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スマホのアラームが鳴る前に、私は起きた
遮光カーテンが少し開いていて、間から光が差し込み目元を照らしていた
眩しさに起き上がる
夢を見ていたはずなのに思い出せない
怖くない夢
心地よかった気がするのに、思い出せない
「絆創膏…」(付け替えるの忘れてた…。)
まぁ、いいか
剥がれて無いし、取り敢えずこのままでいいや
昨日、思いの外臼田さんとの通話が盛り上がって、長時間話し続けた
会えない分いっぱい電話して話そうって、仕事の合間にかけてきてくれた
瑞希さんとの仕事が意外と大変らしい
会いたいと言う臼田さんに私も会いたいですと素直に言えた
面と向かって言えない私は、電話なら勇気を出せるみたいだった
カチカチカチッとコンロを撚る
換気扇を回して、フライパンに油を少し引く
温まったら卵を3つ割入れる
弱火か強火かで半熟か硬めの目玉焼きにするかが左右される
今回は弱火にして蓋をする
少ししたら水を入れて蒸す
フライ返しで綺麗に3等分してお皿に移す
ウインナーに少し切れ目を入れて良い香りがするまで焼く
朝食が順調に作られていく
こんな当たり前に近い日常に戻れるのが、この上なく嬉しい
シスター見習いとして教会にいたときは、全然料理なんかできなかった
お肉は駄目、魚も駄目、お菓子も駄目
駄目駄目駄目…駄目なことばっかで窮屈だった
だからこうして自由に作れるのは凄く嬉しい
「んーー、いい香り。ちゃんとした朝食なんて久しぶり。」
「あ、おはようございます春さん。キッチン勝手に使ってすいません」
「おはよう、ちーちゃん。良いの良いの、家にある物は、もう何でも使っちゃって。」
「今朝はよく眠れましたか?昨日は色々とご迷惑かけたので、お詫びも兼ねて朝食…作りました」
あくびを片手で覆いながらテーブルの上にある朝食を1つ2つと数えている
「何で朝食3人分?」と聞いてくる
指差してこれはおかわり分?とまるで朔夜さんの存在を抹消したようだ
朔夜さんの朝食です…と言えば「いーのいーの」とハエでも飛んでますか?と思わせる程、手で風を起こすみたいにブンブン振る
「あんなニートに食わせる価値ないって。一緒に座るだけで汚染される。」
「"汚染"って…まるで病原体みたい」
「ちーちゃん、これは言い過ぎなんてものじゃないのよ。あのバカ面と居ると体が痒くなるの。絶対100万個のウイルスを所有してるわ、それかアレルギー。」
「嫌い…なんですね。どうしてそんなに嫌ってるんですか?」
いただきますと手を合わせて、ホカホカのトーストにいちごジャムを塗る
ハムっと一口サクサクのトーストを味わっている私に、静かなマジトーンで「これは家の問題なの。」と言うからゴクリと息を呑んだ
ちょっと感じていたけど、春さんと朔夜さんはお家柄近い仲だと思ってた
実は兄でしたとか、無さそうだけどあるかもしれない
ひとりの女を巡って争ったとか
実は二股かけられててその相手が朔夜さんだったとか!?…いや、小説の読み過ぎですね…
「実は、あいつとは従兄弟同士で、小さい頃から遊んでたんだけど。親同士の仲が悪い悪い…。」
「なるほどなるほど、…それで?」
「親族が集まる機会があってね、その時に大叔父様が殺されたの…。その犯人はアタシの母親だって告げ口したのが朔夜なの。母親はずっとアタシと一緒に居て、殺す暇なんてなかった。」
「…てことは、冤罪ってことですね!っそれで、どうなったんですか!?」
「うっそーん☆ちーちゃん好きねー。こう言うのもしかしたらと思って即興で作ってみたけど、すんごい目輝かせてる。」
ウインナーをフォークに刺して私の口に放り込んだ
あははと笑っている春さんを見て、口の中にあるウインナーを噛み砕いた
ちょっとしてッハとした
(私ずっと前のめりで聞いてた…)
最初から最後まで作り話で、結局朔夜さんとの因縁話は聞けなかった
春さんの巧みな話術に乗せられ、違う話題へと流されたりしてしまう
