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夕食の準備をしている
少し遠出して激安商品をゲットした成果を調理している
ジャンさんと春さんは話をしている
その会話が気になりつつも、手を動かす私を手伝うようにギュウ君がどこからかやって来た
「これを入れればいい?」
「ねぇ…2人は、何を話してると思う?」
「え?急に何だよ。俺の質問には答えてないし…。」
「読心術とか身につけておけば良かった…」
「いつ使うんだよ…。」
調理に集中出来ない
こんなにもいい食材を見つけて購入できたというのに…
今は2人のことが……いや、2人が話している内容が気になって仕方ない
(口の動きを見て何を話しているのか分かれば…)
しかし………そんな高度な技出来るはずもなく、ギュウ君に夕食どうすんだよと怒られた
「ねぇギュウ君」
「ん?」
「ギュウ君は、誰かに……殴られたいと思ったこと…ある?」
「え……、何それ。俺Mとかじゃないよ?なにっ、俺そんな風に見えてる?!」
間違った伝え方のせいで、ギュウ君にあらぬ印象を持っていると誤解を植え付けてしまった
違う違うと慌てて否定したけど、「そんな風に思われてたのか…」と、何だか打ちひしがれた様な雰囲気を出し始めた
(ギュウ君をMだと思ったこと1度もない。)
そうじゃなくて…と、弁解する私の必死さを見て彼は納得してくれた
そして、今日あった出来事を話した
ギュウ君は、最初から最後まで分からないような顔をして静かになってしまった
ギュウ君?と声をかけると、たまに見せる悲しげな表情で私を見て言った
「なんでそんな危険なことするんだ…。」
「"危険なこと"…?」
「下手したらちさが殴られてたかもしれないんだぞ。それなのに危険な場に自ら入って行くなんて…。危ないだろ。」
「でもっ、ジャンさんだって危険な目にあってたんだよ?それを見捨てて逃げるなんてこと、」
「ちさは女だぞ!か弱い女だ…。あの人はちさとは違う、力だって何倍もある男なんだよ。身一つで突っ走るのはもうやめてくれ…。」
「………ギュウ君…」
「ごめん…怒って悪た…。後は大丈夫だよな…、俺の頭冷やして来る…。」
ギュウ君は額を手で支えながらキッチンから出て行ってしまった
その後すぐに炊飯器のお米が炊けた音楽が流れた
調理するものはもう無かった…
会話を一旦中断した2人は夕食のためにリビングの方へとやって来る
匂いにつられてか朔夜さんもやって来た
(ギュウ君…。)
「ちーちゃん?食べないの?」
「先に食べてて下さい。私、ちょっと」
「っえ!?っちょ、ちーちゃん?!」
やっぱり気になる
何だか最近のギュウ君は変だ
教会に居た時とはなんだか少し…変わった?
環境が違うから?
周りの人が違うから?
彼の部屋をノックしても応答はない
部屋を覗いても、姿はなかった
玄関にはまだ靴がある
ふと、屋上があることを思い出した
そこに行ったのだろうと思い、私も向かう
屋上の扉を開けた瞬間、空気が凍てつくみたいに乾き、冷たいものになって私の顔を逆なでした
吐く息は白く、吸い込む空気は尖っているみたいだった
その場にやはり居たギュウ君に近付き呼びかける
「夕飯だよ、ギュウ君」
「………、ありがとう。悪いな…こんな寒いとこまでこさせて。」
「ううん、大丈夫。ねぇ…ギュウ君は、なんであんなに怒ったの…?」
回りくどいのは苦手だ
すぐにボロが出る
直接的な質問にギュウ君は一瞬目を丸くして、視線を外して一息置いた
柵から手を離して、気まずそうに「ちさは嫌かもしれないけれど…、」と言う
「俺は…普通の暮らしをしたことが無い。ずっとあの教会で過ごしてた。」
「私だって似たようなものだよ…」
「いや、全然違うよ。俺より世界を知ってる、俺より色んなものを見てる。だから、恐いんだ。」
「恐いの?」
