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私が教会に来てどれくらい経っただろうか?
桜は散り、向日葵の鮮やかな黄色はなくなり肌寒さがひしひしと感じる
相変わらず忙しい毎日で、仕事は山ほど任されている
シスターシオリとの仲は深まり、ギュウ君とは今では何も無かったかのように普通に戻っている
私の贅沢な夢に3度目はなく、あの日以来見なくなった
欲張って、お願いなんかしたせいかな…
禁欲にならなきゃいけないのに、多くを望んだからだ…
「シスター、これは?」
「それはヨモギ。ヨモギをすり潰した汁を擦り込むことで抗菌作用が働いて、化膿を防ぐことが出来るの。綺麗な水でしめらせた栗や柿の落ち葉なんかも絆創膏代わりに使うことができるのよ」
「へぇ~。じゃあこれは?」
「ドクダミ。煎じて飲むと利尿作用や動脈硬化の予防・解熱や解毒なんかの効果があるって言われているのよ」
「へぇ~~。名前だけ聞くと怖いね。」
そう言って、ドクダミをふりふりする
その姿は、本当に可愛かった
私は洗濯物をしている
この晴れた天気とは裏腹に、風は冷たく吹いている
そんな私に、教会の庭で摘んできた薬草を一つ一つ確認してくるこの子は、教会に来た日に泣いていた女の子だ
今では、ほぼ毎日私のところに来て「これは何?」「これはどう読むの?」といろんなことに興味津々な様子だ
そんな純粋な感じが好ましくって、ついつい私も話し込んでしまう
「シスター私ね、いつかシスターみたいになりたいの。」
「私みたいに?どうして?」
「うーん、素敵な人だから?」
(そんなことないと思うけどな…)
でも、そう思われるのは嫌じゃない
そんなことを思えている、この子の方が私より断然素敵だ
2人で楽しく話していれば、洗濯は終わり教会に戻る
「また明日ね。」と別れ、洗濯かごを戻していると声をかけられた
「シスターちさ、申し訳ないんだけどかぼちゃをくり抜くのを手伝ってもらえないかしら?」
「かぼちゃですか?」
「はい。もうすぐハロウィンですからね。」
ハロウィン
それは、毎年10月31日に行われる、ヨーロッパを発祥とする祭り
もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事で、11月1日の、カトリックの聖人の日である万聖節の前の晩に行われる
今では、お菓子を貰うお祭りと化している
まさか、教会でハロウィンを大々的に行うとは思わず、少し固まってしまった
そんな私に、シスターシオリは「飾るだけなんですけどね。」と微笑んだ
それはそれで…と不思議な心境に陥った
やるならやる、やらないなら徹底して欲しい
中途半端なところにいるみたいで、歯痒いです…
「分かりました。お手伝いします」
「それと、私はお使いを頼まれていまして、作業場にはギュウちゃんがいますから先に進めてて下さい。」
「そうですか、最近お忙しそうですね。あまり無理しないで下さいね」
シスターシオリはここ最近本当に忙しそうに見受けられる
ハロウィンが近いからでしょうか?
