52 / 333
52
しおりを挟む
「こいよ」とか言うジャンさんの言葉には従わず、彼とは反対の方へ身を竦める
そんな私の態度が気に食わなかったのか、眉を尖らせ「逃げんな」と詰め寄ってくる彼を臼田さんが止めた
「ちさちゃん、嫌がってる」
「……、だから?」
なんだか険悪な雰囲気が流れ、背中に冷や汗が出る
笑顔だった臼田さんの顔は曇っているように見えた
「っひ、人前で…公然猥褻です…」
「公然猥褻は人の目に触れるような場所で公然と猥褻な行為をする罪。、刑法174条に定められ、罰則は6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料とされている。」
「っな…」
「キス程度じゃ罪には問えない」
刺々しさが肌にピリピリと感じる
こんな2人を見るのは初めてで、どうすればいいのか分からずしどろもどろしていると、少女の母親が迷子の放送を聞きサービスカウンターに来た
息を切らして少女に駆け寄り、優しくしっかり抱きしめる
よかった………、一安心だ
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんとお兄ちゃんバイバイ!」
バイバイと少女に手を振り返し、ッホと安堵する
無事にお母さんと会えて良かった
そんな時でも互いを睨み合うようにバチバチしている2人にいたたまれなくなり、やめましょう!と間に入る
それに驚いた臼田さんは眉をハの字にしシュンとする
座ったままのジャンさんは「うっざ」と一言、言い放っただけだった
「もう…遅いですし、帰りましょう……」
「ちさちゃん……」
悲しそうな顔で私の手を取る臼田さん
別にキスされたから、怒っているとかじゃない
このままの雰囲気で、買い物なんてできないと思っただけだ
それに、……痣も…見えてるし…
帰りましょ、もう一度言うと「わかったよ……」とどこか納得のいかないような顔で了承してくれた
それを聞いて「はぁ」とため息をこぼし、ソファーから立ったジャンさん
駐車場に向かって歩く間、誰も何も言わない
今まで握ってくれていた手は空いていて、少し寂しかった
私の前に臼田さん、後ろにはジャンさんがいて歩いている
________あんなに楽しく過ごしていたのに……そんな思いが心の溜まっていく
私がもっと上手に断っていたら……
もっと上手く臼田さんに、”帰ろう”と言えていたら……
そんなことはもう遅いと分かっていても、足掻いてしまう
「……」(あれって…………)
ふと、ずらした先に見えたのは見覚えのある人物だった
その人物は10年以上一緒に過ごし、仲良くしていた子だった
幻覚でもなく見間違いでもなく彼女だった
そのことに驚嘆と悦びが混ざり合い、気がつけばその場から離れ走っていた
ずっと気がかりだった
どこにいるんだろう?って気になりながら、思うように探してあげることができなかった
そんな彼女がすぐそこ、道路を挟んだ先にいたのだ
無我夢中で私は臼田さんとジャンさんのことを忘れ、走っていた
そんな私の態度が気に食わなかったのか、眉を尖らせ「逃げんな」と詰め寄ってくる彼を臼田さんが止めた
「ちさちゃん、嫌がってる」
「……、だから?」
なんだか険悪な雰囲気が流れ、背中に冷や汗が出る
笑顔だった臼田さんの顔は曇っているように見えた
「っひ、人前で…公然猥褻です…」
「公然猥褻は人の目に触れるような場所で公然と猥褻な行為をする罪。、刑法174条に定められ、罰則は6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料とされている。」
「っな…」
「キス程度じゃ罪には問えない」
刺々しさが肌にピリピリと感じる
こんな2人を見るのは初めてで、どうすればいいのか分からずしどろもどろしていると、少女の母親が迷子の放送を聞きサービスカウンターに来た
息を切らして少女に駆け寄り、優しくしっかり抱きしめる
よかった………、一安心だ
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんとお兄ちゃんバイバイ!」
バイバイと少女に手を振り返し、ッホと安堵する
無事にお母さんと会えて良かった
そんな時でも互いを睨み合うようにバチバチしている2人にいたたまれなくなり、やめましょう!と間に入る
それに驚いた臼田さんは眉をハの字にしシュンとする
座ったままのジャンさんは「うっざ」と一言、言い放っただけだった
「もう…遅いですし、帰りましょう……」
「ちさちゃん……」
悲しそうな顔で私の手を取る臼田さん
別にキスされたから、怒っているとかじゃない
このままの雰囲気で、買い物なんてできないと思っただけだ
それに、……痣も…見えてるし…
帰りましょ、もう一度言うと「わかったよ……」とどこか納得のいかないような顔で了承してくれた
それを聞いて「はぁ」とため息をこぼし、ソファーから立ったジャンさん
駐車場に向かって歩く間、誰も何も言わない
今まで握ってくれていた手は空いていて、少し寂しかった
私の前に臼田さん、後ろにはジャンさんがいて歩いている
________あんなに楽しく過ごしていたのに……そんな思いが心の溜まっていく
私がもっと上手に断っていたら……
もっと上手く臼田さんに、”帰ろう”と言えていたら……
そんなことはもう遅いと分かっていても、足掻いてしまう
「……」(あれって…………)
ふと、ずらした先に見えたのは見覚えのある人物だった
その人物は10年以上一緒に過ごし、仲良くしていた子だった
幻覚でもなく見間違いでもなく彼女だった
そのことに驚嘆と悦びが混ざり合い、気がつけばその場から離れ走っていた
ずっと気がかりだった
どこにいるんだろう?って気になりながら、思うように探してあげることができなかった
そんな彼女がすぐそこ、道路を挟んだ先にいたのだ
無我夢中で私は臼田さんとジャンさんのことを忘れ、走っていた
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる