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ウエイターさんは困った様子で、焦り声で言った
「あそこは駄目です!!」
「パートナーを少し休ませたらすぐ出て行きますから。お願いです。」
「……、分かりました。」
私の企みを察したギュウ君は丁寧に、でも急を要する様に圧をかける
その圧に根負けして、すぐそばにあった部屋の施錠を外し、中に案内してくれた
私は起き上がろうとしたがその動きを邪魔するみたいに足裏に腕を回し、背中を支えて抱きかかえたまま上に持ち上げる
「最後までフリ続けて。」と小さく耳打ちした
思いがけない展開に困惑しながらも、私は演技を続行した
少し辛い顔をして、パートナーに支えられながら部屋に入る作戦だったのだが、まぁこれでも問題はないかもしれない
「お水をお持ちしますっ。」と動揺と焦りを隠しきれていないウエイターさんは、部屋から出ていった
バタン!と音が聞こえ、私は目を開けた
「行ったな…。」と安堵と不安の混じり合ったギュウ君の声に、私も若干不安になってくる
ソファーに寝そべっていた体を起こして、お目当てのパソコンを探した
簡単に見つけ出すことができ、趣のあるデスクの上に置かれたノートパソコンを開き、電源を入れた
「ギュウ君、USBメモリー貸して」
「えっと、これか?」
「うん、これで合ってる」
上着の内ポケットから、春さんから渡されたUSBメモリーを出して私に手渡す
今までのギュウ君からした、無縁の存在なのだろう
持っていることすらソワソワしている
私はパソコン内から名簿を探し出した
案外すぐに見つかった事に不思議に思いながらも、ファイルをコピーした
「どれぐらいで出来る?」
「5分位かな。ん?ねぇ、私のスマホ持ってるよね?ちょっと貸してくれる?」
「あぁ、今日もポケット無しの服か。俺はちさ専用のポケットじゃないんだけどな…。はい、どうぞ。」
「なによ…、嫌ならいーですよーだ。もう、ギュウ君には頼まないから」
「何だよ…その言い方。俺は別に嫌だなんて言って、」
その瞬間、コン、コン、コンと3回ノックする音が聴こえた
そのノック音に私とギュウ君は、ッハっとしのんきに話している場合ではなかったと焦り出した
きっと案内してくれたウエイターの人が戻って来たんだとすぐに察した
しかしまだ…まだ、コピーが完了していない
完了するまでUSBを取り外すことは出来ない
ならば、あの演技を続けるしかないと私はギュウ君に言った
ノートパソコンを少し閉じて、私はソファーに寝そべった
ギュウ君に合図を送って、まぶたを閉じる
コンコンッとノックが再度聴こえてくる
「お客様。」と呼びかけ、ギュウ君が対応した
お水を持ってきてくれたようで、私のことも気にかけているのが感じ取れた
「まだ回復されませんか?お医者様をお呼びした方が…。 」
「ああ!大丈夫ですっ!少し横になってれば…、パートナーは蟹アレルギー何ですよ!さっきの料理にきっと蟹が入ってて、ちょっと具合が悪くなっただけですからっ。」
「今夜の食事には蟹は使用していないのですが…。」
「あー…、本当ですか…?……きっと、踊れないくせに見え張ってダンスしたものだから、目が回ったんですよっ!ははは…本当、すいませんね…。」
「……そうですか…。申し訳ないのですが、ここで休ませるわけには行かないので…、」
「あと5分程、お願いします!こんなんでも、パートナーが心配で。」
ウエイターさんは少し沈黙した
きっと考えているんだと思う
決まりを、ルールを守るか、心情に従うか
苦渋の決断で、「分かりました。」と5分の休憩を承諾してくれた
5分後にもう1度来る事を伝えると、ウエイターさんはこの部屋を後にした
ガチャンと言う音を聴いて、私は目を開けた
そして直ぐ側にいる彼の腕を軽くパンチした
「悪かったね、踊れなくて」
「いや…あれはさっ、」
「ギュウ君とは踊らないのでご心配なく!」
タコのような口をして、私は不貞腐れた
