逍遙の殺人鬼

こあら

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お酒コーナーを通過し野菜コーナーで新鮮な野菜を見極めた
お肉コーナー、魚介コーナーを難なくクリアしてパンコーナーへとやって来た
ノーマルな食パンをカゴに入れて、ついでに甘い甘いメロンパンもゲットした

_____そして、次なる場所へ

「後は、お菓子かな。ちーちゃん何か食べたいのある?」

「そうですね、」「ポテチだろ。」

「あのね、つったの。オールド・イングリッシュ・シープドッグみたいな頭して、いつからちーちゃんになったのさ。」

「それは俺に失礼だろ。オカマこそなんだその顔は、顔面にサラダ油塗ったのかよ。テカテカしてるじゃねぇか、あぶらとり紙でも所持しとけよ。」

!!!!これハイライトって言うの、そのガラクタな脳みそじゃ区別できないんでしょうけど顔面に油塗る奴居るわけ無いでしょう。そもそも脳機能して無いんじゃないの。」

(喧嘩が渋滞してる…。)









「白だ。」

「いいえ、黒よ。」

「白に決まってんだろ。」

「どう考えても黒よ。黒一択ね。」

目の前に居らっしゃるお二方は成人された立派な大人だ
でも小さな、とても小さな事で喧嘩してる

それはチョコレートだ
ブラックチョコかホワイトチョコかで揉めている
別にどちらでも良いではありませんか?
(何なら間を取ってミルクチョコで良いのでは?)

「ポリフェノールはストレスを軽減したり認知機能を改善したりする効果があんのよ。あんたも取った方が良いわよ。」

「そんな炭みたいなもの食えるか。そんなものばかり食ってるから阿房あほうなんだろ。」

「誰がアホだ!甘いモンばっか食べてっから脳みそが劣化してんじゃないの?てか何、さっきっから気づいてないと思ってんの?バカみたいにわんさかカゴに入れて、支払いアタシ何だけど。」

「沈黙は肯定を意味する。まぁそう言う事だ。」

「理由になってないわよ。それに沈黙うんぬんより、何も言われてないから否定も肯定もできないわよ!」

お菓子ひとつでこんなに揉める大人を、未だかつて見たことが無い
どちらも買えば済むことなのに、それは許せないようでどちらも身を引かない

ほら見てくださいよ、2人とも…
あんな小学生くらいの子どもですら親の言いつけ守って、大人しくおもちゃ付きお菓子をひとつだけ持っているではありませんか

騒ぎ過ぎて他のお客様方は巻き込まれない様にとお菓子コーナーを避けていた
私達がここに居る限り来店客には多大なる負担をかけているに違いない…

「もう、どちらも買いましょう!っねっね、ささ行きますよ」

「「でも!」」

「"でも"じゃないです、他の人の迷惑になってますんで」

店員みたいなこと言ってるけど、事実だしね
双方の手からブラックとホワイトのチョコレートを取ってカゴに入れて、2人して納得の行っていない顔で互いを睨むのを止めて進ませた

お店の中だと言うのにいつも通りのスタンスで啀み合う2人の気をそらす為、私も気になっていた爆弾揚げについて春さんに聞いた

って、誰が考えたんですか?元々ある物じゃないですよね?」

「えっとね、ジャンのおばちゃんに教えて貰ったの。なんでも思い出の料理らしくて、子孫に受け継ぎたかったみたい。」

「受け継ぎたかったのにどうして春さんに教えたんですかね?ジャンさんのお母さんに教えるのが普通ですよね。」

「まぁ、おばさんとは仲良くなかったみたいだったし。ほら、離婚したからね。」

「あぁ…そうでしたね」(そんな早くに離婚されたのかな…?)

ジャンさんのお祖母さん
思い出の料理…その思い出とは何かを知りたかったけど、残念ながら春さんも知らないみたいだ
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