逍遙の殺人鬼

こあら

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あれから30分……ぐらい?経った後、流石に2人の罵り合戦に止めに入った
もっと早く止めとくべきだったと、後悔しながら落ち着きましょうと中に割って入る

「そういえば朝食」と春さんが買って来てくれた物を渡してくれた
コンビニで買ってきたようで、好きなのどうぞと選ばせてくれた
こんな時でもレディファーストしてくれる春さんは、いつもの春さんだった

「おい、オカマ!なんで女に選ばせてんだ。だいたい俺はまだ、」

「うっさいわね、あんたはこれでも食べてなさいよ!!」

「痛っ!?オカマ!何で焼きぞはパンなんて買って来てんだ!イチゴサンド買って来いよ!!」

「その見た目で"イチゴ"とか言わないでくれる?全然可愛くないし、文句あんならご自分で買って来たら?」









私は春さんが買ってきてくれた物の中から、鮭おにぎりを選び春さんと共に朝食にした
知人の方は自室で食べる様で、ブツブツと言いながらちゃっかり焼きぞはパンを持って行った

バナナを2本食べていた事もあって、おにぎり1つで十分に朝食を満喫できた気分になる
まあ、もっと食べれるけど…とは言わなかった

目の前に座る春さんは、3色弁当を食べていた
昨日の全身黒ずくめの格好とは正反対に、11月だと言うのに肩出しニットに短パン…いやホットパンツと何とも寒そうなコーディネートだった
きっと上着は着て行ったんだとはおもうけど、やはり寒そうに思える

それに、髪の毛を半分結び上げて少しばかりメイクもされている
地下のバーで見た春さんに、1番近い春さんだ

「ん?なーに、何か顔についてる?」

「っあ、いえ。そうじゃなくて、本当に綺麗な方だなーって…見惚れてました」

「もー素直な子、だから好きよ。ちーちゃんもオシャレしてみる?洋服沢山あるし、何ならメイクもしてあげるけど?」

「あ…、いいですいいです。私が着るより春さんが着ていた方が服たちも嬉しいですよ、似合ってますし。」

「うーん、でもずっとスエットでいる訳にはいかないよね?」

(そうだった………。)

お2人の論争に持っていかれて、パジャマ代わりのスエットだったことを忘れていた…
これはこれで動きやすくて良いんですけどね
この姿で外に出れるかって聞かれたら、…まぁデレマスケド……

目を泳がせる私に、春さんは「任せない♪」と軽快な足取りで何処かへと移動し始める
こっちこっちと、促されてたどり着いた場所は私が寝泊まりした部屋と同じぐらいの広さの、衣装部屋と言う名の春さん専用の収納部屋クローゼットだった

綺麗に整理整頓された服や靴、バッグ達はまるでお店のショーケース内を見ているようだった
しかもほぼ全てがハイブラで、目が潰れて無くなってしまうほどに輝いていた

(シャイニングしてる…)「…そう言えば、ジャンさん宅にも凄いハイブランドの靴が大量にあったな……」

「ああ、あれ全部アタシがあげたのよ。似合わなかったやつとか、サイズが大きかったりとかしたやつね。貰う機会が多いんだけど、捨てるのもったいなくてね。」

「元々春さんのだったんですか」(粗雑そざつに扱われていると知ったら、怒りそう…)

「ジャンもひさしもファッションに興味が無いのよ。ひさしなんて"Aラインって何ですか?"って聞いてくるのよ。あ、これなんかちーちゃんに似合いそう。」

(エイライン…)「2人は身長も高いですし、シンプルなもの着ていても様になるので羨ましいです。これ少し派手じゃないですか?」

女の子同士でショッピングをしていたら、きっとこんな感じなんだろうな
そう思ってしまうけど、春さんは男の人
それすらも忘れさせるかのように、私よりもレディースファッションが似合っていらっしゃる
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