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少しキツめに抱きしめる臼田さんに「亀の女だったの?」と、また爆弾発言を落とす瑞貴さんに、両頬を膨らませた彼女さんが可愛く怒っていた
私に触れたことに気分を害したのだろうとすぐに分かったが、未だ抱き続ける臼田さんのせいで、弁解するチャンスを逃してしまう
「ちさちゃんのこと誘惑しないでもらえますか?困るんで」
「別にしてない。てか、誘惑するほどの女だとは思えない。」
(ちゃんと聴こえているのですが………)
「ちさちゃんを"連れてこい"だなんて、狙ってるとしか思えませんが?」
「それはいくら調べても、この女の存在した証拠が見当たらないから。」
「瑞貴さん!」
瑞貴さんの言葉をかき消すかのように大声で叫ぶ臼田さんとは対象的に、私は静かに疑問に思っていた
え……、どういう…こと?
私の存在した証拠が見つからない?
私は存在してる、今だってここにちゃんと居るじゃない
なのに、どうしてそんなことを言っているのだろうか?
それにどうして臼田さんが、焦りを見せているのだろうか?
「"証拠が見つからない"って…どういうことですか……」
「ジャンの家を出入りする女の情報は入ってきたけど。その女、つまりあんたの生きている情報はこの世に残ってなかった。だから直接調べようと思って呼んだ。」
「その話は後にしましょう。ジャンが探してます。」
私は話の続きが気になるのに、臼田さんがそうはさせない
何かを知っているみたいに焦りを見せる臼田さんは、強制的に会話を中断させて「行こう」と手を引く
そんな彼にどう言うことですか?と聞いても答えてはくれない
何を隠しているのか……
歩き進める彼に何度も聞く
「臼田さん……どうして教えてくれないんですか?」
「…ちさちゃんは知らなくて良いことだから。」
「”知らなくて良い”って、私に関係してるのに良いわけないじゃないですか」
私は彼の手を離した
「ちさちゃん…」と悲しげな声色を出すが、何かを隠している人の手を握り続けたくなかった
そんな私に瑞貴さんは言った
私は12年前に死んだことにされていたこと
この世にはいない存在とされていたこと
ちさと言う人物は、生きてはいないこと
そんなバカな話があるのか?
死んでいるなら、なぜ私は生きているのか
あの施設で育ち、苦痛を味わったのに何故……………?
「瑞貴さんやめてください」
「なんで?本人が一番知りたがってんのに、教えてやれよ。僕より先に調べていたくせに。」
「瑞貴さん‼︎」
”調べていた”?臼田さんが?
なのに、私には一切教えず今まで隠してたってこと?
ずっと前から知っていたのに?
「ちさちゃん」と狼狽る私に寄り添うみたいに近づき、手を触れようとしてくる彼を避けた
「やめてください…」
「ちさちゃん…。」
「どうして…今まで、言わなかったんですか……」
「知ったら君が傷つくと分かってたから、」
「言わなかったら怒るってことも分かってたはず…」
やり場のない怒りは必然的に臼田さんへと向けられ、無意味なほどに八つ当たりをしてしまう
頭では分かってる、臼田さんが考えもなくそんなことするはずないってこと
でもそんな頭とは裏腹に、心は怒りに満ちていて彼が憎く感じてしまう
それでもなお私に近づく彼を、私は冷たく突き放してしまう
私に触れたことに気分を害したのだろうとすぐに分かったが、未だ抱き続ける臼田さんのせいで、弁解するチャンスを逃してしまう
「ちさちゃんのこと誘惑しないでもらえますか?困るんで」
「別にしてない。てか、誘惑するほどの女だとは思えない。」
(ちゃんと聴こえているのですが………)
「ちさちゃんを"連れてこい"だなんて、狙ってるとしか思えませんが?」
「それはいくら調べても、この女の存在した証拠が見当たらないから。」
「瑞貴さん!」
瑞貴さんの言葉をかき消すかのように大声で叫ぶ臼田さんとは対象的に、私は静かに疑問に思っていた
え……、どういう…こと?
私の存在した証拠が見つからない?
私は存在してる、今だってここにちゃんと居るじゃない
なのに、どうしてそんなことを言っているのだろうか?
それにどうして臼田さんが、焦りを見せているのだろうか?
「"証拠が見つからない"って…どういうことですか……」
「ジャンの家を出入りする女の情報は入ってきたけど。その女、つまりあんたの生きている情報はこの世に残ってなかった。だから直接調べようと思って呼んだ。」
「その話は後にしましょう。ジャンが探してます。」
私は話の続きが気になるのに、臼田さんがそうはさせない
何かを知っているみたいに焦りを見せる臼田さんは、強制的に会話を中断させて「行こう」と手を引く
そんな彼にどう言うことですか?と聞いても答えてはくれない
何を隠しているのか……
歩き進める彼に何度も聞く
「臼田さん……どうして教えてくれないんですか?」
「…ちさちゃんは知らなくて良いことだから。」
「”知らなくて良い”って、私に関係してるのに良いわけないじゃないですか」
私は彼の手を離した
「ちさちゃん…」と悲しげな声色を出すが、何かを隠している人の手を握り続けたくなかった
そんな私に瑞貴さんは言った
私は12年前に死んだことにされていたこと
この世にはいない存在とされていたこと
ちさと言う人物は、生きてはいないこと
そんなバカな話があるのか?
死んでいるなら、なぜ私は生きているのか
あの施設で育ち、苦痛を味わったのに何故……………?
「瑞貴さんやめてください」
「なんで?本人が一番知りたがってんのに、教えてやれよ。僕より先に調べていたくせに。」
「瑞貴さん‼︎」
”調べていた”?臼田さんが?
なのに、私には一切教えず今まで隠してたってこと?
ずっと前から知っていたのに?
「ちさちゃん」と狼狽る私に寄り添うみたいに近づき、手を触れようとしてくる彼を避けた
「やめてください…」
「ちさちゃん…。」
「どうして…今まで、言わなかったんですか……」
「知ったら君が傷つくと分かってたから、」
「言わなかったら怒るってことも分かってたはず…」
やり場のない怒りは必然的に臼田さんへと向けられ、無意味なほどに八つ当たりをしてしまう
頭では分かってる、臼田さんが考えもなくそんなことするはずないってこと
でもそんな頭とは裏腹に、心は怒りに満ちていて彼が憎く感じてしまう
それでもなお私に近づく彼を、私は冷たく突き放してしまう
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