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昔、酒好きのずる賢い怠け者、ジャックという男がいた
ジャックは日頃からウソばかりついては、人々を騙していた
ある日、魂を取りに来たという悪魔に出会ったジャックは、悪魔を騙して「ジャックの魂は取らない」と約束させた
時は流れて、ジャックは寿命を迎えこの世を旅立ったが、生きている間の行いが悪く、天国に行くことはできなかった
そこで地獄に落とされたジャックは、生前出会った悪魔がそこにいて「ジャックの魂は取らない約束をしているから」と言われ地獄にも行く事ができなかった
天国にも地獄にも行けなくなったジャックは、落ちていたカブをくり抜いて火を灯し、天国と地獄の間を永遠に彷徨い、歩き続けた
これがジャックオーランタンの起源と言われている
カブからかぼちゃに変わり、現代にも根強く残った文化の1つである
「ねぇ、ギュウ君。ハロウィンでお菓子とか配ったりするの?」
「"お菓子"?この教会では配ったことないな。都会では配るのが普通なのか?」
「いや、…どうだろう…。」(そもそも教会でハロウィンを祝ってたっけ?)
「まさか、自分が食べたいからとかじゃないよな?」
なんだろう…この否定も肯定もできない、絶妙な感覚
ハロウィンと言えばお菓子を貰える、子どもが大好きな日の1つと言えるだろう
でも、教会で祝うという事が未だ結びついていない私は、ここでも配るのかと疑問に思った
それに加え、若干そのおこぼれを貰えないだろうかと考えている私がいるのも事実だった
それを認めるのは、何だか尺に触る
絶対、うんともYesともはいともそうとも言わない
その代わり、否定もしません
「なぁ、ハロウィンって本来10月31日の夜に先祖の霊が家族に会いに戻ってくると信じられてたんだけど、悪霊も一緒にやって来て、悪いことをしてきたんだって。そこで悪霊を驚かせて追い払ったり、仮面をかぶったり、仮装をしたり、魔除けの焚き火を行ったって言われてるんだ。」
「知ってる!でも、私が知ってるのと少し違うかも。10月31日はこの世とあの世が一番近くなる日で、悪魔が最も身近に現れるようになるんだって。だから、仮面や仮装をして悪魔に人だと悟られないようにしたって聞いたよ。」
「へぇー、ハロウィンにも色々あるんだな。じゃあ、これは知らないだろう。」
そう言って、ギュウ君は少し不敵な笑みを浮かべて話し始めた
それは、この教会で育った彼が聞いた、教会の噂
10月31日、ハロウィンの日
毎年、下町では祭のように人と人が集まり、騒いで賑わっていた
仮想して、お菓子を貰い、楽しく一日が終わるまでを堪能している
そんな中、この教会では、いつも以上に鬱蒼とした雰囲気が漂い、明かりをともしているにも関わらず暗く、まるでこの教会だけが取り残されたみたいに静まり返っていた
シスター達は礼拝堂で祈りを捧げ、下働きのギュウ君は雑用を処理していた
この日ばかりは、ひとりで行動するのが好ましくないと思わせ、妙に寒さを感じると
ある年のハロウィンでは若いシスターがいなくなり、別の年では蝋燭の火が同時に消えたと
それして、彼自身も奇妙な体験をしたんだとか
「俺は、いつも通り荷物を教会に運んでたんだ。三郎さんも研さんも他の作業を任されてて、俺ひとりでやってたら急に…扉がひとりでに閉まったんだ。」
「っ…」(え…それって……、)
「扉の方を見たんだけど…誰も居なくて。扉の向こう側に居るのかと確認したんだけど、やっぱり勝手に扉が閉まったんだ。そしたら急に……冷たい手が俺の手をガシッ!っと掴んで!」
「もういいよ!怖くて聞けない…」
耳を両手で塞いで身を竦める私を見ては、はははと笑ってお腹を抑えるギュウ君
かぼちゃをくり抜く手を止めて「ビビりすぎ」と笑いコケる
私はそんな彼を見て、呆気にとられている
さっきまであんなに静かに、緊迫した感じで話してたくせに
今は対照的ではないか
「今のっ、もしかして嘘!?」
「ちさは怖いのは駄目なのか。悪かった悪かった。」
"悪かった"と言うくせに、どうして顔はそんなにも笑ってらっしゃるんでしょうかね?
必死になりすぎてて、あなたの笑いのツボにでも入ってしまいましたか?