遮光カーテンが少し開いていて、間から光が差し込み目元を照らしていた
眩しさに起き上がる
夢を見ていたはずなのに思い出せない
怖くない夢
心地よかった気がするのに、思い出せない
「絆創膏…」(付け替えるの忘れてた…。)
まぁ、いいか
剥がれて無いし、取り敢えずこのままでいいや
昨日、思いの外臼田さんとの通話が盛り上がって、長時間話し続けた
会えない分いっぱい電話して話そうって、仕事の合間にかけてきてくれた
瑞希さんとの仕事が意外と大変らしい
会いたいと言う臼田さんに私も会いたいですと素直に言えた
面と向かって言えない私は、電話なら勇気を出せるみたいだった
カチカチカチッとコンロを撚る
換気扇を回して、フライパンに油を少し引く
温まったら卵を3つ割入れる
弱火か強火かで半熟か硬めの目玉焼きにするかが左右される
今回は弱火にして蓋をする
少ししたら水を入れて蒸す
フライ返しで綺麗に3等分してお皿に移す
ウインナーに少し切れ目を入れて良い香りがするまで焼く
朝食が順調に作られていく
こんな当たり前に近い日常に戻れるのが、この上なく嬉しい
シスター見習いとして教会にいたときは、全然料理なんかできなかった
お肉は駄目、魚も駄目、お菓子も駄目
駄目駄目駄目…駄目なことばっかで窮屈だった
だからこうして自由に作れるのは凄く嬉しい
「んーー、いい香り。ちゃんとした朝食なんて久しぶり。」
「あ、おはようございます春さん。キッチン勝手に使ってすいません」
「おはよう、ちーちゃん。良いの良いの、家にある物は、もう何でも使っちゃって。」
「今朝はよく眠れましたか?昨日は色々とご迷惑かけたので、お詫びも兼ねて朝食…作りました」
あくびを片手で覆いながらテーブルの上にある朝食を1つ2つと数えている
「何で朝食3人分?」と聞いてくる
指差してこれはおかわり分?とまるで朔夜さんの存在を抹消したようだ
朔夜さんの朝食です…と言えば「いーのいーの」とハエでも飛んでますか?と思わせる程、手で風を起こすみたいにブンブン振る
「あんなニートに食わせる価値ないって。一緒に座るだけで汚染される。」
「"汚染"って…まるで病原体みたい」
「ちーちゃん、これは言い過ぎなんてものじゃないのよ。あのバカ面と居ると体が痒くなるの。絶対100万個のウイルスを所有してるわ、それかアレルギー。」
「嫌い…なんですね。どうしてそんなに嫌ってるんですか?」
いただきますと手を合わせて、ホカホカのトーストにいちごジャムを塗る
ハムっと一口サクサクのトーストを味わっている私に、静かなマジトーンで「これは家の問題なの。」と言うからゴクリと息を呑んだ
ちょっと感じていたけど、春さんと朔夜さんはお家柄近い仲だと思ってた
実は兄でしたとか、無さそうだけどあるかもしれない
ひとりの女を巡って争ったとか
実は二股かけられててその相手が朔夜さんだったとか!?…いや、小説の読み過ぎですね…
「実は、あいつとは従兄弟同士で、小さい頃から遊んでたんだけど。親同士の仲が悪い悪い…。」
「なるほどなるほど、…それで?」
「親族が集まる機会があってね、その時に大叔父様が殺されたの…。その犯人はアタシの母親だって告げ口したのが朔夜なの。母親はずっとアタシと一緒に居て、殺す暇なんてなかった。」
「…てことは、冤罪ってことですね!っそれで、どうなったんですか!?」
「うっそーん☆ちーちゃん好きねー。こう言うのもしかしたらと思って即興で作ってみたけど、すんごい目輝かせてる。」
ウインナーをフォークに刺して私の口に放り込んだ
あははと笑っている春さんを見て、口の中にあるウインナーを噛み砕いた
ちょっとしてッハとした
(私ずっと前のめりで聞いてた…)
最初から最後まで作り話で、結局朔夜さんとの因縁話は聞けなかった
春さんの巧みな話術に乗せられ、違う話題へと流されたりしてしまう
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