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ある日、金の馬車に乗った王様がやって来て、娘を嫁に欲しいと申し出た
父親は喜びすぐに申し出を受けだが、王様の青い髭が恐ろしく、娘は乗り気ではなかったが、青髭の馬車に乗って城へと向かった
お妃となった娘は青髭から城中の鍵を渡されるが、金の鍵の部屋だけは入ってはいけないと言われる
青髭は旅に出て、お妃は城の中の部屋を見て周ると、金の鍵の部屋をどうしても見たくなってしまった
そして、扉を開けた瞬間に血が流れ出て、壁には女の体が沢山吊るされていた
すぐに扉を閉めるも鍵を血の中に落としてしまい、拭いても血は取れなかった
金の鍵の部屋に入ったことがバレてしまい、青髭に殺されそうになってしまう
お妃は最後に祈りたいと願い、窓から叫んで兄たちに助けを求めた
お妃を刺そうとした時、兄たちがやって来て青髭を切り倒す
青髭は他の女たちと共に壁に吊るされ、財産はすべて娘のものとなった
これは、好奇心はとても魅力があるが、後で支払う代償は大きいと言う教訓だ
「ほら、目瞑って。」
「うん…、」
「"見るな"って言ったのに…、目が真っ赤だ。」
「……ごめんなさい」
私とギュウ君は、知られていない秘密の花園へと移動した
私のこの酷い顔を誰にも見られないようにと、気遣ってくれたおかげで私は恥をかかずに済みそうだ
湖に手ぬぐいを沈めて湿らせ、絞って私の顔を拭いてくれる
程よく冷たい手ぬぐいは、熱を持った目元を冷やし「別に怒ってるわけじゃない。」と私を甘やかしてくる
私に見て欲しくなかったんだ…とギュウ君の優しさを再認知した
少しスッキリとした顔は、泣いた跡を無かったことにしてくれた
「頭に着いたんだな…。」とつむじ付近に着いてしまった血を拭き取ってくれる
まるでお兄ちゃんみたいに面倒を見てくれている
同い年とは思えないほどに大人びた対応を見せられると、どうしていいのか分からなくなる
「ちさの髪って、こんな色だったけ?」
「………それは、」
「もっと黒かった気がするけど、俺の気のせいか?」
「…」(口が…動かない。)
私の元の髪の色
それは不吉で気味悪い赤みがかった色
「取れた。」と手ぬぐいを頭から離し、それを目視すると私の髪とよく似た色に見えた
それが血なのか私の髪の色なのか分からないくらいだ
それがさらに私を追い詰める
拭っても拭っても落ちることの無い青髭の呪いの金の鍵のように、私の髪は何処までも呪われているのだと…
私が支払うはずの代償を彼女に、シスターエリに払わせてしまったんだと心が傷んだ
(私も助けを望めば、誰かが駆け付けてくれるの?……)
答えは分かってる……Noだ
私を助けてくれる親も兄弟も、知り合いだっていない
ずっとひとり…これからも、それは変わらないだろう……
「……落ち込んでるのか?」
「っえ…?」
「死を目の前にするのは…誰だって辛い。怖かっただろ?」
「…怖かった、すごく…。死がこんなに身近なんだと感じた…」(あの血の動きが…舞踏会の時と重なって見えたし……。)
「大丈夫だ、俺がずっとついてるから。」
"ずっとついてる"…?
もし今彼に、明日には教会を去ると伝えたら…なんて言うかな?
お別れを伝えたら、どんな表情をするのかな?
