ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第二十話 「恋のライバル、現る!」

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桜が舞い散って、きれいな外。その向こうには、一緒にはしゃいで歩いている、かわいい新小学一年生の女の子二人が、仲良く手をつないで、なにかしゃべっている。その後ろには、女の子二人のお母さん達が、かわいいスーツを着ていて、しゃべりながら、歩いている。
そして、そして!一人、緊張しまくっている、花田中の制服を着た、男の子の姿がっ!
そう!私、ついに、先輩になりま~す!

「なに、妄想してんだよっ!」

妄想なんか、していませんっ!

「先輩ですかぁ~。私、あの子達の先輩になるんですねぇ~。」

マドレーヌちゃんが、窓から、新一年生の女の子達を見つめながら、言った。

「どんな新入生が、入学してくるんでしょうか。」

ルクトさん!それ、私もきになります!
は~。占い、どっかできるとこ、ないかなぁ~。

「あるわよ。」

リリアさん!ドラえもんみたいに、なっているじゃありませんかっ!

「ファンタジーフォンでね。」

リリアさんが、私の方に、ファンタジーフォンを持って来た。

「メニューで、星座占いって、いうところを、タッチペンで、タッチするのよ。」

ほう。えー、星座占いっていうところを、タッチするんですか・・・・・・。

「それで、自分の星座を、星座表で見つけて、見つけたら、タッチするのよ。」

えーと、私は双子座だから、双子座、双子座・・・・・・。
あー!あったー!よし、タッチしよう!
ピッ!

『チャラリーンチャラチャラチャーラーン』

ん?なんで、『鼻から牛乳~』の音楽が、流れてくるんでしょうか。
まっ、まさか!

『双子座・ビリ・入学式で、恋のライバルが出現するかも!ラッキーアイテムは、好きな人の髪の毛。』

やっぱり~!てか、ラッキーアイテムが、好きな人の髪の毛って、さっぱりわからん!
恋のライバルかぁ~。一体、誰なんだろ?





うわぁ~!大勢の一年生が、来てる~!
合計は、男子53名、女子59名の、122名!
しかも、クラスは、4クラス!

「すみませーん。」

あ、声、かけられた!かわいい女の子だなぁ。

「なんですか?」

「1年4組の教室って、どこですか?」

道案内、来たぁ~!

「えっと、2階にあるよ。」

「あ・・・・・・ありがとうございます!」

二人の女の子は、私の方におしぎして、さっと、学校の方に向かって、歩いた。

「あの先輩、優しかったね。」

「私、ものすっごく、尊敬しちゃった!」

優しかった・・・・・・尊敬しちゃった・・・・・・。私、早速、後輩の役に立ったんだ!

「な~に、喜んでんだぁ。真莉亜くんっ!」

「あわわわ!」

誰か、私の背中をドンと押した。後ろを振り返ると、そこには、背が高い、男の人が。

「ジュンブライト!」

「へへへん。さっきの、聞いてたぞぉ。お前、人見知りだったのに、もう、なくなってきたなぁ。」

ジュンブライトが、鼻をこすりながら、右目だけ、ウインクしている。
そ・・・・・・そうかなぁ?

「それと、今日の占い、『恋のライバルが出現する』っていう、ビリだったなぁ。」

え?聞いてたの?

「あたり前だろ。あー、それを思い出すたび、笑ってしまうぜ~!グハハハハ!」

いつもの言葉と合体して、ジュンブライトがお腹を押さえて、まだ、笑ってます。恥ずかしい・・・・・・。
すると、遠くから、女の子の声が聞こえた。

「ちょっと、どいてぇ~!」

むかむか!先輩を押すとは、ひきょうもの!
てか、先輩に向かって、なに?口の態度。ふつー、「ちょっと、どいてくださーいっ!」でしょ?
女の子は、茶色のショートヘアーの女の子で、ピッカピカの制服を着ていて、カバンを着ている。
あんだけ走ると、ころびそうな感じがする・・・・・・。
すると、女の子は、ドン!と、人にぶつかった。

「きゃあ!」

「危ないっ!」

ジュンブライトが、さっと、女の子の方に向かって走った。

「ん・・・・・・。え?」

女の子は、ジュンブライトを見て、驚いています。

「ちゃんと、前を見てなきゃ、だめだろ?」

「は・・・・・・はいっ!ありがとうございますっ!」

と、女の子は、ジュンブライトの方を向いて、おしぎをした。

「別に、いいんだよ。」

その瞬間、女の子の顔がまっかっかになった!
そして、二人の周りに、桜の花びらが降った。
こ・・・・・・これは危険ですっ。

「じゅ・・・・・・潤~。あと、1分で、授業、始まっちゃうよぉ~!」

「おう!んじゃ、またな。」

ジュンブライトは、女の子に手を振って、私の方に走った。

「あの子、名前、なんていうのかな?」

私がつぶやくと、ジュンブライトが、私の顔をのぞきこんだ。

「どうしたのか?」

い・・・・・・いやぁ~。ただ、気になっただけ・・・・・・。
って、女の子、私の方に、にらみついているし!
こ、この子が、まっ、まさかっ!





