逍遙の殺人鬼

こあら

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言わなきゃ分からない、だから口に出したのに…伝えたかったようには伝わらなかったみたいだ
"全部全部嫌じゃない"……これは、ジャンさんと話したり一緒に居たりするのはと言う意味だった
_____その想いを、伝えたかったのに…そう上手くはいかなかった

のも、"嫌じゃない"んだろ」

「っ…、痛いのは…って、さっき」(言ったのに)

「だったらあんたの言うはどっからが痛いか、俺に教えろよ」

(教えろって…)「血が出るほど刃物を押し付けるのは…です……」









そう伝えると「へぇー」と首元に押し付けた物を離し、刃先に薄っすら着いた血を見るジャンさん
少量と言えど、存在感のあるその血を見ると鼓動が更に早く、何だか気分が悪くなった気がした

「あんたやっぱりチンパンジー以下の知能数なんじゃないの」

「……っえ…?」

「こうやって身の危険を感じても、逃げない。本当は死にたいんじゃないのか?」

「本当は死にたい…」(そうなの?…)

その言葉が耳に入った瞬間自分の色が無くなったみたいな、世界が一時停止したみたいな異様な物感じがした
"本当は死にたい"……その言葉が永遠ループして、解析処理しようとしているみたいだ

死にたいから、殺されたいからジャンさんから逃げなかったのか?…
確かに、彼は少し暴力的な所があった
見知らぬ人を、苛つくと言って殴ってた
顔面かおにおびただしい量の血が着いているのに、振りかざす手を止めようとしなかった

止めに入った私は、役目を果たせずに突き飛ばされた地面に座りこけてた
私が襲われた時も助けてくれるんだと思ったのに、優しい言葉なんかくれなかったし、まるで遊び感覚のようだった

最初に出会った頃から異様な雰囲気は出ていたし、危ない人だって分かってた
愛想だってないし、すぐ臼田うすたさんのこと蹴るし…
私の意見無視して同意無くキスしてきたし…………
それに加えて薬持ったし…………

(最低な人…)
もしも私が、死にたいって言ったら……

「ジャンさんは…どうするんですか?………」

「どうもしない。死にたい奴はさっさと死ねば良い」

「そうですね…。死んでも悲しむ家族も居ませんし」

あれ…私何言ってんだろ
こんな事言うつもり無かったのに…
悲観的な言葉言うなんて…ジャンさんに哀れんでもらったり、同情でも誘おうとでも思ってるの?

ジャンさんは家族や臼田うすたさん、春さんに透さんみたいに沢山仲間がいて………良いですね…って?
私は誰もいないんですって?…
今更分かり切ったことを何言ってるのさ
こう言う事は言わない様にって思ってたのに…気を付けてたのに、どうして言っちゃったのかな…

ジャンさんに、俺がついてるって言ってもらいたかったのかな?
なんて馬鹿で浅はかな想い
そんな事ばっか考えてるから、また…涙が溢れちゃうんじゃん…

「ごめんなさいっ…今のは忘れてください」

私は涙を拭いながら、カウンターから降りた
恥ずかしながら、これ以上哀れな姿を晒さないようにその場から逃げようと試みた
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