逍遙の殺人鬼

こあら

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「潤さん、何するんですか!?すごく痛かったですよ!」

「レディが必死に我慢している姿が面白くってね。つい、もっと意地悪してみたくなってね。」

「あの時猫が出てくれなかったら、今頃とんでもないことになってますよ!」

「レディがいつまで経っても連絡してこないから、私も少し腹を立てたのさ。これでも、連絡が来るのを待っていたんだよ?普段待つことなんてしない私が。」

だからと言って、人の首を噛みますかね?普通
それは理由になていません!そういうと「ハハハ」と笑う潤さん
こっちはハラハラしながら、耐えていたのに…
自由すぎる潤さんに、呆れ模様の私は仕方ないと諦めた









「さ、特に用事はないんですよね?そろそろ帰って下さい」

「分かったよ。その前に、これ。」

「なんです?……チョコレートだ…」

「そろそろお菓子が恋しいかなーと思って、ちゃんとお土産まで用意したんだ。」

潤さん、今までのこと全部許そう
持ってきていただき、恐悦至極です
どんぴしゃりです

お菓子を食べる機会がグンと減った今、この手土産は最高の贈り物だ
開ける前からでも分かるこのカカオとミルクが混ざった良い香り
最高です

私は潤さんに深々とお礼をし、唯一開いている裏口からコソ泥の如く侵入した
まだ、油断できない
シスターエリがいるかも知れない
しかも、チョコレートを持っているんだ
慎重に慎重に……

「おい」

「っひ!…ごめんなさい、許して!!」

「なんのことだ?」

「ギュウ君?…なんだ、良かった……シスターエリかと思った…」

「こんな夜中に何してんだ。夜は獣が出るし、外出は禁止されているだろ。」

見つかったのがギュウ君で本当に良かった
心臓が止まるかと思った

私は「ごめんなさい」と謝った
本当は潤さんのせいだけど…
そんなことは言えないので、心の中で消化した
この手にあるチョコレートが食べれると思えば、簡単なことだった

「何ニヤニヤしてんだよ…。」

「別にー」

「怪しいな、これは報告せねば、」

「分かった!………はい、これ口止め料ね。送ってくれてありがと、おやすみー」

「…まったく、人の気も知らないで……”チョコレート”?なんでこんな物持ってんだ?」

私はウキウキしながら自室の扉を閉じた
軽い足取りでベッドへと向かい、腰を落とした
手にあるそれをひとつ取り出して、包みを外せば、その芳しい香りに頬が緩んでしまう

一口齧って味わえば、懐かしいあの優しい味がした

「んーーーーー!」(美味しい!!!)

おっと、あまり大々的に喜んではいけないな
静かな分、響いてしまう

でも、すごく美味しい
ほっぺがとろけてしまいそう
疲れなんか吹っ飛んでしまうくらい美味しい

きっとギュウ君も今頃、この美味しさに心酔しているに違いない
久々ということもあるだろうが、これは間違いなく美味しい!

「っいた…」

そういえば、脚が痛かったんだ…
チョコレートにルンルン・ウキウキだった私は、脚が痛いことも忘れてバタバタとばたつかせたせいで、余計深傷を負ったかの様に痛みが居候した

きっと一晩寝れば治るだろう
私は手に持ったチョコレートをたいらげ、残りを机の中にしまい寝ることにした
蝋燭ろうそくの明かりを消して、冷たい体を暖めるように毛布に包まった
チョコレートを食べた私は、ご満悦ですぐ眠りにつくことが出来た
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