逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
上 下
31 / 333

31

しおりを挟む
見慣れない靴を足に履きながらそれを眺める
複雑なデザインに見える靴だが意外にも履くのは簡単で、履いているだけでもおしゃれになった気分にさせてくれる物だった

「似合ってるけど、普段使いには向かないかなー」

これを選んでくれた臼田うすたさんは、並べられている靴たちに目をやり再度選びはじめる
確かにローヒールといえど、日常的に使うには勿体なく、おしゃれすぎる見た目をしていた

臼田うすたさんはジャンさんにも選ぶのを「手伝って」と言うが「面倒くさい」とあからさまな態度を取られてしまう
これでいいんじゃない、と渡されたのは紺色のぺたんこ靴だった
ワンポイントに小さなリボンが付いていたが、さり気ないデザインに魅力を感じた

それを履くとビックリするほど履きやすくすっぽりと足が収まる
さすが高級品、履きやすい
今まで履いていた作業靴とはまるで違うその靴に感動していた

その様子を見てまたもや臼田うすたさんが口を開く

「これ履いていきまーす」

「!?」

(待って、値段…値段は…?)


__________24万!? +税!?

高っ…………………

服といい靴もこんな高いものを簡単に買えるのだろうか…
まさか、銀行強盗とかしてないよね?っと失礼な考えが頭をよぎった









__________85万+24万+税…………

1日で…、いや2時間くらいで100万以上もの大金を使ってしまった
正確には買ってもらったのだが……

100万という大金は私には遠すぎ存在故、信じられない
本当に買ってもらったのだろうか?
これはドッキリで、後で請求されるのではないか?
それとも、1日だけ貸してくれた感じ?……

どれにせよ汚さないように注意深くしなきゃと、無駄に私を野生化させる
獣みたいに周りを警戒する私に、臼田うすたさんは次どこ行こかなんて話しかけてくる


「俺こっから別行動」

「了解~」

ジャンさんに向けて何か投げた
それは車のキーで、「んじゃ」と行ってしまう

「それじゃ僕たちはカフェにでも入る?」

「そうですね」

「じゃぁ行こう!」とまた手を握って子どもみたいに嬉しそうに歩き出す
それについていくように私も彼の歩く方へ進む


歩き進んでそう遠くない場所に穴場的なカフェがあった
店員さんに臼田うすたさんが「あの場所空いてますか?」と言うと奥へと通される
あまりお客の出入りは激しくなく、簡単に席につくことができた

そこはテラス席みたいな場所で私と彼以外に人は居ない
緑が綺麗に育っていて、ピヨピヨっと鳥のさえずる音まで聴こえる
その環境が心地よくって思わずうっとりする

どうぞ、と椅子を引いてくれる
「ありがとうございます」なんて照れながら席につくと、メニュー表を渡してくれる

一体どこまで紳士なんだろうか

「ちさちゃん何食べたい?何でも頼んでいいよ」

「そうですね…、」

何でもはいかん、と思いなるべく高くないものを必死に探す
安くてそこそこお腹にたまる、何か…__________

メニューの最後らへんにある【フルーツホイップパンケーキ】と言う何とも響の良いものが目に止まる
それが無性に食べたくなりそこまで高くないことを確認する

「決まった?」

「はい!この、フルーツホイップパンケーキにします。」

「他には?」

「これだけで大丈夫です」


臼田うすたさんは店員を呼ぶと私の分まで注文を伝えてくれた
なんてジェントルマンで、男の鏡のような人なんだ、と心の中で盛大に拍手した
世の男性がみんな彼のようだったら女性は悲しまないだろうなどと考えていた

ふと周りに全くお客さんが居ないことに不思議に思い尋ねた
するとこの席は知ってる人しか入れない場所らしく、それを知っている人も少ないらしい
だからたいてい空いているんだとか

「彼女さんと来たりしてたんですか?」

「ううん、僕彼女いないから」

ほら、あんな見た目だったしねと笑う臼田うすたさん
確かに…と同意すると、そこは否定してーと軽く怒られた
それに「ごめんなさい」と謝った

今私、歳相応の時間を過ごしてる気がする…
そんな事を密かに心の中で感じていた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...