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「これだけじゃねぇ~、分かりようがないんじゃない?それにしても、ジャンが取り逃がすなんて珍しい。」
「俺の目の前で闘牛並みの突進を見せられてな」
「っんな!っそ、そんなに…勢いよくやったつもりは…」
春さんの家に戻った私は、帰りが遅いと待ち構えていた春さんに連行された
私が粘って粘って粘り抜いた結果、ジャンさんは手当を受けるために渋々ついて来てくれていた
春さんと話すジャンさんを手当する私は、額から流れ出た痛々しさを表す血に思わず指先が冷たくなる
綺麗に拭き取り、優しく消毒をして丁寧に薬をつける
その間もジャンさんは痛がったりはせずに会話を続ける
「アタシ機械は専門外よ。これって名前とかを呼びかけたら登録してる番号に電話できるやつでしょ?」
「あぁ、男がつけてた物だ」
「こゆーの亀の専門でしょ、聞いてみたら?」
《手元に無いとどうにも出来ないよ。》
「カメのとこまで持って行くのは厳しいな」
《今瑞貴さんに捕まってる…。ハンズフリーイヤホンかー、何か思いつく名前で呼びかけてみたら?》
("ハンズフリー"……手が…自由…?)
思わず手を止めて考え込み、その"ハンズフリー"なる物を覗き見た
四角い長辺のような物が置かれているだけだった
アレについてみんな頭を困らせているのだろうか?
気になって、更に覗き込むと「手、止まってんぞ」とジャンさんに言われてハッとした
(いけない、いけない…)
すいませんと傷の手当を再開した
口の端が滲んで…これまた痛々しい……
痛がらないと言えど、私はなるべくソフトに触れる
もし自分にこんな傷ができたら、痛い痛いって騒いでるだろうな…って、そんな事を考えていた
綺麗な顔なのに…傷が出来て…何だか胸の奥がモヤッとした
(ん?モヤ…?)
少し冷静になって、手を止めた
そして視界に入る形の良く綺麗な色合いの唇を見つめて、急に恥ずかしくなった
手当をしようとしていたのにっ…と我に返って唇から視線をずらした
_____が、反らした先にあったのは赤くなった顔を見るジャンさんの瞳だった
「っ!?………」
「どうしたの?ちーちゃん。」
「っいいえ?!っなんでも、ないんです!春さんはどうですか!?」(テンパってるの丸分かりだ…)
「どうもこうも、アタシにはお手上げよ。ちーちゃんも何か良い案とかなぁい?」
「ええっと…」
考えた
春さんが言っていた"名前とかを呼びかけたら登録してる番号に電話できる"と言う言葉を脳内に、ふらっと思いついたことがあった
ハンズフリーなる物を手に取って、ボソッと呟いた
「名前が分からないなら…自宅、とかでヒットしたりして」
と、その瞬間、謎に微弱な振動が伝わり機器から《自宅にお掛けします。》と流れた
その出来事にビックリと驚きが生まれ、どうすれば良いのか分からずアタフタしてしまう
「っえ、え…どっどうしよう…」
《もしもし?》
「っ!?ツナガッチャイマシタヨ…」
「貸せっ。もしもし」
私から機器を取ると、ジャンさんが話し始める
久しぶりに耳にする、ジャンさんとは思えない親しみやすい声色を出している
(ジャンさんの…演技してる声だ……。)
この声は…………あまり好きじゃない
全くの別人みたいで…、ジャンさんじゃないみたいで嫌だ
「ちーちゃん!やったじゃない、お手柄よ!!」
「っえ、本当…ですか?」
「本当よ!"自宅"は出てこなかったわね。すっかり名前に気を取られちゃってたわ。」
「俺の目の前で闘牛並みの突進を見せられてな」
「っんな!っそ、そんなに…勢いよくやったつもりは…」
春さんの家に戻った私は、帰りが遅いと待ち構えていた春さんに連行された
私が粘って粘って粘り抜いた結果、ジャンさんは手当を受けるために渋々ついて来てくれていた
春さんと話すジャンさんを手当する私は、額から流れ出た痛々しさを表す血に思わず指先が冷たくなる
綺麗に拭き取り、優しく消毒をして丁寧に薬をつける
その間もジャンさんは痛がったりはせずに会話を続ける
「アタシ機械は専門外よ。これって名前とかを呼びかけたら登録してる番号に電話できるやつでしょ?」
「あぁ、男がつけてた物だ」
「こゆーの亀の専門でしょ、聞いてみたら?」
《手元に無いとどうにも出来ないよ。》
「カメのとこまで持って行くのは厳しいな」
《今瑞貴さんに捕まってる…。ハンズフリーイヤホンかー、何か思いつく名前で呼びかけてみたら?》
("ハンズフリー"……手が…自由…?)
思わず手を止めて考え込み、その"ハンズフリー"なる物を覗き見た
四角い長辺のような物が置かれているだけだった
アレについてみんな頭を困らせているのだろうか?
気になって、更に覗き込むと「手、止まってんぞ」とジャンさんに言われてハッとした
(いけない、いけない…)
すいませんと傷の手当を再開した
口の端が滲んで…これまた痛々しい……
痛がらないと言えど、私はなるべくソフトに触れる
もし自分にこんな傷ができたら、痛い痛いって騒いでるだろうな…って、そんな事を考えていた
綺麗な顔なのに…傷が出来て…何だか胸の奥がモヤッとした
(ん?モヤ…?)
少し冷静になって、手を止めた
そして視界に入る形の良く綺麗な色合いの唇を見つめて、急に恥ずかしくなった
手当をしようとしていたのにっ…と我に返って唇から視線をずらした
_____が、反らした先にあったのは赤くなった顔を見るジャンさんの瞳だった
「っ!?………」
「どうしたの?ちーちゃん。」
「っいいえ?!っなんでも、ないんです!春さんはどうですか!?」(テンパってるの丸分かりだ…)
「どうもこうも、アタシにはお手上げよ。ちーちゃんも何か良い案とかなぁい?」
「ええっと…」
考えた
春さんが言っていた"名前とかを呼びかけたら登録してる番号に電話できる"と言う言葉を脳内に、ふらっと思いついたことがあった
ハンズフリーなる物を手に取って、ボソッと呟いた
「名前が分からないなら…自宅、とかでヒットしたりして」
と、その瞬間、謎に微弱な振動が伝わり機器から《自宅にお掛けします。》と流れた
その出来事にビックリと驚きが生まれ、どうすれば良いのか分からずアタフタしてしまう
「っえ、え…どっどうしよう…」
《もしもし?》
「っ!?ツナガッチャイマシタヨ…」
「貸せっ。もしもし」
私から機器を取ると、ジャンさんが話し始める
久しぶりに耳にする、ジャンさんとは思えない親しみやすい声色を出している
(ジャンさんの…演技してる声だ……。)
この声は…………あまり好きじゃない
全くの別人みたいで…、ジャンさんじゃないみたいで嫌だ
「ちーちゃん!やったじゃない、お手柄よ!!」
「っえ、本当…ですか?」
「本当よ!"自宅"は出てこなかったわね。すっかり名前に気を取られちゃってたわ。」
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