ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第十九話 「真莉亜とジュンブライト、入れかわる?」

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新学期。それは、新しい出会いの季節。そして、今、春間真莉亜、いよいよ中学2年生になりますっ!
はは~ん、いよいよ明日が入学式で、私、キラキラの先輩になるんですねぇ~。

「なに、一人で妄想なんかしてんの?」

誰かが私の背中をバックでたたいた。
後ろを振り返ると・・・・・・。

「ジュンブライト!」

「へへへ。いよいよ、中2だな、俺達。」

ジュンブライトは、歳、三十一でしょ?

「うるせぇー!人のこと、いえねぇくせによぉ!顔と体でいうと、13にしかみえねぇんだよっ!」

そう言って、ジュンブライトは体をはった。

「そういえば、俺達、また、同じクラスになれっかな?」

そうだね・・・・・・。同じクラスなればいいけれど・・・・・・。
私が考えていると、大勢の生徒の声が聞こえた。

「クラス発表が、出たぞぉ~!」

「あたし、何組かなぁ?」

うそ、出たの?

「行ってみよう!」

うん!
私とジュンブライトが、クラス発表があるところに走って行くと、大勢の生徒がワイワイ集まっていた。
えーと、新2年生のクラス発表は・・・・・・。

「新二年生のクラス発表は、こっちです!」

男の先生が大きな声でさけんだ。
私達がこっちの方に行くと、恵がいた。

「恵!」

私が声をかけると、恵は手を振って、私達の方に走って行った。

「真莉亜、潤くん!」

クラス、どうだった?

「多くて、何組かわからないの。前に来たら、わかるかもしれないわ・・・・・・。」

恵がこまった顔をして、大勢の生徒を見つめた。

「もうちょっと前に行こっか。」

ジュンブライトが私達の手を握って、前に走った。

「えーと、えーと、あ、あった!」

恵が明るい声で、クラス発表の紙のところを指さした。
どう?どう?何組だった?

「2組。また2組か~。んじゃ、先、教室に行っとくからね。潤くんと同じクラスに、なれるといいねっ!」

そう言って、恵は走って、学校の中に入った。
んっと、ジュンブライトは・・・・・・。

「1組だ。」

早っ!もう、見たの?

「ほら、見てみろ!」

ジュンブライトが、指をさした方を見ると・・・・・・。
ほんとだ。出席番号9番、黒月潤って、書いてある!私、ジュンブライトと同じクラスになれなかったんだなぁ・・・・・・ん?

『21番 春間真莉亜』

へ?2年1組のところに、私の名前がのってある!

「よかったなぁ、真莉亜!同じクラスになれて!」

ジュンブライトが、私の頭の上に、右手をがっしり、のせた。
やったぁ~!私、また、ジュンブライトと同じクラスになれたんだぁ~!




ガラン!
うわぁ~、知らない人、多っ!元1年2組がいないし。

「あら、真莉亜様。また、同じクラスになりましたね。」

その、きれいな声は・・・・・・。

「比奈多さんっ!」

「私達も、一緒ですっ!」

黒い影が、シュ、シュと比奈多さんのとなりに立った。

「なぎささん、雪さん!」

「私達、比奈多様と一緒じゃなきゃ、だめなんです!」

二人は声をそろえて、体を大きくはった。

「ですよねぇ、比奈多様・・・・・・え?」

あれぇ~?比奈多さんがいない。まさか・・・・・・。

「潤様~♡また、同じクラスになれましたねぇ~♡」

比奈多さんの声が聞こえた。私が後ろを振り返ると、ジュンブライトの周りには、大勢の女子生徒がかこんで、その中には、比奈多さんがいた・・・・・・。

「はぁ~、わたくし、潤様と同じクラスになれるのか不安で、ず~と、ねむれませんでしたのぉ~♡」

あぁ、それがお目当てで・・・・・・。

「私も、私もぉ~♡」

うわ!おそるべし、女子軍団!比奈多さんのあとに続いて、言ってるし!

「潤様~♡三年になっても、同じクラスになりましょ~♡」

うわ!比奈多さん、思いっきり、ジュンブライトにだきついたし!
しかも、ジュンブライト、苦しそう・・・・・・。

「全員、席に着け~。」

先生の声が聞こえて、みんなは席にすわった。

「真莉亜。」

どっかで静かな声が聞こえた。

「司ちゃん!」

また、同じクラスになれたんだぁ~!
ガラン!
先生が入って来た。
ん?この赤いジャージ、どっかで見覚えあるような・・・・・・。

「春間と黒月と月野と夢崎は知ってるよな?」

???はい?

「四人とも、もう忘れたようだから、今から黒板に、先生の名前を書くぞ!先生の名前は・・・・・・。」

先生が、白いチョークをカッカッカッと音を鳴らして、自分の名前を黒板に書いた。
んっと、名前は・・・・・・。

『尾希田雅吉』

あー!ヴァンパイア♡ラブ第十三話で、ちょこっと出てきた、こじはるが大好きで、松岡修造流の熱血教師!

「えー、今日から一年間、お前達の担任を務める、尾希田雅吉、27歳!独身で、こじはること、小嶋陽菜が大好きで、趣味は、AKBのグッズを集めることだ!よろしくなっ!」

相変わらず、自己紹介、変わってないなぁ~。

「さ、学級委員を決めるぞ!誰か、立候補するやつ、いないか?」

そういえば、討馬くんがいないね。討馬くんは、3組になっちゃったもんね。

「はい!」

誰かが大きな声で手を挙げた。誰だろ。

「黒月、やってくれるか?」

ジュンブライト!?

「はい!」

「じゃあ、みんな、学級委員は黒月でいいか?」

先生がたずねると、みんなは、「はーい!」と返事をした。

「じゃあ、決まりだな。」

先生が二カッと笑った。





「ジュンブライトが立候補するなんて、びっくりしたよぉ。」

「アハハハハ。そうか?ただいまぁ~。」

ジュンブライトが、ドアを開けながら言うと、ジュンブライトの家の中は、しーんとしていた。

「ちぇ、じいや達、いねぇーのかよっ!」

と、ジュンブライトは舌打ちした。リビングに入ると、誰もいなかった。
すると、テーブルの上に、白い紙が置いてあった。
どれどれ?

『王子へ わたくし、王女様、リリア様は、夕食の材料がないので、お買いものにいってきます。 ルクトより』

ルクトさん、字、キレー!

「ん、どれどれ?」

ジュンブライトが、手紙をのぞきこんだ。

「買い物にいってきますか・・・・・・。なんか、おやつねぇーか?」

と、ジュンブライトは、部屋中をウロウロし始めた。

「ん?これ、なに?」

「え?」

ジュンブライトは、ウロウロするのをやめて、茶色の皿を指さした。
これ、アメ?
オレンジ色のふくろに包まれたアメを、私は上にして、じーっと見つめた。

「とりあえず、食べようぜっ!」

はやっ!もう、開けてるし!

「真莉亜も開けようぜ!」

と、勧められ、私はふくろを開けて、ピンク色のアメを手の平にのせ、そのアメをジュンブライトと一緒に、ぱくっと、口の中に入れた。

「ただいま~です~!」

マドレーヌちゃんの元気がよい声が、玄関から聞こえた。

「お帰り、マドレーヌちゃんっ!」

私が、ひょこっと顔を出すと、マドレーヌちゃんは目を点にして、口をポカーンと開けた。
・・・・・・どったの?

「王子。今日の夕食は、ナポリタンですよ。」

「本当か!?」

ジュンブライトがひょこっと顔を出すと、ルクトさんは、スーパーのレジぶくろを落として、マドレーヌちゃんと同じ顔になった。

「・・・・・・あなた達、入れかわってんじゃないの!」

リリアさんが驚いて現れた。

「はい、鏡です!」

マドレーヌちゃんは、大きな銀色の鏡を、どーんと持って、私達の前に置いた。
そういえば、マドレーヌちゃんは、超能力ヴァンパイアだったっけ?

「さぁ、見てください!」

はーい・・・・・・って、えぇ~!?私、ジュンブライトになってるし!

「俺、真莉亜になってる!」

「頭、ぶっかったりしませんでしたか?」

マドレーヌちゃんが、私達に質問すると、私達は首を左右に振った。
ルクトさんが、リビングに上がると、オレンジ色のふくろを発見して、「あー!」と、絶叫した。

「あなた達、ひょっとして、『入れかわるアメ』をなめたんですね!」

入れかわるアメ?

「そう!入れかわるアメを二人同時になめると、二人の体が名前通り、入れかわってしまうんですっ!」

え~!?それじゃあ、私達、入れかわったってこと!?

「そうです。」

ルクトさんが2回うなずいた。

「んじゃあ、俺達、どうやったら元に戻るんだよっ!」

ジュンブライトが、ルクトさんに聞くと、ルクトさんはひとさしゆびをさした。

「方法はあります。」

うそ、あるの!?

「そう。戻るアメっていうアメを、二人同時になめると、元に戻るのよ。」

リリアさん、さすが、物知りヴァンパイア!すると、マドレーヌちゃんが、顔をしゅんとした。

「しかし、元に戻るアメは、明日、出荷予定日なんです・・・・・・。」

「え~!?」

と、私達は声をそろえた。

「じゃあ、明日になるまで、ず~と、このままってわけか!?」

「そうです。」

と、ルクトさんはまた、2回うなずいた。

「でも、入れかわったから、真莉亜はジュンブライトの家に、ジュンブライトは真莉亜の家に、一日中、過ごすのよ。」

えぇ~!?そんなぁ~。夜ご飯、ナポリタンなのに・・・・・・。
すると、ジュンブライトが、目を光らせて、犬みたいに、「ヘッヘッヘッ。」と、舌を出した。

「本当か!?それ!」

ジュンブライト、よだれ、出てるよ!

「あ、ごめん、ごめん。」

ジュンブライトは、舌を口の中に戻した。

「いい?ジュンブライト。お母さん、お父さん、そして、琉理とかに、「あたり前だろ。」、「別にいいじゃねぇーか!」、「うるせぇ~!」とか言わずに、バレないこと!それだけは、守ってね!」

「はーい。」

と、ジュンブライトは返事をした。

「本当に守ってね、ジュンブラ・・・・・・。」

あれ?もう、いなくなってるし!逃げ足が速いヴァンパイアですなぁ~。



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