元々雑用ばかりで、シスターらしい仕事は一切していない私にとってかぼちゃのくり抜きは良い息抜きになる
作業場に行けば、シスターシオリの言う通りギュウ君が居て一人で黙々とかぼちゃの型取りをしていた
おつかれ、と軽く声をかけたら作業する手を止め、私を見て「おう。」だなんて返してくる
彼の後ろにはまだ手を付けられていないかぼちゃが残っていいた
「手伝いに来たよ。これをやればいい?」
「ありがとうな。でも、こっちやってくれ。切り抜くのは力がいるから。」
「私だって切り抜く力くらいあるのに…」
でも、ギュウ君に従います
目と鼻と口、ヘタの部分を大きく切り抜かれたかぼちゃを渡され、側にあったスプーンで実の部分を取り除いていく
(この実の部分…勿体ないな……。)
不揃いだけど潰して南瓜団子が作れるかも、とか考えてしまう
捨てるには勿体ない量だ
新鮮でまだまだ食べれる
そんなことを考えていると「ちゃんと手、動かせよ?」と監督のお声が聞こえた
同時に2つのことは出来ないのか、私の脳みそは……
桜は散り、向日葵の鮮やかな黄色はなくなり肌寒さがひしひしと感じる
相変わらず忙しい毎日で、仕事は山ほど任されている
シスターシオリとの仲は深まり、ギュウ君とは今では何も無かったかのように普通に戻っている
私の贅沢な夢に3度目はなく、あの日以来見なくなった
欲張って、お願いなんかしたせいかな…
禁欲にならなきゃいけないのに、多くを望んだからだ…
「シスター、これは?」
「それはヨモギ。ヨモギをすり潰した汁を擦り込むことで抗菌作用が働いて、化膿を防ぐことが出来るの。綺麗な水でしめらせた栗や柿の落ち葉なんかも絆創膏代わりに使うことができるのよ」
「へぇ~。じゃあこれは?」
「ドクダミ。煎じて飲むと利尿作用や動脈硬化の予防・解熱や解毒なんかの効果があるって言われているのよ」
「へぇ~~。名前だけ聞くと怖いね。」
そう言って、ドクダミをふりふりする
その姿は、本当に可愛かった
私は洗濯物をしている
この晴れた天気とは裏腹に、風は冷たく吹いている
そんな私に、教会の庭で摘んできた薬草を一つ一つ確認してくるこの子は、教会に来た日に泣いていた女の子だ
今では、ほぼ毎日私のところに来て「これは何?」「これはどう読むの?」といろんなことに興味津々な様子だ
そんな純粋な感じが好ましくって、ついつい私も話し込んでしまう
「シスター私ね、いつかシスターみたいになりたいの。」
「私みたいに?どうして?」
「うーん、素敵な人だから?」
(そんなことないと思うけどな…)
でも、そう思われるのは嫌じゃない
そんなことを思えている、この子の方が私より断然素敵だ
2人で楽しく話していれば、洗濯は終わり教会に戻る
「また明日ね。」と別れ、洗濯かごを戻していると声をかけられた
「シスターちさ、申し訳ないんだけどかぼちゃをくり抜くのを手伝ってもらえないかしら?」
「かぼちゃですか?」
「はい。もうすぐハロウィンですからね。」
ハロウィン
それは、毎年10月31日に行われる、ヨーロッパを発祥とする祭り
もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事で、11月1日の、カトリックの聖人の日である万聖節の前の晩に行われる
今では、お菓子を貰うお祭りと化している
まさか、教会でハロウィンを大々的に行うとは思わず、少し固まってしまった
そんな私に、シスターシオリは「飾るだけなんですけどね。」と微笑んだ
それはそれで…と不思議な心境に陥った
やるならやる、やらないなら徹底して欲しい
中途半端なところにいるみたいで、歯痒いです…
「分かりました。お手伝いします」
「それと、私はお使いを頼まれていまして、作業場にはギュウちゃんがいますから先に進めてて下さい。」
「そうですか、最近お忙しそうですね。あまり無理しないで下さいね」
シスターシオリはここ最近本当に忙しそうに見受けられる
ハロウィンが近いからでしょうか?
元々雑用ばかりで、シスターらしい仕事は一切していない私にとってかぼちゃのくり抜きは良い息抜きになる
作業場に行けば、シスターシオリの言う通りギュウ君が居て一人で黙々とかぼちゃの型取りをしていた
おつかれ、と軽く声をかけたら作業する手を止め、私を見て「おう。」だなんて返してくる
彼の後ろにはまだ手を付けられていないかぼちゃが残っていいた
「手伝いに来たよ。これをやればいい?」
「ありがとうな。でも、こっちやってくれ。切り抜くのは力がいるから。」
「私だって切り抜く力くらいあるのに…」
でも、ギュウ君に従います
目と鼻と口、ヘタの部分を大きく切り抜かれたかぼちゃを渡され、側にあったスプーンで実の部分を取り除いていく
(この実の部分…勿体ないな……。)
不揃いだけど潰して南瓜団子が作れるかも、とか考えてしまう
捨てるには勿体ない量だ
新鮮でまだまだ食べれる
そんなことを考えていると「ちゃんと手、動かせよ?」と監督のお声が聞こえた
同時に2つのことは出来ないのか、私の脳みそは……
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