さようですか、よごさんすね
ジャックは日頃からウソばかりついては、人々を騙していた
ある日、魂を取りに来たという悪魔に出会ったジャックは、悪魔を騙して「ジャックの魂は取らない」と約束させた
時は流れて、ジャックは寿命を迎えこの世を旅立ったが、生きている間の行いが悪く、天国に行くことはできなかった
そこで地獄に落とされたジャックは、生前出会った悪魔がそこにいて「ジャックの魂は取らない約束をしているから」と言われ地獄にも行く事ができなかった
天国にも地獄にも行けなくなったジャックは、落ちていたカブをくり抜いて火を灯し、天国と地獄の間を永遠に彷徨い、歩き続けた
これがジャックオーランタンの起源と言われている
カブからかぼちゃに変わり、現代にも根強く残った文化の1つである
「ねぇ、ギュウ君。ハロウィンでお菓子とか配ったりするの?」
「"お菓子"?この教会では配ったことないな。都会では配るのが普通なのか?」
「いや、…どうだろう…。」(そもそも教会でハロウィンを祝ってたっけ?)
「まさか、自分が食べたいからとかじゃないよな?」
なんだろう…この否定も肯定もできない、絶妙な感覚
ハロウィンと言えばお菓子を貰える、子どもが大好きな日の1つと言えるだろう
でも、教会で祝うという事が未だ結びついていない私は、ここでも配るのかと疑問に思った
それに加え、若干そのおこぼれを貰えないだろうかと考えている私がいるのも事実だった
それを認めるのは、何だか尺に触る
絶対、うんともYesともはいともそうとも言わない
その代わり、否定もしません
「なぁ、ハロウィンって本来10月31日の夜に先祖の霊が家族に会いに戻ってくると信じられてたんだけど、悪霊も一緒にやって来て、悪いことをしてきたんだって。そこで悪霊を驚かせて追い払ったり、仮面をかぶったり、仮装をしたり、魔除けの焚き火を行ったって言われてるんだ。」
「知ってる!でも、私が知ってるのと少し違うかも。10月31日はこの世とあの世が一番近くなる日で、悪魔が最も身近に現れるようになるんだって。だから、仮面や仮装をして悪魔に人だと悟られないようにしたって聞いたよ。」
「へぇー、ハロウィンにも色々あるんだな。じゃあ、これは知らないだろう。」
そう言って、ギュウ君は少し不敵な笑みを浮かべて話し始めた
それは、この教会で育った彼が聞いた、教会の噂
10月31日、ハロウィンの日
毎年、下町では祭のように人と人が集まり、騒いで賑わっていた
仮想して、お菓子を貰い、楽しく一日が終わるまでを堪能している
そんな中、この教会では、いつも以上に鬱蒼とした雰囲気が漂い、明かりをともしているにも関わらず暗く、まるでこの教会だけが取り残されたみたいに静まり返っていた
シスター達は礼拝堂で祈りを捧げ、下働きのギュウ君は雑用を処理していた
この日ばかりは、ひとりで行動するのが好ましくないと思わせ、妙に寒さを感じると
ある年のハロウィンでは若いシスターがいなくなり、別の年では蝋燭の火が同時に消えたと
それして、彼自身も奇妙な体験をしたんだとか
「俺は、いつも通り荷物を教会に運んでたんだ。三郎さんも研さんも他の作業を任されてて、俺ひとりでやってたら急に…扉がひとりでに閉まったんだ。」
「っ…」(え…それって……、)
「扉の方を見たんだけど…誰も居なくて。扉の向こう側に居るのかと確認したんだけど、やっぱり勝手に扉が閉まったんだ。そしたら急に……冷たい手が俺の手をガシッ!っと掴んで!」
「もういいよ!怖くて聞けない…」
耳を両手で塞いで身を竦める私を見ては、はははと笑ってお腹を抑えるギュウ君
かぼちゃをくり抜く手を止めて「ビビりすぎ」と笑いコケる
私はそんな彼を見て、呆気にとられている
さっきまであんなに静かに、緊迫した感じで話してたくせに
今は対照的ではないか
「今のっ、もしかして嘘!?」
「ちさは怖いのは駄目なのか。悪かった悪かった。」
"悪かった"と言うくせに、どうして顔はそんなにも笑ってらっしゃるんでしょうかね?
必死になりすぎてて、あなたの笑いのツボにでも入ってしまいましたか?
さようですか、よごさんすね
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