逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
131 / 333

131

しおりを挟む
千里の道も一歩から
たとえ千里ほどもある遠い道のりであっても、始めの一歩を踏み出すことが大切で、その一歩を踏み出すとともに着実に努力を重ねれば、大きな事業も成功するという意味

千里とは1里400mの1000倍で、きわめて遠い所という意味のたとえ

だとしても、教会周りの草むしりは千里を超えているのではないかと懸念が尽きない
暖かいを通り越して、暑くなり始めた今日この頃
額に小さ汗が居座っているし、顎の輪郭を伝って滴り落ちるし拭いても拭いても出てくる

「……あつい…。」












どこまでやれば終わるのか
そもそも終わりなどあるのか?
自問自答したところで正解は出てこないし、考えてるだけで余計に疲れる

「はぁ…。これって、終わりあるのかな…?」

(……いや無いな。)

そもそも、雑草って?
日本の第124代天皇、昭和天皇は雑草なんてないって言ってなかったっけ?…

「"雑草という草はありません。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない。注意するように。"って」

「悟りでも開くのか?」

「ギュウ君。っいつからいたの?」

「今だけど…ちさこそ、哲学みたいなこと言って。」

完全に聞かれたくないことを聞かれてしまった…
誰も居ない所で、しかも雑草をむしりながら独り言だなんて…

草むしりする手を止め、ギュウ君の方に体の向きを変えて立ち上がった
ッパッパと黒い修道服に着いた葉っぱを払って身なりを整える
顔中に散りばった汗を拭いて、彼と顔を合わせる
「っぷ」と呼吸をするみたいに軽い音を出しては、左手で口元を、右手でお腹を抑えている
小刻みに揺らす肩に、私より少し大きな手の隙間から見える広角の上がった口

(私…笑われてる?)
それは正解で、彼の方から切り出してくる
左手を口元から離して、私の鼻先を軽くつまんではクシャッとしたい笑顔を見せてきた

「鼻に泥ついてる。」

「っ!?……あ、りがとう…」

拭き終えて手を離しても、鼻先には若干の微熱を感じる
恥ずかしかに打ちひしがれているのに、ギュウ君はそんな私を楽しそうに見ている

「また、こき使われてるのか?」

「私の仕事だから…。ギュウ君は庭に何か用なの?」

「いや…、ちさが見えたから。」

「私が草むしりしてる姿を近くで見に来たってこと?そんなの見たって楽しくないよ?」

「……。」

急に黙って、バツが悪そうに頭なんかかいてるギュウ君
本当に何しに来たんだか

休憩しようと木陰に移動し、彼が持ってきてくれたお水を飲んだ
ゴクリとその冷たさが喉を伝うのが分かる
太陽に照らされ、黒い修道服によって吸収された熱を冷ますように、暑さで火照る頬を鎮めるように前方からそよ風に近いものが吹いてくる

(平和だ。)
鳥のさえずる音や草木が奏でる音が心地良い
良すぎる天気と、都会離れした空気
綺麗そのもので平和な空

「……昨日のさ、」

「ん?」

「大浴場での…ごめん……。」

「っ!?っべ、別にギュウ君のせいじゃ。後から知ったんだけど、私の部屋の時計遅れて表示されてたみたいだし」

だから実際私が女湯時間だと思ってたのが、男湯時間だった訳で彼のせいじゃない
随分古そうな時計だったし、仕方ないといえば仕方ない

(だから、そんな申し訳なさそうな顔をしないで)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...