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私は彼らを残して立ち去った
これ以上依存したくなくって、自分を保てなくなる前に消え去りたかった
「もしかして、私は余計なことをしたかな?」
「いえ…助かりました、色々と…。」
「ふむ…、でもお茶はしてもらうよ。私は喉がカラカラだ。」
「わか、りました。助けていただきましたし、お安いご用です。」
仮面舞踏会の時も、鳩屋さんに助けてもらった
こうもタイミングよく現れると、半分冗談だけど運命を感じてしまう
そんな鳩屋さんについて行くとリムジンが一台
(まさか、これに乗るつもり?)
軽快にドアを開けると「どうぞ。」と紳士な対応を見せてくる
促されるままに乗ると運転手に帰宅を言い渡し、車が発進する
「さあ、遠慮せずに入ってくれ。一ノ瀬、お茶を頼む。」
「かしこまりました。上着をお預かりします。」
「レディ、こっちだよ。是非夕食もどうかな?」
あのパーティーに出ていたのだから、相当お金持ちだと思ってはいたけど、想像以上だった
まるで御曹司みたいな鳩屋さんの家は、ゴージャスな輝きを放っていて目に悪い
眩し過ぎるくらいの照明の数
シャンデリアなんて、一般宅にあるものじゃない
この豪華な置物に、毛皮
次元が違い過ぎる
それを見せつけられているみたいだ
「それで?何に困っているのかな?」
「っえ?」
「お金?住む場所?言ってくれれば、なんでも叶えてあげるよ。」
「あ…そうですね…。しばらく、隠れていたいですね。」
誰にも見つからない場所へ、ひっそりと暮らしたい
それが私の望み
でも、それを叶えるにはお金がない
叶えられるとも思えない
一歩でも近づくためにお金を稼いだ
正直、予想以上に稼げたがまだまだ足りない
「そうだな、私の知り合いの所にレディの願いが叶いそうな場所があるけど。君さえ良ければ、連れて行こうか?」
「っい、いんですか?ありがとうございます‼︎こんなに良くしてくれるなんて、鳩屋さんは優しいですね。」
「潤。どうか潤と呼んでおくれよ、レディ。いつまでも”鳩屋さん”じゃ、悲しいよ。」
「っ、じゅ潤、さん…。」
「うん。それじゃ、今日はここに泊まって明日移動しよう。寝室は一ノ瀬に案内を頼もう。」
一ノ瀬さんは、執事さんのようで私を寝室まで案内してくれた
部屋にはバスルームもついていて、キングサイズのベッド
白を基調とした家具は統一感が出ていて、清潔そのもの
だけど、どこか単調なこの部屋はなんとなく居心地が悪い
シャワーを浴びて、今日の出来事を洗い流す
シャワーヘッドから勢いよく出るお湯は、髪や肌を濡らす
うざったいくらいに纏わりつく髪の毛は黒く、鏡の写る瞳はやはり日本人離れしている
色素の薄いこの瞳じゃ、いくら髪の毛を黒くしても無意味だった
ベッドに横になってみても、この虚な心は収まるところを知らない
どんどん広がるかのような心の隙間は、大きなものとなっている
いつからだろう、こんなに誰を思い浮かべるのは…
沈むこの柔らかなベッドに、埋もれてしまいそうなくらい心が鉛のように重く感じる
「…っ!?」
ブーッブーッとバイブ音を響かせているスマホを見ると知らない番号からで、出るのを躊躇させてくる
出なければ、留守番電話サービスへと移動し見知った声がした
《ちさちゃん…電話に出てくれないか…?僕は…ちさちゃんの声を聞きたいよ…》
「臼田さん…。」(やめてください…)
電話なんてしてこないで
そんなことされたら、諦めきれなくなってしまう…
必死な想いで離れたのに、”戻っておいで”と言われたら戻ってしまいそうで、私はスマホの電源を切った
これ以上依存したくなくって、自分を保てなくなる前に消え去りたかった
「もしかして、私は余計なことをしたかな?」
「いえ…助かりました、色々と…。」
「ふむ…、でもお茶はしてもらうよ。私は喉がカラカラだ。」
「わか、りました。助けていただきましたし、お安いご用です。」
仮面舞踏会の時も、鳩屋さんに助けてもらった
こうもタイミングよく現れると、半分冗談だけど運命を感じてしまう
そんな鳩屋さんについて行くとリムジンが一台
(まさか、これに乗るつもり?)
軽快にドアを開けると「どうぞ。」と紳士な対応を見せてくる
促されるままに乗ると運転手に帰宅を言い渡し、車が発進する
「さあ、遠慮せずに入ってくれ。一ノ瀬、お茶を頼む。」
「かしこまりました。上着をお預かりします。」
「レディ、こっちだよ。是非夕食もどうかな?」
あのパーティーに出ていたのだから、相当お金持ちだと思ってはいたけど、想像以上だった
まるで御曹司みたいな鳩屋さんの家は、ゴージャスな輝きを放っていて目に悪い
眩し過ぎるくらいの照明の数
シャンデリアなんて、一般宅にあるものじゃない
この豪華な置物に、毛皮
次元が違い過ぎる
それを見せつけられているみたいだ
「それで?何に困っているのかな?」
「っえ?」
「お金?住む場所?言ってくれれば、なんでも叶えてあげるよ。」
「あ…そうですね…。しばらく、隠れていたいですね。」
誰にも見つからない場所へ、ひっそりと暮らしたい
それが私の望み
でも、それを叶えるにはお金がない
叶えられるとも思えない
一歩でも近づくためにお金を稼いだ
正直、予想以上に稼げたがまだまだ足りない
「そうだな、私の知り合いの所にレディの願いが叶いそうな場所があるけど。君さえ良ければ、連れて行こうか?」
「っい、いんですか?ありがとうございます‼︎こんなに良くしてくれるなんて、鳩屋さんは優しいですね。」
「潤。どうか潤と呼んでおくれよ、レディ。いつまでも”鳩屋さん”じゃ、悲しいよ。」
「っ、じゅ潤、さん…。」
「うん。それじゃ、今日はここに泊まって明日移動しよう。寝室は一ノ瀬に案内を頼もう。」
一ノ瀬さんは、執事さんのようで私を寝室まで案内してくれた
部屋にはバスルームもついていて、キングサイズのベッド
白を基調とした家具は統一感が出ていて、清潔そのもの
だけど、どこか単調なこの部屋はなんとなく居心地が悪い
シャワーを浴びて、今日の出来事を洗い流す
シャワーヘッドから勢いよく出るお湯は、髪や肌を濡らす
うざったいくらいに纏わりつく髪の毛は黒く、鏡の写る瞳はやはり日本人離れしている
色素の薄いこの瞳じゃ、いくら髪の毛を黒くしても無意味だった
ベッドに横になってみても、この虚な心は収まるところを知らない
どんどん広がるかのような心の隙間は、大きなものとなっている
いつからだろう、こんなに誰を思い浮かべるのは…
沈むこの柔らかなベッドに、埋もれてしまいそうなくらい心が鉛のように重く感じる
「…っ!?」
ブーッブーッとバイブ音を響かせているスマホを見ると知らない番号からで、出るのを躊躇させてくる
出なければ、留守番電話サービスへと移動し見知った声がした
《ちさちゃん…電話に出てくれないか…?僕は…ちさちゃんの声を聞きたいよ…》
「臼田さん…。」(やめてください…)
電話なんてしてこないで
そんなことされたら、諦めきれなくなってしまう…
必死な想いで離れたのに、”戻っておいで”と言われたら戻ってしまいそうで、私はスマホの電源を切った
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