152 / 333
153
しおりを挟む
温かくって柔らかい感触
それを感じる
「っえ……クリスチャン…さん…」
『なに?』
『今…何を……』
きっと、いや確実にそれは彼の唇だった
分からないのは、何故私にキスをしたのかということだった
聞いたら、クリスチャンさんは答えてくれるだろうか?
はぐらかして、誤魔化してしまうだろうか?
今目隠ししているけど、きっと間の抜けた顔をしているに違いない
目隠ししていてよかった…
だけど、彼の顔を見れないというのは、思いの外歯痒いものに感じる
なんでだろう…見てみたいと感じた
今まで目を逸らすのが私だったけど、見たいと思った
微熱が…残ってる
私が火照っているのか、クリスチャンさんの唇の熱なのか…
『泣きやんだ。』
『どうして…キスを……』
『シスターが泣くから、』
そう言ってはキスした所を拭うみたいに、指で頬を擦ってくる
優しい…その手付きはすごく優しかった
顔が熱いのは入浴場の熱気のせい
私が動けずに居るのはクリスチャンさんのせい
彼がキスしたのは……私のせい?…
(教会内で…キスだなんて…。)
不順行為で怒られないだろうか?
もし誰かに見られたら…きっと厳罰処分だ
『シスター?』
(どうしてそうやって呼ぶの?どうして…)
そうやって、目隠しを取ろうとするんですか?
私に…今あなたがどんな顔をしているのか、見せようとしてくれているんですか?
疑問だらけの頭の中は、不思議とクリスチャンさんのことしか思い浮かばせてくれない
昼間の彼の顔を、今こんな顔をしているだろうか?と想像してしまう
今…彼の顔を見たら、私は嬉しいの?
嬉しいとしたら、どうして嬉しいの?
後頭部で固く結んだ目隠しの布が解かれ、縛られた感覚が薄れる
手に持つ布をぎゅっと握り締めて、目隠しが外れるのを待っている
ぱさっ…と軽い音を鳴らし、閉じたまぶたを開こうとした時、彼の顔を見たいという願いは阻まれた
「シスター!!!!」
「っ!?」(この声は!?)
声の主の方を見れば、耳から入った情報で予想した通りの人が鬼の形相でこちらを睨んでいた
何故か無性にそれが恐ろしくって、っひ…と身構えてしまった
「シスターちさ、こちらに来てください!」
「っあ…シスターエリ…あの……」
「早く!!」
私の腕を勢いよく掴んでは、有無を言わさんとばかりに入浴場から強制退去させられた
何故彼女は怒っているのだろうか?私、また彼女の機嫌を損ねることをしたのかな……
何も言わず、少し早歩きで歩くシスターエリに置いてきぼりにされないように、私も彼女の調子に合わせて早歩きした
せめてこの腕を離してほしい
逃げたりしないのだから、この犯人を捕まえたと言わんばかりに強く掴まないで
歩き進んで辿り着いたのは院長室
シスターエリがノックをすると「お入り。」と中から合図が返ってくる
その言葉を聞きいて中に入れば、罪人を突き出すように私を院長の前に差し出した
「院長、シスターちさは神聖な教会には不適切な行動をしました。どうが罰をお与えに。」
「どういうことです、シスターちさ。"不適切"とはなんのことです?」
「彼女は神に使える身でありながら、お客人でもあるクリスチャン様と湯浴みをしていました。これは、到底許されることではありません。」
「今の話は本当ですか、シスターちさ。答えなさい。」
この緊迫とした空気、何か嫌だ
この冷めた目、私の話を聞く前からほとんど意思が決定しているその態度
手を前に組んで、少し眉を尖らせてはその口元にピクッと力が入ったのが分かった
「…私は、クリスチャンさんの体を流しただけで…やましい事は何も…」
「やましくないのであれば、何故そうたどたどしいのです。シスターちさ、貴方はその行為がシスターの名に相応しいと思っているのですか?」
(端から私を否定するつもりだったくせに、話なんか聞こうとは思っていないくせに…)「すみません…。」
「貴方の取った行動は、シスターの名を汚すものです。その罪は償わないといけません。」
その後のことは、断片的でしか覚えていない
最初は真っ暗な部屋だった
光の入らない場所、暗くて狭くて、空気の薄いところでとても寒かった
部屋の扉が開けば、償いは終わりではなくまだ続行された
それを感じる
「っえ……クリスチャン…さん…」
『なに?』
『今…何を……』
きっと、いや確実にそれは彼の唇だった
分からないのは、何故私にキスをしたのかということだった
聞いたら、クリスチャンさんは答えてくれるだろうか?