「見なくてもいいモノをみてるんじゃないかって…。ちさは、普通に生きることだって出来るんだよ。」
少し遠出して激安商品をゲットした成果を調理している
ジャンさんと春さんは話をしている
その会話が気になりつつも、手を動かす私を手伝うようにギュウ君がどこからかやって来た
「これを入れればいい?」
「ねぇ…2人は、何を話してると思う?」
「え?急に何だよ。俺の質問には答えてないし…。」
「読心術とか身につけておけば良かった…」
「いつ使うんだよ…。」
調理に集中出来ない
こんなにもいい食材を見つけて購入できたというのに…
今は2人のことが……いや、2人が話している内容が気になって仕方ない
(口の動きを見て何を話しているのか分かれば…)
しかし………そんな高度な技出来るはずもなく、ギュウ君に夕食どうすんだよと怒られた
「ねぇギュウ君」
「ん?」
「ギュウ君は、誰かに……殴られたいと思ったこと…ある?」
「え……、何それ。俺Mとかじゃないよ?なにっ、俺そんな風に見えてる?!」
間違った伝え方のせいで、ギュウ君にあらぬ印象を持っていると誤解を植え付けてしまった
違う違うと慌てて否定したけど、「そんな風に思われてたのか…」と、何だか打ちひしがれた様な雰囲気を出し始めた
(ギュウ君をMだと思ったこと1度もない。)
そうじゃなくて…と、弁解する私の必死さを見て彼は納得してくれた
そして、今日あった出来事を話した
ギュウ君は、最初から最後まで分からないような顔をして静かになってしまった
ギュウ君?と声をかけると、たまに見せる悲しげな表情で私を見て言った
「なんでそんな危険なことするんだ…。」
「"危険なこと"…?」
「下手したらちさが殴られてたかもしれないんだぞ。それなのに危険な場に自ら入って行くなんて…。危ないだろ。」
「でもっ、ジャンさんだって危険な目にあってたんだよ?それを見捨てて逃げるなんてこと、」
「ちさは女だぞ!か弱い女だ…。あの人はちさとは違う、力だって何倍もある男なんだよ。身一つで突っ走るのはもうやめてくれ…。」
「………ギュウ君…」
「ごめん…怒って悪た…。後は大丈夫だよな…、俺の頭冷やして来る…。」
ギュウ君は額を手で支えながらキッチンから出て行ってしまった
その後すぐに炊飯器のお米が炊けた音楽が流れた
調理するものはもう無かった…
会話を一旦中断した2人は夕食のためにリビングの方へとやって来る
匂いにつられてか朔夜さんもやって来た
(ギュウ君…。)
「ちーちゃん?食べないの?」
「先に食べてて下さい。私、ちょっと」
「っえ!?っちょ、ちーちゃん?!」
やっぱり気になる
何だか最近のギュウ君は変だ
教会に居た時とはなんだか少し…変わった?
環境が違うから?
周りの人が違うから?
彼の部屋をノックしても応答はない
部屋を覗いても、姿はなかった
玄関にはまだ靴がある
ふと、屋上があることを思い出した
そこに行ったのだろうと思い、私も向かう
屋上の扉を開けた瞬間、空気が凍てつくみたいに乾き、冷たいものになって私の顔を逆なでした
吐く息は白く、吸い込む空気は尖っているみたいだった
その場にやはり居たギュウ君に近付き呼びかける
「夕飯だよ、ギュウ君」
「………、ありがとう。悪いな…こんな寒いとこまでこさせて。」
「ううん、大丈夫。ねぇ…ギュウ君は、なんであんなに怒ったの…?」
回りくどいのは苦手だ
すぐにボロが出る
直接的な質問にギュウ君は一瞬目を丸くして、視線を外して一息置いた
柵から手を離して、気まずそうに「ちさは嫌かもしれないけれど…、」と言う
「俺は…普通の暮らしをしたことが無い。ずっとあの教会で過ごしてた。」
「私だって似たようなものだよ…」
「いや、全然違うよ。俺より世界を知ってる、俺より色んなものを見てる。だから、恐いんだ。」
「恐いの?」
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