もう会うこともないと、理解してくれるかな…
会えなくなるのは、私としては凄く寂しい
初めて同い年の友達ができた
その相手はとても優しくて寛容で大人だった
一緒に居て楽しかったし、笑えた
ギュウ君のくしゃっと笑う顔が好きだった
お昼休憩に横になって昼寝をしていた時に、いたずらで彼の髪に花を挿した時、褐色の肌に映える薄青色の勿忘草とギュウ君が可愛く見えた
(起きた時に顔を真っ赤にして「やめろよ!」とか言ってたな。)
農園を手伝った時なんて内緒で、摘みたてのリンゴを2人で噛じった
あの時はリンゴがいつも以上に美味しく感じた
降りられなくなった猫を助けようと、木に登ったギュウ君はいつも以上にたくましく見えたし、たんぽぽの葉で草笛の仕方を教えてくれたり色々楽しかった
もうその楽しみが無くなると思うと、やっぱり寂しい…
父親は喜びすぐに申し出を受けだが、王様の青い髭が恐ろしく、娘は乗り気ではなかったが、青髭の馬車に乗って城へと向かった
お妃となった娘は青髭から城中の鍵を渡されるが、金の鍵の部屋だけは入ってはいけないと言われる
青髭は旅に出て、お妃は城の中の部屋を見て周ると、金の鍵の部屋をどうしても見たくなってしまった
そして、扉を開けた瞬間に血が流れ出て、壁には女の体が沢山吊るされていた
すぐに扉を閉めるも鍵を血の中に落としてしまい、拭いても血は取れなかった
金の鍵の部屋に入ったことがバレてしまい、青髭に殺されそうになってしまう
お妃は最後に祈りたいと願い、窓から叫んで兄たちに助けを求めた
お妃を刺そうとした時、兄たちがやって来て青髭を切り倒す
青髭は他の女たちと共に壁に吊るされ、財産はすべて娘のものとなった
これは、好奇心はとても魅力があるが、後で支払う代償は大きいと言う教訓だ
「ほら、目瞑って。」
「うん…、」
「"見るな"って言ったのに…、目が真っ赤だ。」
「……ごめんなさい」
私とギュウ君は、知られていない秘密の花園へと移動した
私のこの酷い顔を誰にも見られないようにと、気遣ってくれたおかげで私は恥をかかずに済みそうだ
湖に手ぬぐいを沈めて湿らせ、絞って私の顔を拭いてくれる
程よく冷たい手ぬぐいは、熱を持った目元を冷やし「別に怒ってるわけじゃない。」と私を甘やかしてくる
私に見て欲しくなかったんだ…とギュウ君の優しさを再認知した
少しスッキリとした顔は、泣いた跡を無かったことにしてくれた
「頭に着いたんだな…。」とつむじ付近に着いてしまった血を拭き取ってくれる
まるでお兄ちゃんみたいに面倒を見てくれている
同い年とは思えないほどに大人びた対応を見せられると、どうしていいのか分からなくなる
「ちさの髪って、こんな色だったけ?」
「………それは、」
「もっと黒かった気がするけど、俺の気のせいか?」
「…」(口が…動かない。)
私の元の髪の色
それは不吉で気味悪い赤みがかった色
「取れた。」と手ぬぐいを頭から離し、それを目視すると私の髪とよく似た色に見えた
それが血なのか私の髪の色なのか分からないくらいだ
それがさらに私を追い詰める
拭っても拭っても落ちることの無い青髭の呪いの金の鍵のように、私の髪は何処までも呪われているのだと…
私が支払うはずの代償を彼女に、シスターエリに払わせてしまったんだと心が傷んだ
(私も助けを望めば、誰かが駆け付けてくれるの?……)
答えは分かってる……Noだ
私を助けてくれる親も兄弟も、知り合いだっていない
ずっとひとり…これからも、それは変わらないだろう……
「……落ち込んでるのか?」
「っえ…?」
「死を目の前にするのは…誰だって辛い。怖かっただろ?」
「…怖かった、すごく…。死がこんなに身近なんだと感じた…」(あの血の動きが…舞踏会の時と重なって見えたし……。)
「大丈夫だ、俺がずっとついてるから。」
"ずっとついてる"…?
もし今彼に、明日には教会を去ると伝えたら…なんて言うかな?
お別れを伝えたら、どんな表情をするのかな?
もう会うこともないと、理解してくれるかな…
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その相手はとても優しくて寛容で大人だった
一緒に居て楽しかったし、笑えた
ギュウ君のくしゃっと笑う顔が好きだった
お昼休憩に横になって昼寝をしていた時に、いたずらで彼の髪に花を挿した時、褐色の肌に映える薄青色の勿忘草とギュウ君が可愛く見えた
(起きた時に顔を真っ赤にして「やめろよ!」とか言ってたな。)
農園を手伝った時なんて内緒で、摘みたてのリンゴを2人で噛じった
あの時はリンゴがいつも以上に美味しく感じた
降りられなくなった猫を助けようと、木に登ったギュウ君はいつも以上にたくましく見えたし、たんぽぽの葉で草笛の仕方を教えてくれたり色々楽しかった
もうその楽しみが無くなると思うと、やっぱり寂しい…
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