デスクの方に向かい、コピー完了の確認をした
「あそこは駄目です!!」
「パートナーを少し休ませたらすぐ出て行きますから。お願いです。」
「……、分かりました。」
私の企みを察したギュウ君は丁寧に、でも急を要する様に圧をかける
その圧に根負けして、すぐそばにあった部屋の施錠を外し、中に案内してくれた
私は起き上がろうとしたがその動きを邪魔するみたいに足裏に腕を回し、背中を支えて抱きかかえたまま上に持ち上げる
「最後までフリ続けて。」と小さく耳打ちした
思いがけない展開に困惑しながらも、私は演技を続行した
少し辛い顔をして、パートナーに支えられながら部屋に入る作戦だったのだが、まぁこれでも問題はないかもしれない
「お水をお持ちしますっ。」と動揺と焦りを隠しきれていないウエイターさんは、部屋から出ていった
バタン!と音が聞こえ、私は目を開けた
「行ったな…。」と安堵と不安の混じり合ったギュウ君の声に、私も若干不安になってくる
ソファーに寝そべっていた体を起こして、お目当てのパソコンを探した
簡単に見つけ出すことができ、趣のあるデスクの上に置かれたノートパソコンを開き、電源を入れた
「ギュウ君、USBメモリー貸して」
「えっと、これか?」
「うん、これで合ってる」
上着の内ポケットから、春さんから渡されたUSBメモリーを出して私に手渡す
今までのギュウ君からした、無縁の存在なのだろう
持っていることすらソワソワしている
私はパソコン内から名簿を探し出した
案外すぐに見つかった事に不思議に思いながらも、ファイルをコピーした
「どれぐらいで出来る?」
「5分位かな。ん?ねぇ、私のスマホ持ってるよね?ちょっと貸してくれる?」
「あぁ、今日もポケット無しの服か。俺はちさ専用のポケットじゃないんだけどな…。はい、どうぞ。」
「なによ…、嫌ならいーですよーだ。もう、ギュウ君には頼まないから」
「何だよ…その言い方。俺は別に嫌だなんて言って、」
その瞬間、コン、コン、コンと3回ノックする音が聴こえた
そのノック音に私とギュウ君は、ッハっとしのんきに話している場合ではなかったと焦り出した
きっと案内してくれたウエイターの人が戻って来たんだとすぐに察した
しかしまだ…まだ、コピーが完了していない
完了するまでUSBを取り外すことは出来ない
ならば、あの演技を続けるしかないと私はギュウ君に言った
ノートパソコンを少し閉じて、私はソファーに寝そべった
ギュウ君に合図を送って、まぶたを閉じる
コンコンッとノックが再度聴こえてくる
「お客様。」と呼びかけ、ギュウ君が対応した
お水を持ってきてくれたようで、私のことも気にかけているのが感じ取れた
「まだ回復されませんか?お医者様をお呼びした方が…。 」
「ああ!大丈夫ですっ!少し横になってれば…、パートナーは蟹アレルギー何ですよ!さっきの料理にきっと蟹が入ってて、ちょっと具合が悪くなっただけですからっ。」
「今夜の食事には蟹は使用していないのですが…。」
「あー…、本当ですか…?……きっと、踊れないくせに見え張ってダンスしたものだから、目が回ったんですよっ!ははは…本当、すいませんね…。」
「……そうですか…。申し訳ないのですが、ここで休ませるわけには行かないので…、」
「あと5分程、お願いします!こんなんでも、パートナーが心配で。」
ウエイターさんは少し沈黙した
きっと考えているんだと思う
決まりを、ルールを守るか、心情に従うか
苦渋の決断で、「分かりました。」と5分の休憩を承諾してくれた
5分後にもう1度来る事を伝えると、ウエイターさんはこの部屋を後にした
ガチャンと言う音を聴いて、私は目を開けた
そして直ぐ側にいる彼の腕を軽くパンチした
「悪かったね、踊れなくて」
「いや…あれはさっ、」
「ギュウ君とは踊らないのでご心配なく!」
タコのような口をして、私は不貞腐れた
デスクの方に向かい、コピー完了の確認をした
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