入学式が終わって、私は、トイレの方に走った。
はぁ~。校長先生の話、長かったなぁ~。
つるっ。
うぎゃあ!
いたたた・・・・・・。しりもち、ついちゃったよ~。
ん?これは、バナナの皮?こんなところに、バナナの皮なんか、あるわけないよね・・・・・・。
誰かの、いたずらかなんか・・・・・・だよね?

「先輩っ。大丈夫ですかっ。」

急に、私の前に、黒い影が現れた。
もしかして、私が道案内した、女の子?

「そうですよ。先輩の名前、聞きたくて、聞きたくて。」

髪をくるんとした女の子が、私の方に、目をキラキラさせた。

「・・・・・・春間真莉亜です。」

「あたし、1年4組の、坂屋緑。左にいるのは、幼なじみの、伊垣紗矢。」

「よろしく。」

伊垣さんが、私に向かって、ピースした。

「ところで、どうしたんですか?」

実は、ここに、バナナの皮が・・・・・・。

「あ~!」

坂屋さんが、急に大きな声を出した。
どうったと?

「入学式が終わって、同じクラスの、桐崎小春っていう人が、バナナの皮をここにおいて、「あの、大バカ中2め~!潤くんをなんとかこーのか!」って、言ってたよ。」

潤が?

「そう。気をつけた方がいいですよ。」

ほう・・・・・・。





ジャー。
桐崎小春って、どんな人だろ?
ジュンブライトがなんとかこーのかって、一体、なんだろ?
ちょっと、気になるなぁ~。
パシャッ!
なに、これ!水?
うわぁ~。制服が、びっしょりしました。あと、髪も。
ガランゴローン!
ん?なにか、青いものが、落ちたぞ。
これは・・・・・・バケツ?
誰かが、トイレの上にのぼって、私に水、かけたとか?
あぁ。まるで、ミステリーみたいです。





「制服は、乾かしたから、今日一日、体操服のままね。」

保健室の出雲波子先生が、私の髪を乾かしながら、言った。
出雲先生は、花田中のお母さん的存在。現在は、シングルマザーで、3歳の双子ちゃんがいる。

「一体、誰が、真莉亜ちゃんに、水をかけたのかしら?」

私も気になります。

「なんだか、不思議だわ~。」

先生、?状態になっております。

「あ。もう髪、大丈夫ね。」

先生が、ドライヤーの電源を切った。

「気をつけてね。たぶん、誰かのしわざかもよ。」

先生が、心配そうに、私を見送って、手を振った。
さぁて、帰ろっか。
ヒュー。
ん!なにか、私の顔に、つきました。
なんだろう・・・・・・。ん!?
こ・・・・・・これは!

『春間真莉亜へ 黒月潤は、もらった。 返して欲しけりゃ、菜の花広場に来い。 by怪盗ル〇ン』

か・・・・・・怪盗ル〇ンって、ル〇ン三世のこと!?
もしかして、ル〇ンが、ジュンブライトを、盗んだ!?
そりゃないっしょ。だって、ルパンがジュンブライトを誘拐するわけ・・・・・・。
ある!
ルクトさんに連絡しよう!
私は、ケータイを開いて、電話帳で、ルクトさんに、電話をかけた。

「『はい。ルクトですけども・・・・・・どうされたんですか、真莉亜様。』」

「ルクトさんっ。ジュンブライトが・・・・・・ジュンブライトが、怪盗ル〇ン・・・・・・いや、ル〇ン三世に、さらわれた!」

「ル〇ンですか。えぇ・・・・・・って、えぇ~!?」

ルクトさん、驚きすぎです。

「『ジュンブライトお兄様が、誘拐されたぁ!?』」

あらら、マドレーヌちゃん、聞いてたの?

「『場所はどこなの!?』」

リリアさんまで・・・・・・。

「えぇっと、菜の花広場・・・・・・。」

途中で、電話が切れた。
切るの、早いなぁ~。
はっ!早く、行かなくちゃ!


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