はぐらかして、誤魔化してしまうだろうか?
今目隠ししているけど、きっと間の抜けた顔をしているに違いない
目隠ししていてよかった…
だけど、彼の顔を見れないというのは、思いの外歯痒いものに感じる
なんでだろう…見てみたいと感じた
今まで目を逸らすのが私だったけど、見たいと思った
微熱が…残ってる
私が火照っているのか、クリスチャンさんの唇の熱なのか…
『泣きやんだ。』
『どうして…キスを……』
『シスターが泣くから、』
そう言ってはキスした所を拭うみたいに、指で頬を擦ってくる
優しい…その手付きはすごく優しかった
顔が熱いのは入浴場の熱気のせい
私が動けずに居るのはクリスチャンさんのせい
彼がキスしたのは……私のせい?…
(教会内で…キスだなんて…。)
不順行為で怒られないだろうか?
もし誰かに見られたら…きっと厳罰処分だ
『シスター?』
(どうしてそうやって呼ぶの?どうして…)
そうやって、目隠しを取ろうとするんですか?
私に…今あなたがどんな顔をしているのか、見せようとしてくれているんですか?
疑問だらけの頭の中は、不思議とクリスチャンさんのことしか思い浮かばせてくれない
昼間の彼の顔を、今こんな顔をしているだろうか?と想像してしまう
今…彼の顔を見たら、私は嬉しいの?
嬉しいとしたら、どうして嬉しいの?
後頭部で固く結んだ目隠しの布が解かれ、縛られた感覚が薄れる
手に持つ布をぎゅっと握り締めて、目隠しが外れるのを待っている
ぱさっ…と軽い音を鳴らし、閉じたまぶたを開こうとした時、彼の顔を見たいという願いは阻まれた
「シスター!!!!」
「っ!?」(この声は!?)
声の主の方を見れば、耳から入った情報で予想した通りの人が鬼の形相でこちらを睨んでいた
何故か無性にそれが恐ろしくって、っひ…と身構えてしまった
「シスターちさ、こちらに来てください!」
「っあ…シスターエリ…あの……」
「早く!!」
私の腕を勢いよく掴んでは、有無を言わさんとばかりに入浴場から強制退去させられた
何故彼女は怒っているのだろうか?私、また彼女の機嫌を損ねることをしたのかな……
何も言わず、少し早歩きで歩くシスターエリに置いてきぼりにされないように、私も彼女の調子に合わせて早歩きした
せめてこの腕を離してほしい
逃げたりしないのだから、この犯人を捕まえたと言わんばかりに強く掴まないで
歩き進んで辿り着いたのは院長室
シスターエリがノックをすると「お入り。」と中から合図が返ってくる
その言葉を聞きいて中に入れば、罪人を突き出すように私を院長の前に差し出した
「院長、シスターちさは神聖な教会には不適切な行動をしました。どうが罰をお与えに。」
「どういうことです、シスターちさ。"不適切"とはなんのことです?」
「彼女は神に使える身でありながら、お客人でもあるクリスチャン様と湯浴みをしていました。これは、到底許されることではありません。」
「今の話は本当ですか、シスターちさ。答えなさい。」
この緊迫とした空気、何か嫌だ
この冷めた目、私の話を聞く前からほとんど意思が決定しているその態度
手を前に組んで、少し眉を尖らせてはその口元にピクッと力が入ったのが分かった
「…私は、クリスチャンさんの体を流しただけで…やましい事は何も…」
「やましくないのであれば、何故そうたどたどしいのです。シスターちさ、貴方はその行為がシスターの名に相応しいと思っているのですか?」
(端から私を否定するつもりだったくせに、話なんか聞こうとは思っていないくせに…)「すみません…。」
「貴方の取った行動は、シスターの名を汚すものです。その罪は償わないといけません。」
その後のことは、断片的でしか覚えていない
最初は真っ暗な部屋だった
光の入らない場所、暗くて狭くて、空気の薄いところでとても寒かった
部屋の扉が開けば、償いは終わりではなくまだ続行された
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】短編集【更新中】調教無理矢理監禁etc...【女性向け】
笹野葉
恋愛
1.負債を抱えたメイドはご主人様と契約を
(借金処女メイド×ご主人様×無理矢理)
2.異世界転移したら、身体の隅々までチェックされちゃいました
(異世界転移×王子×縛り×媚薬×無理矢理)
女の子がいろいろされる話
ききょきょん
恋愛
女の子がいじめらたり、いじられたり色々される話です。
私の気分であげるので、性癖とか方向性はぐちゃぐちゃです、よろしくお願いします。
思いついたら載せてくゆるいやつです。。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる