逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
332 / 333

333

しおりを挟む
つむじ付近に衝撃を受け、頭を上げたようとした
注意散漫な私がぶつかったモノは何なのかを確認するためだった

「あんた何してんだよ」

それを確認する前に聞こえてきたのは、よく知った声だった
ドキッとした
目に映ったのは、真っ黒なロングコートを羽織って、こちらを見下ろすジャンさんだった

「ジャンさん!?もう…お話は終わったんですか?」

「どんだけ時間経ったと思ってる」

「っえ、もうそんなに時間が…。気づかなかったです」(雪だるま製作に集中しすぎて、時間を忘れるなんて…恥ずかしい…)









「人に突撃して、何のつもり?」

「っあ、いや…、ごめんなさい。足跡に気を取られて、」

「"足跡"?それが攻撃してきた理由?」

「攻撃するつもりじゃっ…」(なかったんだけど…。)

当たった頭を擦りながら、気まずい時間が流れた
意図してやったことではないのだけど…、ぶつかったことは事実だ

(ジャンさんはここで何をしていたんだろう?)
冷ややかな風に煽られる彼の髪の毛は、キラキラと輝いていて、真っ白な雪に輝く星みたいだった

相変わらず長い髪の毛は、なびかれると、合間合間に見える彼の深いアンバー色の瞳に吸い込まれそうになる
不思議な色合いに、目を離せなくなりそう

「なに」

「…なんです…?」

「俺の顔ずっと見てる。なに?」

「っみ、見てましたか!?そんなつもり無いんですけどっ…」

反射的に顔をそらした

(見てました…、ガッツリ見ていました…)
寒い風に当てられてるのに、頬は何となく熱かった

何を探しに来たのかなんて、このころはすっかり忘れていた
枝の存在をほったらかして、私はどぎまぎしていた

「頭大丈夫?」

「あ、ぶつかっただけなので、特に痛みとかないです。ご心配おかけしました」

「いや、そっちじゃねぇんだけど」

「"そっち"って、むぐぅ…!?」

急に両頬を掴まれた
驚きと、突然の行為に変な声が出たのは恥ずかしいが、致し方ない

まばたきが多くなり、私の目に映るジャンさんは顔を近寄せてくる
何事!?と、私は思考が進まない
「なぁ」と、私に話しかけるジャンさんの声が明瞭に聞こえ、自分の鼓動が速まるのが分かった

「あんた白いな」

ほうれしゅかそうですか?」

「あんたさ、アイツと何してた」

あいちゅろあアイツとは?」

掴まれたままなので、まともな日本語は喋れていない
おまけに、不十分な情報量の質問に、戸惑いを隠せずにいる

"アイツ"とは…誰を指しているのか…?
ジャンさんは「あの男だよ」と、眉をひそませながら言ってくる
だから、どの男なのかが分からないですよ…と、言いたいのだが、頬は掴まれたままです…

にゃれそすかだれですか?」

「腕組んで一緒にいた奴」

(あ!潤さんのことか!)「のぐににゃにもとくになにも、」

「何もねぇ訳ねぇだろ。言えよ、何してか」

一瞬の事だった
視界に映るジャンさんは変わらず映るのに、後ろの背景は木の葉の緑色から空の青色へと変わり、背中に何かが当たって、冷たい何かを感じた

押し倒されたのだと分かるのには容易で、雪の上故に背中への衝撃は少なく、痛みはなかった
何をするんだと、ジャンさんの肩を押して起き上がろうとしたが、その手は掴まれ雪の上で拘束される

雪に沈む身体は、思うように動けず、身動きが制限された
行動を制止するようにあらゆる逃げれる可能性を潰され、成す術がない

(この状況は………何だっ!!??)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...