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主人公1、2は、ツラくてもそんな自分は隠してる

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 築50年以上経つ日本家屋。佐々木 功の部屋は、新入りエース2人に占領された。リビングに布団と荷物を置き、枕と毛布を持って離れにある晶の部屋の前で立ち止まる。

佐々木 功 う~んと。アレ? つきあうってコトでいいんだよね? なんかあのヒト、結婚とかブチかましてましたけど?? (近未来日本では同性は結婚ではなく、個人間で約束を交わしたり、交わさなかったり自由。晩婚、未婚、離婚が進み、シングルも大勢いる) アレは、陸のお嫁ちゃんの浮気疑惑を晴らす為に言ってくれたのかな。ま、いっか。合コンもどーなるかわかんナイし。部屋も追い出されるし。一緒に住むってコトでイイんだよね? イケイケゴーゴー、ちょっと進んじゃうか? 

 部屋の中で晶は、布団にくるまり苦しんでいる。
晶 ヤバい。部屋に入って倒れたはいいけど。あれから何回もトイレで吐いて、解熱鎮痛剤を飲んだけど熱が下がらない。なんかヘンなバイキンとか入ってたらどうしよう。明日になっても熱が下がらなけりゃ、病院行かなきゃ、かな。ハアハア。怠。気持ち悪い。ダメかも。寒気する。
 晶は、毛布にくるまり震えながら枕をぎゅっと掴み痛みと気持ち悪さを堪える。

 晶の部屋のドアが勢いよく開いて、佐々木 功が入ってくる。
「晶。イイ?」晶は、布団の中に潜る。
「何?」
「一人で寝られない……一緒に寝てもいい?」

「え。ダメ!!」さっき吐いたし、風呂も入ってねえし。(自分が) 汚い!!
「どしてよ!?」
 功くん、キスしたくなり晶の寝ている布団の塊にわっと近付き晶に床ドン(布団ドン) する。月明かりの中で、佐々木 功は晶の顔を覗き込む。
 晶は、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになる。
「え」功 わ。なんかゴメン! そんなヤだった??
 佐々木 功が、部屋を出ていこうとする。晶が大声を出す。

「ちょい待ち!!」功が無言で立ち止まる。晶は、仕方なく佐々木 功に告げる。
「__なんか俺、気分悪くて」佐々木 功が、晶の布団に戻ってくる。
「ええ?? 大丈夫?? どうしてすぐに言ってくれなかったの!?」
「……どしてかな。子供んとき、何言っても親に殴られてきたからかな……。人のこと信用できない__あーー……何言ってんだろ。(自分で言ってて) 普通に引くよね? __功くんだけには__嫌われたくなかった……」晶、ぐすんグスン泣く。功は、どうしていいのかわからずに、晶の布団を優しく掛け直した。

「嫌ったりしないよ」
「だって。無理だよ。(BLの) 受けとか絶対にできないよーー!!」大泣き
「あのね。今、そんなコト頼んでナイけど?」←キスしようとしてましたけどね。
「(ワンナイトとか言って) 彼女つくるくせに__ わーーん」泣
 佐々木 功が、晶の頭をそっと撫でた。
「ね。病院に行こ。明日、朝一でついて行ってあげるから」
「うーん。ヤだな。病院嫌い」
「俺がいると、休めないだろうから出とくね。__早くよくなって」
「しんどい__怠い 気持ち悪い」功が、ペットボトルの水を枕元に置く。
「水置いとくね。俺、近くにいるから、いつでも呼んで」
「んー。気分悪い。頭痛がする__」功が部屋を静かに出て行く。

 ©️ 石川 直生 2022.
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