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#4 大判封筒
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確かに黒のプリウスが、適度な車間距離を保ってぴったり後ろについてきている。
それと気づかれないよう、間に関係のないクルマを一台挟む念の入れようだ。
出雲は一般道から脇道に入った。
「巻けるか」
男がブリーフケースを膝の上に戻して訊く。
「任せてください」
住宅街の狭い隘路をスピードを落とさずジグザグに走る。
ナビに頼らなくてもこの辺りの地理には土地勘があった。
プリウスが追ってきた。尾行を隠そうともしない。
一方通行を逆進して工業団地の裏にでる。
そこでドリフトターンを決めた。
川越街道を直進する。
プリウスの姿は見えない。
うまく巻けたようだ。
「凄いな、あんた。F1ドライバーでもやっていたのかい?」
男が感心した口ぶりでいった。
弥生公園についた。
男がブリーフケースを開くと、なかから角2サイズの大判封筒を取り出し差し出してきた。
「これ、あんたにやるよ」
「なんですか、これ?」
なかに札束でも入っているというのか?
「リストさ」
「リスト?」
「さっきいったろ、ワジャムのリストさ」
次回へつづく
確かに黒のプリウスが、適度な車間距離を保ってぴったり後ろについてきている。
それと気づかれないよう、間に関係のないクルマを一台挟む念の入れようだ。
出雲は一般道から脇道に入った。
「巻けるか」
男がブリーフケースを膝の上に戻して訊く。
「任せてください」
住宅街の狭い隘路をスピードを落とさずジグザグに走る。
ナビに頼らなくてもこの辺りの地理には土地勘があった。
プリウスが追ってきた。尾行を隠そうともしない。
一方通行を逆進して工業団地の裏にでる。
そこでドリフトターンを決めた。
川越街道を直進する。
プリウスの姿は見えない。
うまく巻けたようだ。
「凄いな、あんた。F1ドライバーでもやっていたのかい?」
男が感心した口ぶりでいった。
弥生公園についた。
男がブリーフケースを開くと、なかから角2サイズの大判封筒を取り出し差し出してきた。
「これ、あんたにやるよ」
「なんですか、これ?」
なかに札束でも入っているというのか?
「リストさ」
「リスト?」
「さっきいったろ、ワジャムのリストさ」
次回へつづく
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