクっ。
ゔ・・・・・・ゔぅ・・・・・・。

「どうしたん、お客さん?なんかまずいもん、入ってたか?」

い・・・・・・いえ。
って、おじさんとお客さん、みんな、なんで僕の方をじーっと、見つめてるんですか?

「お前さん、歯、とんがってねぇか?」

歯?

「ほら、あたいの鏡、あげるで。」

あ・・・・・・ありがとうございますっ!んっと、鏡・・・・・・。
あ~!しまった~!

「あんた、ヴァンパイア!?」

「警察・・・・・・警察や~!」

しまった、バレてしまった!

「動くなっ、ヴァンパイア!」

警察、来るの早っ!と、思った、その時。
大勢の警官さんが、僕の体を押さえた。
すると、黒いスーツを着た、男の人が僕の目の前に現れた。

「ふっ。人間に化けて、いい様だなぁ、ヴァンパイア。」

刑事さんかよ!

「君の仲間も、いるんやで。」

刑事さんが、しゃがんで、ニヤリと笑った。





「さぁ、早く入れ!」

僕は、警察に背中を押され、ろう屋に入った。
ガチャ。
ルビーさん、父さん、母さん、ごめんなさい・・・・・・、しつじに、なれなかった。
僕は、最低な男だ。

「おい、ヴァンパイア。ちょっと来い。」

刑事さんに呼び出され、取り調べ室に連れてこられた。

「おまん、なんでここに来たんかい?」

「し・・・・・・しつじになるために、来ました。」

「ああん?聞こえないぞぉ。」

「し・・・・・・しつじになるために、来ました。」

「しつじにかぁ。んで、翔月ルクとして、人間界にやって来たんやな、ルクト。」

刑事さんが、僕の顔を、怪しい目で見つめた。

「あぁ。おまんの仲間、連れて来てやろうか?おい、あれを持ってこい。」

「はいっ!」

僕の・・・・・・仲間?
すると、さっきの警官さん達が、長い箱を持って現れ、その場においた。

「ごくろうさん。じゃあ、あんまり、大きな声出すなよ。」

中には、緑色の髪をして、細い目をしたヴァンパイアが入っていた。
この人、どっかで見たことが、あるような・・・・・・あ!

「ジ・・・・・・ジンさん?」

うそ、ジンさん・・・・・・だよね。

「山奥に住んでいる人から、ヴァンパイアがいるって、連絡があって、現場へ駆けつけ、たいほして、天国に連れて行ったんや。」

その瞬間、僕の目が、急にとまった。
あのラーメン屋のテレビで、ニュースで言ってたヴァンパイアは、ジンさんだったのか。
なんで・・・・・・なんで、僕の大切な人を殺すんだ!

「はぁ?そんなに悲しいのか?」

あたり前だろ?ジンさんを・・・・・・ジンさんを!

「おい!こいつを、早くとめんかい!そして、なぐらんかい!」

「はっ!」

警官さん達は、僕をなぐり、僕のお腹をけったり、鉄の棒で、僕の頭をなぐったりした。






う・・・・・・う~ん。もう、朝の5時か。
いたたたた、頭が、キーンとなる・・・・・・。
ん?血・・・・・・なんで、血が?そっか、僕、鉄の棒でなぐられたり、されたんだっけ?
ドン!
ちくしょー!あの時、ジンさんと一緒に、山奥に行けばよかった!
そうしたら、ジンさんを守れたりに、ちがいない。
自分の、バカバカバカバカバカバカ~!
コトン・・・・・・。
なにか、落ちたぞ。
拾ってみると、コロンみたいな形をした、香水があった。
あっ!これ、ルビーさんが、言ってたっけ?

「『ルクトよ。この、『瞬間移動香水』を、体中にかけると、行きたい場所へ行ける。』」

「『行きたい場所・・・・・・ですか?』」

「『そうじゃ。自分の行きたい場所を、何回も言いながら、体中にかけるのじゃ。』」

「『あ・・・・・・ありがとうございます!』」

「『うん、うん。危険な時になったら、使え。』」

「『はい!』」

いよいよ、この道具を使う時が、キター!
えーと、まず、行きたい場所は・・・・・・。

「富田林、富田林、富田林、富田林・・・・・・。」

僕は、そう言いながら、シュシュッと、体中に、香水をかけた。
そして、僕の姿は、シュッと消えた。
・・・・・・う・・・・・・ここ、富田林・・・・・・だよね?
僕、本当に、瞬間移動したんだ!わーい、やったぁ!
ズキン!
ゔぅ。調子にのりすぎて・・・・・・、頭が・・・・・・。
バタン。




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