逍遙の殺人鬼

こあら

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「つまり、パソコン内にはリスト以外にも怪しいものがあって、気になってコピーをしたら人体実験が記載されたデーターだった、ってこと?」

「……はい」

小さくコクリと頷いた
手に乗る持ちやすいサイズのスマホが映し出すのは、表には出ない情報
本当かも疑わしい人体実験、夢のような薬、多くの人の犠牲

でも確かに、夜中にひとりで観るものじゃない
こんな胸糞なデータを観るには、彼女は弱すぎる
受け入れがたいだろう
裏を知らない箱入り娘みたいなモノなのに、きっと忘れるのは難しい









「まあ、これが実際行われたって証拠は無いし、気にしないことが1番よ。」(いや、ガッツリ写真載ってるけどな。)

「っでも、写真とか…文章とか、本物じゃないですか…」

(本物だね。)「警察なんかに観られた時、相手を混乱させる為に嘘の研究データーをパソコン内に入れておくことは良くあることなんだよ。実際、これ見た時ちーちゃん混乱したでしょ?」

「混乱…しました」

「そうやって、視点をずらそうとするのが目的。必ずしも入っているモノ全てが本物と思っちゃ駄目よ。疑うことも覚えること、これ大事よ。」

彼女は少し顔色を良くして、納得したような表情を見せた
不安がっていた顔はどこかへ行き、安堵からかあくびをしている

明日の用意をして寝るから、先に毛布にくるまっててと言ったらあっという間に眠りについた
まだまだ、こう言うところは子供だ

脱いだドレスを持ってクローゼットを開けた
中には窮屈そうに入っているジャンが、こちらを睨んでいる
言いたいことはほぼほぼ分かる

「長ぇよ」

「すんませんね。子守りは始めてなモノで。」

「何で俺が隠れなきゃいけねぇんだよ」

「だって"バカ"だから?」

思い出すとわらけてくる
面と向かってジャンにバカと啖呵を切った女はちーちゃんくらいだ
本人意外と傷ついてたりして?とか考えるだけて片腹痛い

「楽しんでんじゃねぇよ」とジャンが言うけれど、これを楽しむなと言う方が無理だ
涙がちょちょぎれる程、大声で笑ってしまいそうなのを堪えているだけ感謝して欲しい

「リスト確認はどうすんだよ」

「そんなの明日でも出来るだろ。それより、ちーちゃんが見ちゃった、どうすんのさ。」

「お前良く口から出任せ言えたな」

「話術で相手を取り込むの、何年やって来てると思ってんのさ。」

そうだったなって納得してため息吐きながらソファーに座って、疲れたと言わんばかりに足をテーブルに乗せて首を仰け反らせている
おっさんみたいって言ったら「うっせ」って言われた

そんなおっさんに、ちーちゃんのスマホを見せた
「んあ?」って気だるげな声を出した
渋々と言った表情で内容を確認する

「これって、」

「パソコン内にあったんだってさ。どう思う?」

「どうもこうも、そのまんまだろ」

「そーだよねー。これって証拠にはならないの?これを公に出したらさ、少なからずダメージになるんじゃない?」

でも、思った
今の時代、こんなモノ…いくらでも作れると

そして、出す側ではなく、出された側でも同様にいくらでもいいわけが出来るということを
いくらでも言いくるめることが可能だと
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