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「こいよ」とか言うジャンさんの言葉には従わず、彼とは反対の方へ身を竦める
そんな私の態度が気に食わなかったのか、眉を尖らせ「逃げんな」と詰め寄ってくる彼を臼田さんが止めた
「ちさちゃん、嫌がってる」
「……、だから?」
なんだか険悪な雰囲気が流れ、背中に冷や汗が出る
笑顔だった臼田さんの顔は曇っているように見えた
「っひ、人前で…公然猥褻です…」
「公然猥褻は人の目に触れるような場所で公然と猥褻な行為をする罪。、刑法174条に定められ、罰則は6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料とされている。」
「っな…」
「キス程度じゃ罪には問えない」
刺々しさが肌にピリピリと感じる
こんな2人を見るのは初めてで、どうすればいいのか分からずしどろもどろしていると、少女の母親が迷子の放送を聞きサービスカウンターに来た
息を切らして少女に駆け寄り、優しくしっかり抱きしめる
よかった………、一安心だ
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんとお兄ちゃんバイバイ!」
バイバイと少女に手を振り返し、ッホと安堵する
無事にお母さんと会えて良かった
そんな時でも互いを睨み合うようにバチバチしている2人にいたたまれなくなり、やめましょう!と間に入る
それに驚いた臼田さんは眉をハの字にしシュンとする
座ったままのジャンさんは「うっざ」と一言、言い放っただけだった
「もう…遅いですし、帰りましょう……」
「ちさちゃん……」
悲しそうな顔で私の手を取る臼田さん
別にキスされたから、怒っているとかじゃない
このままの雰囲気で、買い物なんてできないと思っただけだ
それに、……痣も…見えてるし…
帰りましょ、もう一度言うと「わかったよ……」とどこか納得のいかないような顔で了承してくれた
それを聞いて「はぁ」とため息をこぼし、ソファーから立ったジャンさん
駐車場に向かって歩く間、誰も何も言わない
今まで握ってくれていた手は空いていて、少し寂しかった
私の前に臼田さん、後ろにはジャンさんがいて歩いている
________あんなに楽しく過ごしていたのに……そんな思いが心の溜まっていく
私がもっと上手に断っていたら……
もっと上手く臼田さんに、”帰ろう”と言えていたら……
そんなことはもう遅いと分かっていても、足掻いてしまう
「……」(あれって…………)
ふと、ずらした先に見えたのは見覚えのある人物だった
その人物は10年以上一緒に過ごし、仲良くしていた子だった
幻覚でもなく見間違いでもなく彼女だった
そのことに驚嘆と悦びが混ざり合い、気がつけばその場から離れ走っていた
ずっと気がかりだった
どこにいるんだろう?って気になりながら、思うように探してあげることができなかった
そんな彼女がすぐそこ、道路を挟んだ先にいたのだ
無我夢中で私は臼田さんとジャンさんのことを忘れ、走っていた
そんな私の態度が気に食わなかったのか、眉を尖らせ「逃げんな」と詰め寄ってくる彼を臼田さんが止めた
「ちさちゃん、嫌がってる」
「……、だから?」
なんだか険悪な雰囲気が流れ、背中に冷や汗が出る
笑顔だった臼田さんの顔は曇っているように見えた
「っひ、人前で…公然猥褻です…」
「公然猥褻は人の目に触れるような場所で公然と猥褻な行為をする罪。、刑法174条に定められ、罰則は6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留、科料とされている。」
「っな…」
「キス程度じゃ罪には問えない」
刺々しさが肌にピリピリと感じる
こんな2人を見るのは初めてで、どうすればいいのか分からずしどろもどろしていると、少女の母親が迷子の放送を聞きサービスカウンターに来た
息を切らして少女に駆け寄り、優しくしっかり抱きしめる
よかった………、一安心だ
「本当にご迷惑をおかけいたしました。」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんとお兄ちゃんバイバイ!」
バイバイと少女に手を振り返し、ッホと安堵する
無事にお母さんと会えて良かった
そんな時でも互いを睨み合うようにバチバチしている2人にいたたまれなくなり、やめましょう!と間に入る
それに驚いた臼田さんは眉をハの字にしシュンとする
座ったままのジャンさんは「うっざ」と一言、言い放っただけだった
「もう…遅いですし、帰りましょう……」
「ちさちゃん……」
悲しそうな顔で私の手を取る臼田さん
別にキスされたから、怒っているとかじゃない
このままの雰囲気で、買い物なんてできないと思っただけだ
それに、……痣も…見えてるし…
帰りましょ、もう一度言うと「わかったよ……」とどこか納得のいかないような顔で了承してくれた
それを聞いて「はぁ」とため息をこぼし、ソファーから立ったジャンさん
駐車場に向かって歩く間、誰も何も言わない
今まで握ってくれていた手は空いていて、少し寂しかった
私の前に臼田さん、後ろにはジャンさんがいて歩いている
________あんなに楽しく過ごしていたのに……そんな思いが心の溜まっていく
私がもっと上手に断っていたら……
もっと上手く臼田さんに、”帰ろう”と言えていたら……
そんなことはもう遅いと分かっていても、足掻いてしまう
「……」(あれって…………)
ふと、ずらした先に見えたのは見覚えのある人物だった
その人物は10年以上一緒に過ごし、仲良くしていた子だった
幻覚でもなく見間違いでもなく彼女だった
そのことに驚嘆と悦びが混ざり合い、気がつけばその場から離れ走っていた
ずっと気がかりだった
どこにいるんだろう?って気になりながら、思うように探してあげることができなかった
そんな彼女がすぐそこ、道路を挟んだ先にいたのだ
無我夢中で私は臼田さんとジャンさんのことを忘れ、走っていた
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