90 / 333
90
しおりを挟む
朝食を終えた私は使い終わった食器を洗っている
今日は仮面舞踏会が行われるとのことで、緊張と少しの好奇心が私の心を燻る
特に役目はないらしいが、それでも心臓はドキドキだった
洗い終わって振り向くと、そこにはジャンさんが立っていて驚いた
何も言わずそこに居て何をしていたんだか…………
腕を組んでこちらを見続ける彼の横を通り過ぎようとするも「待て」と二の腕掴まれ、どこへ行くのか移動し始めた
「座れ」
「はい……」
やってきたのはジャンさんの部屋で、命令口調で言ってくる
怒っているのか分からないが、私を座らせると何やらゴソゴソとしている
相変わらずの蔵書に、そっちばかりに目が行ってしまい「おい」とお声がかかった
「目、瞑れ」
「なんでですか」
「早くしろ」
説明を一切してくれない彼に渋々従い目を閉じると、頬に冷たい何かを感じて目を開けた
その冷たさの主はジャンさんの手で、それより彼の顔の近さに狼狽てしまう
何を……と口を開く私を無視いして前髪をピンで止めると、透さんから貰った物を取り出しては私に塗っていく
どうやら化粧をしてくれるみたいで、黙々と作業を進めるジャンさん
そんな彼を見ていると「目」と言われ、慌てて瞑り目元を触れるその感触に集中した
透さんにしてもらったものに近いそれは、手際良く動いている
心地よいその感覚を味わっていると「口開け」と言われ、ビクッと身体が反応してしまう
恐る恐る口を開けば、彼の冷え切った指と人工物の感触が触れる
そのなぞる感覚に必死で耐える
(なんだか恥ずかしい……)
「くっそ、」
「え?」
その苛立った声に目を開けると、どうやらリップをはみ出して塗ってしまったらしい
透さんの”つけ過ぎ注意”の言葉をしっかり守っているジャンさんは、それに集中し過ぎて唇の輪郭を脱線してしまった様だ
拭きましょうか?と問う、私を見ては「いや」と答える
ちょっと優しいその手つきの感覚に困惑し、思わず彼から目が離せなかった
こちらを見ている彼の瞳に私は眉を少し潜めた
「……あの…、」
「うるさい」
そう言って、はみ出た口元をそっと親指で拭く
自分で拭けます…そう言ったら、否定するみたいで、また離れてしまいそうで彼の"うるさい"の言葉に対抗できなかった
そうなったらやだな…なんて罪深い思いを抱く私は本当に貪欲だ
「脱げ」
「っえ、どうしてです!?」
「着替えに決まってんだろ」
戸惑う私を捕まえては脱がそうとする彼を止め、自分で着替えますから!と距離を取った
流石にそれまでやってもらわなくても、子供じゃあるまいし……
そう思っていると「これ1人じゃ着れぇぞ」とドレスを見せてくる
(そうだ…ドレスだった……)
そのことを忘れていたこの都合にいい記憶のせいで、空回りさせられる
それは後ろにファスナーが付いているものの、ウエスト部分にコルセットのような存在があって、誰かに縛ってもらわないといけない構造に作られている
「分かりました…コルセットの所はお願いしますから、後ろ向いてて下さい。」
「めんどい」
身体の向き変えるだけなのに、何が”めんどい”んだ……
私の反応を楽しんでいるとしか思えないジャンさんに急かされ、その場で着替えることになってしまった
彼に背を向け、着替える
すると「またババ臭ぇ下着」とか聞こえてくるが無視だ
ファスナーを上げようとすると、三つ編みに引っ掛かり上がろうとしてくれない
そんな反抗期なファスナーから、三つ編みを救出してくれるジャンさん
私はその三つ編みを握りしめて、ファスナーが上がり終わるのを待った
今日は仮面舞踏会が行われるとのことで、緊張と少しの好奇心が私の心を燻る
特に役目はないらしいが、それでも心臓はドキドキだった
洗い終わって振り向くと、そこにはジャンさんが立っていて驚いた
何も言わずそこに居て何をしていたんだか…………
腕を組んでこちらを見続ける彼の横を通り過ぎようとするも「待て」と二の腕掴まれ、どこへ行くのか移動し始めた
「座れ」
「はい……」
やってきたのはジャンさんの部屋で、命令口調で言ってくる
怒っているのか分からないが、私を座らせると何やらゴソゴソとしている
相変わらずの蔵書に、そっちばかりに目が行ってしまい「おい」とお声がかかった
「目、瞑れ」
「なんでですか」
「早くしろ」
説明を一切してくれない彼に渋々従い目を閉じると、頬に冷たい何かを感じて目を開けた
その冷たさの主はジャンさんの手で、それより彼の顔の近さに狼狽てしまう
何を……と口を開く私を無視いして前髪をピンで止めると、透さんから貰った物を取り出しては私に塗っていく
どうやら化粧をしてくれるみたいで、黙々と作業を進めるジャンさん
そんな彼を見ていると「目」と言われ、慌てて瞑り目元を触れるその感触に集中した
透さんにしてもらったものに近いそれは、手際良く動いている
心地よいその感覚を味わっていると「口開け」と言われ、ビクッと身体が反応してしまう
恐る恐る口を開けば、彼の冷え切った指と人工物の感触が触れる
そのなぞる感覚に必死で耐える
(なんだか恥ずかしい……)
「くっそ、」
「え?」
その苛立った声に目を開けると、どうやらリップをはみ出して塗ってしまったらしい
透さんの”つけ過ぎ注意”の言葉をしっかり守っているジャンさんは、それに集中し過ぎて唇の輪郭を脱線してしまった様だ
拭きましょうか?と問う、私を見ては「いや」と答える
ちょっと優しいその手つきの感覚に困惑し、思わず彼から目が離せなかった
こちらを見ている彼の瞳に私は眉を少し潜めた
「……あの…、」
「うるさい」
そう言って、はみ出た口元をそっと親指で拭く
自分で拭けます…そう言ったら、否定するみたいで、また離れてしまいそうで彼の"うるさい"の言葉に対抗できなかった
そうなったらやだな…なんて罪深い思いを抱く私は本当に貪欲だ
「脱げ」
「っえ、どうしてです!?」
「着替えに決まってんだろ」
戸惑う私を捕まえては脱がそうとする彼を止め、自分で着替えますから!と距離を取った
流石にそれまでやってもらわなくても、子供じゃあるまいし……
そう思っていると「これ1人じゃ着れぇぞ」とドレスを見せてくる
(そうだ…ドレスだった……)
そのことを忘れていたこの都合にいい記憶のせいで、空回りさせられる
それは後ろにファスナーが付いているものの、ウエスト部分にコルセットのような存在があって、誰かに縛ってもらわないといけない構造に作られている
「分かりました…コルセットの所はお願いしますから、後ろ向いてて下さい。」
「めんどい」
身体の向き変えるだけなのに、何が”めんどい”んだ……
私の反応を楽しんでいるとしか思えないジャンさんに急かされ、その場で着替えることになってしまった
彼に背を向け、着替える
すると「またババ臭ぇ下着」とか聞こえてくるが無視だ
ファスナーを上げようとすると、三つ編みに引っ掛かり上がろうとしてくれない
そんな反抗期なファスナーから、三つ編みを救出してくれるジャンさん
私はその三つ編みを握りしめて、ファスナーが上がり終わるのを待った
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる