逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
179 / 333

180

しおりを挟む
ある日、金の馬車に乗った王様がやって来て、娘を嫁に欲しいと申し出た
父親は喜びすぐに申し出を受けだが、王様の青い髭が恐ろしく、娘は乗り気ではなかったが、青髭の馬車に乗って城へと向かった

お妃となった娘は青髭から城中の鍵を渡されるが、金の鍵の部屋だけは入ってはいけないと言われる
青髭は旅に出て、お妃は城の中の部屋を見て周ると、金の鍵の部屋をどうしても見たくなってしまった
そして、扉を開けた瞬間に血が流れ出て、壁には女の体が沢山吊るされていた

すぐに扉を閉めるも鍵を血の中に落としてしまい、拭いても血は取れなかった
金の鍵の部屋に入ったことがバレてしまい、青髭に殺されそうになってしまう
お妃は最後に祈りたいと願い、窓から叫んで兄たちに助けを求めた
お妃を刺そうとした時、兄たちがやって来て青髭を切り倒す
青髭は他の女たちと共に壁に吊るされ、財産はすべて娘のものとなった

これは、好奇心はとても魅力があるが、後で支払う代償は大きいと言う教訓だ









「ほら、目つむって。」

「うん…、」

「"見るな"って言ったのに…、目が真っ赤だ。」

「……ごめんなさい」

私とギュウ君は、知られていない秘密の花園へと移動した
私のこの酷い顔を誰にも見られないようにと、気遣ってくれたおかげで私は恥をかかずに済みそうだ

湖に手ぬぐいを沈めて湿らせ、絞って私の顔を拭いてくれる
程よく冷たい手ぬぐいは、熱を持った目元を冷やし「別に怒ってるわけじゃない。」と私を甘やかしてくる
私に見て欲しくなかったんだ…とギュウ君の優しさを再認知した

少しスッキリとした顔は、泣いた跡を無かったことにしてくれた
「頭に着いたんだな…。」とつむじ付近に着いてしまった血を拭き取ってくれる
まるでお兄ちゃんみたいに面倒を見てくれている
同い年とは思えないほどに大人びた対応を見せられると、どうしていいのか分からなくなる

「ちさの髪って、こんな色だったけ?」

「………それは、」

「もっと黒かった気がするけど、俺の気のせいか?」

「…」(口が…動かない。)

私の元の髪の色
それは不吉で気味悪い赤みがかった色
「取れた。」と手ぬぐいを頭から離し、それを目視すると私の髪とよく似た色に見えた

それが血なのか私の髪の色なのか分からないくらいだ
それがさらに私を追い詰める
拭っても拭っても落ちることの無い青髭の呪いの金の鍵のように、私の髪は何処までも呪われているのだと…
私が支払うはずの代償を彼女に、シスターエリに払わせてしまったんだと心が傷んだ

(私も助けを望めば、誰かが駆け付けてくれるの?……)

答えは分かってる……Noいいえ
私を助けてくれる親も兄弟も、知り合いだっていない
ずっとひとり…これからも、それは変わらないだろう……

「……落ち込んでるのか?」

「っえ…?」

「死を目の前にするのは…誰だって辛い。怖かっただろ?」

「…怖かった、すごく…。死がこんなに身近なんだと感じた…」(あの血の動きが…舞踏会の時と重なって見えたし……。)

「大丈夫だ、俺がずっとついてるから。」

"ずっとついてる"…?
もし今彼に、明日には教会ここを去ると伝えたら…なんて言うかな?
お別れを伝えたら、どんな表情かおをするのかな?
もう会うこともないと、理解してくれるかな…

会えなくなるのは、私としては凄く寂しい
初めて同い年の友達ができた
その相手はとても優しくて寛容で大人だった
一緒に居て楽しかったし、笑えた

ギュウ君のくしゃっと笑う顔が好きだった
お昼休憩に横になって昼寝をしていた時に、いたずらで彼の髪に花を挿した時、褐色の肌に映える薄青色の勿忘草とギュウ君が可愛く見えた
(起きた時に顔を真っ赤にして「やめろよ!」とか言ってたな。)

農園を手伝った時なんて内緒で、摘みたてのリンゴを2人で噛じった
あの時はリンゴがいつも以上に美味しく感じた
降りられなくなった猫を助けようと、木に登ったギュウ君はいつも以上にたくましく見えたし、たんぽぽの葉で草笛の仕方を教えてくれたり色々楽しかった
もうその楽しみが無くなると思うと、やっぱり寂しい…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...