223 / 333
224
しおりを挟む
いつもよりも心は重いのに足取りは軽かった
ママさんが料理するカウンター席を離れて、3人ぐらいのオネエさんの間を抜けて、春さんの方へと歩く
目線は春さんではなかった
「あの女何する気だ?」
「もしかしたらお客さんに注意する気なのかしら…?」
他の人には見えない狐に襲われるのでは無いかと怯えている
周りに言っても信じてもらえず理解も得られない
どんどん人は遠ざかって独りぼっちになる
そんな孤独は耐えられない
でも、どうすれば良いかなんて自分でも分からない
すごく分かる
いや…分かる気がする
もし、その孤独から救い出せるのならやってみたい
無駄なことだってやってみなきゃ無駄かどうかなんて分からない
やってから後悔する
やる前から駄目だと決めつけて後悔するよりずっといい
私はお得意様の席の前で立ち止まった
私に気づいた春さんは小さな声で「どうしの?」と心配してくれたけど、それとは対象的にお得意様は怒鳴るように「何だね君は!!」と声を荒げた
初対面の私にもこんな態度を取るなんて、傲慢な人だ
春さんが接待するなんて勿体なさ過ぎる
私はチラッと男の子を見た
誰もいない所を見て怯えている
そんなことにお構いなく私に会話を邪魔されたと怒っているお得意様を無視して、私は壁に掛けてあるショットガンを取った
フェアエンド部分を持ってガシャンッとスライドさせた
「っな、何するんだ?!」って動揺するお得意様を無視して、私は体の向きをくるっと変えて構える
バンッ!バンッ!バンッ!
3発撃った
もちろん弾は入ってないし、レプリカで引き金を引いたところで空砲すら出ない
自らの声で銃声音の擬音を真似て、誰も何もない所を撃った
「狐は私が仕留めたから、もう襲って来ないよ」
「おい君!いったい、なーにを言っておる。」
「さてさて、この狐さんを遠くに持っていこうかな」
「小娘が…無視しおって、」
顔を真っ赤にして、まるで茹でタコみたいだ
そんなことは無視して狐を掴む素振りをしたまま私は席を離れる
その時、耳に届いたのはおじさんの声じゃなくて小さく柔らかい声だった
「ありがとう」そう、一言だけ言われた
私は振り返って、もう怯えなくって大丈夫だよって言った
そしたら、あんなに強張ってた男の子の顔は水を貰った花のように生き生きとしていて、笑顔だった
カウンター席に着いた私は、レプリカのショットガンを置いてオレンジジュースを一気飲みした
っぷは!と今まで息を止めていたかのように呼吸が突っかえた
死ぬほど緊張した…、失敗してたらどうなってたんだろう……
後先考えずにやってしまったことへの罪悪感的なものが、足先から上へと上がって来た
ゾワッ…ってなって、鼓動が早くなり指先は冷たく感じる
「ちーちゃん!すごいわ!!」
「すいません、出過ぎた真似を…」(謝って許されることじゃない。お得意様の機嫌を損ねたんだもん…)
「なぁに言ってるの!見てみて、あの子ずっと何も飲まない食べないだったのに、今はジュースを飲んでるわ。」
「そう…ですね」
「それに、お得意様も今は怒ってないみたいよ。」
「本当ですね…。男の子とちゃんと会話してるように見えますね」
ふぅ……とひと息付けば、横から「女、やるじゃないか。」とまだ居たんですかと思う朔夜さんからお褒めの言葉を頂いた
それに加えてゾロゾロと集まるオネエさま方に、次から次へと「すごいじゃない!」「見直したわよ♡」とか「小さいのにやるわね。」とか言って来る
っえ、"小さい"は身長のことを示唆しているのですか?
それに、そんなに褒めてもらうこと、したつもりは…無いんだけど
ちょっと反抗心が勝って…その勢いでやった事なのに…
ママさんが料理するカウンター席を離れて、3人ぐらいのオネエさんの間を抜けて、春さんの方へと歩く
目線は春さんではなかった
「あの女何する気だ?」
「もしかしたらお客さんに注意する気なのかしら…?」
他の人には見えない狐に襲われるのでは無いかと怯えている
周りに言っても信じてもらえず理解も得られない
どんどん人は遠ざかって独りぼっちになる
そんな孤独は耐えられない
でも、どうすれば良いかなんて自分でも分からない
すごく分かる
いや…分かる気がする
もし、その孤独から救い出せるのならやってみたい
無駄なことだってやってみなきゃ無駄かどうかなんて分からない
やってから後悔する
やる前から駄目だと決めつけて後悔するよりずっといい
私はお得意様の席の前で立ち止まった
私に気づいた春さんは小さな声で「どうしの?」と心配してくれたけど、それとは対象的にお得意様は怒鳴るように「何だね君は!!」と声を荒げた
初対面の私にもこんな態度を取るなんて、傲慢な人だ
春さんが接待するなんて勿体なさ過ぎる
私はチラッと男の子を見た
誰もいない所を見て怯えている
そんなことにお構いなく私に会話を邪魔されたと怒っているお得意様を無視して、私は壁に掛けてあるショットガンを取った
フェアエンド部分を持ってガシャンッとスライドさせた
「っな、何するんだ?!」って動揺するお得意様を無視して、私は体の向きをくるっと変えて構える
バンッ!バンッ!バンッ!
3発撃った
もちろん弾は入ってないし、レプリカで引き金を引いたところで空砲すら出ない
自らの声で銃声音の擬音を真似て、誰も何もない所を撃った
「狐は私が仕留めたから、もう襲って来ないよ」
「おい君!いったい、なーにを言っておる。」
「さてさて、この狐さんを遠くに持っていこうかな」
「小娘が…無視しおって、」
顔を真っ赤にして、まるで茹でタコみたいだ
そんなことは無視して狐を掴む素振りをしたまま私は席を離れる
その時、耳に届いたのはおじさんの声じゃなくて小さく柔らかい声だった
「ありがとう」そう、一言だけ言われた
私は振り返って、もう怯えなくって大丈夫だよって言った
そしたら、あんなに強張ってた男の子の顔は水を貰った花のように生き生きとしていて、笑顔だった
カウンター席に着いた私は、レプリカのショットガンを置いてオレンジジュースを一気飲みした
っぷは!と今まで息を止めていたかのように呼吸が突っかえた
死ぬほど緊張した…、失敗してたらどうなってたんだろう……
後先考えずにやってしまったことへの罪悪感的なものが、足先から上へと上がって来た
ゾワッ…ってなって、鼓動が早くなり指先は冷たく感じる
「ちーちゃん!すごいわ!!」
「すいません、出過ぎた真似を…」(謝って許されることじゃない。お得意様の機嫌を損ねたんだもん…)
「なぁに言ってるの!見てみて、あの子ずっと何も飲まない食べないだったのに、今はジュースを飲んでるわ。」
「そう…ですね」
「それに、お得意様も今は怒ってないみたいよ。」
「本当ですね…。男の子とちゃんと会話してるように見えますね」
ふぅ……とひと息付けば、横から「女、やるじゃないか。」とまだ居たんですかと思う朔夜さんからお褒めの言葉を頂いた
それに加えてゾロゾロと集まるオネエさま方に、次から次へと「すごいじゃない!」「見直したわよ♡」とか「小さいのにやるわね。」とか言って来る
っえ、"小さい"は身長のことを示唆しているのですか?
それに、そんなに褒めてもらうこと、したつもりは…無いんだけど
ちょっと反抗心が勝って…その勢いでやった事なのに…
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる